カーディーラー業務課のリアリティ

業務

業務課の主たる役割は「滞りなく車両の納品をサポートするお仕事」になります。納品のサポートと言っても仕入れから架装、登録届出、納品後の顧客データ管理と幅の広い業務を指します。自動車の商品知識は勿論、業界に関わる税制についても絶えず最新情報を知っておく必要があります。

自動車会社の中でも中枢を担う重要で且つ、業界を一番知ることのできる花形であると長年の経験から感じます。マンネリ仕事は非常に激務ですが「やりがい」のある業種だと感じています。

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業務課のお仕事とは

とりあえず作業内容を列記してみます。販売会社によって業務課の作業範囲は多少異なっているとは思いますが主要な内容はご理解できると思います。新車と中古車で分かれている販社も多いです。

業務課の作業内容抜粋
  • 注文頂いた車両のメーカー発注 納期の連絡
  • 車両二次架装の手配 付属品の確認
  • 陸運局への登録届出手続き 改造車持込検査 (主たる業務)
  • 回送運行許可証の管理運用
  • 委託封印の実施と管理運用
  • 古物商取扱いの資料作成管理(抹消と解体を含む)
  • 所有権の発行と台帳管理(残債確認作業は経理で行う販社も多い)
  • 登録届出後の顧客データの運用管理
  • 査定士資格者の管理
  • オークション転売購入と書類管理 ネット情報の管理運用
  • 職権抹消処理(経理で行う販社も多い)
  • 上記各種運輸省届出書類の管理責任者届出
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日常業務は日々時間に追われています

メインの登録業務は「また明日やりましょう」という業務が殆どありません。どんなに登録台数が多くても、どんなに複雑な改造を伴う登録内容であろうが、書類作成はその日が期限です。

事前に出来る作業は限られています。それ以前に不備書類ばかりで登録日も特定できず作成できるできる書類も限られてきます。日々の配分をコントロールできるようになったら一人前でしょう。

営業スタッフはお客様中心で(サービス業故にこれは当然のことなのですが)言われるがまま早期の納車準備を指示されたまま業務課へと任されます。業務課は「間違いの許されない登録が出来て当たり前の仕事」として淡々と熟していかなくてはならないのです。

最近では働き方改革の恩恵か、業界の不況下で登録台数が減少しているお陰で作業量が集中することも減ってきていますが、数年前までは大げさではなく徹夜作業が数日続くこともありました。

とにかく次の日の登録準備が整わないと作業は終わりません。一日勝負の突貫作業です。毎日が戦争だったですね。陸運局で力尽きて昼寝は当たり前、これが気持ちよかった!

月末最終日ともなると陸運局も時間内の処理が追い付かず残業に突入します。年度末などは特に税金対策のために抹消書類集中で大変なことになります。業務課は登録が完了したことを確認できるまで安心はできないので最後まで運輸局で残って回収をします。緊張の時間です。

完了までの待ち時間は業務課の井戸端会議が賑やかに行われます。愚痴を言ってはストレス解消と普段の労を労う言葉をディーラー間で交わして翌月に備える訳です。これは今でも行われています。

10年も前には業務課の人員も多かったのですが、それを考えると現在の少人員で「登録の集中が起きると」と考えただけで恐ろしいと思います。少ないなりの人員で日々ギリギリ業務を回しているのが現状ですので。

自動車業界も人員を削減できる限界まで絞ってコスト削減で生き延びているのです。

継承するということ

知識が必要で激務である業務課故に人材は二極化しています。どうゆう事か?

業務課のミスはそのまま新車・中古車の納品に影響を及ぼします。お客様と営業スタッフ間で納品期限が決めれていますので納品に時間的な余裕が無いのです。ミスが許されない仕事で量的な制限は実質ありません。激務の極みです。

故に新人が育ちにくい環境があります。直ぐに舐めていく業種でもあり特に女性では家庭との両立が限りなく難しい職種になるでしょう。

育ちにくい企業では、業務を継承できない事における弊害で登録ミスも多くなります。登録書類の作成段階で雑になり運輸局の代書センターに負担をかけることになります。登録センター内で愚痴や罵声も少なくありません。見ていて可哀そうです。

企業が恐れるのは信用を失う事、ミスは出来る避けたいところです。そこで経験豊富な業務スタッフが育った企業では長期的に専任者が業務を担うこととなります。任せておけば安心と言う訳です。ですがこれもまた爆弾を抱えているようなもので人が育っていないという現実は変わっていません。

どちらを執っても継承ができない二極化です。これを回避するためにはコストをかけて複数名スタッフを置き、気長に育てていくという環境づくりが必要になります。現代の企業体質に逆行です。業務課は長年の経験と業界の幅広い知識が必要になります。継承には時間がかかります。

経営者はこの現実も見えていません。これが業務課のリアリティです。