はじめに:自動車業界から見た消費税還付金制度の矛盾
自動車業界に身を置く私から見ると、現在提案されている「食料品の消費税ゼロ(0%)」という政策は、一見すると消費者に優しい「薬」のように見えますが、その実態は小規模事業者や外食産業を根底から破壊しかねない「毒」を含んでいます。
トヨタ自動車だけで年間約5,000億円から6,000億円規模の消費税還付金を受けている自動車業界の現状を知る立場として、消費税の「還付金制度」という制度設計の構造的な問題を深く理解しています。本記事では、2023年10月に導入されたインボイス制度が小規模事業者を追い詰める現状を紐解き、提案されている特例制度の真実、そして「食品税率ゼロ」がもたらす産業界への致命的な影響について、業界の裏側を知る視点から徹底解説します。
衆議院解散総選挙、連立与党が勝つか負けるかに関係なく「食料品のみ消費税率0%制作」が実施されようとしています。既に大手食料品を扱うチェーン店の株価が反応し暴騰しています。巨大資本のみを救う政策、政府との政治資金という利権、それで良いのでしょうか。消費税を全て無くす、インボイス制度の廃止を切望したいと考えます。
我々自動車業界は政府により輸出産業であるメーカーを筆頭に消費税という税制面で救済されています。550万人にも及ぶ下請け従事者にも、少なからず恩恵を受けてきた消費税税度ですが、立ち止まって考えるべきときです。食こそ最優先に守るべき事と考えるからです。
小規模事業者や飲食店に沢山の顧客を持つ、我々ディーラーも対岸の火事ではありません。
第1章:インボイス制度が小規模事業者の経営に与えている具体的な影響
インボイス制度導入で激変した小規模事業者の経営環境
2023年10月に導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、日本の小規模事業者の経営環境を一変させました。この制度により、免税事業者から課税事業者への転換が進み、納税負担と事務的負担が重くのしかかる事業者が増加しています。
2024年12月には埼玉県議会が「インボイス制度の廃止等を求める意見書」を賛成多数で可決するなど、地方自治体からも制度見直しの声が上がっており、この制度が小規模事業者にとっていかに深刻な問題となっているかが浮き彫りになっています。
小規模事業者が直面する三重苦
インボイス制度の最大の問題は、それまで免税事業者として活動してきた事業者が、取引継続のために課税事業者への転換を余儀なくされ、「減収」と「過大な事務負担」、そして「取引排除リスク」という三重苦に直面していることです。
(1)実質的な手取りの減少
小規模事業者の多くは、これまでの免税メリットを失うことで、利益が直接的に削られています。フリーランスなどの1人事業者は、サラリーマンと比較して所得税の面でも負担が大きいにもかかわらず、新たに消費税の納税義務が加わることで、実質的な二重課税のような状況に陥っています。
売上が年間500万円のフリーランスデザイナーを例に考えてみましょう。これまで免税事業者として売上の消費税分を益税として手元に残せていましたが、インボイス登録により課税事業者となった場合、年間で数十万円単位の実質的な減収となります。平均給与以下の所得層にとって、この負担は極めて重いものです。
(2)膨大な事務コストと経済コスト
インボイス発行に伴う経理事務は、小規模事業者にとって極めて重い負担となっています。区分記載請求書からインボイスへの対応により、取引単位での課否判定や煩雑な税額計算が必要となり、システム改修費用などの発生を含め、社会全体が被る経済コストは甚大です。
2024年初頭の調査では、約3分の1の事業者がインボイス制度に関する課題を抱えている状況が報告されており、制度開始から1年以上経過した現在でも、多くの事業者が対応に苦慮しています。
会計ソフトの導入や改修、税理士への相談費用、従業員教育のコストなど、目に見えない負担が小規模事業者の経営を圧迫しているのです。特に、IT化が遅れている高齢の個人事業主にとっては、インボイス制度への対応そのものが事業継続の大きな障壁となっています。
(3)取引排除のリスクと「売上の壁」
免税事業者のままでいると、取引先の課税事業者が仕入税額控除を受けられなくなるため、取引から排除されたり、値下げを強要されたりするリスクが常に付きまといます。
対消費者取引(B to C)がメインの事業者であっても、単発の企業間取引(B to B)が発生した際に対応できなければ、貴重なビジネスチャンスを失うことになります。実際に、「インボイス登録していない事業者とは取引できない」という通知を受けた小規模事業者の事例が全国で報告されています。
また、課税事業者となった後も、売上が1,000万円を超えると本格的な納税義務が発生するため、「売上を1,000万円以下に抑える」という本末転倒な経営判断を強いられる事業者も少なくありません。これは日本経済全体の成長を阻害する深刻な問題です。
2割特例の限界と恒久的な解決策の必要性
現在、免税事業者からインボイス発行事業者となった小規模事業者には、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの期間、納税額を売上税額の2割に軽減する「2割特例」が適用されています。
この負担軽減措置により、当初想定されたほどの混乱は起きていないとの評価もありますが、これはあくまで時限的な措置であり、2026年9月末で終了します。特例終了後は、突然納税額や事務処理の手間が増える可能性があり、多くの小規模事業者が先行きに不安を抱えています。
このように、インボイス制度は小規模事業者の経営基盤を根底から揺さぶっており、もはや国の支援措置だけでは不十分で「制度そのものの廃止」を求める声が各自治体からも上がっているのが実態です。
第2章:提案されている特例制度の内容と小規模事業者への救済効果
恒久的な「みなし仕入率100%」特例制度案A
インボイス制度による小規模事業者の苦境を打開するために提言されているのが、「みなし仕入率100%」などの恒久的な特例制度です。これは、現行の時限的な「2割特例」とは異なり、公平かつ簡素な仕組みを目指したものです。
課税売上高500万円以下への適用
売上高が500万円までの小規模零細な個人事業者に対し、仕入税額控除を売上税額と同額とみなすことで、結果的に納税額をゼロにする案です。これにより、所得が平均給与以下の層の税負担を排除し、サラリーマンからフリーランスへの転職障壁を下げ、働き方の多様化を支援します。
具体的には、年間売上400万円のイラストレーターの場合、売上にかかる消費税額は40万円(10%の場合)となりますが、みなし仕入率100%が適用されれば、仕入税額控除も40万円とみなされ、納税額はゼロになります。これにより、小規模事業者は複雑な経理処理から解放され、本業に専念できるようになります。
段階的なみなし仕入率の適用で「売上の壁」を解消
売上が500万円を超えた場合でも、一気に負担を増やすのではなく、1,000万円(適用上限)に向けてみなし仕入率を段階的に減らしていく(例えば80%まで)ことで、「売上の壁」による事業拡大への躊躇を防ぎます。
例えば、売上700万円の事業者にはみなし仕入率90%、売上900万円の事業者には85%というように、段階的に負担を増やすことで、事業拡大のインセンティブを損なわない制度設計が求められています。
人件費アプローチによる新たな簡易課税(特例制度案B)
労働集約型産業の実態に即した制度設計
サービス業や飲食業など、人件費率が高い労働集約型産業は、消費税の転嫁が困難な傾向にあります。材料費や設備投資よりも人件費の占める割合が高いため、実質的な仕入税額控除額が少なく、納税負担が重くなりがちです。
そこで、業種区分を廃止し、個々の事業者の「人件費」を用いてみなし仕入率を算出することで、実質的に人件費に税率を乗じた額を納税額とする仕組みが提案されています。これにより、転嫁できない「損税」の補填となり、小規模事業者の資金繰りを劇的に改善させます。
具体例:美容室の場合
年間売上1,200万円、人件費率70%の美容室を考えてみましょう。
- 現行制度:売上税額120万円 – 仕入税額控除約40万円 = 納税額約80万円
- 人件費アプローチ:売上税額120万円 – (人件費840万円×10%=84万円)= 納税額約36万円
このように、実態に即した納税額となり、経営の圧迫が大幅に緩和されます。
事務負担軽減とインボイス保存義務の暫定免除
これらの特例制度は、事務負担を軽減するだけでなく、インボイスの保存義務を暫定的に不要とすることで、小規模事業者が複雑な事務作業から解放される道筋を示しています。
現在の制度では、適格請求書の発行・保存が義務付けられており、7年間の保管義務もあります。これは書類管理の負担だけでなく、保管スペースの確保やデジタル化のコストも発生させます。暫定的にでもこの義務が免除されれば、小規模事業者の負担は大きく軽減されるでしょう。
第3章:食料品の消費税率ゼロが外食産業と社会全体にもたらす致命的な弊害
2026年最新動向:食料品消費税ゼロをめぐる政治状況
2025年10月の自民党と日本維新の会の連立政権合意には「飲食料品について2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討する」と記載されており、食料品の消費税ゼロ化は現実味を帯びた政策課題となっています。
立憲民主党も、食料品などにかかる8%の消費税率を来年から1年間だけ0%に引き下げる政策を、夏の参院選の公約にすることを決定しており、与野党を問わず食料品の消費税軽減策が選挙の焦点となっています。
しかし、耳当たりの良い「食料品の消費税率0%」という公約の裏には、外食産業や小規模な飲食店を破綻に追い込む深刻なリスクが潜んでいます。
自動車業界と同じ構図:大手食品メーカーへの巨額還付金
自動車業界では、輸出に伴う「ゼロ税率」によって巨額の還付金を得ています。2023年度には、トヨタ自動車など輸出大企業20社に対し、消費税額2兆1,803億円が還付されており、異常円安の恩恵も受けて前年比で約3,000億円も増加しました。
食料品0%が導入されると、自動車業界と同様の不公平が食品業界でも発生します。サントリーグループの場合、現在でも年間149億円の還付を受けているが、食料品がゼロ税率になれば年間還付金額は352億円に増え、203億円もの追加補助金を受け取ることになるとの推計があります。
これは実質的な特定業界への巨大な補助金であり、税の公平性を著しく損なうものです。大手食品メーカーやスーパーマーケットチェーンは多額の還付金を受け取る一方で、小規模な飲食店は後述するように納税額が激増するという、極めて不公平な状況が生まれます。
飲食業界への実質的な「増税」攻撃
仕入税額控除の喪失による納税額の倍増
飲食店は「サービス」を提供する業種であるため、売上の消費税率は10%のまま据え置かれます。一方で、仕入れる食材の税率が0%になると、これまで受けていた「仕入税額控除」の額がゼロ(または激減)になります。
- 現行制度:売上税額(10%)- 仕入税額(8%)= 納税額
- 導入後:売上税額(10%)- 仕入税額(0%)= 納税額の大幅増
計算上、飲食店の消費税納税額は現在の2倍以上に跳ね上がる可能性があり、薄利多売で運営している中小の飲食店にとっては、経営を直撃する深刻な事態となります。
具体例:個人経営のラーメン店
年間売上2,000万円、食材仕入800万円のラーメン店の場合:
- 現行:売上税額200万円 – 仕入税額64万円 = 納税額136万円
- 食料品0%後:売上税額200万円 – 仕入税額0万円 = 納税額200万円
納税額が約1.5倍に増加し、年間64万円の負担増となります。営業利益率が2~3%程度の飲食業界では、この負担増は致命的です。わずかな仕入控除の有無が経営に直結する薄利多売の飲食業では、電気代や人件費の高騰に悩まされている中で、仕入控除が効かなくなるというのは大きなダメージとなります。
外食産業全体への波及効果と街の風景の変化
消費者行動の変化による外食離れ
食料品が0%になれば、外食に対する割高感がかなり強く感じられ、飲食店などの外食産業から消費者が遠のく可能性が高まります。スーパーで食材を買って自宅で調理すれば消費税ゼロ、外食すれば10%という差は、消費者の行動を大きく変えるでしょう。
「食事は家で済ませよう」「外食はテイクアウトで買おう」という流れが加速すれば、個人企業にかかわらず外食産業はさらに厳しい立場に追い込まれることになります。
地域経済への打撃と大手チェーンへの集約
個人経営の飲食店が閉店に追い込まれれば、地域の食文化や雇用が失われるだけでなく、空いた場所には資本力のある大手チェーンや外資系企業が進出してきます。家族でやっているような個人店や小さな卸業者が潰れ、空いた場所には外資系のチェーンが入ってくるという構図は、地域の多様性を失わせ、画一的な街並みを生み出します。
地域に根ざした個人経営の定食屋、パン屋、居酒屋が消えていけば、そこに食材を卸していた地元の八百屋や魚屋、酒販店なども連鎖的に打撃を受けます。これは「国民を助ける減税」ではなく、日本の経済基盤と地域コミュニティを壊す政策になりかねません。
物価は8%下がらないという「幻想」
消費税と価格決定の実態
消費税法には消費税分を価格に転嫁する規定がなく、つまり価格に転嫁する法的義務も保証もないため、税率を下げても価格決定権は事業者にあります。
令和元年10月に軽減税率制度が導入された際も、外食は10%でテークアウトは8%だが、店で食べる値段もテークアウトの値段も同じという店が圧倒的に多いという現実があります。事業者は容器代や事務コストを理由に、価格を据え置く判断をしているのです。
海外事例:マレーシアの消費税廃止
マレーシアは2018年6月1日、新政権の選挙公約により税率6%の付加価値税を廃止したが、物価は同年5月から6%下がらず1%下がったに過ぎないという事例があります。消費税の廃止・減税は物価を下げることにはほとんど貢献しないのです。
業者は利益確保や事務コスト増を理由に、価格を据え置く可能性が高く、消費者が期待するほどの恩恵を受けられない可能性があります。特に、システム改修費用や会計処理の複雑化に伴うコストは、価格に転嫁せざるを得ないでしょう。
制度の複雑化と政治的な癒着の温床
品目の線引きをめぐる混乱と訴訟リスク
食品0%を導入しているイギリスでは、どの品目を0%にするのかをめぐって長年議論が続いており、ケーキなのかビスケットなのかで10年以上裁判を行なっている例もあるとされています。
「どの品目が0%か」を巡る線引きは極めて難しく、膨大な事務コストと税務訴訟を招きます。健康食品は食料品か、栄養ドリンクは対象か、冷凍食品は、調理済み食品は、などの判断に莫大な時間とコストがかかることになります。
ロビー活動の激化と利権構造の拡大
日本でも軽減税率が導入される際、新聞業界による陳情運動(ロビーイング)が展開され、新たに軽減税率を設けると事業者団体による陳情運動が起こり、特定業界と政治家との癒着の土壌(裏金の温床)を生むという指摘があります。
陳情運動を展開する業界は、外食産業、新聞・書籍、鉄道・バス・タクシー、運輸・物流、医療、医薬品、身障者用品、石油・燃料、電気・ガス・水道など手が付けられない状況になる可能性が高く、政治と特定分野・企業との癒着の温床、政争の具になることが必至です。
財源問題と社会保障への影響
年間5兆円の税収欠陥と財源確保の現実
報道によれば、食料品の消費税率をゼロにした場合、年間約5兆円の税収減が見込まれるとされています。この巨額の財源をどう確保するのかという問題が残ります。
結局、食料品0%で生じる年間約5兆円の税収欠陥は、他の所得税や法人税の増税、あるいは社会保障の削減で賄われることになり、社会全体にさらなる不公平を撒き散らす結果を招くのです。
消費税は社会保障費の財源として重要な役割を担っており、食料品の消費税がゼロになれば、少子高齢化が進む日本において、医療、年金、介護といった社会保障制度の安定性を脅かすことにつながりかねないのです。
欧州の教訓:軽減税率と標準税率引き上げの連鎖
欧州では、軽減税率を設けるたびに、税収減と税務執行コストの増加を穴埋めすることを理由に標準税率を上げてきたという歴史があります。欧州の標準税率が高い理由は、軽減税率の導入が一因となっているのです。
食料品を0%にした後、財源確保のために標準税率を12%や15%に引き上げるという事態になれば、結局は国民全体の負担が増えることになります。一時的な「0%」という甘い言葉の裏に、将来の大幅増税が隠れている可能性があるのです。
第4章:真に公平な税制改革への道筋
インボイス制度の構造的欠陥と抜本的見直しの必要性
消費税の本質:直接税か間接税か
消費税の原型は1950年、シャウプ博士が日本で提案した付加価値税で、これは事業税に代えて赤字でも取れる税金として考案された直接税でした。シャウプの付加価値税には、価格への転嫁も輸出還付金制度もありませんでした。
フランスは1954年に「製造業者売上税」を「付加価値税」に名称変更し、企業の付加価値に課税する直接税を間接税と定義することで、ガット協定で禁止されている直接税への輸出還付金を実施できるようにしたという歴史的経緯があります。
つまり、インボイス制度導入の動機は、直接税である「付加価値税」を間接税らしく見せるようごまかすためだったという側面があるのです。日本の消費税も、実質的には直接税としての性格を持ちながら、間接税として輸出還付金制度を運用しているという矛盾を抱えています。
インボイス制度廃止を含めた抜本的改革
私たち小規模事業者は、目先の「0%」という甘い言葉に惑わされるのではなく、インボイス制度の構造的欠陥を正し、真に公平な特例制度の確立を求めるべき時が来ています。
埼玉県議会の意見書では、インボイス制度が小規模事業者や個人事業者に過大な負担を強いるとして、制度の廃止を求める内容となっており、地方からの声は明確です。
恒久的な小規模事業者支援策の確立
みなし仕入率制度の恒久化と拡充
時限的な「2割特例」ではなく、みなし仕入率100%(売上500万円以下)や段階的な軽減措置を恒久的な制度として確立することが求められます。これにより、小規模事業者は安心して事業計画を立てることができ、働き方の多様化も進むでしょう。
人件費アプローチによる公平な課税
労働集約型産業の実態に即した人件費アプローチの簡易課税制度を導入することで、業種による不公平を解消し、真に負担能力に応じた課税が実現します。
消費税制度全体の見直しと代替財源の検討
部分的ゼロ税率ではなく、全体的な税率引き下げ
食品だけでなく消費税そのものをゼロにすれば、飲食店も業者もスーパーも、そして消費者も、みんなが助かり、地域の商売も守れるという意見もあります。中途半端な一部品目の軽減ではなく、消費税率全体の引き下げを検討すべきでしょう。
法人税の適正化と富裕層への課税強化
輸出還付金制度により、大企業が巨額の還付を受けている現状は、税の公平性の観点から問題があります。消費税の減税分を法人税の適正化や富裕層への課税強化で補うことも検討すべきでしょう。
おわりに:小規模事業者と地域経済を守るために
目先の「0%」に騙されるな
食料品の消費税0%という政策は、一見すると消費者に優しく、選挙での票集めには効果的に見えます。しかし、その裏には以下のような深刻な問題が潜んでいます。
- 外食産業への実質的な増税(納税額2倍以上の可能性)
- 大手食品メーカーへの巨額還付金(実質的な補助金)
- 物価は期待ほど下がらない(マレーシアの事例では1%のみ)
- 制度の複雑化と政治的癒着(訴訟とロビー活動の激化)
- 年間5兆円の財源不足(社会保障削減や他税目の増税)
- 地域の個人事業者の廃業(大手チェーンへの集約)
求められる真の改革
自動車業界で年間数千億円規模の還付金を目の当たりにしてきた私から見れば、消費税の問題は食料品の税率を一時的にゼロにすることでは解決しません。必要なのは以下のような抜本的な改革です。
1. インボイス制度の見直しまたは廃止
小規模事業者を苦しめる制度の構造的欠陥を正し、事務負担と経済的負担を軽減する
2. 恒久的な小規模事業者支援策
みなし仕入率100%の適用(売上500万円以下)、段階的軽減措置、人件費アプローチによる簡易課税の導入
3. 消費税制度全体の公平性確保
輸出還付金制度の見直し、大企業と小規模事業者の負担バランスの適正化
4. 代替財源の確保
法人税の適正化、富裕層への課税強化、無駄な支出の削減
声を上げ続けることの重要性
埼玉県議会がインボイス制度の廃止を求める意見書を可決したように、地方から、現場から、声を上げ続けることが重要です。政治家の耳当たりの良い公約に惑わされず、実態を見極め、本当に必要な政策を求めていく必要があります。
私たち小規模事業者は、自動車業界のような巨大産業と同じテーブルで議論することは難しいかもしれません。しかし、日本経済の基盤を支え、地域コミュニティを豊かにしているのは、私たち一人ひとりの事業者です。
食料品消費税0%という「毒入りの薬」を拒否し、真に公平で持続可能な税制改革を求めて、声を上げ続けましょう。それが、日本の地域経済と小規模事業者の未来を守る唯一の道なのです。
【この記事のポイント】
✓ インボイス制度は小規模事業者に「減収」「事務負担」「取引排除」の三重苦を強いている
✓ 2割特例は2026年9月末で終了、恒久的な支援策が必要
✓ 食料品消費税0%は外食産業の納税額を2倍以上に増やす可能性
✓ 大手食品メーカーには年間数百億円の還付金が発生(実質的な補助金)
✓ 物価は期待ほど下がらない(マレーシアでは6%廃止で1%しか下落せず)
✓ 制度の複雑化により訴訟とロビー活動が激化、政治的癒着の温床に
✓ 年間5兆円の財源不足は他税目の増税や社会保障削減で補填される
✓ 真の改革はインボイス制度の見直しと恒久的な小規模事業者支援策の確立


