「物凄くスムーズにエンジンが回転していく。これを味わってしまうと、なんとも言い難い。電気自動車に初めて乗ると感動すると思うんですが、それに通じるものがある。デメリットを全て消してしまうくらい、ロータリーには個性があって味がある。」
──あるロータリーエンジンオーナーの言葉
この言葉こそが、半世紀以上にわたってロータリーエンジンを愛し続けてきた世界中のファンの心を代弁しています。マツダのロータリーエンジン(RE)は、単なる機械ではなく、「飽くなき挑戦」を象徴する魂の結晶なのです。

ロータリーエンジン(RE)とは何か?その特異な構造とマツダの「飽くなき挑戦」
マツダの歴史において、ロータリーエンジン(RE)は**「飽くなき挑戦」を象徴する特別な存在**です。その独自性と、マツダが半世紀以上にわたって追求してきた技術的な深さは、多くの自動車ファンやエンジニアを魅了し続けています。
REの基本構造:レシプロエンジンとの決定的な違い
一般的な内燃機関であるレシプロエンジンがピストンの往復運動によって力を生み出すのに対し、ロータリーエンジンは、おむすび型のローターを回転させ、そのエネルギーで出力を得る独自の構造を持っています。
このヴァンケル型ロータリーエンジンは、ドイツの技術者フェリックス・ヴァンケルによって考案され、1957年に西ドイツのNSU社とWankel社が共同で試験開発に成功しました。
REの動作においては、ローターと繭形(まゆがた)のローターハウジングの間で、吸気→圧縮→膨張→排気のオットーサイクルが3組同時に進行しています。このサイクルは、ローターの自転1回、すなわち出力軸であるエキセントリックシャフトの公転3回の間に3回の燃焼・膨張行程を生じます。

【オーナーの声】
ロータリーエンジンに初めて乗った時、レシプロエンジンとは何もかもが違っていました。スムーズ過ぎてレッドゾーンのことを忘れ、警告音が鳴って初めてレッドゾーンに達したことを知ったくらいです──このような体験談は、ロータリーの魔力を如実に物語っています。
ロータリーエンジンの長所と短所
REが「未来のエンジン」ともてはやされた背景には、その構造がもたらす革新的な長所がありました。
長所:軽量、コンパクト、そして滑らかさ
短所:燃費とシーリングの難しさ
しかしデメリットを全て消してしまうくらい、ロータリーには個性があって味があるのです。
ロータリーエンジンの「飽くなき挑戦」の歴史:実用化からモータースポーツの栄光まで
マツダによるREの実用化の道のりは、まさに社運を賭けた壮絶な挑戦でした。
社運を賭けた実用化への道のり(ロータリー四十七士の戦い)
1960年代、自動車市場の競争激化の中で、マツダ(当時・東洋工業)はグローバルな発展を遂げるための技術的な柱を求めていました。当時の松田恒次社長は、西ドイツNSU社のバンケル・ロータリーエンジンに目を付け、1960年に技術提携の仮調印を行いました。
ロータリーエンジンを搭載したプリンツに試乗すると、振動の少なさと卓越した加速性能を体感して、すぐにでも実用化できると確信しました。しかし、技術提携のライセンス料は巨額で、輸出先が制限されるなどマツダにとって不利な契約でしたが、それでもマツダはこのエンジンに会社の将来を賭けたのです。
しかし、NSUから送られてきた試作エンジンは、激しい振動やオイルの過大消費による白煙に加え、ローターハウジング内壁が異常摩耗しエンジンが停止する**「チャターマーク」**という致命的なトラブルを抱えており、実用化できるレベルではありませんでした。この欠陥は、契約前にはマツダに知らされていませんでした。
マツダはこの難題に挑むため、後に社長となる山本健一を筆頭に47人の若い技術者を集め、**「ロータリー四十七士」**として開発に着手しました。この開発期間中、日本国内の権威ある技術者からはRE否定論が展開され、開発チームは自信を失いかねない状況に苦しみました。
【技術的ブレークスルー】
特に難関とされた「悪魔の爪痕」ことチャターマークの問題は、アペックスシールの共振が原因であることを突き止めました。牛骨を含む100種類以上の素材テストを重ねた結果、最終的に日本カーボンと共同開発したアルミニウム合金のカーボン複合素材と、ハウジング内面の硬質クロームメッキの採用により、この致命的な欠陥を根絶しました。また、サイドポート吸気の採用は、低速トルク不足の改善に貢献しました。
歴史的なマイルストーンと規制との戦い
試行錯誤の末、1967年5月30日、マツダは世界初の量産型ロータリーエンジン搭載車**「コスモスポーツ」**を発売しました。
その後、マツダはRE車のラインナップを拡大し、1978年にはロータリーエンジン専用スポーツカー**「サバンナRX-7」**を発表し、「ロータリーエンジンのマツダ」という地位を確立しました。
排ガス規制とオイルショックの克服
REの成功の裏には、1970年代のマスキー法(大気清浄法)と第一次オイルショックという大きな壁がありました。
- 排ガス浄化への挑戦:
当初、REは窒素酸化物(NOx)を減らすために濃い燃料で運転せざるを得ず、不完全燃焼による炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)をサーマルリアクターで再燃焼させて浄化していました。しかし、これにより燃費が悪化していました。マツダはその後、三元触媒の実用化と希薄燃焼を組み合わせた排ガス処理システム(REAPS5)へ切り替えることで、燃費を40%も改善することに成功しました。 - オイルショック後の孤高の存在:
オイルショックの影響で、RE開発に参画していたNSUや世界の自動車メーカーが次々と撤退する中、マツダは資本主義圏で唯一、REの量産を継続したメーカーとなりました。
モータースポーツでの栄光:1991年ル・マン24時間──日本車初の総合優勝
マツダはREの挑戦精神をモータースポーツにも持ち込みました。そして1991年6月23日、700馬力を誇る4ローターロータリーエンジン「R26B」を搭載したMazda 787Bが、ル・マン24時間耐久レースで日本車初となる総合優勝という、不滅の栄光を世界に轟かせました。
【ル・マンへの挑戦──貧乏チームの奇跡】
当時のマツダは貧乏チームでした。潤沢な資金を持っての挑戦ではなかったのです。優勝した91年の年間総予算でさえ、近年のF1の年間開発予算の数%にも満たない金額でした。貧乏チームだからこそ、レースに関わる全ての人々の団結が必要不可欠でした。
チームミーティングなど重要な場面ではそれぞれの通訳が介在して正確な情報共有に努めますが、パドックやピットでの通常会話はそれぞれの母国語が飛び交いながらも、スタッフは日本語、英語、フランス語が混ざり合った会話とボディランゲージを駆使してお互いのコミュニケーションを図っていました。この多国籍チームの結束こそが、勝利への道を切り拓いたのです。
【劇的な展開──本番直前の撤退危機】
本番のテストウィーク中にマシンが大きなダメージを負い、マツダはその後のテストをキャンセルして日本に車を戻すと言いだしたのです。それで我々(オレカ)はマツダを強く説得して1週間でマシンを直し、それから30時間のテストを行って、マツダをル・マンの本番に引っ張り出したのです──フランスのレーシングチーム、オレカの社長ウーグ・ド・ショナック氏の証言が、その壮絶な舞台裏を物語っています。
【誰も予想しなかった勝利】
1991年6月22日午後4時、フランス北西部に位置するサルトサーキットでル・マン24時間レースがスタートしました。本命と目されたのは前年優勝車のジャガーXJR12で、圧倒的な予選タイムを見せつけたメルセデス・ベンツC11が対抗馬に挙げられました。この時点で、マツダ787Bに注目している者は、ほとんどいませんでした。
しかし、緑/オレンジに塗り分けられた美しいスタイリング、そして4ローターのソプラノサウンドが観衆を魅了しました。トップに立ったのはスタートから21時間が経過した時点。シルバーアローがオーバーヒートで緊急ピットインしたのを尻目に、常に同ラップで食らいついていた787Bは正確に速い周回を刻み続け、リードを着々と積み増していきました。
レース中はピットイン時の給油、タイヤ交換、ドライバー交代、ブレーキパッド交換等のルーティン作業以外、タイムロスにつながるようなトラブルは発生せず、設定されたラップタイムを正確に刻み、時にはペースアップしてライバル車を追い上げ、引き離してトップで栄光のチェッカーフラッグを受けました。
【感動のエピソード──ジャッキー・イクスの矜持】
優勝に貢献したジャッキー・イクスに対し、マツダはル・マン優勝後、ボーナスの提供を申し出たが、イクスは「私はマツダを優勝させるために契約したのだから、優勝したからといってボーナスを貰う理由は無い」と固辞したエピソードがあります。この誇り高き態度こそ、マツダとともに戦ったレーサーたちの魂を象徴しています。
【表彰台に立てなかったドライバー】
1991年のルマン表彰式の写真には、総合優勝ドライバーが2人しか写っていません。実はアンカードライバーだったハーバートは、疲労によって表彰台には登壇できなかったのです。全身全霊の戦いで大偉業を成したマツダの選手、スタッフの気概と消耗度を象徴するかのような出来事でした。
しかし、物語はここで終わりませんでした。マツダの優勝から20年の節目に、787Bがルマンを走る機会が設けられ、そこにハーバートがドライバーとして参加、20年遅れで表彰台に上がるという粋な演出があったのです──2011年の凱旋走行は、ロータリーの伝説が単なる歴史ではなく、今も生き続ける魂であることを証明しました。
REは、少ない部品点数とオーバーホール時間の短縮が可能であることから、耐久レースに非常に適していました。ル・マン24時間レースが90回目を迎えた2013年、ネット投票や有識者の意見をもとに各年代のベストマシンを選ぶ企画が催され、787Bはプジョー・905とともに1990年代を代表するマシンに選出されました──世界が認めた栄光の証です。
RE復活の狼煙:MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV詳細レビュー

2012年にRX-8の生産が終了して以来、市販車から一旦姿を消していたREでしたが、マツダは「今後もロータリーエンジンの研究・開発を継続する」と宣言し、その言葉通り、2023年に発電用エンジンとして華麗な復活を遂げました。
MX-30 e-SKYACTIV R-EVのシステムと新開発エンジン
MX-30 Rotary-EVは、ロータリーエンジンを搭載したプラグインハイブリッドモデル(PHEV)であり、国内向けに2023年9月14日に予約受注がスタートしました。
発電専用エンジンとしての役割
この車両はシリーズ型ハイブリッドであり、ロータリーエンジンは発電専用として使用されます(レンジエクステンダー)。
- 新開発エンジン「8C」:
搭載されたREは「8C」(830cc×1ローター)型であり、これは2012年にRX-8が生産終了して以来、約11年ぶりの量産再開となりました。 - 駆動方式:
駆動は100%モーターによって行われます。REのコンパクトで軽量なサイズは、このレンジエクステンダーとしての用途と非常に相性が良いとされています。
走行性能と評価ポイント
駆動がモーターによって完結しているため、MX-30 R-EVの走行感覚はBEV(バッテリーEV)に近い点が最大の特徴です。
- 滑らかな走行体験:
エンジン動作は走行に直接影響を与えないため、EVらしいスムーズな走りが確保されます。また、e-GVC Plus制御による滑らかなハンドリングと、静粛性が高く評価されています。 - 実用性への貢献:
レビューでは、エクステリア・インテリアデザインの魅力に加え、災害時における発電能力も好評を得ています。この機能は、PHEVでありながらREのコンパクトさを活かした新しい実用価値を提供します。 - REのメリットを最大化:
REは定格回転数で連続運転することで効率が安定するという特性を持っており、発電専用(レンジエクステンダー)として利用することで、従来のREが抱えていた低回転域での燃費効率の悪さという短所を回避し、低振動・コンパクトという長所を最大限に活かしています。
4. ロータリーエンジンの未来と期待:カーボンニュートラル社会への適合
REの復活は、単なる懐古趣味ではなく、カーボンニュートラル社会という新しい時代に適合させるための、マツダの技術戦略の一環です。
「RE開発グループ」の復活と使命
マツダは、新しい時代に適合したREの研究開発を加速するため、2024年2月1日付で、パワートレイン開発本部パワートレイン技術開発部に**「RE開発グループ」を約6年ぶりに復活させました**。
- 新生グループの構成:
この新生RE開発グループには36人の技術者が集結しました。彼らはこの約6年間、最先端の内燃機関の機能開発や究極の効率改善に取り組む組織に属し、エンジン方式の垣根を越えて視座を広げるとともに、「モデルベース開発」の使い手として鍛錬を積んできました。 - 研究の焦点:
新生RE開発グループは、REを発電機用として継続的に進化させ、主要市場での規制対応や、特に将来を見据えたカーボンニュートラル燃料対応などの研究開発に取り組む方針です。
水素燃料との高い親和性──ロータリーの新たな可能性
REは、カーボンニュートラル燃料の一つである水素燃料との相性が極めて高いことが知られています。
レシプロエンジンと比較して、REが水素燃料に対して有利とされる構造上の利点は以下の通りです。
- 異常着火の回避:
REは吸気室と燃焼室が分離しており、高温となる排気バルブもありません。これにより、レシプロエンジンで問題となる過早着火やバックファイアー(逆火)といった異常着火が発生しません。 - インジェクター設置の自由度:
大径となる水素インジェクターを、燃焼に晒されない吸気室上部の広大なスペースに容易に設置できます。 - 燃焼室形状の相性:
水素の燃焼速度は速いため、REの構造的欠点である縦長で扁平な燃焼室形状が問題になりにくいという利点があります。
【水素ロータリーの実績と期待】
マツダは既に1991年のHR-X以降、水素を燃料としたREの開発を進めており、RX-8やプレマシーをベースにした車両が公道走行認定を受けています。2006年には世界初となる水素ロータリーエンジン車「RX-8ハイドロジェンRE」のリース販売を開始しました。
水素使用時の最高出力は109PS、ガソリン使用時は210PS、また航続距離は水素使用時100km、ガソリンでは549kmを達成しました──このデュアルフューエルシステムは、水素インフラの整備が進んでいない現状においても実用性を確保する画期的な技術でした。
マツダはロータリーエンジンの研究開発を2024年に入ってから加速させています。近い将来、何かしらの形で水素ロータリーエンジンの詳細が明らかになるのではないでしょうか──専門家たちの期待は高まっています。
MAZDA2への期待──コンパクトカーに宿るロータリーの魂
ロータリーエンジンの復活は、MX-30だけにとどまらない可能性を秘めています。2026年以降に予定されているMAZDA2のフルモデルチェンジでは、MX-30 Rotary-EVに搭載される830ccのロータリーエンジン(8C型)を発電機として使用するプラグインハイブリッドシステムを採用する可能性が報じられています。
マツダ RE レンジエクステンダーは、電気自動車(EV)に発電専用のエンジンを搭載することにより、航続距離を延ばすための装置です。ハイブリッドカーがエンジンとモーターを使い分けながら走行するのに対して、レンジエクステンダーEVで車両の駆動に用いるのはモーターのみ。エンジンはあくまでもバッテリーを充電するためのみに使われます。
MAZDA2での成功は、ロータリーエンジンの新たな活用法を確立し、マツダのアイデンティティを強化します。コンパクトカーは世界的に販売台数が多いセグメントです。新型MAZDA2の成功は、マツダのグローバル販売台数を大きく押し上げる可能性を秘めています。
世界中のマツダファンが、手頃な価格でロータリーの魂に触れられる日を心待ちにしています。
ロータリーエンジンが切り拓く未来
取締役専務執行役員兼CTO(最高技術責任者)の廣瀬一郎氏は、「電動化時代そしてカーボンニュートラル社会においても、『飽くなき挑戦』でお客さまにワクワクしていただける魅力的なクルマをお届けすることをお約束します」と述べています。
スーパー耐久シリーズのようなレースで実証実験を進めているe-fuelや水素が普及してくれば、再エネ発電による充電とこれらの燃料の組み合わせで、多様な地域・顧客のニーズに応える持続可能なクルマとして広まる。ロータリーを活用して、将来のマルチ燃料への道筋をつくる
マツダの「マルチパスウェイ戦略」とREの役割
マツダは、単一のパワートレイン技術に依存するのではなく、地域ごとのエネルギー事情や顧客ニーズに合わせて最適な選択肢を提供する**「マルチパスウェイ戦略」**を推進しています。この戦略において、ロータリーエンジンは非常に重要な役割を担っています。
多様なパワートレインの選択肢
マツダのマルチパスウェイ戦略は、現在の内燃機関、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、そして電気自動車といった多様なパワートレインを同時に進化させることを目指しています。これは、地域によって異なる電力事情、充電インフラの整備状況、そして燃料の供給状況に対応するためです。
先進的な内燃機関
「SKYACTIV」技術に代表される高効率なガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、依然として多くの市場で重要な選択肢です。
ハイブリッド・PHEV
内燃機関とモーターを組み合わせたハイブリッド車や、外部充電も可能なPHEVは、燃費効率と利便性を両立させます。MX-30 e-SKYACTIV R-EVはこのPHEVのカテゴリーに属し、REがレンジエクステンダーとして貢献します。
電気自動車(BEV)
CO2排出量ゼロを目指す最終的な目標として、バッテリーEVの開発も積極的に進められています。
この多様な選択肢の中で、REはレンジエクステンダーとして、あるいは将来的な水素燃料対応エンジンとして、電動化社会における重要な架け橋となります。特に、内燃機関の技術を最大限に活かしつつ、電動化へのスムーズな移行を促す上で、REの軽量・コンパクト・低振動という特性は不可欠な要素です。
REが実現する「人馬一体」の走り
マツダは、いかなるパワートレインにおいても「人馬一体」の走りを追求することを哲学としています。これは、ドライバーが意図した通りにクルマが反応し、ストレスなく運転できる状態を指します。
MX-30 e-SKYACTIV R-EVでは、REが発電に徹し、駆動はモーターが行うことで、BEVのようなリニアでスムーズな加速感を実現しています。同時に、REが発電を開始しても、その低振動性と静粛性により、走行フィールを損なうことなく航続距離の不安を解消します。これにより、長距離移動においても「人馬一体」の楽しさを損なうことなく、ドライバーに安心感と快適性を提供します。
また、REのコンパクトさは、車両のパッケージングの自由度を高め、理想的な前後重量配分や低重心化に貢献します。これはスポーツカーだけでなく、SUVであるMX-30においても、優れた走行安定性とハンドリング性能を実現するために重要な要素となります。
まとめ:ロータリーエンジンが紡ぐマツダの「飽くなき挑戦」
マツダのロータリーエンジンは、単なる過去の遺産ではありません。それは、困難な課題に直面しても決して諦めない「飽くなき挑戦」の精神を象徴し、未来へと続くマツダの技術革新の道筋を示すものです。
過去から未来へ受け継がれる「魂」
チャターマークとの戦い、排ガス規制やオイルショックの克服、そしてル・マンでの栄光──ロータリーエンジンが歩んできた道のりは、常に逆境と挑戦の連続でした。その中でマツダの技術者たちは、既成概念にとらわれず、独自の道を切り開いてきました。この粘り強い挑戦の精神こそが、マツダのDNAとして今も脈々と受け継がれています。
MX-30 e-SKYACTIV R-EVにおけるREの復活は、この魂が現代の電動化社会においても生き続けていることを証明しました。レンジエクステンダーとしての役割は、REの特性を最大限に活かし、電動車の航続距離の課題を解決する画期的なアプローチです。
カーボンニュートラル社会への貢献とREの可能性
カーボンニュートラル社会への移行は、自動車メーカーにとって最大の課題であり、同時に無限の可能性を秘めた領域です。マツダのRE開発グループの復活、そして水素燃料との親和性の高さは、REが将来のエネルギー多様化において重要な役割を担う可能性を示唆しています。
再生可能エネルギーによる水素製造、e-fuel(合成燃料)の実用化が進めば、REはゼロエミッションを実現するパワートレインとして、再び脚光を浴びるかもしれません。内燃機関の優れたエネルギー密度と、電動化技術を組み合わせることで、充電インフラに依存しすぎることなく、持続可能なモビリティを世界中の人々に提供することが可能になります。
「走る歓び」を未来へ
マツダは、どんな時代になっても「走る歓び」を提供し続けることを使命としています。ロータリーエンジンは、その独自のフィーリングと革新性で、多くの人々に「走る歓び」をもたらしてきました。MX-30 e-SKYACTIV R-EV、そして将来の水素ロータリーエンジンやe-fuel対応REは、この「走る歓び」を、カーボンニュートラル社会においても変わらず提供していくための、マツダの新たな回答です。
世界中のロータリーファン、そしてクルマを愛するすべての人々にとって、マツダの「飽くなき挑戦」は、これからも多くの感動と期待を与え続けてくれることでしょう。ロータリーエンジンの未来は、まだ始まったばかりなのです。



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