カーシェアリングサービスの中でも圧倒的なシェアを誇る**「タイムズカーシェア」。その利用規約、正式には「貸渡約款(かしわたしやっかん)」**が、2025年12月16日付けで改定されたことをご存知でしょうか?
サービスの安定性、利便性、そして何より安全性の確保を追求するため、各社は定期的に約款の見直しを行っていますが、今回は特に、ユーザーの皆様の利用方法や責任範囲に直結する重要な変更が含まれています。
「どうせ難しい約款だから…」と読み飛ばしてしまう方も多いかもしれませんが、この約款は**会員とタイムズカーシェアとの間の唯一の「契約書」**であり、万が一のトラブルや事故が発生した際に、会員の権利や義務、そして支払うべき費用がすべてここに定められています。つまり、知らなかったでは済まされない、カーシェア利用における最重要ルールブックなのです。
今回の改定の背景には、近年のカーシェア利用者の増加に伴う利用マナーに関する課題や、新しい技術(ドライブレコーダーの導入など)の普及があります。特に注目すべき改定ポイントは、**「ドライブレコーダーの取り扱いに関する規定の新設」や、「禁止事項の明確化とそれに対する罰則の厳格化」**といった点です。
本記事では、この度改定された「タイムズカーシェア貸渡約款」の中から、一般会員の皆様のカーシェア利用に最も影響を与える重要ポイントを厳選し、わかりやすく解説していきます。知っておくべき責任範囲、そして今後私たちがどのようにサービスを利用していくべきか、一緒に確認していきましょう。

サービスタイム利用に於ける課金方法の変更について(第9条)
サービスタイム中のみの利用(走行あり)の場合は課金させていただく条件へ変更。
※サービスタイムとは、タイムズカーの日常点検を実施いただくために設けている、予約開始日時前の5〜10分間の時間です。
目的
サービスタイム(予約開始日時前の5~10分前)内に走行し、サービスタイム内に返却する利用が
増加しており、他の会員様が予約を取りづらい状況が発生。
これを解消するためにサービスタイム利用における課金方法を変更する
内容
(1)「サービスタイム中のみの利用(走行あり)」に於ける課金方法を以下の通り変更
【変更前】無料
【変更後】15分の利用料金が課金
*上記利用の場合、安心保障サービスおよびミニマムチャージ料金も課金
*給油や洗車・カーシェアeチケットの割引は今まで通り適用
*走行を伴わないサービスタイム中のみの利用や、サービスタイム中に走行し予約開始日時を過ぎた後も引き続き利用する場合は、これまでと変更なく無料で利用可能

業界関係者から要約
カーシェアのタイムスケジュール(システム予約管理)

タイムズカーシェアの予約は15分間隔て管理を行っています。
上記の例では予約者が13:00~15:00まで予約をされた例です。
実際に利用されるのは2時間ですがサービスタイムとして黄色の部分15分が
車両の出発準備時間(荷物の積み込みやカーチェックの時間)として設けられています
現在(改定前)に於いては無償で提供されている時間(サービスタイム)です。
余談ですが、返却された車両は2:00~2:15の15分は強制的にシステム予約され
次の予約を入れられない時間が発生します。返却処理に要するみなし時間ということです。
返却後のサービスタイムと考えて頂けたらイメージし易いと思います。
3:00には予約は入らず3:15分からとなるわけです。
このサービスタイム時間だけを使って車をちょい乗りする行為という神業ですね!
保障制度の変更(第25条)
タイムズカーでは、コーナーセンサーやバックモニターなどの安全装備がついた車種の導入や、駐車場内における安全対策の実施、会員様への注意喚起などの事故抑止に向けた取り組みを実施しておりますが、タイムズカーによる事故は年々増加しております。
中には、短期間に複数回の事故を起こされるケース、会員様の大きな過失により重大な事故を起こされるケースもあり、事故関連費用が増加し続けていることから、現行の補償制度の継続が難しくなっております。そのため、重大な事故を起こされた場合の補償制度を以下の通り一部変更させていただきます。

人身傷害補償の限度額について、無制限から6千万円へ引き下げ。
解説と影響
人身傷害補償とは、カーシェア利用中に会員自身や同乗者が死傷した場合に、過失割合に関わらず、保険会社が損害額(治療費、休業損害、精神的損害など)を支払う制度です。
- 改定前:
以前は「無制限」とされていたため、万が一非常に大きな後遺症が残る事故が発生しても、補償額の上限を気にすることなく治療に専念できました。 - 改定後:
今後は、補償の上限が1人あたり6,000万円となります。これは一般的な自動車保険の人身傷害特約の標準的な設定額ですが、もし高額な逸失利益(将来得られたはずの収入)が発生するような重大事故の場合、6,000万円を超えた部分については自己負担となるリスクが生じます。
背景
この限度額引き下げの背景には、主に以下の点があると考えられます。
- 保険コストの適正化:
近年のカーシェア利用者の増加と事故率の変動に伴い、保険料コストを安定・適正化し、サービス料金への影響を最小限に抑えるため。 - 他社サービスとの標準化:
他のカーシェア事業者やレンタカーサービスでも、人身傷害補償を6,000万円や5,000万円などの上限で設定しているケースが多く、業界標準に合わせた形です。 - ユーザーの自己責任の明確化:
ユーザーに対し、6,000万円を超える補償が必要な場合は、個人で加入している自動車保険や生命保険・医療保険などで備えることを促す意図も含まれていると見られます。
この変更により、カーシェアを頻繁に利用される方は、ご自身の加入している個人保険の内容を改めて確認し、補償の隙間がないか確認することが重要となりました。
車両補償について、当社ホームページに定める基準を超えた会員様に対し、免責額5万円を設定。
解説と影響
車両補償とは、タイムズカーシェアの車両を借りている間に、会員の責任で車両が破損した場合の修理費用を補償するものです。
- 従来のタイムズカーシェア:
基本的に「利用者の過失による事故であっても免責額(自己負担額)は発生しない(0円)」というのが大きなメリットでした。 - 改定後:
今後は、一定の基準(詳細は公式サイトを参照)を超えて事故やトラブルを頻繁に起こしている会員、または重大な違反行為を繰り返していると判断された会員に対して、事故の際に**5万円の免責額(自己負担金)**が発生するように規約が変更されました。
背景
この変更が導入された背景には、主に以下の点があると考えられます。
- 特定会員への抑止力:
サービス利用者の増加に伴い、危険運転や車両を粗雑に扱うなど、一部の会員による事故やトラブルの頻発が、全体の保険料負担や車両の稼働率低下を招いていました。この5万円の免責額を設けることで、問題のある特定会員に対し、安全で責任ある利用を促す抑止力とすることが狙いです。 - 保険制度の維持:
頻発する事故のコストを、健全に利用している大多数の会員に転嫁させず、保険制度全体を持続可能にするための措置です。
この改定は、大多数の善良なユーザーには直接的な影響はありませんが、カーシェア利用中はこれまで以上に安全運転とマナーを徹底することが、無用な自己負担を避けるために重要となります。
マイナ免許証の普及に伴う表記の変更(第3条、第6条、第43条)
今回の約款改定では、会員の「入会時」や「運転免許証更新時」の確認手続きに関わる重要な変更が加えられました。それは、「運転免許証の写しや画像データに加え、マイナンバーカードに記録された免許情報を取得する内容」が明確化された点です。
入会や免許更新時、運転免許証の写しや画像データに加え、マイナ免許証に記録された免許情報を取得する内容に変更。
解説と影響
これは、単に従来の運転免許証のコピーや画像データを確認するだけでなく、「マイナ免許証(マイナンバーカードと一体化された運転免許証)」に記録されている電子的な免許情報を、タイムズカーシェア側が取得・利用することを約款に明記したものです。
- 入会・更新手続きの簡素化: 今後、マイナ免許証を利用した手続きが普及すれば、会員は従来の紙や画像データの提出よりも、オンラインでより簡単かつ正確に情報を提供できるようになります。
- 情報取得の迅速性と正確性: 電子情報を取得することで、氏名、住所、免許種別、有効期限といった情報が誤りなく、迅速にサービス側に反映されます。特に、免許の有効期限切れによる無効な予約や利用を防ぐ上で有効です。
背景
この変更が導入された背景には、以下の動向があります。
- 国のデジタル化推進への対応: 2024年度末以降、運転免許証とマイナンバーカードの一体化が本格化する国のデジタル化戦略に、事業者が対応するため。
- セキュリティと不正利用防止の強化: 紙や画像データよりも、電子証明されたマイナ免許証の情報の方が、なりすましや偽造リスクが低く、高いセキュリティを確保できます。これにより、カーシェアサービス全体の信頼性向上と不正利用防止が期待されます。
- 効率的な本人確認(eKYC): 将来的に、非対面での入会時において、より信頼性の高いオンライン本人確認(eKYC)をスムーズに実現するための基盤整備という側面もあります。
この改定は、サービスの利便性とセキュリティを向上させるための前向きな変更と言えますが、プライバシー保護の観点からも、情報管理体制が重要になります。
会員情報の取り扱いに関する明確化(第35条〜第38条、第49条)
🔒 プライバシーと情報利用に関する改定:情報管理の透明化
今回の改定の多くは、ドライブレコーダーや車載機の進化に伴い、「タイムズカーシェアがどのような情報を取得し、どのように利用・提供するのか」という点に関する規定の明確化に割かれています。
個人情報と利用情報を合わせて「会員情報」と定義。
【補足解説】 これまでは「個人情報」と「利用情報」(車の利用履歴、走行データなど)が別個に扱われていましたが、これを統合して**「会員情報」**として定義することで、規約全体で情報の取り扱いを一元化し、シンプルにしました。会員情報は、サービス提供や安全管理のためにタイムズカーシェアが取得するすべてのデータを指します。この統一により、会員の皆様が自身のデータがどのように扱われているかを、より包括的に把握しやすくなります。
利用者の情報全般に関する規定と、車載機、ドライブレコーダー、自動車メーカー等による利用情報の取り扱いに関する規定との関係性を明確化。
タイムズカーシェアが取得するデータは、契約情報や決済情報(利用者の情報全般)だけでなく、「車載機(GPS)」「ドライブレコーダー」「自動車メーカー(コネクテッド機能)」といった複数のルートから取得されます。今回の改定では、これらの異なるルートで集められたデータが、情報全般の規定の下でどのように組み合わされ、利用されるのかという情報取得の構造的な関係性を明確にしました。これにより、利用者にデータ取得の全体像をわかりやすく伝えることを目的としています。
匿名化処理した上で提携先へ提供する利用情報の具体例に「位置情報」、「ドライブレコーダー映像」を追加。
タイムズカーシェアは、取得した利用情報を個人が特定できないように**「匿名化処理」した上で、サービスの改善やマーケティング目的で提携企業に提供しています。今回の改定で、その匿名化後に提供されるデータの具体例として、「位置情報」(いつどこを走行したか)と「ドライブレコーダー映像」**が明記されました。これにより、どのようなデータが匿名化されて外部に提供されるのかが具体的になり、情報利用の透明性が向上しました。
車載機により取得した利用情報、ドライブレコーダー映像について、第三者提供先の例を具体化。
車載機(GPSデータを含む)やドライブレコーダーが取得した情報について、どのような第三者に提供される可能性があるかの具体例が約款に追加されました。これには、事故解析のための保険会社、車両の緊急停止が必要な際の警察、そしてサービス改善のためのシステム開発委託先などが含まれます。これは、緊急時やサービス維持に必要なデータ提供先を具体的に示し、利用者の理解を求めるものです。
自動車メーカー等より提供を受けた利用情報に、当社が保有する利用者の情報を紐付けた情報について、第三者提供先の例を具体的化。
最新の車両は、自動車メーカー独自のコネクテッド技術を通じて車両データ(走行状態、車両の異常など)をメーカーに送信しています。タイムズカーシェアは、そのメーカーから提供を受けたデータに、タイムズカーシェアが持つ利用者の情報(氏名、予約履歴など)を紐づけた情報についても、どのような第三者に提供され得るかを具体的に明記しました。これは、車両のメンテナンスや緊急時の対応(例:事故時にメーカーを通じて利用者に連絡を取る)を円滑にするための措置ですが、情報連携の範囲を明確にしています。
タイムズカーの法人会員および登録運転者と、当社との利用契約に係る関係性について明記。
法人契約の場合、契約主体は「法人会員」ですが、実際に運転するのは「登録運転者(社員など)」です。今回の改定では、法人会員と登録運転者の両方が、約款に定められた責任と義務を負うという契約上の関係性が明確化されました。例えば、登録運転者が約款に違反した場合、その責任は登録運転者だけでなく、法人会員にも及ぶことが明確にされました。これにより、法人利用におけるコンプライアンス遵守の重要性が高まります。
残置物の取り扱い方法の変更(第32条)

モバイルバッテリー等、保管中に破裂・発火等のリスクを孕むものを直ちに廃棄する旨を規定。
今回の貸渡約款の改定では、「モバイルバッテリー等、保管中に破裂・発火等のリスクを孕むものを直ちに廃棄する」という新たな条項が設けられました。これは、会員が車両内に忘れ物として残していった危険物の取り扱いに関する重要な規定です。
解説と影響
これは、特に近年多発しているリチウムイオンバッテリーの発火事故に対応するための規定です。
- 対象となる物品: スマートフォン用のモバイルバッテリー、加熱式タバコのバッテリー、リチウムイオン電池を使用した電子機器などが主な対象です。
- リスク: これらのバッテリーは、車内の高温(特に夏場)、または物理的な衝撃によって膨張・発煙・発火する危険性があります。密閉された車内で発火した場合、車両火災に直結し、次の利用者や周辺に甚大な被害を及ぼす可能性があります。
- 改定後の対応: タイムズカーシェアのスタッフが、清掃や点検時にこれらの危険物を見つけた場合、火災事故を未然に防ぐため、会員に確認することなく直ちに適切な方法で廃棄することが約款で定められました。
背景
この規定が導入された背景は、以下の通りです。
- 安全管理の徹底: 会員が残したモバイルバッテリーなどが原因で、実際に車両火災やトラブルが発生するリスクが高まっているため、サービスの安全管理義務として最もリスクの高い物品の即時処理が必要と判断されました。
- 車両資産の保全: 火災による車両の全損を防ぎ、カーシェア車両という貴重な資産と次の利用者の安全を守ることを最優先とした措置です。
会員の皆様は、利用終了時にモバイルバッテリーや電子タバコなどの火災リスクのある物品を車内に置き忘れていないか、厳重にチェックすることが求められます。もし置き忘れた場合、返却を求めることはできず、廃棄処分されることになりますのでご注意ください。
会員資格の停止・退会基準の追加(第6条)
サービスの公正性と安全性を保つため、特に悪質な利用や、会員としての基本要件を満たさない状態が続いた場合の措置を明確化しています。
第三者によるなりすまし入会など不正に利用されている場合に、会員資格を停止・取り消しする旨を規定。
【補足解説】 この規定は、カーシェアサービスの根幹を揺るがす**「不正利用」**に対する措置を強化したものです。
- 対象となる不正利用:
- 他人の運転免許証情報を使って入会する「なりすまし入会」。
- 盗難されたクレジットカード情報など、不正な決済手段を用いて利用する行為。
- 会員証を第三者に貸与し、無免許運転を黙認するなど、間接的な不正に関与する行為。
- 目的: これらの不正行為は、保険適用外の事故リスクを高め、善良な会員全員の信頼性を損なうため、会社として不正行為の発生を未然に防ぎ、発覚した際は直ちにサービスから排除することを明確にしました。この規定により、不正利用防止に向けた運営側の厳格な姿勢が示されています。
有効な運転免許証を長期間登録しない場合、会員資格を停止・取り消しする旨を規定。
【補足解説】 カーシェアは、有効な運転免許証を保有していることが最低限の入会条件です。この規定は、その基本条件が欠けた状態への対応を明確化しました。
- 対象となるケース:
- 免許更新を失念し、有効期限が過ぎてしまったにもかかわらず、長期間にわたって有効な免許情報をサービスに登録しない場合。
- 免許の紛失や停止処分などにより、免許証の提示または情報登録ができない状態が続いている場合。
- 目的: 運転免許証が有効でない状態が続けば、法令を遵守したサービス提供が不可能となり、利用自体が法律違反となるリスクがあります。そのため、この状態が是正されない場合、会社側は利用規約に基づいて会員資格を停止し、最終的には取り消すという措置を講じることが明記されました。会員に対し、免許情報の速やかな更新手続きを促し、常に適法な状態での利用を義務付けるものです。
2026年4月1日より改定されます
※上記①は2026年4月1日0:00以降の返却分より改定後の貸渡約款が適用されます。
※上記②〜⑦は2026年4月1日0:00以降の予約開始分より改定後の貸渡約款が適用されます。
2026年4月1日以降の貸渡約款につきましては、以下をご確認ください。
2026年4月1日以降のタイムズカー貸渡約款
改定内容の詳細は新旧対比表をご参照ください。
貸渡約款新旧対比表

