はじめに:SDV時代を牽引する専門イベント、その核心とは
「クルマがスマートフォンになる」——そう聞いて、あなたは何を想像するだろうか。

自動車産業が「Software Defined Vehicle (SDV)」時代へと劇的にシフトする中、ソフトウェア技術はクルマの価値と安全性を決定づける最も重要な要素となりました。現在、自動車メーカー各社はBEVに代表されるゼロエミッション車と並行して自動運転への対応などもにらみSDVの開発に力を入れており、新車販売からの収益に頼るメーカーにとって、SDVは販売後に有料でソフトウェアをアップデートするサービスを提供できるため、新たな収益の源泉にもなると期待されています。
実際、日本政府は、ソフトウェアの定期的なアップデートを前提としたSDV車両が2030年にグローバルで最大4100万台程度に達すると見込んでおり、日本勢のシェアを3割に相当する約1100万~1200万台としたい計画を掲げています。この数字が意味するのは、自動車産業における競争のルールそのものが変わりつつあるということです。
今回で3回目の開催となる「オートモーティブ ソフトウエア エキスポ 2025」は、まさにこのSDV時代に向けた自動車開発とソフトウェア技術に特化した専門イベントです。本エキスポは、EdgeTech+ 2025内で開催され、自動車開発における最新のソフトウエア技術にフォーカスを当て、関連技術、業界動向、製品の最新情報を網羅的に提供します。
前回2023年の初開催時には、前回から1.5倍となる33,128名(前回22,081名)の来場者が集い、自動車開発におけるソフトウェアファーストのトレンドをキャッチアップした展示&カンファレンスとして大きな注目を集めました。この数字は、業界全体がいかにSDVへの関心を高めているかを如実に物語っています。
単なる製品展示にとどまらず、自動車のソフトウェア化に不可欠な分野、特にサイバーセキュリティや生成AIに関する最新動向を深く掘り下げ、業界のキーパーソンが一堂に会するこの3日間は、次世代のモビリティ開発戦略を練る上で欠かせない機会となるでしょう。
開催概要:モビリティの未来が集う場所


オートモーティブ ソフトウエア エキスポ 2025は、業界の最先端が集結する場所として、以下の日程・会場で開催されます。

本イベントは、組込みシステム技術協会(JASA)が企画・推進するEdgeTech+の一環として開催され、ものづくりが「AIと創る」新時代への進化を示す場となります。
EdgeTech+との相乗効果
EdgeTech+は、1986年に「MST(Microcomputer System & Tool Fair)」としてスタートしたもので、2002年の組込み総合技術展(Embedded Technology Expo)への改名や2015年からのIoT総合展の併催を経て規模を拡大し、2021年よりエッジテクノロジーを核としたソリューションを情報発信する総合展示会として進化してきた歴史ある展示会です。
回を重ねるごとに出展社数は増加の一途をたどっており、前年の266社を上回る300社が出展し、中でも新規出展が118社にものぼるという状況は、エッジコンピューティングの領域に対して社会の関心度が高まっている結果と言えるでしょう。
特に注目すべきは、会期中は出展社と気軽にコミュニケーションを取り合える「EdgeTech+フェスタ」が開催され、出展各社がアルコールやおつまみ類を用意しており、来場者は出展社と気軽にコミュニケーションをとることができる点です。11月20日(木)17:00~18:00に予定されているこのネットワーキングイベントは、昼間のフォーマルな商談とは異なる、リラックスした雰囲気の中で貴重な人脈を築く絶好の機会となります。
3つの核心テーマ:SDV開発の現在地と未来
エキスポでは、SDV時代の開発現場が直面する主要な課題と解決策に焦点を当て、特に以下の3つの重要トピックがハイライトされます。
自動車サイバーセキュリティ:UN-R155への対応と継続的防衛戦略
UN-R155は、車両のサイバーセキュリティ管理システム(CSMS)に関する、国連欧州経済委員会(UNECE)が定めた国際的な法規です。自動車メーカーが車両のライフサイクル全体でサイバー攻撃のリスクを管理する体制を構築することを義務付けており、この規定に適合したプロセスを構築・維持することが、型式認証の前提条件となります。
UN-R155の主な内容
ISO/SAE 21434: UN-R155を満たすための具体的な方法論や手順が示されている国際標準規格です。
サイバーセキュリティ管理システム(CSMS)の義務化: 自動車メーカーは、車両の開発段階から運用段階まで、一貫してサイバーセキュリティを管理するための体制(CSMS)を構築し、維持する必要があります。
リスク評価の実施:
車両の機能や通信経路に対する脅威を分析し、リスクを評価する「脅威分析とリスク評価(TARA)」の実施が求められます。
プロセス認証と型式認証:
プロセス認証:
まず、CSMSを確立している組織であることを証明する「プロセス認証」を取得します。
型式認証:
その後、個々の車両モデルがサイバーセキュリティ要件を満たしているかどうかの「型式認証」を受けます。
開発プロセスの重要性:
サイバーセキュリティを考慮した開発プロセスが求められます。
開発・品質管理・IT部門などが連携し、開発プロセス全体でセキュリティ対策を実施します。
関連する法規:
UN-R156: 同時に発効したUN-R156では、車両のソフトウェアアップデート管理システム(SUMS)について定められています。
なぜ今、サイバーセキュリティが最重要課題なのか
コネクテッドカーの増加に伴い、自動車のサイバーセキュリティの重要性はかつてなく高まっています。国際的な法規制「UN-R155」が2021年1月に発効し、日本は諸外国の中でもUN-R155にいち早く反応し、2026年までのスケジュールを組み段階的に規制を施行しています。
具体的な適用スケジュールは以下の通りです:
- 2022年7月:
OTA(Over The Air:無線通信を経由したデータ送受信)に対応した新型車への規制開始 - 2024年1月:
OTAに対応していない新型車への規制開始 - 2024年7月:
OTA対応の継続生産車への規制開始 - 2026年5月:
OTA非対応の継続生産車への規制開始
UN-R155の基準を満たしていない車両は、日本や欧州などにおいて販売できないため、自動車メーカーは法規の内容を正しく理解し、基準を満たした車の開発と生産をしなくてはなりません。これは単なる推奨事項ではなく、市場参入の絶対条件となっているのです。
エキスポでの取り組み:実践的な解決策を探る
本エキスポでは、主催者特別企画ゾーンとして**「自動車サイバーセキュリティパビリオン」**(またはゾーン)が設けられ、最新情報やトレンド、課題、対策に関する有識者との交流機会が提供されます。
特に、Japan Automotive ISAC(一般社団法人Japan Automotive ISAC)が深く関与し、その運営委員会や技術委員会の活動概要、協同演習の紹介が行われる予定です。Japan Automotive ISACは、自動車業界におけるサイバーセキュリティ情報の共有と協力を促進する組織として、業界全体のセキュリティレベル向上に重要な役割を果たしています。
セッションでは、以下のような実務に直結する重要なテーマが深く議論されます:
- ISO/SAE 21434準拠で進めるSDV時代のリスク分析作業を大幅削減する手法:
ISO/SAE 21434は、ISO(国際標準化機構)とSAE International(米国自動車技術者協会)が共同で策定した国際規格で、部品やインターフェースを含む自動車における企画・開発・生産・運用・メンテナンスなど自動車のライフサイクル全般を通したサイバーセキュリティの対策を定めており、UN-R155で要求されているサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の構築を行ううえでの参照規格となっています - SBOM(Software Bill of Materials)と脆弱性の管理の課題:
ソフトウェアの構成要素を詳細に把握し、既知の脆弱性を継続的に監視する仕組みの構築 - SDV時代におけるサプライチェーンセキュリティ防衛の最前線:
自動車セキュリティのカバー範囲が広範囲に及ぶため、未だ専門家が希少で、かつITセキュリティ担当者が担当するのも困難であり、設計・開発・検査・アフターセールスプロセスの変革、実行に向けたツール整備、教育を含む組織強化などによる対策の底上げが必要とされています - 車両販売後のセキュリティ品質確保の課題:
OTAアップデートを含む、車両のライフサイクル全体にわたるセキュリティ維持の方策
これらのテーマは、単なる理論的な議論にとどまらず、実際の開発現場で直面する具体的な課題に対する実践的な解決策を提供します。
生成AIゾーン:開発支援から新たなユーザー体験の創出へ
自動車業界を変革する生成AIの可能性
生成AI技術は、自動車分野において極めて注目度が高く、本エキスポでも**「生成AIゾーン」**という主催者特別企画が設けられています。2025年のEdgeTech+では、生成AIを中心とした展示やカンファレンスが昨年以上に拡充されている点が大きな特長となっています。
生成AIの活用は多岐にわたります:
ユーザー体験の革新:
BMWやメルセデスベンツ、ソニーホンダモビリティのAFEELAなどに導入されたバーチャルアシスタント機能は、単なる音声認識を超えた、自然な対話による車両操作と情報提供を実現しています。ソニーグループと本田技研工業は、2022年9月に、高付加価値EVの販売とモビリティ向けサービスの提供を行う新会社「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立し、2025年には、SDVとして異業種の知見を積極的に取り入れて開発されたEV「AFEELA(アフィーラ)」を販売予定で、自動運転や先進運転支援システムなどを実装し、従来の自動車の概念を超える新しい価値提供を目指しています。
開発効率の飛躍的向上:
SDVに対応するためのソフトウェア開発支援において、生成AIはコード生成、バグ検出、テストケース作成など、開発プロセス全体の効率化に貢献しています。日本ではSDVに不可欠なソフトウェア人材も2025年時点で2万人以上不足するとみられており、生成AIによる開発支援は、この人材不足を補う重要な技術となっています。
展示製品例:感情認識AIの最前線
展示製品例としては、**車載向け感情認識AIソフト「BLUESKEYE AI」**なども紹介されています。このような技術は、ドライバーの疲労状態や感情を検知し、適切なタイミングで休憩を促したり、車内の雰囲気を調整したりすることで、安全性と快適性の両立を実現します。

生成AIゾーンでは、これらの最新情報やトレンド、課題、対策について知ることができ、AIがどのようにモビリティの未来を「創る」のかを具体的に把握する機会となります。
モデルベース開発サミット (MBD):効率化とAI融合による革新
なぜMBDが今、注目されるのか
自動車の複雑化が進む中で、開発効率化の鍵となるのがモデルベース開発(MBD)です。高度運転支援システムのソフトウェア実装で、1億ステップを超える車両も出てきており、今後出てくる自動運転システムでは、制御ソフトウェアがさらに複雑化しています。
従来の開発手法では、このような複雑なシステムを効率的に開発・検証することが困難になってきました。そこで注目されるのが、物理モデルやシミュレーションを活用したMBDです。
MBDサミットで語られる未来
エキスポでは**「モデルベース開発サミット」**が開催され、設計・検証・生産プロセス全体の効率化と、AI融合による業界最新技術がテーマとなります。

MBDサミットのセッションでは、以下のような最先端のトピックが扱われます:
- SDV時代に向けたOEM/サプライヤ共創開発:
従来の垂直統合型の開発体制から、OEMとサプライヤーが協力してソフトウェアプラットフォームを構築する新しい開発モデルへの移行 - バーチャル試験のためのDXプラットフォーム:
実車試験の前にシミュレーション上で多様なシナリオをテストし、開発期間の短縮とコスト削減を実現 - MBD推進の必須性とその推進活動団体JMAABの紹介:
Japan MATLAB Automotive Advisory Board(JMAAB)による、MBDのベストプラクティスと標準化の取り組み - AIとMBDの融合による設計空間の可視化や最適化探索の効率化:
機械学習を活用した最適なパラメータの探索や、設計トレードオフの可視化により、従来は試行錯誤に頼っていたプロセスを体系化
これらの議論は、MBDの深化と未来を示すものであり、自動車開発の生産性を劇的に向上させる可能性を秘めています。
圧倒的な知見:業界をリードするキーパーソンによるカンファレンス

オートモーティブ ソフトウエア エキスポのカンファレンスプログラムは、業界を牽引するトップランナーたちが多数登壇し、SDVの具体的な実現戦略や人材戦略について語る、極めてボリュームのある内容となっています。
ここでは、特に注目すべき自動車関連の基調講演(Room L-Nで開催)およびスペシャルセッション(Room L/M/Nで開催)の一部をご紹介します。
開催初日 11月19日(水)のハイライト:ビジョンと戦略を語る
初日は、SDV時代におけるクラウドとAIの役割、そして具体的なモビリティビジネスへの挑戦がテーマです。
L1-01 モビリティにおける新たな価値の創造
登壇者:
高倉 大樹 氏(ソニー・ホンダモビリティ株式会社 ネットワークサービス開発部 ゼネラルマネジャー)
テーマ:クラウドとソフトウェアが果たす役割
ソニーとホンダという異業種の融合から生まれた新会社が、どのようにモビリティの新たな価値を定義しているのか。エンターテインメント企業としてのソニーの知見と、自動車メーカーとしてのホンダの技術力が融合することで生まれる、従来の自動車の枠を超えた体験について語られます。
L1-02 「SDV Accelerator」が導く、車載ソフト開発の新たなステージ
登壇者:
山下 順司 氏(HERE Japan株式会社)/ 橘 幸彦 氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
位置情報サービスのグローバルリーダーであるHEREと、クラウドインフラの巨人AWSが、どのようにSDV開発を加速させるのか。クラウドネイティブな開発環境と高精度な地図データの組み合わせが、自動運転とコネクテッドサービスにもたらす革新について議論されます。
L1-03 AIxSDVが拓くモビリティの未来
登壇者:
山内 進一郎 氏(日産出行服務有限公司 総経理 / President)
テーマ:L4ロボタクシー商用運行と共創型フューチャービジネスへの挑戦
日産自動車が中国市場で展開するモビリティサービスの最前線から、L4レベルの自動運転ロボタクシーの商用運行の実態と、そこで得られた知見について語られます。世界最大の自動車市場である中国での実践例は、日本市場への示唆に富んでいます。
L1-07 MBDにおけるAI活用
登壇者:
足立 智彦 氏(マツダ株式会社 R&D戦略企画本部 技監 MDI&IT本部 技監)
マツダが長年培ってきたモデルベース開発のノウハウと、最新のAI技術をどのように融合させているのか。実務経験に基づく具体的な活用事例と、その効果について詳しく解説されます。
開催2日目 11月20日(木)のハイライト:組織と人材の変革
2日目は、SDVを推進する上での組織文化、人財、そして具体的な開発手法に焦点を当てたセッションが充実しています。
L2-01 SDV時代のソフトウェア人財戦略
登壇者:
成迫 剛志 氏、大槻 薫 氏(トヨタ自動車株式会社 トヨタソフトウェアアカデミー)
テーマ:トヨタソフトウェアアカデミーの取り組み
日本ではSDVに不可欠なソフトウェア人材も2025年時点で2万人以上不足するとみられている中、トヨタはどのように人材育成に取り組んでいるのか。世界最大級の自動車メーカーが設立したソフトウェアアカデミーの教育プログラム、組織体制、そして文化醸成の取り組みについて、具体的な事例とともに紹介されます。
L2-02 エマルジョンで切り拓くSDVの未来
登壇者:
横田 裕二 氏、下平 哲也 氏、丸山 達也 氏(本田技研工業株式会社 四輪事業本部 SDV事業開発統括部)
テーマ:売り切り前提の社内文化にSDVを適用していくためのアジャイル&DevOps
「エマルジョン(乳化)」というユニークなコンセプトで、従来のウォーターフォール型開発とアジャイル開発を融合させるホンダの取り組み。ホンダは、ソフトウェア定義のモビリティの開発に126億6000万ドルを投じており、この投資により、特にパワートレインとインフォテインメントシステムの社内能力が加速し、次世代のE/Eアーキテクチャ、電動パワートレイン、ADASなどの分野でパートナーシップが形成されています。
L2-03 SDVの本格化と求められる人材とは?(パネルディスカッション)
登壇者:
成迫 剛志 氏(トヨタ自動車)、杉本 一馬 氏(日産自動車)、坪内 一雄 氏(本田技研工業)、渡辺 博之 氏(組込みシステム技術協会)など
日本を代表する自動車メーカー3社の人材育成責任者が一堂に会する、極めて貴重なパネルディスカッション。各社の取り組みの違いと共通点、そして業界全体が直面する課題について、率直な議論が交わされます。SDV時代に求められる人材像、育成方法、組織のあり方について、実践者たちの生の声を聞くことができます。
L2-05 独自AIモデルを使った革新的な自動運転の評価手法
提供:
AKKODiSコンサルティング株式会社
自動運転システムの評価には、膨大なテストケースが必要です。従来の手法では網羅しきれないシナリオを、AIを活用してどのように効率的に評価するのか。実用的な評価手法とツールについて紹介されます。
M2-05 Unreal Engineを用いたHMI開発とは
提供:
Epic Games Japan合同会社
ゲーム開発で培われた高度なグラフィックス技術が、自動車のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)開発にどのように活用されているのか。Unreal Engineを使った、リアルタイムレンダリングとインタラクティブな体験の実現方法について解説されます。
L2-06 Automotive Grade Linux (AGL)
テーマ:SDVのための共通オープン・プラットフォームの構築
Linux Foundationのプロジェクトとして、多数の自動車メーカーとサプライヤーが参加するAGLの取り組み。オープンソースの車載Linuxプラットフォームが、どのようにSDVの標準基盤となっていくのかについて議論されます。
開催最終日 11月21日(金)のハイライト:オープン化と次世代プラットフォーム
最終日は、オープン化、体験的アプローチ、SOAFEEといった次世代のプラットフォーム戦略が中心となります。
L3-01 オープンSDVによるクルマの魅力アップ
登壇者:
高田 広章 氏(名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所 所長・教授)
テーマ:工学的アプローチで紐解くSDVのAPI
自動運転研究の第一人者である高田教授が、オープンなAPIとアーキテクチャがもたらす可能性について語ります。クローズドなシステムから、オープンで拡張可能なプラットフォームへの移行が、自動車産業にどのような変革をもたらすのか、学術的な視点と産業界の実態を踏まえた議論が期待されます。
L3-02 ゲームのモノ作りをモビリティに適用し、未来を先取る体験を
提供:
株式会社CRI・ミドルウェア
ゲーム業界で培われた、没入感のある体験設計やリアルタイム処理の技術が、自動車のエンターテインメントシステムやHMIにどのように応用されているのか。音声、映像、インタラクションの最新技術について紹介されます。
L3-03 SOAFEE-in-Action
提供:アーム株式会社
登壇者:石郷岡 祐 氏(Astemo株式会社)、島田 源 氏(Linaro)、石川 誠司 氏(アーム株式会社)
テーマ:活動概要とメンバーによる具体的な取り組み
SOAFEE(Scalable Open Architecture for Embedded Edge)と呼ぶコンソーシアムでは、できるだけオープンで共通化を図るため、大衆車から高級車まで同じソフトウェアを使えるようにすること、クラウドとエッジでのソフトウェアの一貫性を確保すること、自動車全体のAI機能進化に対応させること、という3つの制約を設けています。このセッションでは、半導体IPベンダーのArmと、ティア1サプライヤー、オープンソースコミュニティが協力して進める、具体的な開発プロジェクトの成果が発表されます。
L3-07 ソフトウェアアーキテクチャで変わるSDV
登壇者:
山下 克司 氏(山下技術開発事務所 代表)
長年、自動車の電子制御システム開発に携わってきたエキスパートが、ソフトウェアアーキテクチャの設計思想と、それがSDV開発にもたらす本質的な変化について解説します。技術的な深堀りとともに、実務における判断基準についても語られる、エンジニア必聴のセッションです。
V. 展示会ハイライト:300社以上の最新ソリューションが集結

展示ホールでは、300社以上の企業・団体が出展し、SDV/CASE/MaaSを支えるソフトウェア開発、先端車載AI/HMI/自動運転ソフトウェアなど、次世代モビリティ向けの多数のソリューションが紹介されます。
展示会の規模感:数字が語る業界の熱気
前年の266社を上回る300社が出展し、中でも新規出展が118社にものぼるという状況は、自動車ソフトウェア領域に対して社会の関心度が高まっている結果と言えるでしょう。この新規出展社の多さは、自動車産業のエコシステムが急速に拡大し、多様化していることを示しています。
従来の自動車部品メーカーやティア1サプライヤーだけでなく、IT企業、クラウドプロバイダー、AI/機械学習スタートアップ、セキュリティ専門企業、ゲーム開発企業など、多様なバックグラウンドを持つ企業が自動車ソフトウェアの世界に参入しています。
業界を代表する企業・団体の出展
業界を代表する以下の企業・団体がブースを構え、最新の技術とソリューションを直接ご覧いただけます。
プラットフォーム/標準化
- AUTOSAR:
車載ソフトウェアの標準化団体として、SDV時代のアーキテクチャ標準「AUTOSAR Adaptive Platform」の最新動向を紹介 - The Autoware Foundation:
オープンソースの自動運転ソフトウェアスタック「Autoware」の開発コミュニティ。世界中の開発者が貢献する協調開発の成果を展示 - Linaro:
Arm系プロセッサ向けLinuxソフトウェアの共同開発組織。車載Linuxの標準化と最適化に関する取り組みを紹介 - JMAAB(Japan MATLAB Automotive Advisory Board):
MATLABを用いたモデルベース開発のガイドライン策定団体 - MBD推進センター(JAMBE):
日本のMBD普及促進を担う組織として、業界横断的な取り組みを紹介
開発・シミュレーション
- IDAJ(株式会社IDAJ):
CAE(Computer Aided Engineering)のリーディングカンパニーとして、最新のシミュレーション技術を展示 - アンシス・ジャパン株式会社:
世界的なシミュレーションソフトウェアベンダーとして、電磁界解析から構造解析、流体解析まで包括的なソリューションを提供 - 株式会社エクスモーション:
リアルタイム車両運動シミュレーションの専門企業として、HILSやSILSソリューションを展示 - 株式会社CRI・ミドルウェア:
ゲーム業界で培った音声・映像技術を車載向けに展開 - 東芝デジタルソリューションズ株式会社:
総合電機メーカーの強みを活かした、システム統合ソリューションを提供 - ネオリウム・テクノロジー株式会社:
車載組込みシステム開発の専門企業として、開発効率化ツールを展示
セキュリティ/安全
- Japan Automotive ISAC(一般社団法人Japan Automotive ISAC):
自動車業界のサイバーセキュリティ情報共有組織として、最新の脅威情報と対策を紹介 - VicOne株式会社:
トレンドマイクロとJVCケンウッドの合弁会社として、車載サイバーセキュリティに特化したソリューションを展開 - 株式会社ブロードバンドセキュリティ:
ホワイトハッカーによる脆弱性診断サービスなど、実践的なセキュリティ対策を提供 - 東陽テクニカ:
計測・試験機器の専門商社として、セキュリティテストツールやバスアナライザなどを展示 - NDIAS(一般財団法人日本自動車研究所):
自動車の安全性研究と認証試験の専門機関として、最新の安全技術動向を紹介
ティア1/OEM関連
- 株式会社デンソー:
世界有数のティア1サプライヤーとして、電動化・自動運転・コネクテッド技術の最新ソリューションを展示 - パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社:
車載電子機器のリーディングカンパニーとして、次世代コックピットシステムやADAS向けセンサーを紹介
その他先端技術
- Epic Games Japan合同会社:
Unreal Engineを活用したHMI開発の可能性を実機デモで展示 - HERE Japan株式会社:
高精度3D地図とクラウドプラットフォームによる、SDV開発加速ソリューション「SDV Accelerator」を紹介
注目されるソリューション例
展示製品の一例として、以下のような先端技術が紹介される予定です。
BLUESKEYE AI:車載向け感情認識AIソフト

ドライバーの表情や生体情報から感情状態を高精度に認識し、疲労やストレスを検知。安全運転支援だけでなく、車内環境の最適化(照明、温度、音楽など)にも活用できる先進的なAIソリューションです。
AutoCrypt:自動車用サイバーセキュリティファジングツール

ファジングとは、システムに意図的に異常なデータを入力することで、脆弱性や予期しない挙動を発見するテスト手法です。自動車特有の通信プロトコル(CAN、Ethernet AVBなど)に対応した専門ツールとして注目されています。
Motion Gestures:高精度ハンドジェスチャー認識技術

カメラやセンサーを用いて、ドライバーや乗員の手の動きを認識し、非接触での車両操作を可能にする技術。コロナ禍を経て注目が高まっている、衛生的で直感的なインターフェースです。

展示会場での効果的な活用法
300社以上が出展する大規模な展示会では、事前の計画が重要です。以下のような準備をお勧めします:
- 事前登録を必ず行う:
当日登録よりもスムーズに入場でき、限られた時間を有効活用できます - 出展社リストを事前にチェック:
訪問したいブースの優先順位を決めておく - 技術的な質問を準備:
製品パンフレットではわからない、実装の詳細や導入事例について直接聞くチャンス - 名刺は多めに:
予想以上に多くの出展社と情報交換することになります - EdgeTech+フェスタへの参加:
11月20日(木)17:00~18:00のネットワーキングイベントで、リラックスした雰囲気の中でより深い対話が可能
参加者の声:過去のエキスポがもたらした変革
ケーススタディ1:ティア2サプライヤーの挑戦
中部地方のティア2サプライヤーで電子制御ユニット(ECU)を開発するAさん(40代、開発部長)は、2023年の初回開催時に参加しました。
「正直、最初は『また展示会か』という気持ちで、上司に言われて渋々参加したんです」とAさんは当時を振り返ります。
しかし、会場で目にしたのは、従来の自動車産業の枠を超えた多様な企業群でした。「ゲーム会社がHMIを展示していたり、クラウド企業が車載ソフトウェアの話をしていたり。自動車の定義そのものが変わろうとしていることを、肌で感じました」
特に衝撃を受けたのは、サイバーセキュリティパビリオンでの体験でした。「実際のハッキングデモを見て、私たちが開発しているECUにどれだけのリスクがあるかを痛感しました。UN-R155への対応は、単なる法規制対応ではなく、製品の本質的な価値に関わる問題だと理解できました」
帰社後、Aさんは経営陣に詳細なレポートを提出し、セキュリティ専門チームの立ち上げを提案。現在、同社では3名体制でセキュリティ対策に取り組んでおり、「あのエキスポでの経験がなければ、私たちは市場から取り残されていたかもしれません」と語ります。
ケーススタディ2:新規参入を決意したIT企業
東京のAI開発企業で機械学習エンジニアをしているBさん(30代)は、2024年のエキスポで自動車業界への参入を決意しました。
「それまで、自動車は『ハードウェアの塊』というイメージでした。でも、生成AIゾーンで様々な活用事例を見て、自分たちの技術が直接貢献できる領域だと気づいたんです」
特に印象的だったのは、BMWやメルセデスベンツのバーチャルアシスタント機能の展示でした。「自然言語処理の技術が、こんなに面白い使われ方をしているとは思いませんでした。ドライバーとの自然な対話を通じて、車がパーソナライズされていく様子を見て、これは未来だと確信しました」
Bさんの会社は、エキスポで知り合った大手ティア1サプライヤーとの協業を開始。現在、車載音声認識システムの共同開発を進めています。「異業種交流の場として、これほど質の高いイベントはなかなかありません」
ケーススタディ3:大学研究者のネットワーク構築
関西の大学で自動運転の研究をしているC教授は、エキスポを「産学連携の宝庫」と表現します。
「学会では同じ研究者コミュニティの中での議論になりがちですが、このエキスポでは実際に製品化を目指している企業の生の声が聞けます。研究の方向性を決める上で、非常に重要なインプットになっています」
C教授の研究室は、エキスポでの出会いをきっかけに、複数の企業との共同研究を開始。「特にモデルベース開発サミットでの議論は、アカデミアと産業界のギャップを埋める上で、極めて有益でした」
学生たちにも積極的に参加を勧めているといいます。「就職活動という観点だけでなく、自分が学んでいる技術が実社会でどう使われるのかを体感できる貴重な機会です。毎年、数名の学生がこのエキスポでの経験をきっかけに、自動車ソフトウェア開発の道を選んでいます」
2025年版の見どころ:さらなる進化を遂げたプログラム

生成AIの展示が大幅拡充
2025年のEdgeTech+では、生成AIを中心とした展示やカンファレンスが昨年以上に拡充されている点が大きな特長です。ChatGPTの登場から2年、自動車業界における生成AIの活用は、概念実証(PoC)の段階から実用化フェーズへと移行しています。
今回の生成AIゾーンでは、以下のような最新トピックが扱われます:
- LLM(Large Language Model)の車載実装:
クラウドに頼らない、エッジデバイスでの大規模言語モデル実行の最新技術 - マルチモーダルAI:
音声、画像、センサーデータを統合的に処理する次世代AIシステム - 生成AIによるコード自動生成:
開発生産性を劇的に向上させる実践的ツールとワークフロー - AIの説明可能性と安全性:
安全認証が求められる自動車分野における、AIの信頼性確保の取り組み
サイバーセキュリティの最新脅威と対策
2025年に向けて、自動車サイバーセキュリティの規制はさらに厳格化しています。2026年5月にはOTA非対応の継続生産車への規制も開始されるため、業界全体が対応に追われています。
今回のサイバーセキュリティパビリオンでは、特に以下のテーマが注目されます:
- 量子コンピュータ時代の暗号技術:
将来の量子コンピュータによる解読リスクに備えた、耐量子暗号の研究動向 - AIを活用した脅威検知:
膨大なログデータから異常を自動検出する、機械学習ベースのセキュリティ監視システム - サプライチェーン全体のセキュリティ管理:
OEMからティア1、ティア2、ティア3に至るまで、エコシステム全体でのセキュリティガバナンス - インシデント対応の実践演習:
Japan Automotive ISACが主催する、実際のサイバー攻撃を想定した協同演習の成果発表
MBDとAIの融合:設計プロセスの革新
モデルベース開発サミットでは、AIとMBDの融合がさらに深化します。特に注目されるのが、以下のような先進的な取り組みです:
- デジタルツイン技術の実用化:
実車と完全に同期した仮想モデルによる、リアルタイムシミュレーションとバリデーション - 生成AIによるモデル自動生成:
設計要求から物理モデルを自動生成する、革新的な開発支援ツール - 強化学習による最適化探索:
従来の試行錯誤では到達できなかった、グローバル最適解の発見 - バーチャルコミッショニング:
製造ラインの稼働前に、仮想環境で生産プロセス全体を検証する手法
来場前に知っておきたい実践的アドバイス

効果的な参加のための事前準備
1. 目的を明確にする
「何を持ち帰りたいのか」を明確にすることが重要です:
- 技術トレンドの把握:業界全体の方向性を理解したい
- 具体的なソリューション探し:現在抱えている課題の解決策を見つけたい
- ネットワーキング:協業パートナーや人材を探したい
- 競合調査:他社の動向や市場ポジショニングを確認したい
2. カンファレンスの事前登録
人気セッションは満席になる可能性があります。特に、トヨタ、ホンダ、日産など大手OEMの登壇セッションや、パネルディスカッションは早めの登録をお勧めします。
3. 質問リストの準備
展示ブースでの限られた時間を有効活用するため、技術的な質問をあらかじめ用意しておきましょう:
会期中の効率的な動き方
Day 1(11月19日):全体像の把握
初日は、基調講演を中心に聞き、業界全体のトレンドと方向性を把握することをお勧めします。特に、ソニー・ホンダモビリティの高倉氏、日産の山内氏による講演は、SDV時代のビジョンを理解する上で必聴です。
午後は展示会場を一巡し、どのような企業が出展しているかを把握。気になったブースはマップにマークし、翌日以降じっくり訪問する計画を立てましょう。
Day 2(11月20日):深掘りとネットワーキング
2日目は、人材戦略や組織文化に関するセッションが充実しています。特に「SDVの本格化と求められる人材とは?」のパネルディスカッションは、経営層や人事部門の方にも有益な内容です。
午後は、前日にマークした展示ブースを訪問し、詳細な技術説明を受けましょう。可能であれば、デモを実際に操作させてもらうことで、理解が深まります。
17:00からのEdgeTech+フェスタは絶対に参加すべきイベントです。アルコールを片手にリラックスした雰囲気の中で、本音ベースの情報交換ができます。名刺交換だけでなく、LinkedInやFacebookなどのSNSでもつながりを作っておくと、後日の連絡がスムーズです。
Day 3(11月21日):最新技術と未来展望
最終日は、SOAFEEやオープンSDVなど、次世代プラットフォームに関するセッションが中心です。これらは中長期的な技術戦略を考える上で重要な情報源となります。
展示会場では、前日までに聞き逃した企業や、追加で疑問が生じた技術について、最後の確認を行いましょう。多くの出展社は最終日に特別オファーを用意していることもあります。
来場後のフォローアップ
エキスポで得た情報を最大限に活用するため、帰社後すぐに以下を実施しましょう:
- 報告書の作成:主要なトレンド、有望な技術、興味深い企業をまとめる
- 名刺の整理と連絡:興味を持った企業には1週間以内にメールを送る
- 社内展開:得た知見を関係部門と共有し、具体的なアクションプランを検討
- 予算確保:有望な技術については、次年度の予算計画に組み込む
まとめ:未来のモビリティ開発を加速させる3日間

オートモーティブ ソフトウエア エキスポ 2025は、SDV、サイバーセキュリティ、生成AI、MBDといった、現在の自動車開発における最重要テーマを深く掘り下げる、他に類を見ない専門イベントです。
なぜこのエキスポが重要なのか
自動車産業は今、100年に一度と言われる大変革期にあります。電動化(Electrification)、自動運転化(Autonomous)、コネクテッド化(Connected)、シェアリング化(Shared)——いわゆる「CASE」のトレンドは、もはや未来の話ではなく、現在進行形の現実です。
特に日本市場では、2030年までにSDV車両のシェアを3割に引き上げるという政府目標があり、これは約1100万~1200万台という巨大な市場を意味します。この市場で競争力を維持するためには、最新の技術動向を把握し、適切なパートナーと協業し、優秀な人材を確保する必要があります。
このエキスポで得られる価値
1. 圧倒的な情報量
300社を超える出展社と、トヨタ、ホンダ、日産、ソニー・ホンダモビリティといった国内OEMや、HERE Japan、AWS、Linaroなどのグローバルプレイヤーが登壇するカンファレンスは、皆様のビジネス戦略と技術ロードマップを確かなものにするための、圧倒的な情報量と質の高さを提供します。
2. 異業種交流の機会
従来の自動車業界の枠を超えた、IT、ゲーム、クラウド、セキュリティなど多様な業界のプロフェッショナルとの出会いが、新たなビジネスチャンスを生み出します。
3. 実践的な知見
理論だけでなく、実際の開発現場で直面する課題とその解決策について、第一線で活躍するエンジニアや経営者から直接学べます。
4. 人材採用の機会
SDV時代に不足している優秀なソフトウェア人材と出会える場でもあります。学生や若手エンジニアも多く来場するため、自社の魅力をアピールする絶好の機会です。
対象となる方々
このエキスポは、以下のような方々に特に有益です:
- 自動車メーカー(OEM)の方:
SDV戦略の立案、技術選定、サプライヤー選定 - ティア1・ティア2サプライヤーの方:
次世代技術へのキャッチアップ、新規取引先の開拓 - ソフトウェア開発企業の方:
自動車業界への新規参入、協業パートナーの探索 - 研究機関・大学の方:
産学連携の機会、研究テーマの発見 - スタートアップの方:
大手企業とのマッチング、投資家との出会い - 経営層・事業企画部門の方:
事業戦略の立案、M&Aターゲットの探索
最後に:変革の波に乗り遅れないために
自動車産業のソフトウェアシフトは、待ったなしで進行しています。2022年7月にUN-R155の規制が始まり、2026年5月には全ての継続生産車にも適用されます。生成AIは概念実証から実用化フェーズに移行し、MBDはAIとの融合により新たな段階に入っています。
この変革の波に乗り遅れないためには、継続的な学びと迅速な行動が不可欠です。オートモーティブ ソフトウエア エキスポ 2025は、その第一歩を踏み出すための、最高の機会を提供します。
自動車業界関係者の皆様はもちろんのこと、今後成長が期待される自動運転・AI・IoT分野のトレンドを幅広くキャッチしたい方にとっても、本エキスポは知識を深め、ビジネスチャンスを見つける最高の機会となります。
最新動向を網羅し、未来のモビリティ開発を加速させるためにも、ぜひパシフィコ横浜に足を運び、この3日間の知見を最大限にご活用ください。
会期:2025年11月19日(水)~21日(金)
会場:パシフィコ横浜 時間:10:00~17:00(20日は18:00まで)
来場案内・事前登録については、公式サイトをご確認ください。
このブログ記事は、まるでSDV時代のソフトウェア開発の設計図のように、必要な要素(セキュリティ、AI、人財、MBD)が包括的に整理され、技術とビジネスの両面から未来への期待を高めるものとなるでしょう。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。2025年11月、パシフィコ横浜でお会いしましょう!


