【速報・完全解説】2026年度から2年間限定!「環境性能割」停止で車の税金はどう変わる?自動車業界関係者必読の税制改正徹底ガイド

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政府・与党が自動車税・軽自動車税に課される「環境性能割」を2026年度から2年間限定で停止する方針を固めたことは、日本の自動車税制における歴史的な転換点です。年末にまとめる2026年度与党税制改正大綱に盛り込まれる予定で、2028年度以降の環境性能割のあり方については今後2年かけて再議論していく旨が明記される見込みです。

長年にわたり業界が求めてきた「取得時負担の軽減」が一歩前進する一方で、地方財政の安定や地球温暖化対策への影響など、多くの複雑な課題を内包しています。さらに、トランプ関税が自動車産業に及ぼす影響も背景にあり、国内市場の活性化が喫緊の課題となっています。

本記事では、自動車業界の関係者の皆様がこの方針を深く理解できるよう、多角的なデータと最新情報を基に、今後の税制の行方について徹底的に解説します。

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環境性能割とは何か:取得時課税の歴史的経緯と機能

自動車取得税から環境性能割への転換

環境性能割(正式名称:自動車税・軽自動車税環境性能割)は、2019年10月に消費税率引き上げのタイミングで導入されました。これは、それまで存在していた自動車取得税が廃止された代替措置として、新たに自動車税および軽自動車税の一部として位置づけられた地方税です。

消費税との二重課税が長年問題視されていた自動車取得税の廃止は、消費者にとって朗報でした。しかし、完全な廃止ではなく、環境性能に応じた新たな税制への「衣替え」だったのです。

課税の性格と税率構造

環境性能割は、自動車の取得(購入や譲渡)時に課税されるもので、その課税の趣旨には二つの側面があります。

まず、CO2排出、道路の損傷、交通事故、公害、騒音等の様々な社会的コストにかかる行政需要に着目した原因者負担金的性格を有する普通税という側面です。総務省はこの考え方を基に、環境性能割の正当性を主張しています。

次に、環境性能に応じて税率を決定する「環境税制としての側面」があります。税率は、車両の燃費性能などの環境性能に応じて変動し、取得価額(車両本体価格の約9割+オプション価格が目安)に対して0%から3%(軽自動車は0%から2%)が課されます。

特筆すべきは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの次世代自動車は、現行制度において非課税(0%)とされている点です。これにより、環境性能の高い車両への買い替えを促進する狙いがあります。

地方財政における重要な位置づけ

環境性能割は、年間約2,000億円規模の税収を生む、都道府県および市町村にとって貴重な地方財源です。東京・神奈川・愛知・大阪の4都府県では100億円以上の税収減が見込まれています。このため、税制改正の議論においては、常に地方財政への影響が大きな論点となっています。


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2026年度税制改正大綱の内容:実際の減税実施時期とスケジュール

停止措置の詳細と期間設定

政府・与党は、自動車税・軽自動車税にかかる環境性能割を、2026年度から2年間限定で停止する方針を固めました。この決定は、年内に取りまとめられる「2026年度与党税制改正大綱」に盛り込まれる見込みです。

停止措置は2026年度から2027年度までの2年間に限定されます。重要なのは、この2年間が「環境性能割の廃止または新たな在り方」を再議論するための猶予期間として明確に位置づけられている点です。大綱には、2028年度以降の環境性能割の制度設計について、今後2年間かけて検討し、2028年度の税制改正で結論を得る旨が明記される方針です。

業界の長年の要望が実現へ

日本自動車連盟(JAF)が実施した自動車税制に関するアンケート調査では、全国154,341人の自動車ユーザーからの回答のうち、98.8%のユーザーが自動車関係諸税を「負担に感じる」と回答しています。

自動車業界からは、取得時の負担軽減策として「環境性能割の廃止」が長年求められてきました。この2年間の停止措置は、本格的な税制再構築に向けた一時的な「負担軽減」と「時間稼ぎ」の両方の意味合いを持つものです。

トランプ関税の影響という背景

今回の政策決定の背景には、米国トランプ政権による関税措置の影響があります。2025年4月3日から米国で輸入する乗用車に対し25%の追加関税が賦課されることになり、日本の自動車産業にも大きな影響が及んでいます。

日本では2024年に823万台の自動車が生産され、そのうち137万台が米国に輸出されました。金額にして6兆円にのぼります。こうした状況下で、国内市場の活性化が急務となっており、環境性能割の停止はその一環として位置づけられています。


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2年間停止されることによる影響を徹底考察:市場活性化と環境対策のトレードオフ

環境性能割の2年間停止は、消費者・市場、地方財政、環境政策の三方面に大きな影響をもたらすと予測されます。

消費者および市場への影響(価格抑制効果の詳細)

この停止措置は、米国関税措置の影響を受ける国内自動車産業の支援と、消費者の自動車購入を促進する目的があります。

■購入費用の軽減効果

現在、税率が1~3%に該当するガソリン車や低燃費基準の車両については、購入時のコストが大幅に抑制されます。トヨタ「ランドクルーザー300」(ZX/5人乗り)でオプションを一切つけずに見積もりシミュレーションを実施したところ、環境性能割の税額は18万9,800円でした。車種やグレードにもよりますが、数万円から最大で20万円程度の購入費用が削減される可能性があります。

具体的な軽減額は、車両の取得価額と環境性能に応じた税率によって決まります。例えば、取得価額が300万円で税率3%の車両であれば、約9万円の軽減となります。500万円の車両なら約15万円です。

参考資料:環境性能割の税率(三井住友海上)

■影響が小さい車両カテゴリー

一方で、現行制度ですでに非課税となっている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、および環境性能の優れたハイブリッド車(HV)は、購入コストに変化がない見込みです。これらの車両を購入予定の方にとっては、停止措置を待つメリットは限定的です。

■需要の先食いリスク

措置が2年間という期限付きであるため、期間終了後に需要の急減を招く「需要の先食い(買い控え)」が発生する可能性が懸念されています。過去のエコカー補助金終了時にも同様の現象が見られ、自動車販売が一時的に急減した経験があります。

地方財政への影響(代替財源確保の課題)

年間約2,000億円の税収がある環境性能割の停止は、地方財政にとって大きな痛手となります。特に、自動車産業が盛んな愛知県や、人口の多い東京都、神奈川県、大阪府では、100億円を超える税収減が見込まれています。

■国による全額補填の方針

政府・与党は、停止に伴う地方自治体の減収分を国が全額補填する方針とされています。しかし、この代替財源をどのように確保するかが、税制改正の焦点となります。

地方団体からは、社会インフラ(道路や橋梁)の更新・老朽化対策に必要な財源を安定的に確保する必要性が強く訴えられています。日本の道路インフラの多くが高度経済成長期に建設されており、今後一斉に更新時期を迎えることから、安定的な財源確保は待ったなしの課題です。

3. 環境性能とCO₂排出量への影響(グリーン化の後退リスク)

環境性能割は、燃費の良い車へのインセンティブとして機能していますが、これを廃止・停止した場合、環境目標達成が困難になるリスクが指摘されています。

■CO₂排出量増加の試算

環境省が委託した試算では、環境性能割が廃止された場合、環境インセンティブの消失により、次世代自動車と内燃機関自動車の価格差が拡大し、新車販売構成が変化する見込みです。その結果、現行税制を維持した場合と比較して、2030年には乗用車からのCO₂排出量が約102万トンから130万トン増加すると試算されています。これは、乗用車からのCO₂排出量の約1%に相当する増加量です。

■電動車普及への逆風

環境性能割の廃止シナリオでは、環境性能に応じたインセンティブが弱まることで、2030年のPHEV・BEVの割合が、現行制度維持ケースに比べて縮小する(例:20%から16%程度)と予測されています。これは、日本が掲げる「2035年までに新車販売で電動車100%の実現を目指す」という政府目標に対して逆行する可能性を示唆しています。


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二重課税の問題と課題:解消されない根本的な構造

業界の主張と税の性格をめぐる対立

自動車業界が環境性能割の廃止を求める最大の論拠の一つが、「消費税との二重課税」問題です。

環境性能割は、消費税(取得価格にかかる)に加えて、購入時に取得価格を課税標準として課されるため、実質的に「税の上に税が課せられている」状態だと指摘されてきました。JAFのアンケート調査でも、多数の自動車ユーザーが自動車税制を「非常に負担に感じる」と回答しており、環境性能割は自動車取得税の「単なる付け替え」であり廃止すべきという意見が根強くあります。

課税根拠をめぐる政府内の対立構造

しかし、この二重課税問題の背景には、税の「課税根拠」をめぐる政府内の対立があります。

経済産業省/自動車業界の立場:

取得時の負担を軽減し、市場活性化を図ることを最優先とし、環境性能割の廃止を強く要望しています。特にトランプ関税の影響を受ける現状では、国内市場の下支えが急務だと主張しています。

総務省/地方自治体の立場:

環境性能割は、単なる財産税ではなく、CO₂排出や道路損傷などの社会的費用に着目した「原因者負担金」であり、存続が必要だと主張しています。地方財政の安定的な財源確保という観点からも、簡単には譲れない立場です。

今回の2年間停止は、業界の「廃止」要求と、総務省/地方の「存続」主張の間に立った、政治的な妥協点といえます。しかし、この措置は「二重課税」という構造的課題を根本的に解消するものではなく、2年後には再び同じ議論が繰り返される可能性があります。


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■今後の政府の動きに注目:ポスト2028年の税制再構築

2026年度の税制改正大綱では、環境性能割の停止だけでなく、2028年度以降を見据えた自動車関係諸税の「総合的な見直し」の方針が示されます。自動車業界にとって、この再議論の方向性が最も重要です。

1. 税制見直しの基本原則

与党税制改正大綱(令和7年度)では、自動車関係諸税の総合的な見直しにあたって、以下の基本的考え方を踏まえるとしています。

■カーボンニュートラルへの積極的な貢献

2050年カーボンニュートラル目標の実現に積極的に貢献すること。環境性能割の停止は一時的な措置であり、長期的には環境目標達成との両立が求められます。

■国・地方を通じた安定的な財源確保

インフラ維持管理や地域公共交通のニーズに対応するための安定財源を確保すること。日本のインフラは老朽化が進んでおり、今後20年間で膨大な更新需要が見込まれています。

■マルチパスウェイ戦略の尊重

多様な動力源(パワートレイン)が併存していくことを踏まえた税制とすること。EVだけでなく、HV、PHEV、燃料電池車など、様々な技術が共存する時代に対応した柔軟な制度設計が必要です。

■公平・中立・簡素な課税のあり方

受益者負担・原因者負担の考え方を踏まえ、ユーザーの理解を得られるよう使途の明確化を図ること。現在の自動車税制は複雑すぎるという批判が多く、簡素化が強く求められています。

2. 車体課税の将来の方向性

今後の議論は、取得時(環境性能割の停止)と、保有時(自動車税、自動車重量税)のバランスをどう取るかに集約されます。

■保有時課税の再設計

経済産業省は、環境性能割の廃止等による取得時の負担軽減を求めつつ、保有時の課税については、「重量及びCO₂排出量削減に資する環境性能に応じた公平・中立・簡素な制度」とすることを要望しています。これは、保有段階の税を、車両の重量と環境性能によって増減させる方向で再構築する案を意味します。

具体的には、自動車税と自動車重量税を統合し、車両重量0.5トン刻みで基本税率を設定し、環境性能に応じて増減させる仕組みが検討されています。

■利用に応じた負担へのシフト

中長期的には、保有から利用への移行や、モビリティ産業の発展に伴う受益者の広がりを踏まえ、利用に応じた負担(走行距離課税などの枠組み)についても、令和8年度税制改正で結論を得る方針が示されています。

走行距離課税は、実際に道路を使用する程度に応じて課税する仕組みで、公平性が高いという利点がありますが、プライバシーの保護やシステム構築のコストなど、解決すべき課題も多くあります。

3. この2年間が正念場

この2年間の停止期間は、単に税金が安くなるだけでなく、日本が目指すモビリティ社会の脱炭素化と、その基盤となる地方インフラ財源の確保という、相反する要請を両立させるための新たな税制モデルを構築する正念場となるでしょう。

自動車業界の関係者は、この2年間の議論の行方を注視し、積極的に意見を発信していくことが重要です。2028年度以降の税制の姿は、この2年間の議論の進捗次第で大きく変わる可能性があります。


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■まとめ:新しい情報が入り次第、速報をお届けします

環境性能割の停止は、2026年度からの車の購入計画に直接影響を与える重要な情報です。しかし、2028年度以降の税制の姿は、この2年間の議論の進捗次第で大きく変わる可能性があります。

押さえておくべき重要ポイント:

  1. 2026年度から2年間、環境性能割が停止 → ガソリン車などで最大20万円程度の負担軽減
  2. EVやPHEVなど既に非課税の車は変化なし → これらの購入予定者は停止を待つ必要なし
  3. 2年後の2028年度に制度の最終判断 → 廃止か、新制度か、復活か
  4. 地方財源2,000億円は国が補填 → 代替財源の確保が課題
  5. 環境目標とのトレードオフ → CO₂排出量増加のリスク

自動車業界にとって、この2年間は新たな税制モデルを構築するための重要な期間となります。トランプ関税の影響、カーボンニュートラルへの対応、地方財政の維持という三つの課題を同時に解決する、困難だが必要な改革の時期を迎えています。

当ブログでは、与党税制改正大綱の詳細、国会での議論、そして2028年以降の新税制の具体的な検討状況について、引き続き詳細な分析と速報をお届けしてまいります。

ぜひ、最新情報を見逃さないよう、定期的にチェックをお願いいたします。自動車業界の未来を左右する重要な2年間が、今始まろうとしています。

是非読んでいただきたい令和8年度自動車税制の過去記事

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