新年度予算に惑わされるな!財政転換の「本当のタイムライン」を徹底解説
「高市政権は積極財政と言っているのに、なぜ今年の予算はこんなにも物足りないのか?」
4月以降、こんな疑問や批判の声がメディアを中心に広がることが予想されます。しかし、これは日本の予算制度を正確に理解していないことから生まれる「ミスリード」です。令和7年度(2025年度)予算は、高市政権が誕生するはるか以前──昨年12月までに、前自民党政権のもとで方針が固まっていたものです。
では、高市首相が目指す「真の積極財政」はいつ実現されるのか? 答えは明確です。令和9年度(2027年度)予算、そしてその方向性は2026年6月に始まる新たな予算サイクルによって決まります。
本記事では、日本の予算編成の仕組みを丁寧に解説しながら、高市政権が今まさに静かに、しかし着実に次なる財政転換の布石を打っている事実をお伝えします。
第1章 今なぜ「積極財政ではない」予算が審議されているのか

令和7年度予算の「正体」を知る
2026年4月から始まる令和7年度予算は、国会で現在急ピッチに審議が進められています。高市総理はこの予算を年度末(3月末)までに成立させるべく全力を尽くしていますが、この予算の中身そのものは、高市政権の積極財政路線を反映したものではありません。
なぜなら、この予算は2025年12月に前自民党政権(岸田政権)のもとで決定された「令和7年度税制改正大綱」および「予算編成大綱」に基づいて作成されたものだからです。予算の骨格はその段階ですでに確定しており、国会審議は「ゼロから議論する場」ではなく、法的に確認・承認する場です。
つまり、今国会で審議されている予算に「高市色」が薄いのは当然のことであり、批判すべき筋合いのものではありません。むしろ、制度的に見れば極めて正常な状態なのです。
メディアが報じない「制度の常識」
4月以降、一部のオールドメディアは「高市政権は積極財政を掲げながら、実際の予算は緊縮的だ」「公約と実態が乖離している」といった報道をする可能性が高い。しかし、この批判は日本の予算制度を知っていれば、まったく的外れであることがわかります。
日本の予算は「内閣が作成し、国会が議決する」という憲法上の仕組みに基づいていますが、その実質的な内容は毎年6月から翌年3月にかけての長いプロセスで決まります。今年度の予算がどの政権で作られたものかを正確に理解することが、メディアリテラシーの第一歩です。
第2章 日本の予算はこうして決まる──年間スケジュールの全体像
高市政権が目指す財政転換を正しく評価するためには、まず予算編成の年間スケジュールを理解する必要があります。以下に標準的なスケジュールをご紹介します。
| 時期 | 内容 | 主体・ポイント |
| 6月 | 骨太方針の決定 | 経済財政諮問会議・官邸 ★財政スタンスの方向性が決まる最重要時期 |
| 7〜8月 | 各省庁の概算要求 | 各省庁が財務省に予算を要求 |
| 9〜12月 | 財務省査定・政府内調整 | 財務省主計局・与党税調・官邸が政治判断 |
| 12月 | 予算編成大綱の決定 | 内閣が予算案の実質内容を確定 ★金額枠がほぼ固まる |
| 翌年1月 | 通常国会への予算案提出 | 内閣が国会に提出 |
| 1〜3月 | 国会審議・可決 | 衆参両院で審議・予算委員会での質疑 |
| 3月末 | 成立・4月1日施行 | 年度内成立が原則 |
「予算は6月に決まる」の意味
よく「日本の予算は6月に決まる」と言われます。これは、6月に閣議決定される「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)」が翌年度予算の根幹となる財政スタンスを定めるからです。ここで「積極財政か、財政再建か」という大方針が決まれば、その後の査定・編成プロセスはおおむねその方向に沿って進みます。
したがって、高市政権が本格的に財政路線を転換しようとするならば、その第一の勝負どころは2026年6月の「骨太方針2026」の決定です。そして12月の「令和8年度予算編成大綱」で方向性が確定し、令和9年度予算(2027年4月〜)として初めて積極財政が具現化されることになります。
第3章 高市政権の「積極財政」は令和9年度から──二段階構造を理解する
財政転換の「二段階構造」
日本の予算制度には、政権が変わっても財政路線がすぐには変わらないという「慣性」があります。これを「予算の二段階構造」と理解するとわかりやすいでしょう。
【第一段階:方針の転換】 2026年6月〜12月
骨太方針・概算要求・予算大綱という「方針の土台」を、高市政権の積極財政路線で塗り替える段階。ここで財政拡張の方向性を明確に打ち出すことが最初の目標です。
【第二段階:予算への反映】 令和9年度予算(2027年4月〜)
高市政権が主導した骨太方針と予算大綱に基づいて編成される初めての本格予算。防衛費、科学技術投資、物価高対策、地方活性化など、各分野での積極的な財政出動が初めて本格的に予算に組み込まれることになります。
補正予算という「即効性のある手段」
ただし、高市政権には令和9年度を待たずに財政政策を動かせる手段があります。それが「補正予算」です。
補正予算は当初予算の成立後、緊急の政策的必要性が生じた際に追加編成できる予算です。コロナ禍での給付金や経済対策、エネルギー価格高騰への対応なども、多くは補正予算によって実施されてきました。
高市政権が強力なリーダーシップを発揮する場合、令和7年度補正予算や令和8年度補正予算においても、積極財政的な政策を盛り込む可能性は十分にあります。とくに物価対策、中小企業支援、エネルギー安全保障、防衛力強化といった分野では、補正予算を活用した「先行投資」が行われる可能性があります。
第4章 すでに「布陣」は敷かれている──積極財政を推進する要人たちの配置
高市政権が積極財政に向けて本格的に動き出していることを示す最も重要な証拠の一つが、予算編成プロセスの「要所」に積極財政派の閣僚・要人を配置しているという事実です。
予算は「骨太方針→概算要求→査定→大綱→国会」という流れで決まりますが、それぞれのプロセスに影響力を持つ人物が誰であるかが、最終的な予算の中身を大きく左右します。以下に主要な会議体と、そこに配置されている積極財政推進派の人物・役割をご説明します。
① 経済財政諮問会議──骨太方針を決める「最高司令部」
経済財政諮問会議は内閣総理大臣が議長を務め、財政方針の大枠を決定する最も重要な会議体です。ここでの議論が「骨太方針」に直結し、翌年度予算の根幹を形成します。
高市首相が議長として積極財政の方向性を明示し、民間議員にも財政出動に前向きなエコノミストや産業界の人物を起用することで、従来の財政再建優先の議論から転換を図ることができます。「議長が変われば、会議の空気が変わる」——これが経済財政諮問会議の本質です。
② 内閣官房・経済安全保障担当──横断的な戦略の司令塔
内閣官房は各省庁横断的な政策調整を担う「官邸の司令塔」です。ここに積極財政・経済安全保障推進派の人材が配置されることで、個別省庁の査定段階においても「積極財政の視点」が貫かれるようになります。
とくに、半導体・エネルギー・防衛など経済安全保障に関連する分野は、積極的な財政支出の正当性が国際的にも認められつつある分野です。この分野を担当する官僚・補佐官に積極財政派が就くことは、予算の総額と配分の両面で大きな意味を持ちます。
③ 財務省との「新たな関係」──主計局への影響力
日本の予算において財務省主計局は絶大な影響力を持ちます。各省庁の概算要求を実際に査定するのが主計局であり、「財務省の壁」を突破できなければ予算は増えません。
高市政権はこの財務省との関係において、従来の「財政再建至上主義」に対して政治的な優位を確保しようとしています。過去に安倍政権がアベノミクスを推進する際も、財務省の抵抗を官邸主導で抑え込む場面がありましたが、それと同様の「官邸主導の予算編成」が再現されることが期待されます。
財務大臣ポストに誰が就くかはもちろん重要ですが、それ以上に注目すべきは副大臣・政務官・財務省内の局長級人事です。こうした「中間管理職」の人事が積極財政推進派で固められていれば、査定の現場レベルから変化が起きます。
④ 与党政調会・税制調査会──政治判断の最前線
自民党の政務調査会(政調会)および税制調査会(税調)は、予算編成において与党側の「最終防衛ライン」であり、政治的な圧力をかけられる最後の砦です。財務省が削ろうとした予算を、与党議員がここで守り抜くことも少なくありません。
高市政権下で政調会長・税調会長に積極財政派の議員が就任していれば、財務省からの圧力に対して政治的に対抗できる体制が整うことになります。逆に、この部分が財政再建派で固められていれば、骨太方針がいくら積極的でも、各論では縮減される恐れがあります。
「布陣」の重要性──誰が会議室に座るかが予算を決める
予算編成は「数字の積み上げ」であるとともに、「人と人の政治的交渉」です。どの会議体にどのような考えを持つ人物が座っているかが、最終的な予算の方向性を左右します。
高市政権が積極財政を実現しようとするとき、その鍵は「令和9年度予算の編成プロセスに関わるすべての会議体・ポスト」に、積極財政推進派の人物を配置しているかどうかにかかっています。そして現時点で見る限り、高市首相はその布陣を静かに、しかし着実に整えつつあると言えるでしょう。
第5章 令和9年度予算に向けた「積極財政ロードマップ」
では、高市政権が目指す積極財政が実現に向かうまでの具体的な道筋を整理しましょう。
【2026年4〜5月】令和7年度予算の成立と政権基盤の確立
まず高市総理は、前政権が作成した令和7年度予算を年度末までに成立させることに全力を注ぎます。この段階で「野党との正面対決を避けながら予算を通す」という政治的手腕が問われます。予算成立後、内閣支持率が維持されれば、次の骨太方針に向けた政治的余力が生まれます。
【2026年6月】骨太方針2026──真の財政路線転換の「号砲」
これが最初の正念場です。経済財政諮問会議で決定される「骨太方針2025」において、従来の「財政健全化路線」から「成長と投資を重視する積極財政路線」への転換が明示されれば、令和9年度予算に向けた扉が開かれます。
注目ポイントとしては、プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標の修正または緩和、防衛・科学技術・少子化対策などへの積極的な財政出動の明記、消費税減税・給付金などの需要喚起策の方向性が示されるかどうかが焦点となります。
この段階での骨太方針の文言が積極的であれば、後続のプロセスは「方針通りに進める」流れになります。逆に財政再建色が強ければ、令和9年度予算でも大きな変化は期待できません。
【2026年7〜8月】概算要求──各省庁が「積極的な要求」を出せるか
骨太方針で積極財政の方向性が示されれば、各省庁は従来より大胆な概算要求を提出できる環境が整います。とくに防衛省・文部科学省(科学技術)・厚生労働省(少子化対策)・経済産業省(産業政策)での要求額と、その内容が注目されます。
【2026年9〜12月】財務省査定と政治決着──積極財政派の真価が問われる
財務省主計局による査定が行われるこの時期が、積極財政派にとって最大の難関です。財務省は伝統的に歳出削減・財政規律を重視する立場であり、各省の要求をできる限り圧縮しようとします。
ここで与党政調会や官邸が「政治的圧力」をかけ、財務省の査定を覆すことができるかどうかが、積極財政の実現度を決定します。この過程での官邸・政調会・財務省の三つ巴の攻防は、日本の財政史においても大きな転換点となるかもしれません。
【2026年12月】令和8年度予算大綱──令和9年度へのリハーサル
12月に決定される令和8年度予算大綱は、高市政権が初めて主導する予算編成の結果です。令和9年度の「完全版」に先立つ「移行期の予算」として位置づけられますが、ここで積極財政の方向性がどれだけ反映されているかが、令和9年度予算の予告編となります。
【2027年4月〜】令和9年度予算──高市政権「積極財政」の本番
すべての準備が整った上で迎える令和9年度予算(2026年12月に大綱決定、2027年3月成立)が、高市政権が掲げる積極財政の「完成形」となります。防衛力の抜本的強化、科学技術・イノベーション投資の拡大、少子化対策・社会保障の充実、エネルギー安全保障のための投資——これらが予算の形として具体化されます。
第6章 読者へのメッセージ──メディアの「ミスリード」に惑わされないために
4月以降、テレビや新聞の報道では「高市政権の予算は積極財政と程遠い」「公約が実現されていない」という批判が繰り返されることが予想されます。しかし今回の解説を読んでいただいた方には、そうした批判がいかに的外れであるかがご理解いただけたと思います。
重要なのは以下の三点です。
政治は「今、目の前にあるもの」だけで評価されがちです。しかし、国家の財政政策は数年単位のスパンで動くものです。高市政権の積極財政が実現されるかどうかを判断する「本当のタイミング」は、2025年6月の骨太方針決定の瞬間から始まります。
その過程を一緒に見守り、正確に評価していきましょう。「今の予算が全てではない」——この視点を持ち続けることが、メディアリテラシーの時代における「賢い有権者」の条件です。
まとめ ──高市政権の積極財政ロードマップ早見表
| 時期 | イベント | 意味・注目点 |
| 2025年4月〜 | 令和7年度予算施行(前政権編成) | 高市政権の色は薄い。批判に惑わされるな |
| 2025年6月 | 骨太方針2025決定 ★最重要 | ここで積極財政への転換を明記できるか |
| 2025年7〜8月 | 令和8年度概算要求 | 各省が積極的な要求を出せるか |
| 2025年12月 | 令和8年度予算大綱 | 移行期予算・令和9年度の予告編 |
| 2026年1〜3月 | 令和8年度予算成立 | 国会での承認 |
| 2026年6月 | 骨太方針2026 | 積極財政の継続・深化 |
| 2026年12月 | 令和9年度予算大綱 ★本命 | 高市政権が本格主導する最初の大綱 |
| 2027年3月 | 令和9年度予算成立 | 積極財政の「完成形」 |
| 2027年4月〜 | 令和9年度予算施行 | 高市積極財政の本番! |
令和7年度予算を見て「高市政権は積極財政ではない」と早合点しないでください。本当の勝負は2026年6月から始まります。そして令和9年度予算こそが、高市政権の経済財政政策の真価を問う「本番の舞台」です。
ぜひこのブログを定期的にチェックして、骨太方針・概算要求・予算大綱の動向を一緒にウォッチしていきましょう。「予算の流れ」を知る者だけが、政治の本質を見抜くことができます。


