みなさん、こんにちは! 自動車業界の最前線で、クルマの進化と交通の安全を見守っている私が、今回、皆さんにぜひ知っていただきたい大切なことがあります。
それは、**2025年9月21日から始まる「全国秋の交通安全運動」**です。
「また、交通安全運動か…」
そう思った方もいるかもしれません。しかし、この運動は決して、形式的なものではありません。
「自分だけは大丈夫」という、誰もが心の中に抱える油断が、いつ、どこで、誰の人生を変えてしまうか分からないのが交通事故です。特に、日没が早まる秋は、毎年事故リスクが急上昇する**「魔の時間帯」**。
この記事では、この運動がなぜ今、あなたの心に届かなければならないのか、その真の目的を深く掘り下げます。そして、国のトップから地域まで、様々な人々が「交通事故死ゼロ」という一つの目標に向かって、どのように取り組んでいるのか、その全貌を明らかにします。
秋の交通安全運動2025

1目的:なぜ今、秋の交通安全運動なのか? ―― 人生の安全を守るための“合図”
この運動の本当の目的は、「国民全体に交通安全の考え方を浸透させること」です。それは単に交通ルールを覚えることではありません。
- 「交通ルール」を「日常の習慣」にすること。
- 「みんな」で道路交通環境を改善すること。
- 「交通事故を徹底的に減らす」という共通の目標を持つこと。
これは、内閣府や全日本指定自動車教習所協会連合会が掲げる、非常に重いテーマです。
想像してみてください。 いつも通る見慣れた交差点。いつものように青信号を渡ろうとしたその時、スマホを操作しながら運転するクルマが、あなたの存在に気づかなかったら?
「自分だけは大丈夫」と思っていた事故が、誰かの不注意であなたの人生を、そして大切な人の人生を、一瞬にして変えてしまうかもしれないのです。
秋の交通安全運動は、夕暮れ時の事故増加を防ぐために、一人ひとりの意識を高めるための**“合図”**です。この運動が、あなたの心に響き、行動を変えるきっかけとなれば、それは未来の安全を守る大きな力になります。
運動期間と「交通事故死ゼロを目指す日」 ―― 意識が高まる10日間
- 期間:2025年9月21日(日)〜 9月30日(火)の 10日間
- 交通事故死ゼロを目指す日:9月30日(火)
この10日間は、国全体が交通安全を最優先事項として掲げる、特別な期間です。
特に、最終日である9月30日は、「交通事故死ゼロを目指す日」として設定されています。この日は、交通事故による死者が一人も出ないことを目指し、ドライバー、歩行者、自転車に乗るすべての人が、いつも以上に交通安全に意識を集中させる日です。
夕暮れ時の視界不良、秋の行楽シーズンによる交通量の増加、そして冬に向けての路面状況の変化など、秋の交通には多くの危険が潜んでいます。この運動期間は、これらのリスクを再認識し、安全な習慣を身につけるための絶好の機会なのです。
主催(実行主体):誰が取り組むの? ―― 日本が一体となった“ワンチーム”の取り組み
この運動は、決して特定の団体だけで行われているものではありません。その主催者リストを見れば、いかに国全体がこの問題に真剣に取り組んでいるかが分かります。
内閣府、警察庁、国土交通省といった国のトップレベルの省庁から、都道府県や市区町村といった地域の行政機関、さらには自動車技術総合機構、JAF、トラック協会、バス協会といった交通関連団体まで、実に広範な組織が参加しています。
これは、まさに国を挙げての**“ワンチーム”**体制です。
彼らは、それぞれが持つ専門知識やネットワークを最大限に活かし、ポスターの掲示、啓発イベントの開催、交通安全教室など、多岐にわたる活動を展開します。この連携が、日本全国津々浦々にまで交通安全のメッセージを届ける原動力となっています。
協賛:どのような支援があるのか? ―― 企業や団体の社会的責任
主催者リストには明記されていませんが、多くの民間企業や関連団体がこの運動を協賛という形で支援しています。
例えば、NEXCO東日本は高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで、飲酒運転撲滅や安全運転の啓発活動を展開しています。また、多くの企業が社員向けの交通安全講習を実施したり、啓発グッズを提供したりしています。
これらの取り組みは、単なるPR活動ではありません。企業が社会の一員として、交通安全という共通の課題に貢献する**「社会的責任」**を果たす姿勢です。こうした民間の力が加わることで、交通安全の輪はさらに広がり、より多くの人々に届くようになるのです。
全国重点となる3つの取組 ―― 命を守るための具体的な行動
今年の秋の交通安全運動では、特に以下の3つの重点項目に力が入れられています。
歩行者の安全な横断と視認性向上
交通事故の犠牲者で最も多いのが歩行者です。特に夕暮れから夜間にかけては、ドライバーから歩行者が見えにくくなります。
- 行動提案:
- 反射材を身につける。
- 明るい色の衣服を選ぶ。
- 信号のない交差点でも、必ず左右を確認し、安全な横断を心がける。
“ながらスマホ”と飲酒運転の根絶+ライトの適切な活用
スマートフォンを操作しながらの運転や飲酒運転は、一瞬で人生を破壊する行為です。
- 行動提案:
- 運転中はスマートフォンを触らない。
- **「飲んだら乗るな」**は絶対厳守。
- 夕暮れ時は早めのライト点灯を。対向車がいない時はハイビームを積極的に活用し、歩行者の早期発見に努める。
自転車・原付のルール遵守とヘルメット着用
自転車も、道路交通法上は「軽車両」です。
- 行動提案:
- 交通ルールをしっかり守る。
- ヘルメットの着用を習慣にする。
- 歩行者や歩道を通行する際は、徐行または一時停止し、安全を最優先する。
実施要項:日常にどう落とし込むか? ―― 地域から変わる安全意識
この運動は、国のトップダウンだけでなく、地域社会に深く根差して展開されます。
地方自治体や教育機関では、通学路での交通安全指導や、夜間の反射材キャンペーン、自転車の安全指導などが積極的に行われます。地域ごとのスローガン(例:柏市「見えないを 見えるに変える 反射材」)が設定されるのも、地域の実情に合わせた展開を進めるためです。
これらの活動は、私たちが暮らす身近な場所で行われています。交通安全は、誰かに任せるものではなく、一人ひとりの日々の行動から生まれるものなのです。
交通事故の推移:現状を知れば“他人事”じゃなくなる ―― 減少の裏に潜む危機
長期的には、日本の交通事故死者数は1970年代の約1/6〜1/4にまで激減しました。これは、車両の安全技術の進化や、法整備、そして国民の安全意識向上による、間違いなく誇るべき成果です。
しかし、近年、その減少傾向に油断できない兆候が見られます。
- 2023年には、交通事故死者数が8年ぶりに増加に転じました。
- 年代別では、高齢者が事故死者の約半数を占めています。
- 自動車乗車中の事故死は減少傾向にある一方で、歩行中・自転車乗用中の事故は依然として多い傾向にあります。
このデータは、交通事故が依然として私たちのすぐそばに潜む「現実」であることを示しています。
まとめ:秋の交通安全運動は、あなたの命と未来を守るための「合図」
秋の交通安全運動は、クルマに乗る人も、歩く人も、自転車に乗る人も、すべての人にとって重要な意味を持ちます。
「自分だけは大丈夫」というその考えを、今日で終わりにしませんか?
- 歩行者は、反射材を身につけて、自分の存在をアピールする。
- ドライバーは、早めのライト点灯と、ハイビームをこまめに活用する。
- 自転車に乗る人は、ヘルメットを着用し、ルールを守る。
この運動期間をきっかけに、ほんの少しの意識と行動を変えるだけで、あなたは、そしてあなたの周りの大切な人々の命と未来を守ることができます。
安全な社会は、一人ひとりの意識から生まれます。この秋、みんなで「交通事故死ゼロ」を目指しましょう。
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