車検後に「A4の紙」が来ない理由|自動車検査証記録事項の配布終了を登録業務関係者が手続き別に全解説

業務

【2026年最新】車検証と一緒の「A4の紙」はなぜ消えた?
記録事項がもらえる手続き・もらえない手続き早見表

車検が終わったのに、以前は届いていた「A4サイズの紙」が今回は入っていない。新しくなった小さな車検証を見ても、所有者の名前も住所も、車検の満了日さえ書いていない。

2026年に入ってから、こうした戸惑いの声が増えています。

その「A4の紙」の正式名称は**「自動車検査証記録事項」**です。2023年1月に車検証が電子化されてから補助的に配られてきましたが、2025年12月末をもって、継続検査(いわゆる車検)では運輸支局の窓口での配布が終了しました。

一方で、新車や中古車の登録、名義変更など、今でも窓口で受け取れる手続きがあります。この線引きが十分に知られていないため、業界の現場でも一般のユーザーの方でも混乱が起きています。

この記事では、日々運輸支局の窓口に通っている業界関係者の立場から、次の点を国土交通省の公表情報に基づいて整理します。

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  1. 結論:継続車検では「2025年12月末」で配布終了。名義変更などは2027年12月末まで
      1. 終わったのは「紙の配布」だけ。車検証の効力は変わりません
    1. そもそも「自動車検査証記録事項」とは何か
      1. 電子車検証の券面に「載っている情報」と「載っていない情報」
        1. 券面に記載される主な情報
        2. 券面に記載されず、ICタグのみに記録される情報
      2. なぜ「変わる情報」を券面から外したのか
      3. 記録事項は「車検証ではない」——法的な位置づけ
      4. 記録事項に記載されている主な内容
    2. なぜ発行されなくなったのか——経緯を時系列で整理
      1. 2019年(令和元年)5月:道路運送車両法の改正
      2. 2022年5月:省令の公布と委託制度の受付開始
      3. 2023年1月:登録車の電子化スタートと「最低3年間」の約束
      4. 2024年1月:軽自動車も電子化
      5. 2024年4月:運輸支局に「記録事項の印刷端末」を設置
      6. 2025年12月末:継続検査での窓口配布が終了
      7. 2027年12月末:残る手続きでも配布終了予定
      8. 2028年1月以降:印刷端末も終了予定
      9. 時系列のまとめ
      10. 配布終了の背景にある国の考え方
    3. ディーラーや整備工場で「ある時期から」出なくなった本当の理由
      1. 理由①:運輸支局の窓口配布そのものが終了した
      2. 理由②:記録等事務代行(継続検査OSS)で、そもそも支局の窓口を通らなくなった
        1. 特定記録等事務とは
        2. 特定変更記録事務とは
        3. 「事務所に戻ってから出力する」運用の正体
      3. そもそも継続検査では「車検証が新しく発行されない」
    4. 【ケース別】記録事項が発行される手続き・発行されない手続き
      1. ケース別早見表(登録車・運輸支局の窓口で手続きした場合)
      2. 新車新規登録
      3. 中古車新規登録
      4. 継続検査(いわゆる車検)
      5. 移転登録(名義変更)
      6. 変更登録(住所変更など)
      7. 番号変更
      8. 登録事項等証明書の交付
      9. 抹消登録(一時抹消・永久抹消)
      10. OSS・記録等事務代行を利用した場合
    5. 一般ユーザーにも記録事項は発行されないのか
      1. ユーザー車検でも取り扱いは同じです
      2. 新車・中古車の購入や名義変更では、2027年末まで受け取れます
      3. 記録事項を手に入れる3つの方法
        1. 方法1:車検証閲覧アプリで出力する(最もおすすめ)
        2. 方法2:運輸支局等の印刷端末で印刷する(2027年12月末まで)
        3. 方法3:車検や手続きを依頼した事業者に相談する
    6. 民間車検場や検査員のいない工場ではどうなるのか
      1. 「民間車検場」とは指定整備工場のこと
      2. 検査員のいない工場は「認証工場」
      3. 紙の車検証のままの車は、工場内で更新できない
      4. 工場の種類別まとめ
    7. 軽自動車は別ルール——軽自動車検査協会の取り扱い
    8. 記録事項が必要になる主な場面
      1. 記録事項の提出を求められる主な手続き
  2. 業界関係者からのアドバイス
      1. 電子車検証の「4桁のセキュリティコード」は必ず控えておく
      2. 「A4の紙がない」と焦らない
      3. 紙の記録事項は「最新」とは限らない
      4. 2028年に向けて「アプリで出せる体制」を整えておく
  3. よくある質問
      1. Q. 2026年に車検を受けたのに、A4の紙が入っていませんでした。手続きの漏れですか?
      2. Q. 記録事項がなくても車に乗って大丈夫ですか?
      3. Q. 新車を買ったときにはもらえましたが、今後ももらえますか?
      4. Q. スマートフォンを持っていない場合はどうすればいいですか?
      5. Q. 軽自動車も同じルールですか?
      6. Q. 記録事項をなくしてしまいました。再発行の手続きは必要ですか?
  4. まとめ
    1. 参考資料

結論:継続車検では「2025年12月末」で配布終了。名義変更などは2027年12月末まで

最初に結論をお伝えします。

国土交通省は、自動車検査証記録事項(以下「記録事項」)の窓口配布を2段階で終了すると公表しています。

区分対象となる手続き窓口配布の終了時期
第1段階検査手続きのうち、電子車検証の券面の記載事項に変更がないもの(代表例:継続検査=車検)2025年12月末で終了済み
第2段階上記以外の手続き(新規登録、名義変更など)2027年12月末で終了予定

運輸支局の窓口に掲示された国土交通省のお知らせでは、継続検査での配布は令和7年12月26日(年内最終業務日)までと案内されていました。

ポイント
2026年1月以降に車検を受けた方に記録事項が届かないのは、手続きの漏れではありません。国の方針どおりの正常な取り扱いです。

終わったのは「紙の配布」だけ。車検証の効力は変わりません

誤解されやすいので強調しておきます。終了したのは、あくまで補助書面である記録事項の窓口配布です。

  • 車検証(電子車検証)そのものは、これまでどおり有効です
  • 有効期間や所有者情報は、電子車検証のICタグにきちんと記録されています
  • 記録事項は、必要なときに自分で出力・印刷する書類へと位置づけが変わりました

そもそも「自動車検査証記録事項」とは何か

なぜこの書類が生まれ、なぜ役目を終えつつあるのかを理解するには、電子車検証の仕組みを押さえておく必要があります。

電子車検証の券面に「載っている情報」と「載っていない情報」

2023年1月4日から、登録車(普通車・小型車など)の車検証はICタグ付きの電子車検証に切り替わりました。サイズは縦105mm×横177.8mmで、従来のA4から大幅に小さくなっています。

券面には、継続検査や変更登録をしても変わらない基礎的な情報だけが記載されます。

券面に記載される主な情報
  • 自動車登録番号(ナンバー)
  • 車台番号
  • 車名・型式、原動機の型式
  • 使用者の氏名または名称
  • 長さ・幅・高さ、車両重量・車両総重量
  • 乗車定員・最大積載量
  • 燃料の種類、総排気量または定格出力
  • 初度登録年月(初度検査年月)
  • 車両識別符号(車両ID):電子化に伴い付与された、車両ごとに変わらない番号
  • 交付年月日 など
券面に記載されず、ICタグのみに記録される情報
  • 自動車検査証の有効期間(車検満了日)
  • 所有者の氏名・住所
  • 使用者の住所
  • 使用の本拠の位置

つまり、車検のたびに変わる満了日や、名義変更・引っ越しで変わる住所といった「変わりうる情報」は、券面から外されてICタグに移されたのです。

なぜ「変わる情報」を券面から外したのか

これが電子化の最大の狙いです。

  • 車検の満了日や住所を券面に印字していると、変わるたびに車検証を作り直す必要があります
  • ICタグにだけ記録しておけば、中身を書き換えるだけで手続きが完了します
  • 書き換えをオンライン申請と組み合わせれば、運輸支局へ出向かずに車検証を更新できるようになります

国土交通省は電子化の当初から、ICタグの書き換えだけで済む手続き(オンライン申請に限る)について、運輸支局への出頭を不要にできると説明していました。

記録事項は「車検証ではない」——法的な位置づけ

券面から多くの情報が消えたため、「中身を紙で確認したい」という需要に応える補助書面として作られたのが記録事項です。ICタグの中身を含め、従来の紙の車検証とほぼ同じ情報がA4用紙に印字されています。

ただし、法的な位置づけははっきりしています。

ポイント
記録事項には、車検証のように車両の運行時に備え付ける義務はありません。車に積んでおく必要があるのは、あくまで電子車検証の原本です。

記録事項に記載されている主な内容

記録事項の様式は大きく4つの区分で構成されています。

  1. 基本情報:登録番号、車台番号、登録年月日・交付年月日、初度登録年月、有効期間の満了する日 など
  2. 所有者・使用者情報:所有者の氏名・住所、使用者の氏名・住所、使用の本拠の位置
  3. 車両詳細情報:車名、型式、種別、用途、車体の形状、乗車定員、各重量・軸重、寸法、原動機、燃料 など
  4. 備考:手続きの種別、自動車重量税額 など

所有者と使用者が同じ場合は、使用者欄が「***」と表示されます。各種申請で「使用者が申請者であること」を確認する際によく見落とされる点です。

なぜ発行されなくなったのか——経緯を時系列で整理

ここからは、記録事項の配布終了に至るまでの流れを時系列で追っていきます。

2019年(令和元年)5月:道路運送車両法の改正

出発点は、2019年5月の道路運送車両法の改正(令和元年法律第14号)です。この改正で、次の2点が決まりました。

  • 自動車検査証の電子化(ICカード化)
  • ICタグへの記録事務を、国が一定の要件を満たす民間事業者へ委託する制度(記録等事務委託制度)の創設

背景には、オンライン申請(OSS)の普及の遅れがありました。改正時の国の資料では、平成29年度のOSS利用率は新車新規登録で約31%に対し、**継続検査ではわずか1.9%**にとどまっていました。オンラインで申請しても、最後は紙の車検証を受け取りに運輸支局へ行かなければならない。この「最後の出頭」がネックになっていたのです。

2022年5月:省令の公布と委託制度の受付開始

2022年5月20日に、電子車検証の券面記載事項やICタグの記録事項、記録等事務の委託手続きなどを定めた省令が公布されました。委託の申請受付は5月23日から始まっています。

2023年1月:登録車の電子化スタートと「最低3年間」の約束

2023年1月4日、登録車で電子車検証の交付が始まりました。同時に、ICタグの内容をスマートフォンやパソコンで閲覧し、PDFで出力できる**「車検証閲覧アプリ」**の提供も始まっています。

ただし、スマートフォンやパソコンを持たない方、ICタグを読み取る環境がない方への配慮が必要でした。そこで国は、電子化の運用開始から最低3年間は、電子車検証の交付時・更新時に記録事項を窓口で交付するという経過措置を設けました。

2024年1月:軽自動車も電子化

1年遅れて、2024年1月から軽自動車(検査対象軽自動車)でも電子車検証の交付が始まりました。軽自動車の記録等事務委託制度も同じ時期に導入されています。

2024年4月:運輸支局に「記録事項の印刷端末」を設置

2024年4月からは、各運輸支局・自動車検査登録事務所の窓口付近に、記録事項を自分で印刷できる専用端末が設置されました(鳥取運輸支局、厳原自動車検査登録事務所を除く)。

窓口で配る方式から、利用者が必要なときに自分で出す方式へ。この時点で、移行の準備は着々と進んでいたことになります。

2025年12月末:継続検査での窓口配布が終了

当初の「最低3年間」の区切りとなる2025年12月末をもって、券面の記載事項に変更がない検査手続き(継続検査など)での窓口配布が終了しました。

2027年12月末:残る手続きでも配布終了予定

新規登録や名義変更など、それ以外の手続きでも2027年12月末で窓口配布を終えると国は公表しています。

2028年1月以降:印刷端末も終了予定

さらに、運輸支局等に設置された印刷端末も2027年12月末までの運用とされています。2028年1月以降は、記録事項の入手は基本的に車検証閲覧アプリが中心になる見通しです。

時系列のまとめ

時 期出来事
2019年5月道路運送車両法改正(車検証電子化・記録等事務委託制度の創設)
2022年5月省令公布、記録等事務の委託申請受付開始
2023年1月登録車の電子車検証交付開始、車検証閲覧アプリ提供開始、記録事項の補助交付開始
2024年1月軽自動車の電子車検証交付開始
2024年4月運輸支局等に記録事項の印刷端末を設置
2025年12月末券面変更のない検査手続き(継続検査など)で窓口配布終了
2027年12月末その他の手続きでも窓口配布終了予定、印刷端末の運用も終了予定

配布終了の背景にある国の考え方

記録事項は、もともと**電子車検証と車検証閲覧アプリが普及するまでの「つなぎ」**として位置づけられていました。

国の考え方を整理すると、次のようになります。

  • 車検証の情報の「正本」はICタグの中にある
  • 紙の記録事項は、あくまで確認しやすくするための補助
  • アプリや印刷端末という代わりの手段が整った以上、窓口で一律に配る必要性は薄れた

特に継続検査は、ICタグの有効期間を書き換えるだけで済む手続きです。そこで紙を配り続けると、電子化の効果である手続きの簡素化と出頭不要化を自ら打ち消すことになります。まず継続検査から配布を終えたのは、制度の趣旨から見て自然な流れといえます。

ディーラーや整備工場で「ある時期から」出なくなった本当の理由

業界内でよく聞かれるのが、「2025年末より前から、うちでは記録事項が出なくなっていた」という声です。これには、2つの異なる理由が重なっています。

理由①:運輸支局の窓口配布そのものが終了した

1つ目は、ここまでご説明した2025年12月末の配布終了です。運輸支局の窓口で継続検査の手続きをしている限り、2026年1月以降は記録事項を受け取れません。

理由②:記録等事務代行(継続検査OSS)で、そもそも支局の窓口を通らなくなった

2つ目の理由は、より構造的なものです。2023年1月の電子化とともに始まった**「記録等事務代行制度」を導入している事業者では、継続検査の手続きが運輸支局の窓口を経由しない**流れに変わっています。

特定記録等事務とは

継続検査をOSS(オンライン)で申請し、国の審査を経たうえで、電子車検証のICタグへの記録(有効期間の書き換え)と検査標章(ステッカー)の印刷を、事業者自身が行う仕組みです。

委託を受けられるのは、主に次の事業者です。

  • 指定自動車整備事業者
  • 行政書士・行政書士法人
  • 日本自動車販売協会連合会
  • 日本自動車整備振興会連合会
  • 全国軽自動車協会連合会(検査対象軽自動車のみ)
特定変更記録事務とは

変更登録や移転登録のうち、電子車検証の券面の変更を伴わないものについて、OSSで申請し、ICタグの書き換えを事業者自身が行う仕組みです。

「事務所に戻ってから出力する」運用の正体

この制度では、国が審査して記録の更新を認め、事業者が国の提供する専用アプリで手元の電子車検証のICタグを書き換えます。つまり、運輸支局の窓口で書類を受け取るという場面が、手続きの流れの中にそもそも存在しません。

従来の継続検査では、次のような流れでした。

  1. 保安基準適合証を発行する
  2. 運輸支局へ出向く
  3. 新旧の車検証を交換する
  4. 記録事項を受け取る

代行制度では、次のように変わります。

  1. 保安基準適合証の発行とOSS申請
  2. 国から更新可能の通知
  3. 事務所でICタグを書き換え、検査標章を印刷

記録事項が必要な場合は、事業者側で車検証閲覧アプリなどを使って出力することになります。業界の現場で「ある時期から支局で受け取らなくなり、事務所で出力するようになった」と感じている方の多くは、この制度への移行がきっかけだと考えられます。

そもそも継続検査では「車検証が新しく発行されない」

もう1点、ユーザーの方に意外と知られていない事実があります。

電子車検証になってからの継続検査では、券面の記載事項が変わらない限り、電子車検証そのものは新しく交付されません。ICタグの中の有効期間が書き換えられるだけです。

ポイント
2026年以降の車検で「新しい車検証も、A4の紙も届かない」のは正常な状態です。手元の電子車検証の中身(ICタグ)が、すでに最新の有効期間に更新されています。新しい満了日は、フロントガラスの検査標章(ステッカー)か、車検証閲覧アプリで確認できます。

【ケース別】記録事項が発行される手続き・発行されない手続き

ここからが本題です。手続き別に、記録事項の取り扱いを整理します。

ケース別早見表(登録車・運輸支局の窓口で手続きした場合)

手続き電子車検証の扱い記録事項の窓口交付
新車新規登録新たに交付○ 2027年12月末まで
中古車新規登録新たに交付○ 2027年12月末まで
継続検査(車検)ICタグの更新のみ× 2025年12月末で終了
移転登録(名義変更)登録手続き○ 2027年12月末まで
変更登録(住所変更など)登録手続き○ 2027年12月末まで
番号変更登録番号が変わる○ 2027年12月末まで
登録事項等証明書の交付車検証の交付ではない対象外
一時抹消登録・永久抹消登録車検証は返納対象外
OSS・記録等事務代行で処理した手続き支局の窓口を経由しない窓口での交付なし(事業者側で出力)

補足
国の公表している区分は、「検査手続きのうち、券面の記載事項に変更のないもの(2025年12月末終了)」と「それ以外の手続き(2027年12月末終了)」の2つだけです。上記以外の個別の手続き(構造等変更検査、記載変更など)の扱いは、管轄の運輸支局へご確認ください。

ここから、各手続きを詳しく見ていきます。

新車新規登録

新車を初めて登録する手続きです。電子車検証が新たに作られるため、2027年12月末までは窓口で記録事項が交付されます。

新車の納車時に、電子車検証と一緒にA4の記録事項を受け取った方も多いでしょう。新車購入時の書類一式に記録事項が入っているのは、現時点では通常の取り扱いです。

ただし、新車新規登録は2005年からOSSの対象になっており、販売店がOSSで手続きしている場合も多くあります。手続きの経路によって受け取り方は変わりうるので、記録事項が見当たらない場合は、まず購入先に確認するのが確実です。

中古車新規登録

一度抹消登録された中古車を、改めて登録する手続きです。新車と同様に電子車検証が新たに交付されるため、2027年12月末までは窓口で記録事項が交付されます。

一時抹消していた車を再び使う場合や、輸入中古車を登録する場合などが該当します。

継続検査(いわゆる車検)

2025年12月末で窓口配布が終了しました。 今回の記事のテーマで、最も多くの方が該当するケースです。

  • 継続検査では、ICタグの有効期間が書き換えられるだけです
  • 電子車検証の券面は変わらないため、新しい車検証も交付されません
  • その結果、記録事項も窓口では配られなくなりました

これは、ディーラー、整備工場、ユーザー車検のいずれで受けた場合も同じです。

移転登録(名義変更)

車の所有者が変わる手続きです。売買や譲渡、相続などで発生します。

移転登録は「検査手続き」ではなく「登録手続き」です。国の区分では「それ以外の手続き」に当たるため、2027年12月末までは窓口で記録事項が交付されます。

ただし、記録等事務代行(特定変更記録事務)を利用し、券面の変更を伴わない移転登録をOSSで行った場合は、窓口を経由しません。

変更登録(住所変更など)

引っ越しによる所有者の住所変更、氏名の変更(結婚など)、使用の本拠の位置の変更などの手続きです。

これも「登録手続き」なので、2027年12月末までは窓口で記録事項が交付されます。

ここで注意したいのは、住所は電子車検証の券面に印字されていない点です。住所だけの変更であれば、券面の見た目は変わらず、ICタグの中だけが書き換わることがあります。手元の車検証を見て「何も変わっていない」と感じても、中身は更新されています。

ポイント
変更登録は、変更があった日から15日以内に申請する義務があります(道路運送車両法第12条)。電子車検証の券面に住所が出ないからといって、手続きを忘れないようご注意ください。

番号変更

管轄が変わる引っ越しや希望番号への変更などで、ナンバー(自動車登録番号)が変わる手続きです。登録番号は券面の記載事項なので、2027年12月末までは窓口で記録事項が交付されます。

登録事項等証明書の交付

登録事項等証明書は、車検証とは別に、自動車登録ファイルに記録された内容を証明する書類です。中古車の登録内容の確認や、各種手続きの添付書類として使われます。

この手続きは車検証を交付・更新するものではないため、記録事項の交付の対象にはなりません。必要な登録情報は、証明書そのものに記載されています。

抹消登録(一時抹消・永久抹消)

一時抹消登録(一時的に使用を中止する)や永久抹消登録(解体などで使用を終える)の手続きです。

抹消登録では、電子車検証は返納するものであり、新しく交付されるものではありません。そのため、記録事項の交付の対象にはなりません。

一時抹消登録をすると、車検証の代わりに一時抹消登録の事実を証明する書類(登録識別情報等通知書など)が交付されます。再び使う際は、前述の「中古車新規登録」の手続きを行います。

OSS・記録等事務代行を利用した場合

ここまでの○×は、あくまで運輸支局の窓口で手続きした場合の話です。

記録等事務代行の委託を受けた事業者が、継続検査や券面変更を伴わない変更登録・移転登録をOSSで処理した場合は、支局の窓口を通りません。そのため、記録事項が窓口で手渡される機会はありません。必要に応じて、事業者側で車検証閲覧アプリなどから出力することになります。

一般ユーザーにも記録事項は発行されないのか

「業界の事情は分かったが、自分で手続きした場合はどうなるのか」という疑問にお答えします。

ユーザー車検でも取り扱いは同じです

記録事項の配布終了は、手続きの種類によって決まるルールです。手続きを誰が行ったかは関係ありません。

運輸支局に自分で車を持ち込んで受けるユーザー車検でも、2026年1月以降の継続検査では、窓口で記録事項は配られません。

新車・中古車の購入や名義変更では、2027年末まで受け取れます

新規登録、名義変更、住所変更、番号変更などの手続きであれば、窓口で手続きする限り、2027年12月末までは記録事項が交付されます。

記録事項を手に入れる3つの方法

手元に記録事項がない場合でも、必要になれば自分で入手できます。

方法1:車検証閲覧アプリで出力する(最もおすすめ)

国土交通省が無料で提供している**「車検証閲覧アプリ」**を使えば、いつでも記録事項のPDFを出力できます。窓口で配られていたものと同じ内容です。

<下記画像よりインストールサイトへ>

用意するもの

  • 電子車検証の原本
  • NFC(IC読み取り機能)対応のスマートフォン(タブレットはAndroid端末のみ対応)
  • パソコンの場合は、汎用のICカードリーダー
  • 電子車検証に記載されている4桁のセキュリティコード

出力の流れ

  1. スマートフォンまたはパソコンに「車検証閲覧アプリ」をインストールします
  2. アプリの指示に従ってセキュリティコードを入力し、電子車検証のICタグを読み取ります
  3. 車検証情報が表示されたら、記録事項のPDF出力機能を選びます
  4. 保存したPDFを、自宅のプリンターやコンビニのネットプリントなどで印刷します

ポイント
2028年1月以降は、運輸支局の印刷端末も終了予定です。今のうちにアプリを入れて、一度読み取りを試しておくことを強くおすすめします。

方法2:運輸支局等の印刷端末で印刷する(2027年12月末まで)

各運輸支局・自動車検査登録事務所の窓口付近に、記録事項の印刷端末が設置されています(鳥取運輸支局、厳原自動車検査登録事務所を除く)。

  • 電子車検証の原本を持参します
  • 端末にセキュリティコードを入力し、車検証をリーダーにかざして読み取ります
  • その場で紙の記録事項が印刷されます

スマートフォンやパソコンでの操作に不安がある方には便利な方法ですが、2027年12月末までの運用予定である点にご注意ください。

方法3:車検や手続きを依頼した事業者に相談する

ディーラーや整備工場、行政書士などに車検や登録を依頼している場合は、依頼先に相談するのも一つの方法です。業務の中で記録事項を出力する環境を整えている事業者も多いので、必要な事情を伝えてみてください。

民間車検場や検査員のいない工場ではどうなるのか

「どこで車検を受けたか」によって、記録事項の受け取り方がどう違うのかも整理しておきます。

「民間車検場」とは指定整備工場のこと

一般に「民間車検場」と呼ばれるのは、国から指定を受けた**指定自動車整備事業者(指定工場)**です。

  • 工場内に検査ラインを持っています
  • 国家資格を持つ自動車検査員が在籍しています
  • 検査員が保安基準への適合を確認し、保安基準適合証を発行できます
  • 適合証があれば、車両を運輸支局に持ち込まずに継続検査を受けられます

指定工場は記録等事務代行の委託を受けられる事業者の代表です。代行制度を導入している指定工場では、継続検査のICタグ更新まで工場内で完結するため、記録事項が支局の窓口で手渡されることはありません。

検査員のいない工場は「認証工場」

一方、自動車検査員が在籍していない整備工場は、一般に認証工場と呼ばれます。

  • 国の認証を受けて分解整備(特定整備)を行うことはできます
  • ただし、保安基準適合証を発行する権限はありません
  • そのため継続検査では、整備した車両を**運輸支局の検査場へ持ち込んで検査を受ける(持込検査)**必要があります

持込検査は、運輸支局の検査ラインで国の検査を受ける手続きです。記録事項の取り扱いはユーザー車検と同じになり、2026年1月以降の継続検査では窓口で配られません。

紙の車検証のままの車は、工場内で更新できない

記録等事務代行は、電子車検証が交付されている車が対象です。2022年以前に交付された紙の車検証のままの車は、代行の委託を受けた工場であっても工場内でICタグを更新できません。運輸支局へ出向いて、電子車検証への切り替えを受ける必要があります。

紙の車検証の車も、次の継続検査などを機に電子車検証へ切り替わっていきます。

工場の種類別まとめ

工場の種類自動車検査員継続検査の流れ記録事項(2026年以降の継続検査)
指定工場(代行制度あり)在籍適合証発行→OSS→工場内でICタグ更新窓口交付なし(事業者側で出力)
指定工場(代行制度なし)在籍適合証発行→運輸支局で更新手続き窓口配布終了
認証工場不在運輸支局へ持込検査窓口配布終了
ユーザー車検―運輸支局へ持込検査窓口配布終了

軽自動車は別ルール——軽自動車検査協会の取り扱い

ここまでの内容は、運輸支局等で手続きする登録車についてのものです。軽自動車の検査や車検証の交付は、運輸支局ではなく軽自動車検査協会が行っています。

  • 軽自動車の電子車検証は、2024年1月から交付が始まりました
  • 軽自動車検査協会は、電子化から少なくとも3年間は、電子車検証の交付時・更新時に記録事項を窓口で渡すと案内しています
  • 軽自動車検査協会の窓口付近にも、記録事項を確認できる専用端末が設置されています

軽自動車の記録事項の配布終了時期については、軽自動車検査協会の最新の案内をご確認ください。車検証閲覧アプリは軽自動車にも対応しているので、記録事項が必要な場合はアプリで出力できます。

記録事項が必要になる主な場面

窓口で配られなくなっても、記録事項そのものが不要になったわけではありません。電子車検証の券面だけでは所有者や住所、有効期間を確認できないため、記録事項の提出を求める手続きは今も多く残っています。

記録事項の提出を求められる主な手続き

  • 自動車税(種別割)・環境性能割の申告:
    自治体によっては、税申告の際に電子車検証の原本とあわせて記録事項の提示を求めています
  • 軽自動車税の申告:
    記録事項がないと窓口でICタグの読み取りが必要になり、手続きに時間がかかる場合があります
  • ETCコーポレートカードの申請:
    電子車検証やそのコピーでは受け付けられず、A4の記録事項の提出が必要とされています
  • 緊急自動車・道路維持作業用自動車の届出:
    使用者の住所などを確認するため、記録事項の写しが必要です
  • 各種補助金・給付金の申請:
    車両の所有者・使用者を確認するため、記録事項の添付を求められることがあります
  • 建設業の経営事項審査:
    保有車両の確認資料として記録事項を求める自治体があります

ポイント
提出先によっては「いつ時点の記録事項か」を指定されることがあります。基準日以降に車検や変更登録をした場合は、その前後どちらの情報が必要かを提出先に確認してください。

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業界関係者からのアドバイス

最後に、日々の窓口業務で感じていることを踏まえて、いくつかアドバイスをお伝えします。

電子車検証の「4桁のセキュリティコード」は必ず控えておく

記録事項の出力には、アプリでも印刷端末でもセキュリティコードが必要です。電子車検証の原本を確認し、どこに記載されているかを一度確かめておいてください。

「A4の紙がない」と焦らない

車検後に記録事項が見当たらなくても、慌てる必要はありません。

  • 車検の効力は、電子車検証のICタグに記録されています
  • 運行時に車に積んでおく義務があるのは電子車検証の原本だけです
  • 記録事項は、必要になったときにいつでも出力できます

紙の記録事項は「最新」とは限らない

記録事項には、出力した時点の情報が印字されています。住所変更や車検の後に古い記録事項をそのまま提出すると、情報が食い違うことがあります。提出する際は、最新の状態で出力し直すのが確実です。

2028年に向けて「アプリで出せる体制」を整えておく

2027年12月末には、新規登録や名義変更での窓口配布も、運輸支局の印刷端末も終了する予定です。ご家族の車も含めて、車検証閲覧アプリで記録事項を出せる環境を今のうちに整えておくことをおすすめします。

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よくある質問

Q. 2026年に車検を受けたのに、A4の紙が入っていませんでした。手続きの漏れですか?

A. 漏れではありません。2025年12月末で、継続検査での記録事項の窓口配布は終了しています。また、継続検査では電子車検証のICタグが更新されるだけなので、新しい車検証も交付されません。新しい有効期間は、検査標章(ステッカー)か車検証閲覧アプリで確認できます。

Q. 記録事項がなくても車に乗って大丈夫ですか?

A. 問題ありません。記録事項には車両への備え付け義務はありません。車に積んでおく必要があるのは、電子車検証の原本です。

Q. 新車を買ったときにはもらえましたが、今後ももらえますか?

A. 新車新規登録や中古車新規登録、名義変更などの手続きでは、窓口で手続きする場合、2027年12月末までは交付される予定です。それ以降は窓口での配布が終了する予定です。

Q. スマートフォンを持っていない場合はどうすればいいですか?

A. 2027年12月末までは、運輸支局等の窓口付近にある印刷端末で印刷できます。電子車検証の原本を持参してください。パソコンとICカードリーダーがあれば、パソコン版のアプリでも出力できます。車検や手続きの依頼先に相談するのも一つの方法です。

Q. 軽自動車も同じルールですか?

A. 軽自動車は軽自動車検査協会の取り扱いになり、登録車とは別のルールです。配布終了の時期は、軽自動車検査協会の最新の案内をご確認ください。

Q. 記録事項をなくしてしまいました。再発行の手続きは必要ですか?

A. 再発行の手続きは不要です。車検証閲覧アプリで、いつでもPDFを出力できます。なくしたのが電子車検証の原本の場合は、運輸支局等で再交付の手続きが必要になるため、記録事項とは扱いが異なります。

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まとめ

電子車検証の補助書面として配られてきた「自動車検査証記録事項」は、役目を終えつつあります。最後に要点を整理します。

  • 継続検査(車検)では、2025年12月末で窓口配布が終了しました。
    ディーラー、整備工場、ユーザー車検のいずれでも同じです
  • 新規登録・名義変更・住所変更・番号変更などは、2027年12月末まで窓口で交付されます
  • 業界で「ある時期から出なくなった」のは、窓口配布の終了と、記録等事務代行(継続検査OSS)による支局の窓口を通らない手続きへの移行の2つが重なったためです
  • 継続検査では電子車検証そのものも新しく交付されません。
    ICタグの更新だけで手続きは完了しています
  • 検査員のいない認証工場での持込検査も、ユーザー車検と同じ扱いです
  • 記録事項は車検証閲覧アプリか、2027年12月末までは運輸支局の印刷端末で、いつでも自分で入手できます
  • 軽自動車は軽自動車検査協会の取り扱いになるため、最新の案内をご確認ください

車検証の電子化は、「紙を受け取りに窓口へ行く」時代から「必要な情報を必要なときに自分で取り出す」時代への転換です。2028年には窓口での配布も印刷端末もなくなる予定なので、今のうちに車検証閲覧アプリに慣れておくことが、これからのカーライフを快適にする近道です。

参考資料