オイル難民は要注意!なぜ市販の激安オイルで「代用」すると最新エコカーは一発で死ぬのか?車屋が教える「純正オイル=液体パーツ」の恐るべき真実

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令和の時代に、まさかのオイルショックが来るとは思っていなかった。

📌 読者の皆様へ:今、日本の足元で起きている「異常事態」の全貌 そもそも、なぜ令和の現代に、日本の自動車大国でこれほどまでに純正オイルが枯渇しているのか。その生々しい舞台裏と、全国のディーラーで今まさに始まっている「引き波(予兆)」のリアルについては、下記リンクの記事で詳しく解説しています。まだ読まれていない方は、まず現状を把握してください。

【2026年オイルショック】ディーラーがオイル交換を拒否!?供給不足の全容と愛車を守るための緊急サバイバル術
【2026年オイルショック】ディーラーがオイル交換を拒否!?供給不足の全容と愛車を守るための緊急サバイバル術
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  1. はじめに:「令和のオイルショック」という現実と、あなたの愛車を守る最後の砦
  2. なぜ「純正オイル=液体パーツ」なのか?メーカーの変態的開発の裏側
    1. 昔のオイルと今のオイルは「別物」である
    2. 1ミクロンを削り出す「エンジンとオイルの共同開発」という狂気
    3. 「添加剤パッケージ」という名の企業機密
  3. 【車種別・故障シミュレーション】純正オイルを妥協すると「何がどう壊れるか」完全解説
    1. ① 最新ハイブリッド車(0W-8 / 0W-16指定):「1日数百回の死」が蓄積する
    2. ② ダウンサイジング直噴ターボ車:「LSPI」という名の爆弾が仕込まれている
    3. ③ クリーンディーゼル車:DPF詰まりで「修理代40万円」への一本道
  4. 車屋の本音:社外品オイルでエンジンが壊れた時、メーカー保証は本当に通るのか?
    1. ディーラーの整備士が最初に確認する「3つのこと」
    2. 現場で起きた「修羅場」——数千円の節約が呼んだ120万円の請求書
    3. 「整備記録簿がなければバレない」は通用しない
  5. オイルショック有事における「賢い代用オイル」の選び方・3つの鉄則
    1. 鉄則①:「粘度グレード」より「API規格・ILSAC規格」の番号を絶対に守れ
    2. 鉄則②:ネットの「激安ドラム缶小分けオイル」には絶対に手を出すな
    3. 鉄則③:カー用品店で選ぶなら「メーカー承認(OEM Approval)取得品」を指名買いせよ
    4. 【番外編】緊急時の「つなぎ」として許容できる期間は?
  6. まとめ:有事だからこそ「愛車の血液」には投資せよ
    1. 純正オイルは「消耗品」ではなく「エンジン寿命を買い取る保険」だ
    2. 今日から始める「3ヶ月前予約」という新しいカーライフ習慣

はじめに:「令和のオイルショック」という現実と、あなたの愛車を守る最後の砦

ディーラーに電話すれば「現在、純正オイルの入荷が不安定で……」という言葉が返ってくる。部品の国際サプライチェーンの混乱、添加剤の原材料不足、そして需要の集中。これが現実だ。

そうなると、頭をよぎるのは「とりあえず、カー用品店やネットで安い社外品オイルを入れてしまえばいいか…」という誘惑だ。確かに、値段を見れば魅力的に映る。純正が4リットル8,000円~12,000円のところ、社外品なら1,500円。「オイルなんて、どれも同じ油だろ」という気持ちは、正直なところ理解できる。

だが、私は45年間、車の販売と整備の現場にいる。その経験から断言する。

現代の車において、純正オイルは単なる「潤滑油」ではない。エンジンを構成する「液体パーツ(部品)」そのものだ。

1回妥協しただけで、燃費悪化どころかエンジン寿命を数年縮めるリスクがある。そして最悪の場合、数千円をケチった代償が80万円を超えるエンジン載せ替えの請求書として返ってくる。私はその現場を、何十件と見てきた。

この記事では、教科書的な「オイルの5大作用(潤滑・冷却・密封・防錆・清浄)」などという退屈な話は最低限にする。それよりも、メーカーの設計者がどれほど狂気的な精度でエンジンと純正オイルを「共同開発」しているか、そして社外品オイルを入れて保証が切れ、修羅場と化した現場のリアルを、今日はすべて暴露しようと思う。


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なぜ「純正オイル=液体パーツ」なのか?メーカーの変態的開発の裏側

昔のオイルと今のオイルは「別物」である

まず、根本的な誤解を解かなければならない。多くの人が「オイルなんて昔から大して変わらないだろう」と思っている。だが、それは20年以上前に車の知識が止まっている人の認識だ。

ひと昔前のエンジンオイルの主流は「10W-30」や「5W-30」だった。これらは粘度が比較的高く、いわば「分厚い油膜」でエンジン内部の金属同士の接触を物理的に防いでいた。多少品質にバラつきがある社外品を入れても、その「厚さ」でカバーできる部分が多かった。

だが、現代の最新エンジンが要求するオイルを見てほしい。

  • トヨタ・ヤリスハイブリッド(3代目):0W-8
  • トヨタ・プリウス(60系):0W-16
  • 日産・ノート e-POWER(3代目):0W-8
  • ホンダ・フィット(4代目e:HEV):0W-8

「0W-8」。この数字の意味を、粘度という観点だけで理解しようとすると間違える。これは水に近いほどシャバシャバの液体だ。指先にたらしてみれば、食用油より明らかにサラっとしている。なぜこんなに極薄のオイルになったのか。

答えはシンプルだ。燃費を0.1km/Lでも稼ぎ出すためだ。オイルが薄ければ薄いほど、ピストンが動く際の「かき混ぜ抵抗(かくはん抵抗)」が減る。エンジン始動時の「ポンピングロス」も減る。カタログ燃費の数字を1ケタ後半から20km/Lオーバーへ押し上げるために、メーカーはオイルの粘度を限界まで削り落としてきた。

そして、ここに大きな罠がある。オイルが極薄になればなるほど、そのオイルの性能に頼り切った「ギリギリの設計」がエンジンに施されることになるのだ。

1ミクロンを削り出す「エンジンとオイルの共同開発」という狂気

現代の自動車メーカーがエンジンを開発する際の工程を、業界の外にいる人はほとんど知らない。私も長年の付き合いの中でメーカーの技術者から直接聞いた話だが、これが本当に「狂気」と呼ぶしかない世界だ。

エンジンの開発チームは、最初の設計段階からオイルメーカー(添加剤ブレンダー)と同席している。エンジンの図面を引きながら、同時にオイルの配合も決めていく。具体的には、以下の要素が完全に連動して設計される。

  • ピストンリングの張力(テンション)
    シリンダー壁を押し付ける力の強さ。0W-8の極薄オイルでも油膜が保てるギリギリの低テンション設計にしてある。同じ張力で5W-30を入れると、オイルの「逃げ方」が変わり設計値が崩れる。
  • シリンダー壁の表面仕上げ(ホーニング加工)
    シリンダー内壁に施される微細な「交差する傷(クロスハッチ)」のパターンと深さ。純正オイルの摩擦調整剤(FM剤)が、そのパターンに最適な油膜を形成することを前提に、傷の角度・深さ・ピッチが1ミクロン単位で計算されている。
  • ピストンスカートのコーティング
    ピストン下部に塗られた樹脂コーティングの素材と厚さも、純正オイルの摩擦調整剤との「相性」を前提に選定されている。
  • オイル供給孔の径
    エンジン内部の各部位にオイルを届けるための穴の大きさも、0W-8という粘度を前提に最適化されている。

つまり、何が起きるか。純正オイル以外の液体を入れた瞬間、メーカーが膨大なコストと時間をかけて緻密に構築した「エンジンとオイルの生態系」が、一瞬で崩壊する

「少しくらい硬いオイルを入れても、まあ動くだろう」というのは、まったく違う。「動く」ことと「設計通りに機能している」ことは、天と地の差がある。動いてはいるが、ミクロの世界では金属同士の微小な焼き付き(カジリ)が毎サイクル、何千回、何万回と繰り返されている。それが蓄積して、数年後に「突然死」に見えるエンジンブローが起きる。

「添加剤パッケージ」という名の企業機密

現代のエンジンオイルの中身は、ベースオイルが70~80%、残りの20~30%が「添加剤パッケージ」で構成される。この添加剤パッケージこそが、純正オイルの核心だ。

摩擦調整剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤……これらの配合比率は、各自動車メーカーとオイルメーカーが共同特許を持つ「企業機密」だ。当然、市販の社外品オイルには公開されていない。

カー用品店で売っている「0W-16対応」と書かれた社外品オイルは、粘度グレードは合っていても、添加剤の配合は別物だ。それは「同じサイズのネジ」ではあっても「別の材質で作られたネジ」を、精密機械に使うようなものだ。「合う」と「適合する」は違う。


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【車種別・故障シミュレーション】純正オイルを妥協すると「何がどう壊れるか」完全解説

① 最新ハイブリッド車(0W-8 / 0W-16指定):「1日数百回の死」が蓄積する

ハイブリッド車のエンジンは、通常のガソリン車と根本的に異なる「起動パターン」を持っている。エンジンが止まった状態からモーターだけで発進し、ある速度域に達するとエンジンが「ドン」と再始動する。この「エンジン停止→再始動」のサイクルを、市街地走行では1日に軽く数百回繰り返す。

エンジンが最も摩耗するのは、停止後の「冷間始動」の瞬間だ。これは常識だが、ハイブリッド車はこの「冷間始動に近い状態での再始動」を常に繰り返している、と考えてほしい。

ここで仮に、指定の0W-8の代わりに5W-30を入れたとしよう。何が起きるか。

  • 始動時の抵抗増大
    粘度が高い分、始動直後に各部位にオイルが行き渡るまでの「ドライスタート(油膜ゼロの金属接触)」の時間が延びる。0W-8と5W-30では、油膜形成速度に明確な差がある。
  • 燃費の劇的悪化
    実測で10~15%の燃費悪化が報告されている。30km/L近く走るプリウスが26km/Lになる計算だ。「節約のために安いオイル」を入れたのに、ガソリン代の方が増えるという本末転倒が起きる。
  • ピストンリングとシリンダー壁の蓄積ダメージ
    設計値より厚い油膜が逆に邪魔をして、ピストンリングの「なじみ」が崩れる。目に見えないミクロの傷が毎日蓄積し、3年後、5年後に「エンジンオイル消費量の増大」「圧縮圧力の低下」という形で現れる。

さらに深刻なのは、こうしたダメージが症状として現れるまでに数年かかることだ。「入れた直後は何も変わらなかった」という経験が「安全神話」を生み、習慣的に社外品を入れ続ける悪循環に入る。

② ダウンサイジング直噴ターボ車:「LSPI」という名の爆弾が仕込まれている

これは、知らないと本当に命取りになる話だ。2010年代以降、欧州発のダウンサイジングターボが日本車にも急速に普及した。排気量の小さいエンジンをターボで過給して、大排気量に近いパワーを出しながら燃費も稼ぐ技術だ。

この直噴ターボエンジンには、「LSPI(低速早期着火:Low-Speed Pre-Ignition)」と呼ばれる異常燃焼現象が起きやすい、という致命的な弱点がある。

LSPIとは何か。燃料噴射・点火プラグの着火よりも早いタイミングで、混合気が勝手に着火してしまう現象だ。その際の衝撃は、通常の燃焼とは比較にならないほど強烈で、ピストンに直撃する。ひどい場合、ピストン自体が粉砕される。エンジンが一発で全損するのだ。修理代は当然、エンジン丸ごと載せ替えのコースだ。

そして、このLSPIを引き起こす最大の要因の一つが、エンジンオイルの添加剤の配合ミスだ。

具体的には、オイルの清浄剤に含まれる「カルシウム(Ca)とマグネシウム(Mg)のバランス」が極めて重要だ。カルシウムが過剰に含まれる古いタイプのオイルを直噴ターボ車に入れると、このカルシウム成分が燃焼室内で飛散し、着火の引き金になる。

最新の国際規格「ILSAC GF-6」や「API SP」が制定された理由のひとつが、まさにこのLSPI対策だ。規格に適合した純正オイルや認証済みオイルは、カルシウムの含有量を厳格に制限し、その代わりにマグネシウムを増やすことでLSPIを防止している。

さて、ここで安い社外品オイルの話に戻る。規格表示のない激安オイル、特にネットで出回っている「格安ドラム缶小分けオイル」の中には、こうしたLSPI対策が一切施されていない、古いグループIベースオイルを使ったものが存在する。

直噴ターボ車に、そういったオイルを入れた場合に起きることは——ピストンの粉砕だ。エンジン始動からわずか数千キロで。

③ クリーンディーゼル車:DPF詰まりで「修理代40万円」への一本道

クリーンディーゼルエンジン(CRD/CRDI)搭載車——マツダのSKYACTIV-D、三菱のディーゼルSUV、トヨタランクル300系のGD系エンジン——は、排ガス規制に対応するため「DPF(ディーゼル微粒子フィルター)」という装置を搭載している。

DPFは文字通り、排ガス中のPM(粒子状物質=すす)を捕集するフィルターだ。一定量のすすが溜まると「強制再生」といって、排気温度を意図的に上げてすすを燃やして除去する仕組みになっている。

ここで問題になるのが、オイルの「灰分(アッシュ)含有量」だ。

エンジンオイルは燃焼の過程でごく微量が燃焼室に入り込み、燃えることがある(オイル上がり・オイル下がり)。通常ガソリン車ではほぼ無視できる量だが、ディーゼルエンジンでは燃焼ガスがDPFを通過する際、オイルが燃えた「灰(アッシュ)」がフィルター内に堆積する。

純正指定のディーゼルオイルは「Low SAPS(低硫酸灰分・リン・硫黄)」という規格に準拠しており、灰分の量が徹底的に抑えられている。ところが、ガソリン車用の安い社外品オイルや、規格を満たさない激安ディーゼルオイルは、この灰分含有量が高い。

結果として起きることは——DPFが灰分で目詰まりを起こし、強制再生が不能になる。こうなると、DPFそのものを交換するしかなく、部品代+工賃で20万円~40万円のコースだ。ディーラーでは「オイルが原因」と診断された場合、これも当然、保証の対象外だ。

私の知る限り、この失敗をしたユーザーの多くは「ディーゼル車にも入れられる」と謳った安いオイルを、よく確認せずに使っていた。「ディーゼル可能」と「ディーゼル適合(ACEA C規格準拠)」は、まったく別物だ。


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車屋の本音:社外品オイルでエンジンが壊れた時、メーカー保証は本当に通るのか?

ディーラーの整備士が最初に確認する「3つのこと」

「エンジンから異音がする」「白煙が出る」「パワーがない」——こうした症状でお客様が車を持ち込んできた時、私たちベテランの整備士が最初に確認することを正直に教えよう。

  1. オイルレベルゲージとオイルの状態確認
    抜いて手に取る。色、粘度、においを確認する。「これ、純正じゃないな」とわかる場合がある。
  2. 整備記録簿(メンテナンスノート)のチェック
    どこで、何のオイルを入れたか。「オートバックス・イエローハット・アマゾン購入」と書かれていれば、次のステップに進む。
  3. メーカーの保証部門への照会
    症状と整備履歴をもとに、「指定外油脂類の使用による損傷」として処理できるか確認する。

そして現実を言う。メーカーの保証部門は驚くほど精緻に「保証拒否の根拠」を集めてくる。整備記録に社外品オイルの使用が一度でも確認されると、それが「不具合の直接原因」でなくとも、「指定外の油脂類を使用した事実がある」という一点だけで、保証申請を跳ねることが可能になる。

新車保証の約款には、必ずこういう文章が入っている。「自動車メーカーが指定する油脂類・部品以外を使用した場合、その使用に起因する不具合については保証の対象外となる場合があります」。

「起因する」という言葉が曲者だ。直接の因果関係の証明は難しい。だが、実務上は「使用した事実」があれば十分なケースが多い。

現場で起きた「修羅場」——数千円の節約が呼んだ120万円の請求書

15年ほど前の話だが、今でも鮮明に覚えている事例がある。当時納車から2年半の新車ターボ車を乗っていた40代のお客様が、「エンジンがガタガタして、走れなくなった」と車を引きずって来た。

原因はすぐにわかった。ターボ車に、安い非認証オイルを使い続けていた。エンジンオイルの劣化とターボへのオイル供給不良が重なり、ターボのブレード破損→金属片がエンジン内部に回り込む→コンロッドベアリング破損→コンロッド曲がり→シリンダーブロックに穴が開く、というカタストロフィーな経緯だった。

保証期間内だった。しかし整備記録に「○○(社外品メーカー名)オイル使用」と3回分の記録があった。メーカーの保証部門との交渉は難航した。最終的に「エンジン損傷の主因はオイル管理にある」と判断され、保証は適用されなかった。お客様の自費でのエンジン載せ替えとなり、請求額は工賃込みで118万円だった。

そのお客様が3回のオイル交換で「節約」した金額は、合計で約12,000円だった。

これは極端な例だと思うかもしれない。だが、程度の差はあれ、「保証適用外」となるケースは思っているよりずっと多い。表沙汰にならないだけで、現場では日常的に起きていることだ。私が知っているだけでも、この20年で似たような事例は数十件を下らない。

「整備記録簿がなければバレない」は通用しない

「記録に残さなければいい」と思った人もいるかもしれない。甘い。

ディーラーで受けた整備はメーカーのサーバーに記録が残る。しかし問題は「ディーラー以外での整備」を証明させる手段を、メーカー側も持っているという点だ。

  • オイルの劣化状況・汚染度合いから「交換間隔の逸脱」を推定できる
  • オイルのベースオイル成分の分析(これは本気でやれば成分同定が可能)
  • お客様自身が「ここで交換した」と無意識に話してしまうケース(私も何度も立ち会った)

保証の申請は、お客様対ディーラーではなく、お客様対メーカーの法的・技術的な争いになる。素人が単独で戦えるフィールドではない、ということを知っておいてほしい。


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オイルショック有事における「賢い代用オイル」の選び方・3つの鉄則

ここまで「社外品はダメだ」という話を続けてきたが、現実問題として純正が手に入らない状況は起きうる。ディーラーから「在庫がないので2ヶ月待ってください」と言われても、オイル交換の限界が来ている場合もある。そういう時のために、プロとして正直なアドバイスを出しておこう。

鉄則①:「粘度グレード」より「API規格・ILSAC規格」の番号を絶対に守れ

まず前提として、どうしても純正が入手できない場合、粘度は一段階の妥協なら取扱説明書の許容範囲内でOKな場合がある。たとえば「0W-16」指定車に「0W-20」を入れることは、多くのメーカーの取扱説明書で「緊急時に限り可能」とされている場合がある(必ずご自身の車種の取扱説明書を確認すること)。

ただし、絶対に妥協してはならないのが、オイルの規格グレードだ

  • ガソリン車向け
    API規格で最新の「SP」または「SQ(2025年以降対応)」、ILSACで「GF-6A」または「GF-6B」以上。これを下回る規格(SM、SN、SN Plus等)は、LSPI対策が不十分または未対応の可能性がある。
  • ディーゼル車向け
    ACEA規格で「C2」「C3」「C5」のいずれか(車種ごとに確認)。「A3/B4」などの旧ガソリン・ディーゼル兼用規格は絶対にNGだ。

規格の確認方法:オイルのボトルを手に取り、正面や裏面のラベルを見る。小さな文字で「API SP」「ILSAC GF-6A」などと印字されているはずだ。印字がないもの、またはSM以下の古い規格のものは、現代車への使用は避けるべきだ。

鉄則②:ネットの「激安ドラム缶小分けオイル」には絶対に手を出すな

オイルショックに便乗した悪質な粗悪・偽造オイルが、インターネット上に流通している。これは私が推測で言っているのではない。国内の整備業界・輸入車販売業界の中で、実際に問題が報告されている。

具体的な手口はこうだ。

  • 大手メーカーの有名ブランドのラベルやデザインを模倣した偽造品(缶の形や色が似ているが中身が別物)
  • 「純正品同等」「OEM品」などと称して、グループIベースオイル(最も安価で古いタイプ)にわずかな添加剤を混ぜただけのもの
  • 産業用・重機用・船舶用の安い業務用オイルを小分けして「自動車用」と謳って販売するもの
  • 賞味期限切れ(製造から5年超)の廃棄予定オイルが再パッケージングされたもの

こうした偽物・粗悪品を見分ける方法の一つは、価格だ。まともな4リットル入り0W-16オイルが2,000円以下で売られていたら、まず疑うべきだ。良質なグループIII以上のベースオイルと最新規格に対応した添加剤パッケージのコストを考えれば、正直に売れば4,000円を下回ることは構造的に難しい。

「安すぎる」は、オイルに限らずあらゆる工業製品において「何かが省かれている」サインだ。

鉄則③:カー用品店で選ぶなら「メーカー承認(OEM Approval)取得品」を指名買いせよ

どうしてもカー用品店で社外品を選ばなければならない状況になった時、唯一信頼できる基準がある。それが「自動車メーカーの承認(Approval)を取得しているオイル」だ。

これは単純な話で、自動車メーカーが「自社のエンジンで使用可能」と公式に認定したオイルのことだ。メーカーは独自の試験を実施し、合格したオイルに承認番号を付与する。主要な承認の例を挙げる。

  • Toyota WSS-M2C(EF規格)
    トヨタが0W-8・0W-16向けに独自設定した承認規格
  • Toyota Genuine Motor Oil認定品
    モービル1・キャッスルなどが取得済み
  • Volkswagen/Audi VW 508.00 / 509.00
    ダウンサイジングエンジン向け最新規格
  • BMW Longlife-17 FE+ / LL-04
    BMW・MINIのディーゼル・ガソリン向け
  • Mercedes-Benz Approval 229.52 / 229.71
    メルセデス各エンジン向け

これらの承認を取得しているブランドは限られている。モービル1(ExxonMobil)、カストロール(BP)、シェルヒリックス(Shell)、トタル(TotalEnergies)、ポルシェが愛用するモービルの特定グレード……いずれも「安い」部類には入らないが、純正オイルが手に入らない緊急時に選べる「次善の策」としては信頼に値する

確認方法:オイルのボトルの裏面または側面に、「Approved by Toyota」「VW 508.00 Approved」などの承認表記が印字されているものを選ぶ。これがない社外品は、規格グレードが合っていても「自動車メーカーが試験して合格させた」という保証がない。

【番外編】緊急時の「つなぎ」として許容できる期間は?

やむを得ず承認外の社外品(規格は適合している前提で)を一時的に入れた場合、どのくらいで純正に入れ替えるべきか。

私の基準では、3,000km以内または3ヶ月以内に必ず純正オイルに戻すこと。これはメーカーの推奨交換インターバルより大幅に短いが、「非純正を入れている」という状態のリスクを最小化するためだ。

加えて、非純正を入れた事実は手帳にでも記録しておくことを強く勧める。何か不具合が起きた際、「1回だけ緊急対応として使用し、すぐに純正に戻した」という事実は、保証交渉においても意味を持つ場合がある。


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まとめ:有事だからこそ「愛車の血液」には投資せよ

純正オイルは「消耗品」ではなく「エンジン寿命を買い取る保険」だ

この記事を通じて伝えたかったことを、最後に簡潔にまとめる。

現代のエンジンオイル——特に0W-8・0W-16という極薄のオイルを指定された最新ハイブリッド車・直噴ターボ車——は、単なる「潤滑剤」ではない。エンジンという精密機械の一部として、金属パーツと同等の「設計部品」として位置づけられている。

その設計に反するオイルを入れることは、純正スペックの鍛造ピストンを「似たような形の鋳造品」に交換するのと本質的に変わらない。動くかもしれない。しかし、設計通りに機能しているわけではない。そしてその代償は、数年後に突然、重大な形で現れる。

純正オイルの価格が年々上がっていることは事実だ。しかし、その価格の中には——メーカーとオイルメーカーが何万時間もかけて行ったエンジンとの適合試験の費用が含まれている。今の車が10万km・15万kmと走り続けるための「長期保証」が含まれている。

純正オイルを「ただの消耗品コスト」と見るか、「エンジン寿命を延ばすための保険料」と見るか。この視点の転換が、長期的には圧倒的なコスト差を生む。

今日から始める「3ヶ月前予約」という新しいカーライフ習慣

オイルショックという現実を逆手に取る、プロとしての提案がある。

次回のオイル交換の予約を、今日すぐにディーラーに電話して、3ヶ月先で入れることだ。多くのディーラーは、事前予約分のオイルを確保してくれる。先着順でオイルをキープしてもらえる。在庫が薄い今だからこそ、「急に必要になってから探す」という従来のやり方を捨て、「余裕を持って計画する」習慣を作ってほしい。

私が45年間、現場で学んだことがある。車を長く、良い状態で乗り続けている人は、例外なく「先手を打っている」。壊れてから直すのではなく、壊れないように管理している。その最も基本的な投資が、純正オイルを正しいタイミングで入れ続けることだ。

「オイルショック」という言葉に踊らされて安易な妥協をするか、それとも有事だからこそ本質を見極めて愛車に正しい投資をするか——その判断が、5年後・10年後のあなたの愛車の状態を決める。

愛車のエンジンに流れる「血液」を、どうか大切にしてほしい。


この記事の情報は、45年間の自動車販売・整備の現場経験と、各自動車メーカー・オイルメーカーの公開技術資料に基づいています。車種・年式によって指定オイルや推奨交換インターバルは異なります。必ずご自身の車の取扱説明書およびディーラーにご確認ください。