令和8年4月1日施行:道路運送車両法関係手数料令の改定:登録・車検・名義変更すべてに影響

自動車業界に関わる皆様、そして一般のマイカーオーナーの皆様にとって見過ごせない重要な変更が迫っています。令和8年(2026年)4月1日より、自動車の登録および検査(車検)にかかる法定手数料(印紙代等)が一律で引き上げられます。
今回の改定は、単なる数十円の微増にとどまらず、一部の手続きでは大幅な値上げとなります。自動車業界で日々の登録実務に携わる立場から、なぜ今このタイミングで手数料が変わるのか、そして現場の業務や一般消費者の家計にどのような影響を及ぼすのかを、他のどのサイトよりも詳しく・深くお伝えします。
2026年4月の手数料改定の背景と主な理由

今回の手数料改定は、2026年3月6日に閣議決定・3月11日に公布された「道路運送車両法関係手数料令の一部を改正する政令」に基づくものです。施行日は令和8年4月1日。年度末の繁忙期と重なるこのタイミングで、改定の必要性はどこにあったのでしょうか。主な理由は大きく3つに分けられます。
物価・人件費の上昇への対応
近年の人件費や物価高騰に伴い、登録・検査を行う施設や設備・機器の老朽化更新費用が増大しています。また、自動車検査登録情報処理システムを安定的に維持・運営するためのコストも増加の一途をたどっており、これらの実費増加分を手数料に適切に反映させることが不可避となりました。
物価上昇は家庭の食卓だけの問題ではありません。行政機関が安定したサービスを提供するためのインフラ維持コストもまた、年々増加しているのです。
型式指定申請に係る審査体制の抜本的強化
近年、自動車業界を根底から揺るがした「型式指定不正問題」──ダイハツを皮切りに、トヨタ・ホンダ・マツダ・スズキ・ヤマハ発動機と連鎖した一連の認証不正問題を受け、国土交通省は審査体制の抜本的な強化に着手しました。その強化に必要な実費を手数料に反映させる必要があります。
この不正問題については次のセクションで詳しく解説しますが、型式指定申請手数料は1件あたり8万円から16万円へと「倍増」しており、国が審査体制の構築にいかに重きを置いているかが如実に表れています。
行政手続きデジタル化推進という国の意思表示
今回の改定では、窓口(対面)申請の値上げ幅が電子申請(OSS)よりも大きく設定されています。これは単なるコスト反映にとどまらず、行政手続きのデジタル化(OSS推進)に向けた国の明確な意思表示でもあります。「手間もコストもかかる窓口申請から、効率的な電子申請へ移行してほしい」というメッセージが、この料金格差に込められているのです。
型式指定不正問題という「震源地」──業界の信頼を揺るがした事件の全貌
今回の手数料改定の背景を語る上で、絶対に避けて通れないのがこの問題です。型式指定申請における不正行為──その連鎖は、日本の自動車産業全体を巻き込む前代未聞のスキャンダルへと発展しました。
ダイハツの認証不正発覚から始まった「連鎖崩壊」
事の発端は2023年。ダイハツ工業において、型式認証業務の衝突試験における不正行為が発覚しました。衝突試験でエアバッグをタイマーで展開させたり、試験速度を改ざんして基準をクリアしているように見せかけるといった手法が明らかになり、第三者委員会の調査によってその不正はほぼ全車種に及ぶことが判明。2023年12月には国内外の全車種の出荷が停止される異常事態となりました。
2024年1月、国土交通省は特に悪質な不正が確認されたとしてダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース(トラック)、マツダ・ボンゴ(トラック)の3車種の型式指定を取り消し。型式指定が取り消されると、再取得するまで事実上の生産・販売停止となります。これは道路運送車両法第75条に基づく型式指定の取り消し処分であり、日本で2例目という歴史的な処分でした。
トヨタ・ホンダ・マツダ・スズキ・ヤマハへと波及
ダイハツ問題を受けて国土交通省は、型式指定を取得している自動車メーカー・装置メーカー等85社に対して調査・報告を指示。2024年5月末時点での報告結果として、トヨタ自動車・ホンダ・マツダ・スズキ・ヤマハ発動機の5社から不正行為が行われていたとの報告がありました。
📌 各社の主な不正内容
- トヨタ自動車:現行生産車3車種において歩行者保護試験での虚偽データ提出。過去生産車4車種では衝突試験での試験車両の不正加工等が判明。
- マツダ:現行生産車2車種で出力試験におけるエンジン制御ソフトの書き換え。
- ヤマハ発動機・ホンダ・スズキ:各社で衝突試験の不正加工や規定外の手順などが確認された。
国交省はこれら5社に対し立入検査を実施し、法に基づき厳正に対処。トヨタに対しては是正命令が発出されるとともに、1か月以内の再発防止策の報告と、その後の四半期ごとの実施状況報告が求められました。
「型式指定申請において不正を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為である」── 国土交通省・経済産業省 共同声明(2024年6月)
この一連の問題が、今回の手数料改定における審査体制強化コストの根拠となっています。国は「同じことを二度と繰り返させない」という強い意志を、型式指定申請手数料の倍増(8万円→16万円)という形で明示したのです。自動車業界に身を置く者として、この改定の重みを正確に受け止めてほしいと思います。
OSS申請と窓口申請で改定後の料金はどう変わる?一覧で比較

国は以前より「OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)」による電子申請を推奨しており、今回の改定でも「窓口申請よりもOSS申請の方が安い」という構図は維持されます。しかし、OSS申請であっても値上げ自体は避けられません。
登録手数料の新旧比較一覧
| 手続きの種類 | 窓口(現行) | 窓口(新) | OSS(現行) | OSS(新) | 窓口↑幅 | 改定後の差(窓口vsOSS) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 新車 新規登録 | 900円 | 1,300円 | 500円 | 700円 | +400円 | 600円 |
| 中古車 新規登録 | 700円 | 1,300円 | 700円 | 750円 | +600円 | 550円 |
| 移転登録(名義変更) | 500円 | 700円 | 500円 | 600円 | +200円 | 100円 |
| 変更登録(住所変更等) | 350円 | 500円 | 350円 | 450円 | +150円 | 50円 |
| 一時抹消登録 | 350円 | 500円 | 350円 | 450円 | +150円 | 50円 |
※上記は国土交通省の公表資料をもとに作成。手続きの種類や車両区分によって細かく異なる場合があります。正確な金額は国土交通省公式サイトまたは管轄の運輸支局でご確認ください。
以下、国交省の公開PDF内容です。下記リンク詳細も参照してください。


https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000369870.pdf
⚠️ 注目ポイント:中古車新規登録の値上げ幅が最大
中古車の新規登録(窓口申請)は現行700円から1,300円へと+600円(約86%増)と最大の上昇幅です。一方でOSS申請は700円→750円と+50円にとどまります。この極端な差は、中古車登録においてもOSS化を一気に推し進めようとする国の戦略を如実に反映しています。
OSSへの移行は「任意」から「実質義務」へ
窓口申請の上昇幅が大きく設定されていることで、特に新規登録関連ではOSSを利用するか否かで最大600円のコスト差が生じます。1台あたり数百円の差でも、月に数十〜数百台を扱う販売店や行政書士事務所にとっては、年間で数十万円規模の経費差になり得ます。これを機にOSSへの完全移行を検討する事業者が増えることは間違いありません。
車検・名義変更など、一般ユーザーに関わりの深い改定項目
一般のドライバーに最も影響を与えるのは、定期的に発生する「車検(継続検査)」と、譲渡・売買時の「名義変更(移転登録)」です。それぞれ具体的な金額を確認していきましょう。
車検(継続検査)の手数料改定
窓口で持込検査を行う場合の合計額(国・機構等への納付分)は以下のように引き上げられます。


指定整備工場(民間車検場)で受ける場合
指定整備工場(民間車検場)で車検を受け、保安基準適合証を提出する場合の手数料も、普通・小型車で現行1,800円から2,100円へ(+300円)と変更されます。いわゆる「ディーラー車検」や「民間車検」でも、法定費用の上昇分は避けられません。
💡 車検費用の全体像と今回の改定の位置づけ
車検にかかる費用は大きく3つに分かれます。
今回値上げされるのは法定費用の中の「検査手数料(印紙代)」部分です。なお、自動車重量税のエコカー減税(EV・PHVは免税、HVは燃費性能に応じて減税)は2026年4月30日まで適用されます。
各種証明書の再交付・証明書類の手数料

紛失や破損による手続きも値上げ対象です。思わぬタイミングで費用が発生する項目なので、頭に入れておきましょう。
| 手続きの種類 | 現行料金 | 改定後料金 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 車検証(自動車検査証)の再交付 | 350円 | 450円 | +100円 |
| 検査標章(ステッカー)の再交付 | 300円 | 400円 | +100円 |
| 登録事項等証明書(現在記録) | 300円 | 400円 | +100円 |
| 型式指定申請手数料 | 80,000円 | 160,000円 | +80,000円(倍増) |
AIRIS(自動車検査登録情報提供サービス)の利用料も改定
中古車購入時などに車両の履歴(前オーナー数・走行距離・事故歴等)を確認するために使われる「自動車検査登録情報提供サービス(AIRIS)」の利用料も、今回の政令改正に伴って変更されます。

| サービス種別 | 現行料金(1件あたり) | 改定後料金(1件あたり) |
|---|---|---|
| 情報提供サービス(所有者情報あり) | 6.66円 | 10円 |
| 情報提供サービス(所有者情報なし) | 3.33円 | 5円 |
| 閲覧サービス | 200円 | 300円 |
※一般財団法人自動車検査登録情報協会(AIRIA)公表資料より。自検協利用料に変更はない。
1件あたりの金額は小さいですが、中古車販売店や買取業者など、1日に何十件もAIRISを照会する事業者にとっては積み重ねで無視できない経費増になります。
業界現場への影響と課題──「印紙代値上げ」以上の打撃
自動車販売店や行政書士事務所など、登録実務を担う現場にとって、今回の改定は単なる「印紙代の値上げ」以上の負担となります。実務の最前線に立つ者として感じる課題を整理します。
「実費」増額による資金繰りへの影響
法定手数料はあくまで国に納める「実費」であり、代行業者の利益ではありません。しかし一時的に立て替える金額が増えるため、大量の登録を行う業者にとっては日々の資金管理の負担が増すことになります。月末の精算時に想定外のキャッシュフロー不足が生じるリスクも、特に小規模事業者では現実的な懸念事項です。
型式指定手数料の激増がメーカーの新車投入に与える影響
メーカー側にかかる型式指定の審査手数料が8万円から16万円へと倍増することは、巡り巡って車両本体価格への転嫁や、新型車の投入サイクルに影響を及ぼす懸念があります。特にモデルチェンジのサイクルが頻繁な軽自動車や廉価モデルでは、型式指定取得コストの増加が商品企画段階から計算に入ってくることになるでしょう。
🔍 業界人の視点:コスト転嫁の連鎖を読む
型式指定申請手数料の倍増は、一見するとメーカーだけの問題のように見えます。しかし実際には、審査のコストは商品開発費の一部として車両価格に織り込まれます。つまり消費者が最終的に購入する新車の価格にも、じわじわと影響が波及する可能性があるのです。「法定手数料の話だから自分には関係ない」では済まない、複合的なコスト増の連鎖がここには潜んでいます。
物流・フリートユーザーへの打撃
多数の社用車・商用車・トラックを保有する企業にとっては、1台あたりの値上げはわずかでも、保有台数分を合算すると無視できないコスト増となります。たとえば50台のフリートを持つ中規模企業が年1回車検を受けるとすれば、車検手数料だけでも年間+15,000円(300円×50台)の費用増です。さらに名義変更・各種証明書取得コストも合わせると、法人の年間コスト増はさらに膨らみます。
4月以降の業務現場の対策と実務ポイント


混乱を最小限に抑えるため、業務現場では以下のような対策が急務となります。年度末の繁忙期と重なる今、早めの準備が現場を守ります。
料金設計と見積システムの再構築
「登録諸費用」や「車検パック」などの料金設定を、2026年4月1日以降の申請分から新料金に切り替える必要があります。特に業者向けパック料金や名義変更セット料金は、法定費用が増額されることを前提に再設計が必要です。見積書・請求書フォーマットの改訂、POSシステムや会計ソフトのマスタ更新も忘れずに行いましょう。
OSS(電子申請)への完全移行の検討
窓口申請との価格差が広がるため、これまで以上にOSSの活用価値が高まります。コスト競争力を維持するためにも、電子申請へのシフトは実質的に不可欠です。まだOSSを活用していない事業者は、この機会に導入を前向きに検討することを強くお勧めします。
💻 OSSとは?
OSS(自動車保有関係手続のワンストップサービス)は、自動車の保有に関する手続き(登録・検査・保険・税金の納付など)を、インターネット上で一度に行えるサービスです。国土交通省が推進する行政のデジタル化の中核を担っており、運輸支局への出向不要で手続きが完結するため、時間・コスト双方のメリットがあります。
顧客への事前告知と説明準備
「なぜ高くなったのか?」という問い合わせに対し、「国による法定手数料の改定であること」を明確に説明できるよう、スタッフへの周知と案内資料の準備が必要です。「値上げ」という言葉に対する顧客の反応は多様ですが、「法定費用は業者の判断で変えられるものではない」という事実を丁寧に伝えることが、信頼維持の鍵となります。
3月末の「駆け込み申請」への対応
料金の適用基準は原則として「申請日」です。そのため3月末は旧料金での登録を希望するユーザーによる駆け込み需要と、それに伴う窓口の混雑が予想されます。スタッフの配置強化や予約管理の徹底、必要書類の事前確認など、繁忙期対策を早めに講じておくことが重要です。
⚠️ 年度またぎ案件に要注意
3月中に受付・準備を進めていても、運輸支局への実際の申請が4月1日以降になれば新料金が適用されます。期をまたぐ案件を抱えている場合は、顧客への事前説明と料金の再確認を必ず行いましょう。トラブルの種になりやすいポイントです。
一般消費者への影響:クルマの維持・取得コストはどう変わるか

一般の消費者にとっては、「クルマの維持・取得コストが確実に上がる」という一言に尽きます。ただし、2026年4月前後はほかにも自動車関連の税制が大きく動いており、全体像を把握することが重要です。
新年度に入って「値上げ」に対する質問や疑問に対するお客様からの意見に対し、適切にアドバイスができるように予備知識として押さえておきたい要件です!
購入時の諸費用が増える
新車・中古車を問わず、購入時の諸費用に含まれる登録手数料(印紙代)が数百円単位で上昇します。新車の新規登録(窓口)は900円→1,300円と400円の上昇、中古車の新規登録(窓口)は700円→1,300円と600円の上昇です。ディーラーや販売店が電子申請(OSS)を使っているかどうかによって顧客負担も変わるため、購入時に「どの方法で申請するか」を確認することも選択肢の一つです。
OSSはディーラーに於いて殆ど移行が完了していると思われますが、一部小規模販売店ではまだまだ電子申請を利用していない販売店もあることでしょう。
車検費用の実質値上げ
整備工場の工賃(点検・整備費用)が変わらなくても、法定費用(印紙代)が増えるため、支払総額は高くなります。普通車・小型車・軽自動車はいずれも+300円。小さな金額に見えても、2年ごとの車検が毎回積み重なれば、長期的には無視できないコスト増です。
環境性能割廃止との組み合わせで読む「4月の損得勘定」
2026年4月1日以降の登録車からは、自動車取得時にかかっていた「環境性能割」が廃止されます(2026年3月31日で廃止)。特にガソリン車や中古車を購入する場合、環境性能割の廃止によって数万円〜十数万円の負担減が見込まれます。
登録手数料の数百円の値上げと、環境性能割廃止による数万円の削減を天秤にかければ、4月以降の新規登録は全体コストとしては有利になるケースが多いといえます。ただし車種・価格帯・登録タイミングによって個別の損得勘定は異なるため、ディーラーや販売店に具体的な試算を依頼することをお勧めします。
事実上、予算案が可決成立されていない現状(4月以降にずれ込む可能性大)ではメーカーや販売店協会からも4月からの諸税に関する措置について回答は得られていない状況です。
現段階では登録手数料や印紙代の変更対応のみとなっており、今後の展開に注目です。
情報提供サービス(AIRIS)の利用料増加の影響
中古車購入時などに車両履歴を確認する「自動車検査登録情報提供サービス(AIRIS)」の閲覧サービス料が200円→300円に引き上げられます。中古車選びで複数の車両を調べるユーザーにとっては、履歴確認のコストも地味に増える点に留意が必要です。
まとめ:2026年4月からの変化を正確に把握しよう

2026年4月1日からの法定手数料改定は、自動車のライフサイクル全般にわたる手続きに影響を及ぼします。その背景には物価・人件費の上昇だけでなく、業界全体を揺るがした型式指定不正問題への国の強い対応という重大な文脈があることを忘れてはなりません。
特に窓口申請のコスト増は、行政手続きのデジタル化(OSS)を強力に推し進める国の意思表示とも受け取れます。業界関係者の早期対応と、消費者への正確な情報共有が今こそ求められています。
- 2026年3月6日閣議決定・3月11日公布。4月1日から施行(申請日基準)
- 型式指定申請手数料は8万→16万円と倍増。審査体制強化の意思表示
- 窓口申請は大幅値上げ。OSSとの差が拡大し、電子申請移行が実質的に促進される
- 継続検査(車検)は普通・小型・軽とも+300円。小型二輪も+300円
- 中古車新規登録(窓口)は+600円(約86%増)と最大の上昇幅
- AIRIS閲覧サービスは200円→300円に。間接的な情報サービスにも波及
- 業界現場は料金システム更新・OSS移行・顧客説明の3点が急務
- 消費者は環境性能割廃止との組み合わせで全体コストを判断することが重要
本記事は国土交通省公表資料・関係機関の情報をもとに作成しています。
料金の詳細・最新情報は必ず国土交通省公式サイトまたは管轄の運輸支局でご確認ください。
今後も有益な情報や詳細について「カーディーラーの業務窓口として」追って解説資料を作成していきます。
当ページを重点的に更新していく必要があると考えています。
作業中としてアップしようとも思いましたが諸税の流れに沿って更新して行きます。
細目にチェックをお願いします。


