新車・中古車を契約されたときに自動車販売店から注文書が発行されます。
商談内容の中心は主に使用されるお車の用途、予算などにおける適正な機種について話し合いがおこなわれていきます。
注文書の裏側には、契約に関する重要な事柄が記載されていますがその内容について商談の中で詳しく説明がされることはありません。
保険契約もそうですが注文書の裏側も読む気力を無くす膨大な「取り決め事項」が小さい字でビッシリ書かれています。
今回は、その中でも重要な下取車の取扱いについて解説していきます。
注文書裏側の記載内容
注文書の裏側に記載されている内容は次のとおりです。
下取自動車の取扱い記載について
先ずは第3条全文から
第3条(下取自動車の引渡次期及び未経過自賠責保険料・自動車税(種別割))
1,注文者は下取自動車を自動車代金等の債務の一部の支払いに代えて、自動車の引渡と同時に下取書類と共に自動車会社に引き渡します。注文者は下取自動車について、公租公課の代納等一切の負担が無いことを保証し、万一、負担がある場合は注文者の責任に於いて処理します。
但し、下取車自動車につき、自動車会社に引渡すまでの間に状態に変化が生じた場合、自動車会社と注文者は下取価格を再度査定の上協議して定めるものとし、協議が整わない場合注文者は下取自動車の引渡しに代えて表面記載の下取車価格に相当する金額を自動車会社に支払います
2,下取自動車の自賠責保険の未経過期間に対する解約による返還保険料については所定の「自動車損害賠償責任保険 解約保険料表」によるものとし、その相当額を下取価格に含めるものとします。ただし、1000円未満は四捨五入します。また、未経過月数は満月数とし、2か月分を差し引いたものとします。
3,下取自動車の納付済自動車税(種別割)の期日未経過分については、自動車会社は注文者が下取自動車及び名義変更に必要とする書類を引渡した日の翌月分から、月割りで算出した額を注文者に返還するものとします。ただし、注文者が都道府県税事務所より自動車税(種別割)未経過分の還付を受ける場合及び軽自動車の場合は除きます。
現場から
実際に商談の中で査定が行われる場合に於いて千円単位の回答は稀であり、最低でも万円単位のかいとうになります。従って上記のような原則返金が生じた場合に於いても商談後に注文書に調整(内金として)して記載されることになります。
厳密にいえば最小単位での契約が親切とは考えますが、待たれているお客様に商談時間を長引かせる要因ともなりかねない事項でもあります。車検残に対する評価額としてシンプルに説明応対し、納得を頂けるよう話を進めていく必要があると思われます。
自賠責保険未経過相当額の考え方
新車・中古車の納品が完了し、納車後に下取車が搬入された以降において、その車両(特に車検が長期に残っているような車両)に関しては後の処理が異なります。自動車会社の判断に於いて、例え年式が古い車両であっても車検が残っている車両に於いてはオークション相場が高値になる要因もあり、容易に抹消登録を行うものでもありません。
上記案件に伴って、自賠責保険未経過相当額においては名変であれ抹消であれ権利は自動車会社に移管されたのですから、注文書に記載し注文者に返還する必要があります。
自動車会社では下取り搬入された自動車が車検月を残した状態で抹消された場合に限り「異動承認請求書」にて損害保険事務所に抹消証明を添付する形で還付請求を起こします。名義変更の場合には自賠責保険に於いても「異動承認請求書」にて名義変更後の車検証を添付する形で自賠責保険を継承します。
自賠責保険は名義変更の場合注文者に返還されない為、注文書において先に返還を行う必要が生じるということです。
2か月分を差し引いてというのは搬入後の処理に時間がかかる為です。
自動車の未経過自動車税(種別割)の考え方
今回話題の自動車税(種別割)の返還です。
自動車会社へ下取搬入後の車両を抹消する場合に於いては、自動車税は注文者へ通知という形で自動車税の返還手続きが行われます。言わば自動的に変換されていきます。
問題は車検月の残がある車両を転売(名義変更)する場合の処理方法です。
自動車会社でも商談時に曖昧に取り扱われていることで、自動車メーカーからも注意喚起が行われている内容でもあります。
下取車両を名義変更する場合においては自動車税(種別割)は自動的に返還されません。更に新しい所有者はその年度残月分の税金を納める必要がありません。
オークションへ車検付き車(生き車)を出品した場合に於いては出品落札後、限られた期限内に名義変更を速やかに行う必要がありますという取り決めがあります。この際、出品先から「自動車税相当額」という項目で自動車税未経過分が出品者に対し返金されます。
ですので注文者は自動車税を含む下取金額であるかということはとても重要です。
下取価格に自動車税(種別割)を含めてはならない。
自動車税を注文書内において返金すること。
この点をメーカーは自動車会社に対し注意喚起を行っています。