【2026年ミラノ冬季五輪】開催国イタリアの自動車事情を徹底解剖!

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日本車の躍進・EV補助金の劇的変化・交通インフラまで完全ガイド

2026年2月6日、世界中の視線が一斉にイタリアへ向けられます。ミラノとコルティナ・ダンペッツォを舞台に幕を開ける第25回冬季オリンピックは、これまでのオリンピック史上初となる「複数都市による共同開催」という画期的な形式を採用した大会です。250キロメートル以上も離れた二都市が手を組み、スキー、アイスホッケー、スピードスケートから新競技のスキーマウンテニアリングまで、8競技116種目の熱戦が繰り広げられます。

しかし私が自動車業界に身を置く人間として特に注目しているのは、会場の外側で同時進行するもう一つのドラマ——イタリア自動車市場の構造的な大変革です。フィアット500が石畳を走り抜けるイメージで語られてきた「クルマ大国」が、今まさに電動化・産業再編・外資ブランド台頭という三重の嵐の中に置かれています。現地の熱気と興奮を味わいながら、イタリアの「クルマの今」を徹底的に掘り下げていきましょう。

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イタリアと自動車:125年の愛の歴史

まず、イタリアと自動車の関係性を理解せずして、現在の市場を語ることはできません。

1899年7月11日、トリノの一角で「FIAT(Fabbrica Italiana Automobili Torino=トリノ・イタリア自動車工場)」が産声を上げました。創業者ジョヴァンニ・アニェッリのもと、わずか35名の従業員が年間24台の自動車を生産していたこの工場が、後に欧州最大の自動車メーカーに成長し、イタリアの産業の根幹を担うことになるとは、当時誰も想像しなかったでしょう。

第一次・第二次世界大戦を経て、フィアットは戦時生産から民需へと事業を転換。そして1957年7月4日、イタリア自動車史上最も偉大なマシンが誕生します——「フィアット500(チンクエチェント)」です。

わずか2.5メートルの全長、479cc空冷2気筒エンジン、最高速度わずか85km/h。スペックだけを見れば取るに足らない小さなクルマですが、戦後の復興期に喘ぐイタリア市民にとって、このコンパクトカーは「夢の乗り物」そのものでした。安くて、小さくて、どんな路地にも入れる。1957年から1977年にかけて約380万台が生産され、まさしくイタリアの「国民車」として愛され続けました。オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックが映画『ローマの休日』でローマの街を走り回り、マドンナが「Hung Up」のMVで踊り、ポップカルチャーにまで浸透したこのクルマは、単なる移動手段を超えた「文化的象徴」となったのです。

2007年には現代版チンクエチェントが復活を果たし、世界100カ国で販売。累計生産台数は初代・現行を合わせて600万台を超えています。今日でも電気自動車版「フィアット500e」として進化し続けており、イタリアの自動車づくりの魂が脈々と受け継がれています。

こうした歴史的背景が、現在のイタリア人の「クルマ観」に深く刻み込まれています。イタリアはクルマが単なる道具ではなく、アイデンティティと結びついた文化的産物なのです。だからこそ、今イタリア市場で起きていることは、単なる販売台数の増減を超えた、文化的・産業的変革として読み解く必要があります。


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王者フィアットに陰り——ステランティスの苦戦と「イタリア・プラン」の全貌

2024年のデータを見て、業界関係者の多くが驚きを隠せませんでした。イタリア市場の不動の覇者であるフィアットが、これほどまでに大きな打撃を受けるとは想定外だったからです。

イタリアの外国自動車代理店組合(UNRAE)が2025年1月に発表したデータによれば、2024年の乗用車新規登録台数は合計155万8,681台。前年比0.5%減とほぼ横ばいに見えますが、注目すべきはその内訳です。フィアットは14万2,337台で首位こそ維持したものの、前年比17.8%減という急落ぶり。シェアも9.1%まで低下しました。ステランティス・グループ全体では30%を割り込む29.1%まで後退し、国内生産台数は前年比36.8%減という壊滅的な数字を記録しています。

なぜこれほどの急落が起きたのか。背景には複合的な要因があります。まず、フィアットのラインナップにおける魅力的な新モデルの不足。競合他社が次々とハイブリッドSUVを投入する中、フィアットのラインナップは時代のニーズに追いつけていませんでした。さらに、2024年12月にはカルロス・タバレスCEOが任期途中で電撃辞任。ステランティスのコーポレートガバナンス問題が表面化し、イタリア政府との関係も緊迫化しました。

タバレス氏はかつて「BEV購入への補助金がない限り、イタリアの生産拠点はリスクにさらされる」と政府を牽制したことがあります。これに対し当時のウルソ企業相は、フランス政府のようにステランティスへの出資を検討する可能性まで示唆するなど、双方の関係は一触即発でした。

しかし、タバレス氏の退場をきっかけに状況は変わります。2024年12月17日、ジョン・エルカン会長が主導する形で開催された協議会において、ステランティスは「イタリア・プラン」と呼ばれる包括的な産業戦略を発表しました。

このプランの核心は「イタリア国内工場を閉鎖しない」という約束と、各拠点への具体的な役割付与です。

**ポミリアーノ工場(カンパニア州)**には、2030年まで「パンダ」などの大衆車生産を継続する計画が盛り込まれました。同工場は長年にわたるイタリア南部の工業の象徴であり、雇用維持の観点からも政治的に極めて重要な拠点です。

**ミラフィオーリ工場(トリノ)**は、フィアット500のハイブリッドモデルおよび次世代BEVの生産拠点として再定義されます。かつてフィアットの栄光を象徴したこの工場が、電動化の旗手として生まれ変わるというメッセージは、現地でも大きな注目を集めました。

**カッシーノ工場(ラツィオ州)**では、アルファロメオの新型ステルヴィオ(2025年〜)と新型ジュリア(2026年〜)の生産が予定されています。アルファロメオというプレミアムブランドの復権をかけた一手として、業界の注目を集めています。

イタリア政府が今回のプロセスで強調したのは、単なる販売支援ではなく「国内の生産チェーンと産業競争力の強化」です。補助金をばら撒くのではなく、構造的な産業基盤を再建するという方向性は、欧州全体の自動車政策の大きな流れとも一致しています。今後ステランティスが「イタリア・プラン」を着実に実行できるかどうかが、イタリア自動車産業の命運を左右すると言っても過言ではありません。


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「日本車旋風」——トヨタがフォルクスワーゲンを抜いた衝撃

自動車業界に携わる者として、2024年のイタリア市場で最も心が躍るニュースは何かと問われれば、迷わずこれを挙げます——「トヨタがフォルクスワーゲンを抜いてシェア第2位に躍り出た」という事実です。

2024年の新規登録台数において、トヨタは12万2,953台を記録しました。前年比24.6%増という急伸であり、シェアは1.6ポイント増の7.9%。長年にわたって欧州市場を支配してきたVWグループを押しのけての堂々のシェア2位獲得は、イタリア市場における日本車の実力を明確に示すものでした。

では、なぜトヨタはこれほどまでに強いのでしょうか。答えはシンプルです——「ハイブリッドの全賭け戦略」です。

トヨタイタリアの2024年の成功を支えたのは、「ヤリス・ファミリー」(ヤリスおよびヤリス クロス)でした。ヤリス クロスは2024年に単体で34,981台を記録し、イタリア国内の全モデル中第4位に入る大ヒットとなりました。フルハイブリッド市場においてトヨタは圧倒的な存在感を示し、ヤリス、ヤリス クロス、C-HR Hybridがその上位3モデルを独占。フルハイブリッド市場全体の52%以上のシェアを握るという驚異的な数字を叩き出しています。

さらに注目すべきはレクサスの快進撃です。レクサスは2024年に前年比61.8%増という驚異的な伸びを記録し、累計6,100台超の過去最高を達成。100%ハイブリッドラインナップという戦略が、プレミアム志向の高まりとみごとにシンクロした形です。新型レクサスLBXはBセグメントのプレミアムSUV市場に新風を吹き込み、購入者の70%が「従来のレクサス顧客ではない新規顧客」だったという事実は、ブランドの裾野が着実に広がっていることを示しています。

ほかの日本ブランドの躍進も見逃せません。スズキは18位を維持しながら前年比8.3%増。三菱自動車は前年の実に3.1倍という爆発的な成長を見せ、ホンダも7.3%増で31位に浮上しました。

トヨタグループの発表によれば、2024年のイタリアにおけるグループ全体の登録台数は135,000台超(レクサス含む)、クルマの市場シェアは7.7%に達しました。個人向けチャンネルに限ればシェアは9.6%にのぼり、「買い替え需要で選ばれるブランド」としての地位が盤石なものとなっています。

この「日本車の躍進」を支えているのは、イタリア人の消費者心理の変化です。UNRAEの調査によれば、イタリアの消費者の20%が「次の購入は外国メーカーを選びたい」と回答しており、これは欧州主要国の中でも高い水準です。かつて「イタリア人はイタリア車」という不文律が支配していた市場が、今では合理性と品質を重視する方向へと確実にシフトしているのです。


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HEV40%・BEV4.2%——数字が語るイタリア独自の電動化路線

イタリア自動車市場の「燃料別シェア」を見ると、他の欧州諸国とは明らかに異なる独特の構造が浮かび上がります。

2024年の燃料別シェアのトップに君臨するのは、ハイブリッド車(HEV)の**40.0%です。これは欧州の主要国の中でも突出した数字であり、毎月45%前後のシェアを記録し続けています(2025年1月も45.0%)。一方、バッテリー式電気自動車(BEV)のシェアは4.2%**にとどまり、英国(19.6%)、フランス(16.9%)、ドイツ(13.5%)、スペイン(5.6%)に次ぐ欧州5カ国中最下位という低迷ぶりです。

なぜイタリアはこれほどBEVが普及しないのか。そして、なぜHEVが圧倒的な支持を集めるのか。その答えは、イタリア人の「クルマとの付き合い方」そのものに刻まれています。

まず注目すべきは「運転頻度」です。UNRAEのデータによれば、イタリアの消費者の**49%が「毎日クルマを運転する」**と回答しており、これは欧州主要国でトップの数字です。ドイツ人やフランス人と比べても、イタリア人はより日常的にクルマを使う民族です。毎日使うクルマだからこそ、「充電が面倒」「航続距離が不安」というBEVへのハードルが高くなる。その代わりに、充電不要でガソリン車感覚で乗れるフルハイブリッドが圧倒的な支持を集める——これはきわめて合理的な選択です。

さらに決定的な問題が充電インフラの未整備です。2024年時点でのイタリアの公共充電拠点数は約2万3,000カ所。欧州第5位の数字ですが、2030年にEUが求める目標水準を満たすためには50万拠点以上が必要とされており、現状の約21倍以上という途方もない整備が求められています。特に農村部や南部では充電スポットが著しく少なく、「EVを買っても使えない」という現実的な不安が普及の足を引っ張っています。

消費者の意向調査でも、イタリア人の**32%が「次はHEVを購入したい」**と回答。これはドイツ(12%)、フランス(21%)を大きく上回る数字です。BEVを希望する声は依然として少数派であり、現実とニーズの両面でHEVが「最適解」として選ばれ続けています。

だからこそ、全ラインナップをハイブリッドで揃えるトヨタやレクサスが、圧倒的な優位性を持つのです。「充電ポイントを探さなくていい」「燃費が良い」「信頼性が高い」——この三拍子が、イタリア人の琴線に触れているのです。


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「バラマキ」から「産業改革」へ—2026年以降の補助金制度の大転換

欧州各国がBEV購入に対する手厚い補助金を維持・拡充する中、イタリアは2026年から2030年にかけて、自動車関連の政府支援を抜本的に見直す政令を提示しました。この方針転換は、自動車業界のプロとして見逃すことのできない重要な動きです。

最大の変化は**「個人向け新車購入ボーナスの廃止」**です。これまでイタリアでは「エコボーナス」と呼ばれる補助金制度のもと、古い車を廃車にしてBEVへ乗り換える個人に対し、最大13,750ユーロもの助成が行われていました(所得・廃車条件による)。この制度が2026年以降は原則廃止となり、一般個人への直接インセンティブは大幅に縮小されます。

その代わりに、政府は16億ユーロの予算を「産業イノベーション」に集中投下する方針を示しています。具体的には約7億5,000万ユーロが新技術の研究開発に、4億5,000万ユーロが生産能力の拡大に充てられます。補助金の軸足が「個人消費の喚起」から「産業の競争力強化」へと180度転換するわけです。

「需要支援」が残るのは、特定のニッチな領域に限定されます。小型商用車の更新、LPG・メタンガスへの燃料転換(ガス転換改造)、家庭用充電ポイントの設置などが対象です。特に注目されるのは、既存のガソリン・ディーゼル車を**LPGやメタン(天然ガス)仕様に改造する「ガス転換」**への支援で、2,100万ユーロが確保されています。新車を買わずに既存車をクリーンにするという、イタリアならではの現実路線の施策です。

この方針の背景には、イタリア政府の明確な問題意識があります。補助金を出しても結局テスラやボルボなど外資ブランドのBEVが売れるだけでは、国内産業の空洞化が進む一方です。それよりも、ステランティスをはじめとする国内産業の競争力そのものを底上げすることで、長期的な雇用と経済的基盤を守ろうという考え方です。

ただし、この施策には批判もあります。短期的にはBEVの普及がさらに遅れるリスクがあり、EU全体のCO₂排出削減目標との整合性という問題も残ります。欧州委員会は2025年から新車のCO₂排出基準を一段と厳格化しており、基準未達のメーカーには厳しい罰金が科されます。個人向け補助金を削減しつつ、BEV普及目標も達成するという難題を、イタリア政府がどう解決していくかは、欧州全体が注目する試金石となるでしょう。


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ミラノの交通インフラ解剖—地下鉄5路線と路面電車が織りなす都市の静脈

五輪期間中にミラノを訪れる方、あるいはイタリアの都市交通に関心を持つ方のために、ミラノの交通インフラについても掘り下げておきましょう。自動車文化が根強いイタリアですが、都市部の公共交通も独自の進化を遂げています。

ミラノの公共交通を統括するのは**ATM(Azienda Trasporti Milanesi=ミラノ都市交通局)**です。地下鉄(メトロ)を中心に、市バス、路面電車(トラム)が複雑に組み合わさったネットワークを運営しています。

地下鉄は現在5路線が稼働しています。M1(赤)、M2(緑)、M3(黄)という従来の3路線に加え、2013年開業のM5(ライラック)と、2022年開業・2025年に全線開通したM4(青)が加わっています。M4はリナーテ空港から市内中心部を結ぶ路線として特に重要で、空港アクセスが大幅に改善されました。

チケット制度は2024年に大きく刷新されました。長年親しまれてきた紙チケットが廃止され、チャージ式電子チケット(ICカード型)への移行が完了。ローマでは2年前に先行導入されていたため、「ミラノもようやく」という声もありましたが、非接触型決済(タッチ決済)への対応も進み、利便性は着実に向上しています。料金はゾーン制で、市内主要エリア(ドゥオーモ、ブレラ、ナヴィリオ周辺)はすべてM1〜M3のゾーン内に収まります。1日乗り放題券(24時間)は7.6ユーロで、五輪期間中のリピート利用に最適です。

ただし、ミラノの地下鉄には日本のそれとは大きく異なる特徴があります。バリアフリー化が十分に進んでおらず、エレベーターのない駅も多数。また「信用乗車方式」を採用するバスやトラムでは、乗車後に打刻機でチケットを通す必要があり、これを怠ると検札で罰金を科されます。さらに、イタリア特有の「ストライキ文化」により、突発的な交通機関の運休が起きることも覚悟しておいたほうがよいでしょう。

五輪期間中(2026年2月6日〜22日)は、ミラノ市内の交通事情がさらに複雑になります。主要競技会場が点在するため、広域にわたる交通規制と動線誘導が実施されます。アイスホッケーのメイン会場となるサンシーロ(スタディオ・サン・シーロ)エリアへはM5ライラックラインが最寄りとなりますが、試合の前後は改札前に長蛇の列ができることが予想されます。時間に余裕を持った行動が不可欠です。

一方、コルティナ・ダンペッツォへのアクセスは電車とバスの組み合わせが基本となります。ミラノ中央駅からヴェネツィア経由でドッビアーコまで鉄道移動(約3〜4時間)し、そこからバスに乗り換えるルートが一般的です。山岳地帯への自動車でのアクセスは悪天候による通行止めリスクがあるため、レンタカー利用の場合は事前に路況情報の確認が必須です。


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五輪開催期間中の治安・安全情報—自動車業界人が見るミラノのリスク

最後に、2026年の五輪観戦を検討している方のために、現地の安全情報を整理しておきます。これは単なるお役立ち情報ではなく、自動車業界の視点からも「モビリティとセキュリティ」という観点で重要なテーマです。

窃盗・スリへの警戒は、ミラノ観光の最大のリスクです。観光客を狙ったスリ・ひったくりは日常的に発生しており、地下鉄内・混雑した広場・駅周辺が特に危険です。バッグは前に抱える、スマートフォンは使用後すぐポケットに収める、高価なカメラは首からぶら下げない——これらの基本的な対策を徹底することが重要です。また、貴重品を車内に置いたまま離れることは、イタリアでは絶対に避けてください。レンタカー利用時の車上荒らしも各地で報告されており、駐車場の選択には注意が必要です。

テロ・大規模デモへの警戒も必要です。国際的な注目を集める大規模イベントは、様々な政治的・社会的グループの主張の場となりがちです。競技会場や観光スポットなど多くの人が集まる「ソフトターゲット」への警戒とともに、抗議デモが過激化するリスクも念頭に置き、群衆が形成されている場所への接近は避けましょう。

コルティナ・ダンペッツォの山岳リスクも見逃せません。アルプスの山岳地帯で行われるスキー競技観戦のために現地を訪れる場合、雪崩・吹雪・急激な気温変化といった自然のリスクに備えることが不可欠です。現地の気象情報と立入規制を必ず確認し、公式ルートを外れた移動は避けてください。

なお、五輪期間中は外務省の「海外安全情報」を随時確認することを強くお勧めします。


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まとめ:変革期のイタリアが示す、自動車産業の未来地図

2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックを前に、イタリア自動車市場は歴史的な転換点を迎えています。

ステランティス・フィアットというイタリアの「自動車の魂」が揺らぐ一方で、トヨタをはじめとする日本ブランドがその隙間を着実に埋めつつある。HEVへの圧倒的な傾倒は、充電インフラの整備が追いつかない現実と、日々クルマを使うライフスタイルが生み出した必然的な選択です。そして政府は、個人へのバラマキ補助金という「対症療法」を捨て、産業の根幹を強化する「構造改革」へと舵を切りました。

日本の自動車業界に身を置く者として、この「イタリアの変化」は対岸の火事ではありません。高い運転頻度・インフラ未整備・消費者の合理的な選択——これらはどの国でも普遍的に起き得る課題であり、その解として「フルハイブリッド」が機能することをイタリアは証明しています。

世界の耳目がミラノとコルティナに集まる2026年2月。選手たちが氷上・雪上で熱戦を繰り広げる一方、イタリアの街では100年以上の歴史を持つ自動車文化の「次のページ」が静かに、しかし確実に書かれていきます。

その変化の行方を、業界人の目で、そしてクルマ好きの目でしっかりと見届けていきたいと思います。


※本記事はUNRAE、ANFIA、ジェトロ、トヨタイタリアの公式発表資料ならびに業界データに基づき作成しています。市場数値・法制度・交通情報は変動する可能性がありますので、最新情報は各公式サイトおよび外務省の海外安全ホームページにてご確認ください。