ホンダの上級ミニバン「オデッセイ(ODYSSEY)」が、2025年11月7日(金)に待望の一部改良モデルとして発売されました。今回の改良は、単なるマイナーチェンジに留まらず、ユーザーからの熱い要望に応えることで、オデッセイのコアバリューである「快適性と高級感」を大幅に引き上げる内容となっています。
従来のモデルから全グレードで28万6000円の値上げが実施されたにもかかわらず、その価格改定を遥かに凌駕する装備の充実ぶりは、業界関係者からも注目を集めています。この記事では、新型オデッセイ一部改良モデルの全容と、その魅力がどこにあるのかを、詳細なスペックや変更点、さらに歴史的背景や競合比較を通じて徹底的に解説します。

- I. 一部改良の核心:快適性と高級感を両立する2大ポイント
- II. グレード構成と価格体系:値上げの背景とグレード別の魅力
- III. 走行・安全性能:ミニバンらしからぬ質の高い走り
- IV. オデッセイ独自の設計思想:超低床プラットフォームの優位性と歴史的背景
- V. 競合ミニバンとの徹底比較:オデッセイを選ぶべきユーザー像
- VI. オデッセイの室内空間と収納力:実用性の真価
- VII. オデッセイのデザイン哲学:端正さの中に宿る力強さ
- VIII. メンテナンスコストと残価率:長期保有での経済性
- IX. 購入前に知っておくべきポイント:オデッセイの注意点
- X. まとめ:進化したフラッグシップミニバンを今すぐ見たい!
- 編集後記:制約から生まれた革命の物語
I. 一部改良の核心:快適性と高級感を両立する2大ポイント
今回のオデッセイの一部改良において、最も注目すべきは、後席の快適性を極限まで高める装備の「全車標準装備化」と、フラッグシップモデルとしての品格を際立たせる「新色」の採用です。
待望の「神装備」:2列目大型ロールサンシェード、全グレード標準化の衝撃
これまで一部のグレード専用装備であった2列目大型ロールサンシェードが、ついに全グレードに標準装備されました。これは、ユーザーから最も要望が多かった装備の一つであり、後部座席の快適性を大幅に向上させる決定打となります。
快適性への貢献
直射日光や外部からの視線をしっかりと遮断し、後席に落ち着いたプライベート空間を実現します。特に夏場の強い日差しが降り注ぐ日本の気候において、この装備は後席の乗員にとって圧倒的な快適性をもたらします。子どもの昼寝時にも、外からの視線を気にすることなく、安心して休ませることができるのです。
実用性の向上
特に小さなお子様がいるファミリーユーザーや、長距離移動が多いビジネスユーザーにとって、日差し対策は必須アイテムであり、この標準装備化は非常に嬉しい改良点です。従来、この装備はオプション設定や上級グレード専用となっており、ベースグレードのユーザーは追加費用を支払うか、諦めるしかありませんでした。今回の全車標準装備化により、どのグレードを選択しても、この高級装備を享受できるようになったのです。
プレミアムな後席体験
オデッセイの2列目シートは、もともと両側アームレスト付きの4ウェイパワーシート(リクライニング/オットマン機能付き)が装備されており、ここに大型ロールサンシェードが加わることで、長時間のドライブでも後席の乗員が極めて快適に過ごせるよう配慮されています。また、2列目にはUSBチャージャー(Type-C対応)も標準装備されています。
電動リクライニング、電動オットマン、そしてロールサンシェードという三位一体の快適装備により、後席はまさにファーストクラスのような上質な空間に生まれ変わります。長距離移動の際には、後席の乗員がゆったりとリラックスでき、移動そのものが楽しみになるでしょう。
日本初導入の至高の色:新ボディカラー「ダイヤモンドダスト・パール」
最上級グレードである「e:HEV ABSOLUTE・EX BLACK EDITION」には、日本初投入となる新ボディカラー「ダイヤモンドダスト・パール」が追加設定されました。
質感と高級感の極致
この新色は、光の加減で繊細に輝きを変える上品なホワイト系カラーであり、キラキラと輝く上質な質感が特徴です。オデッセイの持つ端正で洗練されたスタイリングを、さらに際立たせる仕上がりとなっています。真珠のような深みのある輝きと、ダイヤモンドダストを思わせる繊細な煌めきが、見る角度や光の当たり方によって表情を変えるのです。
駐車場で、街中で、高速道路のサービスエリアで――どこにいても目を引く存在感を放ちます。単なるホワイトではない、特別な輝きを纏ったボディカラーは、所有する喜びをさらに高めてくれるでしょう。
選択肢と価格
「ダイヤモンドダスト・パール」はオプションカラーであり、**66,000円(税込)**高で選択可能です。最上級グレードにふさわしい特別なカラーとして、他のオデッセイオーナーとの差別化を図りたい方にとって、この追加費用は十分に価値のある投資と言えるでしょう。
II. グレード構成と価格体系:値上げの背景とグレード別の魅力
今回の一部改良に伴い、価格は従来モデルから全グレードで28万6000円の値上げとなりましたが、これは実用性の高い快適装備(大型ロールサンシェード)の全車標準化を考慮すると、むしろ総合的な満足度が爆上がりするアップデートと言えます。
新型オデッセイには、全車FF駆動・7人乗り・e:HEVハイブリッドシステム搭載の3つのグレードが設定されています。

💎 ホンダ オデッセイ グレード別 徹底解説
ホンダ「オデッセイ」は、上質な乗り心地と圧倒的な室内空間、そしてハイブリッドシステム「e:HEV」による快適な走りが特徴です。全グレードが「ABSOLUTE(アブソルート)」を冠し、スポーティかつ上質な仕様となっています
e:HEV ABSOLUTE — 上質さとe:HEVを体感する標準モデル




| 項目 | e:HEV ABSOLUTE の特徴と解説 |
| 2. スタイリング・インテリア | スポーティな標準アブソルートデザイン。専用のエアロフォルムバンパー、ダーククロームメッキのフロントグリルなど、標準グレードながらも迫力と上質さを兼ね備えています。インテリアはファブリック(撥水加工付)とプライムスムース(合皮)のコンビシートが標準です。 |
| 3. 性能・安全 | e:HEV(2モーターハイブリッドシステム)による、滑らかで力強い加速と高い静粛性を実現。安全装備はHonda SENSINGを全車標準装備し、基本的な予防安全機能は最上級グレードと共通です。 |
| 4. 装備・室内空間 | 圧倒的な低床プラットフォームによる広々空間。2列目には左右独立式キャプテンシートを採用し、ロングスライドとリクライニングが可能です。3列目シートも床下格納式で高い積載性を誇ります。 |
| 5. こんな人におすすめ | **「オデッセイの上質な乗り心地とe:HEVの走りは欲しいが、価格を抑えたい」**という方。基本的な装備や安全性能で十分満足でき、快適な多人数乗車を求めるエントリーユーザーに最適です。 |
e:HEV ABSOLUTE・EX — 快適装備と利便性を極めた最上級モデル



| 項目 | e:HEV ABSOLUTE・EX の特徴と解説 |
| 2. スタイリング・インテリア | ABSOLUTEのデザインを継承。内装はシート表皮が本革になり、ステアリングも本革巻となるなど、最上級の素材感が加わります。 |
| 3. 性能・安全 | ABSOLUTEと同等のe:HEV性能とHonda SENSINGを装備。 |
| 4. 装備・室内空間 | **2列目シートが「プレミアムクレードルシート」に進化。**オデッセイの代名詞とも言える、**電動オットマン、シートヒーター、ベンチレーション機能(送風)**が標準装備され、後席の快適性が究極に高まります。また、運転席と助手席にもシートヒーターが装備されます。 |
| 5. こんな人におすすめ | **「後席(特に2列目)に大切な家族やゲストを乗せる機会が多い」方。最上級の移動空間と快適性(電動オットマン、ベンチレーションなど)を追求し、ミニバンとしての「おもてなし性能」**を最大限に享受したいユーザーに最適です。 |
e:HEV ABSOLUTE・EX BLACK EDITION — 漆黒の個性が光る特別仕様車



| 項目 | e:HEV ABSOLUTE・EX BLACK EDITION の特徴と解説 |
| 2. スタイリング・インテリア | 外装に多数のブラック加飾を採用。フロントグリル、アルミホイール、ドアミラー、各種ガーニッシュなどをブラックで統一し、通常グレードとは一線を画す、精悍で引き締まったデザインです。内装はEXグレードと同様に本革シートを採用。 |
| 3. 性能・安全 | EXグレードと同等のe:HEV性能とHonda SENSINGを装備。 |
| 4. 装備・室内空間 | **EXグレードの豪華装備(プレミアムクレードルシート、ベンチレーションなど)**を全て標準装備。加えて、専用のブラック基調の内装色などが採用され、特別感のある空間となります。 |
| 5. こんな人におすすめ | 「最上級の装備は欲しいが、通常モデルにはない特別なデザインを求める」方。特に、ブラックトーンによるアグレッシブで個性的な外観を重視するユーザーに最適です。街中でも一際存在感を放つミニバンを求める方に推奨されます。 |
価格改定の妥当性を検証する
28万6000円という価格上昇を見て、高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、この価格改定の内訳を冷静に分析すると、その妥当性が見えてきます。
2列目大型ロールサンシェードは、従来オプション設定されていた場合、おおよそ3万円前後の価値がある装備です。これが全車標準装備となり、さらに生産体制の変更や為替変動、原材料費の高騰などを考慮すると、28万6000円という価格上昇は決して不当なものではありません。
むしろ、この価格で最新のe:HEVシステム、Honda SENSING、そして充実した快適装備を備えた上級ミニバンを手に入れられることを考えれば、競合のアルファードやヴェルファイアが510万円から1,085万円の価格帯であることと比較しても、オデッセイの価格設定は極めて競争力があると言えるでしょう。
BLACK EDITIONの特別な装備と品格

最上級の「e:HEV ABSOLUTE・EX BLACK EDITION」は、上質感を求めるユーザーにふさわしい特別な選択肢です。ブラックを基調とした内装に加え、エクステリアには精悍さを強調する専用装備が満載されています。
専用デザインの数々
- 大開口フロントグリル(ブラッククロームメッキ):フロントフェイスに迫力と高級感を同時にもたらす
- リアコンビネーションランプ(スモーク):リアビューを引き締め、スポーティさを強調
- エアロダイナミクス・カラードバンパー(ブラッククロームメッキモール付き):空力性能と視覚的インパクトを両立
足元のこだわり
専用ブラックホイールやダーククローム加飾が採用され、足元を引き締める専用18インチアルミホイールを装着しています。サイドビューの印象を大きく左右するホイールデザインは、BLACK EDITIONの存在感を際立たせる重要な要素です。
ビジネスシーンでの存在感
これらのブラックエディション専用装備により、ビジネスシーンにおいても品格ある存在感を放ちます。役員送迎や重要な商談への移動など、ビジネスパーソンとしての信頼感を視覚的に演出できるのです。プライベートでは家族とのレジャーに、ビジネスでは商談や接待に――一台二役をこなせる万能性こそが、BLACK EDITIONの真骨頂と言えるでしょう。
III. 走行・安全性能:ミニバンらしからぬ質の高い走り
オデッセイが上級ミニバンとして評価されるのは、単に室内が広いだけでなく、ホンダ独自の技術による「上質な走り」と「優れた燃費性能」を両立している点にあります。

1. ホンダ独自のe:HEVシステム
全車に搭載される2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」は、力強い走行性能と高い経済性を実現します。

特にモーターが発揮する最大トルクは315Nm(32.1kgm)と強力であり、ミニバンでありながらスポーティな走りを楽しめる要素となっています。
e:HEVシステムの真価

ホンダのe:HEVシステムは、単なるハイブリッドではありません。状況に応じて3つの走行モードを自動的に切り替え、常に最適な効率と走行性能を実現します。
- EVドライブモード:モーターのみで走行し、静粛性と効率を最大化
- ハイブリッドドライブモード:エンジンで発電し、モーターで走行
- エンジンドライブモード:高速巡航時にエンジンで直接駆動し、効率を高める
この3つのモードがシームレスに切り替わることで、ドライバーは何も意識することなく、常に最適な走りと燃費を享受できるのです。特に発進時のモータートルクは圧倒的で、1.7トンを超える車重を感じさせない軽快な加速を実現します。
2. 優れた燃費性能
e:HEVシステムにより、ミニバンとしては優れた燃費性能を実現し、長距離移動でも経済的です。

この燃費性能は、アルファードの2.5Lハイブリッドと同等レベルであり、大型ミニバンとしては極めて優秀な数値です。年間1万キロ走行すると仮定すると、レギュラーガソリン価格を170円/Lとして計算した場合、ガソリン代は年間約8万6,700円となります。これは、燃費の悪い大型ミニバンと比較して、年間数万円の節約につながる可能性があります。
3. Honda SENSINGとHonda CONNECTによる安心とつながり
家族の安全を最優先するため、ホンダの先進安全運転支援システム**「Honda SENSING(ホンダセンシング)」**が全車に標準装備されています。主要機能として衝突軽減ブレーキ(CMBS)、誤発進抑制機能、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などが含まれており、ドライバーの安心をサポートします。
Honda SENSINGの充実した機能群

- 衝突軽減ブレーキ(CMBS):前方車両や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合に自動ブレーキを作動
- 誤発進抑制機能:停車時や低速走行時に、前方の障害物を検知して急な発進を抑制
- アダプティブクルーズコントロール(ACC):高速道路などで前車との適切な車間距離を保ちながら自動追従
- 車線維持支援システム(LKAS):車線の中央を走行するようステアリング操作をアシスト
- 路外逸脱抑制機能:車線を逸脱しそうになると、ステアリングとブレーキで回避をサポート
- 先行車発進お知らせ機能:信号待ちなどで前車が発進したことを音とディスプレイ表示で知らせる
- 標識認識機能:道路標識をカメラで認識し、ディスプレイに表示
これらの機能が全車標準装備されることで、どのグレードを選択しても最高レベルの安全性を確保できます。
Honda CONNECTで広がる新しいカーライフ

また、**「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」**に対応し、12.3インチのディスプレイオーディオを介して、緊急サポートやリモート操作(エアコン操作、ドアロック確認など)、車内Wi-Fiスポット(Honda Wi-Fi)などの新世代コネクテッド技術が利用可能です。
スマートフォンアプリから、離れた場所でも車両の状態を確認したり、乗車前にエアコンを作動させて車内を快適な温度にしておくことができます。真夏の猛暑や真冬の厳寒期には、この機能が非常に便利です。また、緊急時にはボタン一つでオペレーターに接続でき、事故や故障時のサポートを受けられる安心感もあります。
IV. オデッセイ独自の設計思想:超低床プラットフォームの優位性と歴史的背景
オデッセイの最大のアイデンティティは、ホンダ独自の超低床プラットフォームにあります。この設計が、競合車種にはない、オデッセイ特有の使い勝手と走行安定性を実現しています。しかし、この超低床プラットフォームは、単なる技術的選択ではなく、オデッセイの誕生秘話に深く関わる、必然の産物だったのです。
オデッセイ誕生秘話:制約から生まれた革命
1994年に登場した初代オデッセイは、実は当初からミニバン開発を目指していたわけではありませんでした。当時のホンダは業績低迷の中、新型車製造にあたって生産ラインの改修へ資金を投じる余裕がなく、アコードのプラットフォームとエンジンを流用せざるを得ない制約がありました。
全高1,700mmという当時のアコード生産ラインの制限があったため、通常のミニバンのような高い車高を実現できませんでした。しかし、子どもが車内で立って歩ける室内高1,200mmを確保すべく、逆転の発想で低床パッケージが誕生したのです。
この「制約」こそが、後のオデッセイの最大の強みとなる「超低床プラットフォーム」を生み出すきっかけとなったのです。苦肉の策が、結果的にミニバン市場に革命をもたらす画期的な設計となったのです。
初代オデッセイの衝撃
初代オデッセイは1994年10月に発売され、「クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)」として、ワンボックスカーのスペース・ユーティリティとセダンの爽快な走りや快適な乗り心地、安全性能を高次元で両立しました。
月間目標販売台数3,000台に対し、1995年には12万5,590台を売り上げ、1万台/月を達成。3ナンバークラスの普通自動車クラスで販売台数トップとなるほどの大ヒットを記録しました。当時、誰もが予想しなかった大成功でした。
低床プラットフォームの進化
3代目オデッセイ(2003年)では、さらなる低床化により、2代目から約80mmも車高を下げ、立体駐車場にも入庫可能な1,550mmという低全高スタイルを実現しました。この頃のオデッセイは、もはやミニバンというよりステーションワゴンに近いプロポーションでしたが、それでも3列シート7人乗りの実用性を確保していたのです。
そして現在の5代目では、実用性とスタイリングのバランスを最適化し、全高1,695mmという絶妙なサイズ感を実現しています。
都市部での圧倒的優位性
全高が1,695mmに抑えられています。これは、一般的な立体駐車場(高さ制限1,550mm~1,800mm)に対応可能な高さであり、都市部のマンション住まいや、日常的に立体駐車場を利用する方にとって、最大のメリットとなります。
競合のアルファードやヴェルファイアは全高が1,935mmあり、多くの立体駐車場に入庫できません。これは都市部での使い勝手において、決定的な差となります。せっかくの高級ミニバンも、自宅の駐車場に入らなければ意味がありません。オデッセイは、都市型ライフスタイルに完璧にマッチする設計なのです。
室内空間のゆとり
全高を抑えつつも、3列すべてにゆとりのある室内空間を確保している点が、超低床プラットフォームの技術力の高さを示しています。床面を極限まで低くすることで、頭上空間を最大化し、圧迫感のない快適な室内を実現しているのです。
特に3列目シートは、多くのミニバンで「おまけ」のような存在になりがちですが、オデッセイの3列目は大人でも十分に座れるスペースが確保されています。3列目の床下収納機構も、シリーズ通しての特徴であり、使わない時はフラットな荷室スペースとして活用できます。
実用的な機能
荷物で両手が塞がっている時でも、足をかざすだけでテールゲートが自動開閉するハンズフリーアクセスパワーテールゲートも標準装備されており、実用性が高いです。買い物帰りや旅行時の荷物の積み下ろしが格段に楽になります。
V. 競合ミニバンとの徹底比較:オデッセイを選ぶべきユーザー像
今回の改良でさらに魅力を増したオデッセイですが、競合車種と比較して、どのようなユーザーに最適なのでしょうか。
主要競合車との詳細比較

アルファード/ヴェルファイアとの価格・装備比較
アルファードは510万円~1,065万円、ヴェルファイアは670万円~1,085万円の価格帯です。オデッセイの508万円~545万円という価格設定は、アルファードのベースグレードとほぼ同等でありながら、全車e:HEV搭載、Honda SENSING標準装備という充実ぶりです。
アルファードやヴェルファイアには最安グレードとして新設定されたハイブリッドXが510万円からありますが、オデッセイは全車ハイブリッドで、かつ後席快適装備が充実しています。単純な価格比較ではなく、装備内容と使い勝手を総合的に判断すると、オデッセイのコストパフォーマンスの高さが際立ちます。
燃費性能の比較
オデッセイのWLTCモード燃費19.6~19.9km/Lは、アルファード/ヴェルファイアの2.5Lハイブリッドと同等レベルです。大型ミニバンとしては極めて優秀な数値であり、経済性の面でも優れています。
ステップワゴンのe:HEV搭載モデルは約20km/Lと若干上回りますが、車格や装備の違いを考慮すれば、オデッセイの燃費性能は十分に満足できるレベルです。
オデッセイが最適なユーザー像
新型オデッセイは特に以下のユーザーに強く推奨されます。
後席の快適性を重視するファミリー層
大型ロールサンシェードの標準化、4ウェイパワーシート、広々とした3列空間により、長距離移動の快適性が抜群です。週末の家族旅行や、祖父母を含めた3世代でのお出かけにも最適です。2列目の快適装備は、年配の方にも喜ばれるでしょう。
特に子育て世代にとって、後席の快適性は重要な要素です。チャイルドシートを設置した状態でも、大型ロールサンシェードで日差しを遮り、快適な空間を維持できます。また、USBポートが各席に配置されているため、タブレットやスマートフォンの充電にも困りません。
立体駐車場を日常的に利用する都市部のユーザー
全高1,695mmの設計により、多くの立体駐車場に対応可能です。都心のマンション、オフィスビル、ショッピングモールなど、あらゆる場所で駐車場の心配をする必要がありません。
この点は、都市部でミニバンを所有する上で極めて重要です。アルファードやヴェルファイアを諦めてオデッセイを選ぶ都市部ユーザーは決して少なくありません。実用性こそが、日常使いの満足度を決定づけるのです。
経済性と走りの両立を求める方
e:HEVハイブリッドシステムにより、優れた燃費と力強い加速性能を兼ね備えています。ランニングコストを抑えながら、高速道路の合流や追い越しでもストレスを感じない動力性能を持っています。
特に、モータートルクによる発進加速は、信号待ちからのスタートで大型ミニバンであることを忘れさせる軽快さです。家族を乗せての長距離ドライブでも、ドライバーの疲労を軽減する洗練された走りが、オデッセイの大きな魅力なのです。
安全性を最優先する方
Honda SENSINGが全車標準装備されています。衝突軽減ブレーキや車線維持支援など、最新の安全技術が家族の命を守ります。大切な家族を乗せるからこそ、安全装備に妥協はできません。オデッセイは、その期待に十分応えられる安全性能を備えています。
ビジネスシーンでも使用する方
BLACK EDITIONの洗練されたデザインは、ビジネスシーンでも違和感なく使用できます。役員送迎や商談での移動にも適しており、プライベートとビジネスを一台でこなせる万能性があります。社用車としても、自家用車としても高い満足度を提供します。
VI. オデッセイの室内空間と収納力:実用性の真価

ミニバンを選ぶ上で、室内空間の使い勝手と収納力は極めて重要な要素です。オデッセイは、超低床プラットフォームを活かした独自の空間設計により、クラストップレベルの実用性を実現しています。
圧倒的な室内高と乗降性
超低床プラットフォームにより、地上からフロア面までの高さを大幅に低減。その結果、小さなお子様や高齢の方でも楽に乗り降りできる乗降性を実現しています。両側パワースライドドアも全車標準装備されており、狭い駐車場でもドアの開閉に気を使う必要がありません。
乗降ステップの高さが低いことで、膝や腰への負担が少なく、日常的な使用での疲労が軽減されます。これは、高齢の両親を乗せる機会が多い方にとって、非常に重要なポイントです。
3列目シートの実用性
多くのミニバンで3列目シートは「緊急用」の扱いを受けがちですが、オデッセイの3列目は大人でも十分快適に座れる空間が確保されています。背もたれの角度も適切で、長時間座っていても疲れにくい設計です。
使用しない時は、床下に格納できるマジックシート機構により、フラットで広大な荷室空間に変身します。自転車やゴルフバッグ、キャンプ用品など、大きな荷物も余裕で積載できます。
随所に配置された収納スペース
オデッセイの室内には、使い勝手を考え抜かれた収納スペースが随所に配置されています。
- 大型コンソールボックス:運転席と助手席の間に設置された大型の収納スペース
- ドアポケット:各ドアに設置された大容量ポケット
- シートバックポケット:前席シート背面の収納
- カップホルダー:各列に複数配置
- フロアボックス:3列目下部の大容量収納
これらの収納により、家族全員の荷物をスッキリと整理できます。長距離ドライブでも、車内が散らかることなく、快適な空間を維持できるのです。
VII. オデッセイのデザイン哲学:端正さの中に宿る力強さ

オデッセイのデザインは、単なる機能美ではなく、ホンダが追求する「走る喜び」を視覚的に表現したものです。低く構えたスタイリングは、ミニバンでありながらスポーティさを感じさせ、所有する喜びを高めてくれます。
エクステリアデザインの特徴
大開口フロントグリルは、オデッセイの存在感を際立たせる重要な要素です。ホンダの最新デザイン言語を採用し、精悍でありながら上品さを失わない絶妙なバランスを実現しています。
シャープなLEDヘッドライトは、夜間の視認性を高めるだけでなく、フロントフェイスに鋭い眼光を与えています。LED技術により、省電力でありながら明るく、長寿命という実用面でのメリットも大きいのです。
流麗なサイドラインは、全長4,855mmというボディサイズを感じさせない躍動感を演出します。低い全高とのバランスにより、まるでステーションワゴンのようなスポーティなプロポーションを実現しています。
インテリアデザインの上質感
室内に足を踏み入れると、上級ミニバンにふさわしい質感の高さに驚かされます。ソフトパッドを多用したダッシュボード、金属調の加飾パネル、ステッチ入りのシートなど、細部まで妥協のない仕上がりです。
12.3インチディスプレイオーディオは、インパネ中央に配置され、直感的な操作性と視認性を両立しています。スマートフォンとの連携も容易で、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しています。
メーターパネルは、フル液晶タイプを採用し、必要な情報を見やすく表示します。表示内容をカスタマイズでき、ドライバーの好みに合わせた情報配置が可能です。
VIII. メンテナンスコストと残価率:長期保有での経済性
新車購入時の価格だけでなく、維持費や将来的な下取り価格も、車選びの重要な要素です。オデッセイは、この点でも優れたバランスを持っています。
ハイブリッドならではの維持費の安さ
e:HEVシステムにより、燃料費が大幅に抑えられるだけでなく、ブレーキパッドの消耗も少なくなります。回生ブレーキを多用するハイブリッド車は、物理的なブレーキの使用頻度が減るため、ブレーキパッドの交換サイクルが長くなるのです。
また、エンジンの負担も軽減されるため、エンジンオイルの劣化も遅くなります。結果として、メンテナンスコストが抑えられ、長期保有での経済性が高まります。
ホンダブランドの信頼性
ホンダは、品質と信頼性で定評のあるメーカーです。適切なメンテナンスを行えば、長期間にわたって安心して使用できます。ディーラーネットワークも全国に展開されており、メンテナンスや修理も容易です。
残価率の高さ
オデッセイは、中古車市場でも高い人気を誇ります。特にハイブリッドモデルは需要が高く、下取り時の査定額も期待できます。立体駐車場に入る全高という希少性も、中古車市場での価値を高める要因となっています。
IX. 購入前に知っておくべきポイント:オデッセイの注意点
どんなに優れた車でも、完璧ということはありません。オデッセイを購入する前に、知っておくべき注意点もあります。
3列目の居住性は限定的
オデッセイの3列目シートは、アルファードやヴェルファイアと比較すると、やや狭く感じる可能性があります。低床プラットフォームの制約上、3列目の頭上空間は若干圧迫感があります。
ただし、日常的に3列目を使用するのでなければ、大きな問題にはなりません。緊急時や短距離移動では十分実用的です。
4WDの設定がない
オデッセイは全車FF(前輪駆動)のみで、4WDの設定がありません。雪国や悪路走行が多い地域では、この点がデメリットとなる可能性があります。
ただし、電子制御トラクションコントロールやVSA(車両挙動安定化制御システム)により、通常の降雪程度であれば問題なく走行可能です。スタッドレスタイヤを装着すれば、多くの状況に対応できるでしょう。
荷室高さの制約
低床プラットフォームの特性上、荷室の高さには制約があります。背の高い荷物を積載する場合は、アルファードなどの高全高ミニバンの方が有利です。
ただし、3列目シートを格納すれば十分な荷室容量が確保でき、日常使いやレジャーには十分対応できます。
X. まとめ:進化したフラッグシップミニバンを今すぐ見たい!
2025年モデルのホンダ オデッセイ一部改良は、ユーザーの声を真正面から受け止め、実用性と高級感という両輪を同時に進化させた、非常に価値の高いアップデートです。
主要な進化のポイント
28万6000円の価格上昇は妥当か?
この問いに対する答えは、明確に「Yes」です。大型ロールサンシェードの全車標準化だけでも大きな価値がありますが、それ以上に、オデッセイが提供する総合的な価値は、この価格帯のミニバンとして極めて競争力があります。
アルファードやヴェルファイアが510万円~1,085万円という価格帯であることを考えれば、508万円~545万円で、e:HEV、Honda SENSING、充実した快適装備を手に入れられるオデッセイは、むしろコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
オデッセイが切り開く新しいミニバンの価値観
オデッセイは、「ミニバンは大きくて高い車高でなければならない」という固定観念に挑戦し続けています。超低床プラットフォームという独自の設計思想は、都市型ライフスタイルに最適化された、新しいミニバンの価値観を提示しています。
立体駐車場に入る実用性、優れた燃費性能、スポーティな走り、そして充実した快適装備――これらすべてを高次元でバランスさせたオデッセイは、まさに「都市型プレミアムミニバン」の完成形と言えるでしょう。
最後に
価格は上昇しましたが、その価値は確実にそれ以上です。この快適性の底上げは、まさに「フラッグシップミニバン」としての役割を完璧に果たすための進化であり、従来のオデッセイファンはもちろん、アルファードなどからの乗り換えを検討しているユーザーにとっても、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
ぜひ、この進化したオデッセイの全容を、お近くのホンダディーラーにてご確認ください。試乗すれば、その洗練された走りと充実した装備の価値を、実際に体感できるはずです。
編集後記:制約から生まれた革命の物語
例えるならば、この一部改良は、高級ホテルがスイートルームに設置していた評判の最高級遮光カーテンを、全室に導入し、さらに建物の外壁を特別塗装で塗り替えたようなものです。基本構造の良さ(低床プラットフォーム)はそのままに、ゲスト(乗員)の満足度を飛躍的に高める、価格以上の価値が提供されていると言えます。
1994年、生産ラインの制約という「不利な条件」から誕生したオデッセイは、その制約を逆手に取り、独自の価値を創造しました。30年以上が経過した今でも、その DNA は脈々と受け継がれ、進化し続けています。
制約から革命が生まれる――それこそが、オデッセイというミニバンが体現する、ホンダのモノづくり哲学なのです。

この記事が、あなたの愛車選びの一助となれば幸いです。オデッセイという選択肢が、あなたとあなたの家族に、素晴らしいカーライフをもたらすことを願っています。


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