フェアレディZ マイナーチェンジ完全解説:令和に蘇る「Gノーズ」とNISMO 6MT、純ICEスポーツカーの最終章が始まる

新車情報

2026年6月発売予定 / 2027年モデル(MY27)/ RZ34型

2025年12月17日、日産は突如としてプレスリリースを公開した。「東京オートサロン2026にて、フェアレディZのマイナーチェンジモデルを世界初公開する」——その一報は、SNSのZファンコミュニティを瞬く間に駆け巡り、わずか数時間でトレンド入りを果たした。そして2026年1月9日、幕張メッセのNISSANブースに静かに、しかし確実に歴史を変える一台が姿を現した。

自動車業界に身を置く筆者として、この瞬間には特別な感慨があった。現行RZ34型が登場した2022年以来、フェアレディZが辿ってきた道のりを間近で見続けてきたからだ。「8割の部品が新しくなった紛れもないフルモデルチェンジ」と日産自身が語りながらも、企画を通しやすくするためにあえて「マイナーチェンジ」として世に送り出されたRZ34。その型式の複雑な経緯を知るだけに、今回の正真正銘の「初マイナーチェンジ」が持つ意味の重さは、並のアップデートとは根本的に異なる。

これは単なる改良ではない。純粋な内燃機関スポーツカーとして最後の輝きを放つ、Zの「有終の美」を飾る一作かもしれない。

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RZ34という奇跡:なぜこのマイナーチェンジは特別なのか

まず、フェアレディZという車が持つ文化的な重みを改めて確認しておきたい。1969年10月に初代S30型が誕生してから半世紀以上、世界累計販売台数は180万台を超える。2025年でシリーズ誕生56年目を迎え、日産のライバルであるトヨタGT-Rと並ぶ長寿スポーツカーとして、その名は世界中のエンスージアストの心に刻み込まれている。

海外では「Z-Car(ズィーカー)」として独自のオーナーズコミュニティ「Zカークラブ」が存在するほどのカルト的人気を誇り、アメリカ市場では2026年モデルの発表をZカークラブ主催の第38回国際Zカーコンベンション「ZCON」の場で行ったほど、ブランドとファンの絆は深い。

現行RZ34型は2022年の登場以来、激動の道を歩んだ。2024年度生産のNISMOはわずか500台の抽選販売となり、2025年度生産分1,000台も再び抽選制に。製造・販売を一時停止する事態まで経験しながら、それでもファンの熱狂は冷めることがなかった。そのRZ34が、登場から約4年にしてついに初のマイナーチェンジを受ける。

日産が発表した今回の改良テーマは明確だ——「Zの歴史を継承しつつ、Zらしさを進化・洗練させること。そしてパフォーマンス面でも歴代最高を目指すこと」。この言葉の重みを、以下で一つひとつ解き明かしていく。


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外観変更の全貌:伝説の「Gノーズ」が令和に蘇る

フロントマスクの刷新:半世紀を超えるDNAの継承

今回のマイナーチェンジ(2026年夏発売・2027年モデル)で最も視覚的インパクトを持つのが、フロントフェイスの変更だ。キーワードは「Gノーズ(エアロダイナ・ノーズ)」。

Gノーズとは、1971年に追加設定された初代S30型の特別グレード「フェアレディ240ZG」に採用された、独特の流麗なロングノーズ形状のことである。グランプリ(Grand Prix)の頭文字を取った「G」が示すとおり、モータースポーツシーンで鍛えられた空力デザインだった。当時の写真を見ると、その時代を超えた先進性に今でも息をのむ。

今回のマイナーチェンジでは、このGノーズを彷彿とさせる新造形のフロントバンパーが採用される。ノーズ先端が従来比で30mm前方へ延長され、より鋭く優雅なシルエットへと生まれ変わる。単なるデザインの懐古ではなく、最新の空力解析技術が盛り込まれた機能美として。その成果として、フロントリフトは3.3%低減、空気抵抗(ドラッグ)は1%低減という数値が達成されている。わずかな数値に見えるかもしれないが、サーキット走行や高速道路での安定感に直結する改善だ。

そして最も象徴的なのが、「Z」エンブレムの復活だ。現行RZ34ではフロントノーズに「NISSAN」ロゴが配置されていたが、今回のマイナーチェンジでついに「Z」エンブレムへと変更される。これはZ32型以来の伝統への回帰であり、「Zは日産の中の特別な存在である」という宣言に他ならない。東京オートサロン2026で展示された実車を目にした自動車ジャーナリストやZオーナーたちが口を揃えて「これだよ、これを待っていた」と声を漏らしたのも、当然のことだろう。

なお、ヘッドライトやテールランプ(Z32型をオマージュした楕円形テールライト)については変更がなく、現行RZ34の美しいプロポーションは継承される。全体としての造形変更は抑制的で、あくまで「磨き上げる」という哲学に徹した改良といえる。

新色「ウンリュウグリーン」:初代S30のグランプリグリーンを現代に

新色として追加される「ウンリュウグリーン」は、初代S30型に設定されていた「グランプリグリーン」を現代的に解釈した色だ。深みのある緑が、流麗なZのシルエットと溶け合うさまは、往年のファンならずとも心を揺さぶる。

このグリーンを選択し、後述する新たなタンカラーのインテリアと組み合わせると、英国製スポーツカーや往年のヨーロピアンGTカーを想起させる「大人のスポーツカー」として完成する。若者向けのスポーツカーというイメージを脱し、40代・50代のZファンに刺さる仕上がりだ。

アルミホイール:Z31世代へのオマージュ

足元も刷新される。Z31型(1983〜1989年)を彷彿とさせる新デザインのアルミホイールが採用される。Zの歴史を知るファンほど感じ入る、細部へのこだわりだ。


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足回りの大革命「街乗りの硬さ」を解消した技術的進化

ショックアブソーバー大径化の意味

今回のマイナーチェンジで最も技術的に重要な変更のひとつが、サスペンションの改良だ。現行RZ34にはモノチューブ式ショックアブソーバーが採用されているが、今回のマイナーチェンジではピストン径を従来の40φから45φへと拡大した。

この数字だけを見ると地味に思えるかもしれないが、物理的な意味は大きい。ピストン径が拡大されることで受圧面積が26.6%増加し、これにより路面からの振動・衝撃に対する減衰応答性が根本的に向上する。現場で開発エンジニアからの説明を受けた際、「路面への追従性が向上し、街乗りでの乗り心地も明確に改善されている」という言葉が印象的だった。

現行RZ34に対してオーナーや試乗したジャーナリストから最も多く聞かれた批判の一つが、「街中での突き上げが強すぎる」という点だった。スポーツカーとして高い剛性・硬いサスペンションは必要条件ではあるものの、日常の通勤路や市街地でのストレスは確かに無視できなかった。今回の改良はその弱点を正面から解決し、不快な入力をいなしつつフラットな姿勢を保つ、しなやかで懐の深い乗り味を実現している。

スポーツカーに求められる「サーキットでの速さ」と「日常の快適さ」の両立——これは永遠のテーマだが、今回の改良はその解を一歩前進させた。試乗インプレッションが待ち遠しい。

タンカラーインテリアの追加

外観だけでなく、インテリアにも見逃せない変更がある。新たにタン(薄茶色)カラーのインテリアが設定され、特に新色のウンリュウグリーンとの組み合わせで「成熟した大人のスポーツカー」としての世界観を完成させる。S30型に3連サブメーターを現代的に再解釈した伝統のコックピットに、温かみのあるタンカラーが加わることで、インテリアの高級感と個性が格段に増す。


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全Zファン待望の「NISMO 6MT」走りの極致に到達した頂点グレード

なぜNISMOにMTが必要だったのか

2023年8月に追加設定されたフェアレディZ NISMOは、「トラック上で楽しい至極のZ」をテーマに開発された最高峰モデルだ。最高出力420PS、最大トルク520N・mを誇る3リッターV6ツインターボエンジン(VR30DDTT)に、NISMOによる専用チューニングを施した至宝のようなグレードだが、一点だけ大きな「欠落」があった——9速ATのみで、6速MTが設定されていなかったのだ

スポーツカーの最高峰グレードに、ドライバーが自らシフト操作を行うマニュアルトランスミッションが設定されていない。この矛盾に対して、ファンからは発売当初から強い要望の声が上がり続けた。筆者もまた、試乗の機会を得るたびに「MTがあれば……」と思わずにいられなかった。

そして今回、ついにその「欠落」が埋められる。フェアレディZ NISMOに、待望の6速マニュアルトランスミッションが設定される。これはRZ34の全グレードがようやくラインナップとして完成する瞬間でもある。

専用ECU・ブレーキ・軽量化—MT化は「ただのミッション交換」ではない

重要なのは、NISMO 6MTが単に既存の6速MTを組み合わせただけではないという点だ。

専用ECUデータの採用

MTの特性に合わせて、点火時期やスロットル制御を全面的に最適化した。結果として、アクセル操作に対するエンジンのレスポンスが劇的に向上し、高回転まで加速感が途切れない刺激的なフィーリングが実現されている。東京オートサロン2026での説明会で日産の技術担当者は「スポーツモードで高回転まで回したときも、加速感が最後まで続くよう各種データを見直した」と語っており、MTとエンジンの調和が徹底して追求されていることがわかる。

クラッチとシフトの専用チューニング

NISMOはエンジン出力が基準車より高いため、クラッチの圧着力を基準車より引き上げ、シフトレバーも基準車比でショートストローク化されている。ダイレクト感と操作の正確性を両立した専用セッティングだ。

R35 GT-R用ブレーキローターの導入

フロントには、あのR35 GT-R(初期モデル)用のスチール製2ピースドリルドローターが採用された。これによりバネ下重量が片輪あたり4.5kg軽減。バネ下重量の軽減がいかに走りの質に直結するか——サスペンションの動きの精密さ、ステアリングのフィーリング、コーナリングの正確性、全てに良い影響をもたらす。さらに2ピース構造による放熱性向上は、サーキット走行でのブレーキ耐久性にも貢献する。

約28kgの軽量化達成

MT化により、9速AT車と比較して車重が約**28kg(約66ポンド)**軽減される。現行MY26モデルのNISMO車重は1,680kgだったが、マイナーチェンジ後のAT車でも10kg軽い1,670kgになり、MT車に至っては1,640kgを達成。軽さはスポーツカーの正義だ。28kgという数字は、ドライバー一人分のほぼ半分に相当する。この差は、アクセルを踏み込んだ瞬間の加速感や、コーナーでの身のこなしに確実に現れてくる。

現行RZ34に乗るオーナーが実際に東京オートサロン2026の会場で展示車を見て「購入時にMTが存在していたなら話は違っていた」と悔しさを吐露した言葉は、この新グレードの訴求力を如実に物語っている。


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ヘリテージエディションZ32の伝説を現代に蘇らせる特別グレード

300ZXが令和に帰ってくる

今回のマイナーチェンジで新設される特別グレード「ヘリテージエディション(Heritage Edition)」は、1989年に登場した4代目Z32型、すなわち北米名「300ZX」をモチーフに仕立てられた一台だ。

Z32型は、その流麗なデザインと高性能ツインターボエンジンで、日本だけでなく世界中のスポーツカーファンを熱狂させた。1990年代の”バブル時代”を象徴する一台であり、今なお中古市場でプレミアムが付くほどの人気を誇る名車だ。

北米ではすでに2025年9月のZCONで先行発表され、「Zパフォーマンス ヘリテージエディション」として5万5,910ドルで販売が始まっている(北米での先行展開が日本市場へのフィードバックとなっていることも、今回の改良の布石と見ることができる)。

専用装備の詳細:ブロンズカラーのRAYS製19インチホイール、ボディサイドにブロンズで彩られた往年のフォントによる「TWIN TURBO」デカール、テールゲートへのTWIN TURBOロゴ入り専用カーボンスポイラー、そして専用フロアマット。これらは単なる飾りではなく、1980年代後半〜90年代の雰囲気を丁寧に再現したオマージュだ。80年代に青春を過ごし、Z32型にあこがれた世代のオーナーにとって、これ以上の特別仕様はないかもしれない。

日本仕様については詳細未公表の部分も残るが、ブロンズアクセントを基調とした外観仕立ては踏襲されると見られている。


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業界関係者が警鐘を鳴らす「今こそ買い時」の3つの理由

理由1:騒音規制フェーズ3という「時代の壁」

自動車業界に身を置く者として、最も重く受け止めているのがこの問題だ。2026年秋から施行される「騒音規制フェーズ3」は、これまでの規制とは次元が違う。特にスポーツカーを中心とした、高出力・大排気量エンジンを搭載した車両にとっては非常に厳しい内容となっており、現行のスポーツカーがそのまま存続するのは極めて困難と言われている。

欧州や国内での規制動向を注視してきたが、この流れは不可逆だ。ジムニーノマドの2型でエンジン出力低下・燃費悪化・重量増が発生したように、規制対応によって「性能の劣化」が避けられないケースは珍しくない。フェアレディZのような高性能スポーツカーが、フェーズ3をクリアしながら現在の官能的なV6ツインターボサウンドを維持できるかどうか——正直なところ、業界内でも懐疑的な見方は少なくない。

理由2:2026年7月製造終了という衝撃の情報

関係者筋から入ってきた情報によると、今回のマイナーチェンジモデル(MY27・2026年モデル)は、騒音規制への対応等の理由により、一旦2026年7月までしか製造しない予定という情報がある。

つまり、発売と同時に即座に受注停止・製造終了となる可能性もゼロではない。「マイナーチェンジして発売直後に生産終了」というシナリオは、前例がないわけではない。スポーツカー市場における法規対応の難しさを知る者にとって、この情報は単なる噂として切り捨てられない現実味を持っている。

先行受注は2025年11月以降に開始が見込まれており、実際の発売は2026年夏(6月〜7月)と予測されている。

理由3:NISMO 6MTをめぐる争奪戦

現行RZ34のNISMOは、2024年度500台・2025年度1,000台と、すでに抽選販売の実績がある。そこへ、Zファンが長年熱望していた「NISMO 6MT」が登場するとなれば、その争奪戦は過去最大規模になることが容易に想像できる。

現時点では「台数限定」「抽選販売」といった公式アナウンスはないものの、販売エリアによって受注台数に制限がかかる可能性は十分にある。人気が集中すれば、ディーラーとの関係性や予約のタイミングが明暗を分けることになる。転売目的での購入者との競争を避けるためにも、本気で欲しい方は今すぐ最寄りの日産ディーラーとのコミュニケーションを開始することを強くお勧めする。


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改良ポイント総まとめ:スペック早見表

項目現行(MY26)マイナーチェンジ後(MY27)
フロントエンブレムNISSANZ(Z32以来の復活)
フロントノーズ標準形状Gノーズ(30mm延長)
フロントリフト基準値3.3%低減
空気抵抗基準値1%低減
ショックアブソーバー径40φ45φ(受圧面積26.6%増)
NISMO MT設定9速ATのみ6速MT追加
NISMO MT車重1,640kg(AT比30kg減)
ブレーキ(NISMO MT)標準ローターR35 GT-R用2ピースドリルドローター
新色ウンリュウグリーン
新内装色タン
新ホイールZ31オマージュデザイン
新グレードヘリテージエディション
世界初公開東京オートサロン2026(2026年1月9日)
発売予定2026年夏

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現行オーナーへの視点:乗り換えるべきか、そのまま乗り続けるか

現行MY26モデルのRZ34を所有している方にとって、今回のマイナーチェンジが「乗り換えの決断を迫る」ものになるかどうかは、その方が何を求めているかによって大きく異なる。

外観変更については、Gノーズ風のフロントバンパーやホイールは「アフターマーケットで対応可能」という現実的な選択肢もある。実際に一部のZオーナーはすでに社外品でフロントエンブレムを「Z」に変更している。ただし、工場出荷状態でのコンプリートな仕上がりや、今後のリセール価格を考慮するなら話は別だ。

一方、サスペンション改良とNISMO 6MTは、後付けで再現することが難しい変更だ。特に専用ECUデータと組み合わされたNISMO 6MTの走りは、単純なトランスミッション換装では得られない。「MTのNISMOを求めていた」方にとって、今回は絶対に見逃せないタイミングだ。

また、「これが最後の純ICEフェアレディZになる可能性」という視点からは、将来の資産価値という観点での所有を考える方も増えるだろう。Z32型のような「時代を象徴する名車」として、後年プレミアムが付く可能性は十分にある。


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まとめ:「最後にして最高のZ」という選択の意味

フェアレディZがこの世に生まれて56年。「マイ・フェア・レディ」から名を取り、「Z」で未知への可能性と夢を象徴したこのスポーツカーは、時代の波に翻弄されながらも、常にファンの心に火を灯し続けてきた。

2026年夏に登場するマイナーチェンジモデルは、デザインの深化・足回りの改良・NISMO 6MTの追加・ヘリテージエディションの設定と、Zの歴史に対する真摯なリスペクトと技術的な誠実さが随所に感じられる内容だ。

業界の内側にいる立場として断言できることがある。今後、純粋な内燃機関だけでこれほどの魅力を持つスポーツカーが日本のメーカーから登場する機会は、急速に失われていく。 電動化・規制強化・コスト圧力——これらの現実の前に、ガソリンエンジンのスポーツカーは静かに、しかし確実に「終焉」へと向かっている。

だからこそ、今この瞬間に「フェアレディZ」という選択肢が存在することの奇跡を、私たちZファンは胸に刻んでおかなければならない。

Zを愛するすべての人へ。まずはディーラーへ足を運び、情報をキャッチアップすることから始めよう。後悔しないために。


本記事は2026年2月時点で入手できた情報をもとに執筆しています。価格・仕様・発売時期は正式発表時に変更となる場合があります。最新情報は日産公式サイトまたは最寄りのディーラーでご確認ください。