公道に於ける完全自動運転は不可能と言われている中、AI自動移動サービスの社会実装と事業化へ向けての取組、現状の自動運転レベル4での運用実績を踏まえ近未来を追ってみます。
自動運転へ向けて期待と課題
自動車産業の潮流、CASEとカーボンニュートラル
CASEは、自動車産業における4つの重要なトレンドを指します。これは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアード)、Electric(電動化)の頭文字を取ったものです。これらのトレンドは、自動車業界に大きな変革をもたらしています。それぞれについて詳しく解説します。
- Connected(コネクテッド):
- 車両がインターネットや他の車両、インフラと接続されることを指します。これにより、リアルタイムでの情報共有や、ナビゲーション、エンターテインメント、メンテナンス情報の提供などが可能になります。
- 具体例としては、車内Wi-Fi、リアルタイムの交通情報、リモート診断などがあります。
- Autonomous(自動運転):
- 車両が人間の運転手なしで自律的に運転できる技術を指します。これには、センサー、カメラ、AI、機械学習などが組み合わさって、車両が周囲の環境を認識し、適切に反応することが求められます。
- レベル1からレベル5までの自動運転の段階があり、レベル5が完全な自動運転を意味します。
- Shared(シェアード):
- 車両の共有を指します。これは、個人所有の車両の代わりに、複数のユーザーが車両を共同で利用することを目的としています。カーシェアリングやライドシェアリングのサービスがこれに該当します。
- これにより、交通渋滞の緩和、環境負荷の軽減、車両の利用効率の向上などが期待されます。
- Electric(電動化):
- 内燃機関(ICE)に代わる電動モーターによる駆動を指します。これは、環境に優しいゼロエミッション車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などが含まれます。
- 電動化により、温室効果ガスの削減や化石燃料依存の軽減が図られます。また、電池技術の進化により、走行距離や充電時間の改善も進んでいます。
これら4つの要素が融合し、自動車産業の未来を形作るとされています。CASEは、新しいビジネスモデルやサービスの創出、技術革新、規制の変化を引き起こし、消費者や社会全体に大きな影響を与えると考えられています。
カーボンニュートラルは、自動車産業においても重要なテーマであり、地球温暖化対策や持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環です。自動車産業におけるカーボンニュートラルについて詳しく説明します。カーボンニュートラルの概念
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを指します。これは、排出される温室効果ガスの量と、森林の吸収やカーボンクレジットの購入などで相殺される量が同等である状態を意味します。自動車産業におけるカーボンニュートラルへの取り組み
- 電動化の推進:
- 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の開発と普及が進められています。これにより、内燃機関車(ICE)からのCO2排出を削減します。
- 再生可能エネルギーの利用:
- 自動車の製造プロセスにおいて、再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の利用を増やすことで、製造段階でのCO2排出を削減します。
- 軽量化技術の開発:
- 車両の軽量化により、燃費を向上させ、CO2排出を減少させる取り組みが行われています。これには、高強度鋼材やアルミニウム、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの新素材の使用が含まれます。
- 効率的な製造プロセス:
- 製造工程全体のエネルギー効率を改善し、CO2排出を最小限に抑えるための取り組みが行われています。これには、工場のスマート化やIoT技術の導入が含まれます。
- リサイクルと循環型経済の推進:
- 車両の部品や材料のリサイクル率を高め、廃棄物を減らす取り組みが進められています。これにより、製造時の資源消費とCO2排出を削減します。
- カーボンクレジットの利用:
- 自社の排出量を相殺するために、カーボンクレジットの購入や、森林再生プロジェクトへの投資が行われています。
- 主な自動車メーカーの取り組み
- トヨタ自動車:
- 2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、EVやFCVの開発に注力しています。また、製造プロセス全体で再生可能エネルギーの利用を拡大しています。
- ホンダ:
- 2040年までに新車販売において全てを電動車とすることを目指しています。また、製造工程におけるエネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用を推進しています。
- フォルクスワーゲン:
- 2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画を立てており、EVのラインナップを拡充しています。さらに、製造工場での再生可能エネルギーの使用を拡大しています。
- 課題と展望
- 充電インフラの整備:
- EVの普及には、充電インフラの整備が不可欠です。これには、高速充電器の設置や充電ステーションの拡充が含まれます。
- バッテリー技術の進化:
- 現在のバッテリー技術では、走行距離や充電時間に限界があるため、より高性能なバッテリーの開発が求められます。
- コスト削減:
- EVの価格がまだ高いため、製造コストの削減や補助金の提供が必要です。
- 国際協力と規制:
- カーボンニュートラルを達成するためには、各国政府の協力と規制の整備が重要です。
自動車産業におけるカーボンニュートラルの取り組みは、地球環境の保全にとって重要であり、技術革新と持続可能な経済成長の両立を目指しています。
人口汎用知能AGIとKudanの取組 完全自動運転に向けて
衝突安全技術が進化しても二次的被害は避けられないことから、現状では限られたロードマップ上であり且つ低速での制限速度での自動運転は実現されている
しかし最先端の分野では企業間の連携と繋がりによって数年先には公道での自動運転の実現に向けての技術開発が水面下で進められています。
Kudanの取組(人口知覚)
汎用人口知能AGIは人の脳に替わるものならばKudanの技術は人の目に替わる技術です。
モーションキャプチャーによって人の動きを忠実に再現(データ化)できることによって飛躍的にゲーム業界でもプログラミング技術開発が進んできました。モーションキャプチャーは読み取る装置の内部で動きとデーター化(マッピング)する技術です。
一方、Kudanの技術は表現が難しいですが「モーションキャプチャーの装置自体が公道を走り、リアルタイムにマッピングデータを点の集合体として認識し、地形データを学習保存そして認識していく技術です。
進行方向に点が現れると瞬時に回避できる技術が進歩していけば公道での突発的な危険要因に対しても払拭できます。あらゆる要因を学習していけば公道での自動運転は実現可能なのかもしれません。
不可抗力による二次被害での保障問題は永遠の課題としてのころますが。
Kudanの主な取り組み
Kudanの主な取り組みは、以下の3つの分野に大別できます。
- 空間認識技術の開発:
- SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術: ロボットやドローンが自身の位置を特定しながら、周囲の環境地図を作成する技術です。
- 3Dスキャニング技術: 現実世界の物体や空間を3次元データとして高精度に取得する技術です。
- オブジェクト認識技術: 画像や動画から特定の物体や人を認識する技術です。
- AR/VR技術の開発:
- AR/VRプラットフォーム: スマートフォンやヘッドマウントディスプレイ上で、現実世界に仮想のオブジェクトを重ねて表示するプラットフォームの開発。
- AR/VRアプリケーション開発: ゲーム、教育、製造など、様々な分野向けのAR/VRアプリケーションの開発。
- ロボット技術の開発:
- 自律走行ロボット: SLAM技術などを活用し、周囲の環境を認識しながら自律的に移動するロボットの開発。
- 協働ロボット: 人間と協働して作業を行うロボットの開発。
Kudanの技術の特徴
Kudanの技術は、以下の特徴を持っています。
- 高精度: センサーデータから高精度な3Dモデルを生成し、リアルな空間認識を実現します。
- リアルタイム性: リアルタイムで周囲の環境を認識し、それに応じてロボットやAR/VRデバイスを制御できます。
- 汎用性: 様々な環境やデバイスに対応できる汎用性の高い技術です。
- 小型化: スマートフォンなどの小型デバイスに搭載できるよう、軽量化と省電力化が図られています。
Kudanの技術が活用される分野
Kudanの技術は、以下のような様々な分野で活用されています。
- 製造業: 工場内の3Dマッピング、ロボットの自動化、ARによる作業支援
- 建設業: 建物の3Dモデル作成、施工管理、VRによる設計レビュー
- 自動車産業: 自動運転車の開発、車内のARディスプレイ
- 小売業: ARを使った商品展示、店舗内の顧客行動分析
- エンターテイメント: AR/VRゲーム、テーマパークのアトラクション
レベル4自動運転移動サービスの実装に係る国家プロジェクト現状
、レベル4自動運転移動サービスの社会実装の推進を目的とした2つの国家プロジェクト
RoAD to the L4プロジェクト
◆運転者ではなく、システムがすべての運転タスクを担うレベル4の社会実装には、地域全体の受容が重要です。
そこで、先導事例を創出するために、経済産業省と国土交通省はRoAD to the L4プロジェクト立ち上げています。
◆ODDが限定されるレベル4は、特定地域で運行される移動サービス(公共交通)と親和性が高いことから
RoAD to the L4プロジェクトでは、三か所で人の移動の関わる社会実装に取り組んでいます。
「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」
Project on Research,Development, Demonstration and Deployment (RDD&D) of Automated Driving toward
the Level 4 and its Enhanced Mobility Services.
「RoAD to the L4」は、Level 4自動運転技術の実現を目指す研究開発プロジェクトです。このプロジェクトは、多くの自動車メーカー、技術企業、研究機関が参加し、共同で技術開発を進めています。目標は、信頼性が高く、安全で、実用的なL4自動運転車を市場に投入することです。
「RoAD to the L4」プロジェクトの目的
安全性の確保:
- 自動運転技術が安全に機能するためのシステムやアルゴリズムの開発。これには、障害物検知、緊急ブレーキ、車線変更、自動駐車などが含まれます。
信頼性の向上:
- 自動運転システムの信頼性を高めるためのテストと検証。さまざまな気象条件や道路状況でのテストを行い、システムの性能を確認します。
コストの削減:
- 自動運転技術のコストを削減するための技術革新と効率化。これにより、消費者が手頃な価格で自動運転車を購入できるようになります。
法規制の整備:
- 自動運転車の普及には、法規制の整備が不可欠です。プロジェクトは、政府や規制当局と協力して、適切な規制枠組みを策定します。
主な取り組みと進展
センサー技術の開発:
- LIDAR(Light Detection and Ranging)、カメラ、レーダーなどのセンサー技術を高度化し、正確な周囲環境認識を実現します。
AIと機械学習の活用:
- 自動運転システムの中核を成すAIと機械学習アルゴリズムの開発。これにより、車両が自己学習し、さまざまな状況に適応できるようにします。
シミュレーションと実車テスト:
- バーチャルシミュレーションや実車テストを通じて、システムの性能と安全性を検証します。実際の都市環境や高速道路での試験走行も含まれます。
インフラとの連携:
- 自動運転車が効率的に機能するためには、道路インフラとの連携が必要です。信号機や標識との通信、V2X(Vehicle-to-Everything)技術の導入が検討されています。
期待される成果
- 交通事故の減少:
- 人間のミスによる交通事故を大幅に減少させることが期待されています。
- 交通渋滞の緩和:
- 自動運転車による効率的な運行で交通渋滞を緩和し、都市部の交通流を改善します。
- 環境負荷の軽減:
- 自動運転技術と電動化を組み合わせることで、CO2排出を削減し、環境への負荷を軽減します。
「RoAD to the L4」プロジェクトは、自動運転技術の未来を切り拓く重要なステップであり、安全で効率的な交通システムの実現に向けた取り組みです。
社会実装3事例と概要
福井県永平寺町(永平寺参ろーど)
福井県永平寺町では、国内初となるレベル4の無人自動運転移動サービスが実施されています。このプロジェクトは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と民間企業の協力により進められました。
レベル4の自動運転車両は、特定の走行環境条件の下で、運転者を必要とせず完全自律で走行します。具体的には、永平寺町内の「永平寺参ろーど」という約2kmの区間で、ヤマハ発動機製の電動カートをベースに改造された自動運転車が使用されています。これらの車両は電磁誘導線とRFIDによって経路を追従し、時速12kmで運行されます (Ministry of Economy, Trade and Industry) (MLIT)。
このサービスは、2023年5月21日に記念式典を開催し、本格的な運行が開始されました。これは、国内の交通サービスとして初めてレベル4の自動運転が実現された例であり、交通事故の削減や地域公共交通の発展に寄与することが期待されています (Road to the L4)。
詳細な情報や最新の運行スケジュールについては、永平寺町の関連ウェブサイトやプロジェクトの公式サイトで確認できます。
茨城県日立市(ひたちBRT)
「ひたちBRT」は、茨城県日立市で運行されているバス・ラピッド・トランジット(BRT)システムです。2019年4月1日から本格運行を開始し、日立電鉄交通サービスが茨城交通に合併されたため、現在は茨城交通が運営しています (Wikipedia)。
運行ルートとダイヤ
ひたちBRTの専用道区間は南部図書館から河原子までの約6.1キロメートルで、14箇所の停留所があります。運行ダイヤは、平日と休日で異なり、例えば、おさかなセンター発は平日5時51分から21時42分、休日は6時32分から21時00分まで運行しています (Hitachi City)。
車両
ひたちBRTの車両は大型ハイブリッドバスや中型ディーゼルバスが使用されています。車両のデザインには、「ブルーラピッド」や「サクララピッド」など、日立市の特色を取り入れた様々なバスが導入されています (Hitachi City)。
自動運転実証実験
ひたちBRTでは、自動運転バスの実証実験も行われています。2020年にはレベル2の自動運転の実証実験が開始され、2022年からはレベル4相当の自動運転バスを使用した実証実験が行われています。この実証実験は、BRTの専用道区間である河原子から南部図書館までの6.1キロメートルを対象にしており、バス停には停車するものの、現在は一般の乗車はできません (City.Hitachi) (MLIT)。
2024年度には、国内初の自動運転レーンがJR大甕駅周辺に設置される予定です (Wikipedia)。
自動運転の技術と安全対策
自動運転バスには、遠隔監視装置が設置され、KDDIが通信環境を提供しています。これにより、自動運転バスの走行状況や路側センサーの稼働状態をモニタリングし、運行管理の在り方を検証しています (ロボスタ)。
このように、ひたちBRTは、都市部での移動効率を高めるとともに、将来の自動運転技術の実装に向けた重要なステップを踏んでいます。
千葉県柏市(柏の葉)
千葉県柏市柏の葉では、自動走行を含むスマートシティの取り組みが進められています。この地域は「柏の葉スマートシティ」として知られ、持続可能な都市を目指す一環として、モビリティ分野における自動走行技術の導入が推進されています。
柏の葉スマートシティプロジェクトは、2011年に開始され、「世界の未来像をつくる街」というコンセプトを掲げています。これには、環境共生、健康長寿、新産業創造の3本柱が含まれ、スマートモビリティの導入もその一環です (Kashiwanoha Smartcity) (City of Kashiwa)。
この地域では、公共交通機関と連携した自動走行システムの実証実験が行われており、特に柏の葉キャンパス駅周辺でのサービスが進行中です。これにより、地域住民や訪問者が効率的に移動できるようになることを目指しています (City of Kashiwa) (City of Kashiwa)。
さらに、柏の葉スマートシティコンソーシアムが形成され、複数の企業や学術機関が協力してデータプラットフォームを構築し、AIやIoT技術を活用したスマートシティの実現に向けた取り組みが行われています。このプロジェクトは、国土交通省のスマートシティモデル事業にも選定されており、国の支援を受けながら進行しています (City of Kashiwa) (City of Kashiwa)。
柏の葉の自動走行プロジェクトは、他の地域への展開も期待されるモデルケースとなっており、今後の発展が注目されています。
自動運転社会実装推進事業
自動運転社会実装推進事業は、日本政府が主導するプロジェクトで、自動運転技術の実社会への導入を加速させるための取り組みです。この事業は、内閣府、経済産業省、国土交通省などが連携して進めており、自動運転技術の開発、実証実験、法規制の整備を含む幅広い活動が含まれています。
自動運転社会実装推進事業では、22年度に全9事業、23年度には全62事業の採択を行い、補助金事業として各地方自治体の自動運転社会実装推進に関する取組を支援
主な取り組みと目的
- 技術開発と実証実験:
- 自動運転技術の開発とその実証実験が主要な取り組みの一部です。これには、都市部や地方部での実験、バスやタクシー、物流車両などさまざまな自動運転車両の実証が含まれます。例えば、柏の葉スマートシティや日立市のひたちBRTなど、特定地域での実証実験が進められています。
- 法規制の整備:
- 自動運転技術が安全に普及するためには、適切な法規制の整備が不可欠です。このため、道路交通法や道路運送車両法の改正が進められており、自動運転車両の認可プロセスや運行基準が明確化されています。
- インフラ整備:
- 自動運転車両が効率的かつ安全に運行できるように、道路インフラの整備も行われています。これには、車車間通信(V2V)や路車間通信(V2I)を可能にするための通信インフラの整備が含まれます。
- データプラットフォームの構築:
- 自動運転技術の普及に向けて、データの共有と活用が重要視されています。産学官が連携し、交通データや走行データの収集・解析を行うプラットフォームが構築されています。
課題と展望
- 技術的課題:
- 自動運転技術は、まだ発展途上であり、特に悪天候や複雑な都市環境での対応が課題です。センサー技術やAIの進化が求められています。
- 社会的受容性:
- 自動運転車両の普及には、社会的な受容性が重要です。事故時の責任問題やプライバシーの保護など、倫理的・社会的課題の解決が必要です。
- 経済的課題:
- 自動運転技術の普及には、初期投資が大きいため、コスト削減と経済性の確保が求められます。補助金や税制優遇措置などの経済的支援が重要です。
自動運転社会実装推進事業は、日本の未来の交通システムを形作る重要なプロジェクトであり、安全性、効率性、環境負荷の軽減を目指して、技術開発と実証実験が積極的に進められています。
レベル4への活用が想定される車両
いすゞ自動車 エルガ(大型バス)
いすゞの「エルガ」は、大型自動運転バスの実証実験で注目されています。この実証実験は、いすゞ自動車、西日本鉄道、三菱商事、福岡国際空港の共同プロジェクトとして、福岡空港の国内線と国際線旅客ターミナルビル間で行われています。実証実験は2022年3月から始まり、当初はレベル2(部分運転自動化)からスタートし、最終的にはレベル4(高度運転自動化)を目指しています (Mitsubishi Corporation) (Isuzu) (Wikipedia)。
エルガ自動運転バスは、LiDAR、カメラ、ミリ波レーダー、ジャイロセンサーなど多様なセンサーを搭載しており、これにより周囲の環境を360度検知することができます。また、いすゞが培った車両制御技術と外部スタートアップ企業の自動運転ソフトウェアを組み合わせている点が特徴です (Isuzu) (自動運転ラボ)。
この実証実験では、運用とサービスの課題点を洗い出し、安全性と利便性の向上を図ることを目的としています。また、少子高齢化による労働力不足といった社会課題の解決も視野に入れています (Mitsubishi Corporation) (Isuzu)。
いすゞ自動車 エルガミオ(中型バス)
エルガミオは、1999年に初めて登場し、2019年に17年ぶりにフルモデルチェンジされました。最新モデルでは、210馬力の「4HK1-TCN」エンジンを搭載し、環境性能と燃費性能を向上させています。トランスミッションはAMT(自動クラッチマニュアルトランスミッション)を採用しており、クラッチ操作が不要で、運転が簡便になっています (Isuzu) (バスファン(BUSFAN))。
安全性に関しては、EDSS(Emergency Driving Stop System)を標準装備しており、ドライバーが急病などで運転が困難になった場合に車両を自動で停止させる機能が追加されています。また、脇見や居眠りを検知するカメラを搭載し、ドライバーに警報を発するシステムも備えています (Isuzu)。
さらに、抗菌対策や換気性能の向上も図られており、車内の握り棒や伝い歩き棒などの抗菌化が施され、一部座席の足元にエアアウトレットグリルを追加することで、車内外の換気性能を向上させています (Isuzu)。
エルガミオは、都市内の路線バスとして、乗客の快適性と安全性を重視した設計がされています。詳細については、いすゞ自動車の公式サイトや関連情報を参照ください (Isuzu) (Wikipedia) (Isuzu) (バスファン(BUSFAN))。
日野自動車 ポンチョ(小型バス)
日野自動車の「ポンチョ」は、小型ノンステップバスとして知られています。2002年に初代が発売され、地域のコミュニティバスとして全国的に広く使用されています。最新のモデル「ポンチョ Z EV」は、電気自動車(EV)として2022年に市場に導入されました。
「ポンチョ Z EV」は、全長約7メートル、全幅約2.1メートル、高さ約3.1メートルで、最大乗員数は約30人です。161kWのモーターと105kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、CHAdeMO方式の急速充電に対応しています。このモデルはゼロエミッションと低騒音を実現し、環境に優しい仕様となっています (Car Watch) (MOTA(旧オートックワン))。
さらに、ポンチョの車内はフルフラットノンステップ構造で、車椅子やベビーカーを利用する人々にとっても使いやすい設計となっています。ユニバーサルデザインとコミュニティバスに適したパッケージングが特徴です (Wikipedia)。
BYD社 J6(小型電動バス)
BYD社のJ6は、日本市場において高い評価を受けている小型電気バスです。J6は全長6.99メートル、幅2.08メートル、高さ3.06メートルで、都市型と郊外型の二つのモデルがあります。都市型は36名、郊外型は32名の乗車定員を持ち、どちらも車椅子スペースを一箇所備えています (ビーワイディージャパン株式会社) (China Buses)。
J6の主な特長として、以下が挙げられます:
- 低床構造:乗降がしやすい設計で、ノンステップバス認定を取得しています。
- 経済性:導入コストが低く、部品点数が少ないためメンテナンス費用が抑えられ、ランニングコストの削減が期待できます。
- 環境性能:CO2排出ゼロで、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
- 災害時の電源供給:災害時には電源供給ステーションとして機能し、被災地に移動して冷暖房完備の避難所としても利用できます (ビーワイディージャパン株式会社) (BYD Global)。
技術的には、リチウムイオンバッテリー(138.3kWh)を搭載し、CHAdeMO規格の充電に対応しています。充電時間は約2時間で、最大航続距離は210kmです (ビーワイディージャパン株式会社) (BYD Global)。
J6は既に日本国内の多くの都市や観光地で導入されており、特に京都では観光バスとして利用されています。この取り組みは、2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けた重要なステップとされています (BYD Global) (China Buses)。
BYDの電気バスは静かで環境に優しく、運用コストの削減にも寄与するため、日本国内での導入が進んでいます。
ANKAI社 EVミニバス(小型電動バス)
ANKAI(安徽安凯汽車有限公司)は、中国安徽省合肥市に本社を構えるバス製造企業で、EVバスの製造にも注力しています。ANKAIのEVミニバスは、都市バス、長距離バス、観光バスなど、さまざまな用途に対応する車種を提供しています。
特に注目されるのはANKAIのA6シリーズで、これは中短距離の観光や通勤に適したモデルです。A6電気バスは高い信頼性と安全性、優れたエネルギー効率、そして環境に優しい特徴を持っています。さらに、先進的なNVH(Noise, Vibration, Harshness)管理システムやパノラマビューシステム、車線逸脱警報システムなど、多彩な安全装備を備えています (China Buses) (ZMP) (Ankai Global)。
ANKAIは、環境保護と経済効率を重視した「新エネルギーバス」も展開しており、これらのバスは世界初の純電動バス路線としても運行されています。こうした取り組みにより、ANKAIは国内外で高い評価を受けています (Ankai Global)。
NAVYA社 ARMA
NAVYAのARMA、別名Autonom® Shuttle Evoは、乗客を移動させるための完全自動運転の電動シャトルです。このシャトルは最大15人(座席11人、立席4人)を収容でき、最大速度は25 km/hです。ARMAには、Lidarセンサー、カメラ、GPS RTK、IMU、オドメトリなどの高度なナビゲーション技術が搭載されており、ドライバー、ハンドル、ペダルなしで都市部やプライベート環境を安全かつ効率的にナビゲートできます。
Autonom® Shuttle Evoは、1回の充電で平均9時間運行でき、移動に制約のある乗客にも対応できるように設計されています。用途は、企業キャンパスから都市の公共交通システムまで幅広く、例えばフランスのリヨンのコンフルアンス地区では、1.3キロメートルのルート上で運行され、トラムウェイの出口から乗客をピックアップし、指定された駅で停車します (NAVYA) (NAVYA) (NAVYA)。
Auve Tech社 MiCa
Auve Techの「MiCa」は、エストニアの技術企業Auve Techが開発・製造する新世代の自動運転シャトルです。MiCaは、安全性、実用性、そして自動運転技術を一段と向上させ、様々な天候や交通条件下での自律運転を可能にしています。
主要特徴:
- 安全性: MiCaは7つのLiDARセンサーと10台のカメラを搭載しており、周囲の360度の視界を提供し、安全性を最大限に高めています。また、重要なシステムは二重化され、サイバーセキュリティにも力を入れています。
- 設計と性能: MiCaは全長4200mm、幅1850mm、高さ2500mmで、8人乗りのコンパクトな電気シャトルです。最高速度は25 km/hで、後輪駆動の41kWモーターを搭載し、17.6kWhのバッテリーにより1日の運行時間は最大20時間です。急速充電により、約1時間でフル充電が可能です。
- 適応性: 雨や雪といった厳しい気象条件でも運行できる設計となっており、空調システムも強化されています。これにより、様々な環境での運行が可能です。
市場展開とパートナーシップ: Auve Techは、MiCaを通じて日本を含む12か国以上で自律運転技術を実証しており、BOLDLYなどのパートナーと協力して持続可能な公共交通機関の実現を目指しています (Auve Tech) (Auve Tech) (Automotive World) (Auve Tech)。
トヨタ自動車 e-Palette
トヨタ自動車の「e-Palette」は、自動運転と電動化技術を組み合わせた、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)向けに開発された車両です。この車両は、初めて発表された2018年以降、進化を続けています。
e-Paletteは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて選手やスタッフの移動手段として使用され、大きなドアや電動ランプを備え、車椅子の利用者も快適に乗り降りできるよう設計されています。車両は自動運転システムを搭載し、最大時速20キロメートルで運行しますが、安全性を確保するために乗務員が乗車しています (トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト) (トヨタイムズ)。
e-Paletteの設計には、トヨタの生産方式(TPS)のコンセプトが取り入れられており、運行管理システム「AMMS」やタスク割り当てプラットフォーム「e-TAP」を使用して、リアルタイムでの運行スケジュールの調整や車両の自動派遣を行います。これにより、運行の安定性と乗客の安全を確保しつつ、効率的なサービス提供を実現しています (トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト) (Toyota UK Magazine)。
さらに、e-Paletteは、トヨタが開発中の「ウーブン・シティ」においても運行が予定されており、実際の都市環境での運用を通じて継続的な改善が図られます。このプロジェクトは、持続可能な都市の構築と新しいモビリティサービスの提供を目指しています (トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト)。
ヤマハ発動機 AR-07(カート・グリーンスローモビリティ(GSM)型
ヤマハ発動機のAR-07は、特に観光地での利用を目的とした電動カート「グリーンスローモビリティ」の一環として開発された自動運転車両です。この車両は、観光地や住宅地内での短距離移動を支援するために設計されており、環境に優しい電動モビリティソリューションとして注目されています。
主な特徴:
- 自動運転技術:
- AR-07は、特定のルートを自動で運行することが可能で、観光客や地域住民の移動をサポートします。
- 安全性を確保するために、衝突防止機能や加速・減速制御が搭載されています。
- エコフレンドリー:
- 電動であるため、CO2排出がなく、静音性にも優れています。これにより、自然環境や観光地の静寂を保つことができます。
- デザイン:
- 低床構造で、乗降がしやすく、高齢者や身体に不自由のある人々にも配慮した設計となっています。
- コンパクトなサイズで、狭い道でも容易に運行できます。
利用例:
- 観光地: 大分県姫島や広島県福山市の鞆の浦などで、観光客の移動手段として導入されており、エコツーリズムの一環としても活用されています。
- 住宅地: 大阪府河内長野市南花台などのニュータウン内で、住民の生活支援を目的とした実証運行が行われています。
ヤマハのAR-07は、持続可能な移動手段としての可能性を秘めており、今後さらに多くの地域での導入が期待されています (Yamaha Motor) (Yamaha Motorsports, USA) (Boating Magazine)。
タジマ TAJIMA-NAO(カート・グリーンスローモビリティ(GSM)型
タジマ NAO(カート・グリーンスローモビリティ(GSM)型)は、株式会社タジマモーターコーポレーションが開発・販売する、小型電動低速カートです。従来のNAOよりもコンパクトで軽量な車体となり、主に観光施設や商業施設での送迎や、イベント会場での移動などに最適です。
概要
- 車種:小型電動低速カート
- 乗車定員:2名
- 最大積載量:100kg
- 航続距離:約40km(鉛蓄電池モデル)、約60km(リチウムイオン電池モデル)
- 最高速度:時速20km
- 車両重量:約700kg
- 寸法:全長2,750mm x 全幅1,480mm x 全高1,830mm
- 価格:435万円~(税別)
特徴
- 環境に優しい電気自動車
- 静粛性が高く、街中でも快適に走行できる
- コンパクトで軽量な車体で、狭い道でも運転しやすい
- 車両後部に荷台スペースがあり、買い物や配達などにも利用できる
- 様々なオプション装備を用意しており、用途に合わせてカスタマイズできる
主な用途
- 観光施設での送迎
- 商業施設での移動
- イベント会場での移動
- 大学構内での移動
- 工場内での移動
- 配達
- その他、様々な用途に利用できる
メリット
- 環境負荷が少ない
- 静粛性が高い
- コンパクトで軽量
- 荷台スペースがある
- カスタマイズ性が高い
デメリット
- 航続距離が短い
- 最高速度が遅い
- 価格が高い
導入事例
- 京都府の嵐山にある観光施設での送迎
- 東京の商業施設での買い物客の移動
- 音楽フェスティバルなどのイベント会場での移動
- 大学構内での学生や教職員の移動
- 工場内での部品や製品の運搬
- 宅配便の配達
評価
タジマ NAO(カート・グリーンスローモビリティ(GSM)型)は、コンパクトで軽量な車体と静粛性に優れているため、観光施設や商業施設での送迎や、イベント会場での移動などに最適な電動低速カートとして評価されています。一方で、航続距離が短い、最高速度が遅い、価格が高いなどのデメリットも指摘されています。
補足
- タジマ NAO(カート・グリーンスローモビリティ(GSM)型)は、道路交通法上の「原動機付自転車」に分類されるため、ナンバープレートの取得と自賠責保険への加入が必要です。
- 一部の自治体では、電動低速カートの利用に関する規制を設けている場合がありますので、事前に確認が必要です。
クルーズ オリジン(タクシー型)
クルーズ・オリジン(タクシー型)は、米国の自動運転技術開発企業であるクルーズと、米国の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(GM)、そして日本の自動車メーカーであるホンダが共同開発した自動運転タクシーです。2026年初頭に東京都心部でサービス開始予定で、これは日本国内初の自動運転タクシーの商用化となります。
概要
- 車種:自動運転タクシー
- 乗車定員:6名(3人+3人)
- 運転席:なし
- 航続距離:約200km
- 最高速度:時速100km
- 車両重量:約2.5トン
- 寸法:全長5,940mm x 全幅2,200mm x 全高2,500mm
- 価格:非公開
特徴
- 完全自動運転による移動を実現
- 運転席がなく、6名乗車可能で、広い車内空間を確保
- 車両はホンダが開発した専用プラットフォーム「Cruise Origin Platform」を使用
- 高度な自動運転技術により、安全で快適な移動を提供
- 様々なサービスに対応可能で、ビジネスシーンや観光客の移動などにも利用できる
主な用途
- タクシー
- 送迎
- 観光客向け移動
- デリバリー
- その他、様々な用途に利用できる
メリット
- 運転手の負担軽減
- 交通事故の減少
- 渋滞緩和
- 効率的な移動
- 新たなビジネスモデルの創出
デメリット
- 技術的な課題
- 法規制の整備
- 倫理的な問題
- 雇用の喪失
- 公共交通機関への影響
導入事例
- 米国サンフランシスコで試験運行中
- 今後、日本を含む世界各国での導入が予定されている
評価
クルーズ・オリジン(タクシー型)は、自動運転技術の革新と、交通システムの変革を担う可能性を秘めた画期的な技術です。一方で、技術的な課題や法規制の整備など、克服すべき課題も山積しています。今後、これらの課題をどのように克服していくかが、自動運転タクシーの普及にとって重要な鍵となるでしょう。
補足
- クルーズ・オリジン(タクシー型)は、自動運転レベル4に相当する技術を搭載しており、特定の条件下でのみ自動運転が可能となります。
- 自動運転タクシーの普及には、社会全体の理解と協力が必要となります。
トヨタ自動車 シエナ(タクシー型)
トヨタ自動車は、北米で販売されているミニバン「シエナ」をベースとしたタクシー車を開発し、2021年秋から米ミシガン州で実証実験を開始しました。このタクシー車は、自動運転技術を搭載した「S-AM」と、従来の運転手による運転を行う「S-TA」の2種類が用意されています。
概要
- 車種:ミニバン型タクシー
- 乗車定員:最大7名
- 運転席:あり(S-TAモデルのみ)
- 航続距離:約500km(ハイブリッド車の場合)
- 最高速度:時速100km
- 車両重量:約2.2トン
- 寸法:全長5,175mm x 全幅1,995mm x 全高1,810mm
- 価格:非公開
特徴
- 広々とした車内空間と快適な乗り心地
- 豊富なオプション装備で、ニーズに合わせたカスタマイズが可能
- 自動運転技術を搭載した「S-AM」モデルは、安全で効率的な移動を実現
- 従来の運転手による運転を行う「S-TA」モデルも用意
主な用途
- タクシー
- 送迎
- 観光客向け移動
- デリバリー
- その他、様々な用途に利用できる
メリット
- 運転手の負担軽減
- 交通事故の減少
- 渋滞緩和
- 効率的な移動
- 新たなビジネスモデルの創出
デメリット
- 技術的な課題
- 法規制の整備
- 倫理的な問題
- 雇用の喪失
- 公共交通機関への影響
導入事例
- 米国ミシガン州で実証実験中
- 今後、米国内での商用化を目指している
評価
トヨタ自動車 シエナ(タクシー型)は、自動運転技術と快適な車内空間を兼ね備えた、次世代のタクシーとして注目されています。実証実験の結果に基づいて技術を磨き、法規制の整備や倫理的な問題の解決などを進めていけば、将来的に広く普及していく可能性を秘めていると言えるでしょう。
補足
- トヨタ自動車 シエナ(タクシー型)は、自動運転レベル4に相当する技術を搭載しており、特定の条件下でのみ自動運転が可能となります。
- 自動運転タクシーの普及には、社会全体の理解と協力が必要となります。