来年4月より車検が2か月前から可能に、ディーラーへの影響を考察

業務

少し遅れを取りましたが国土交通省より下記公布文書が公開されております。

国土交通省 令和6年6月25日公布 令和7年4月1日施行
       
「来年4月より、車検を受けられる期間が延びます」
~ 年度末を避けて余裕をもって受検をお願いします ~

年度末における車検の混雑緩和と自動車整備士の働き方の改善のため、関係省令を改正し、車検証の有効期間満了日の 「2か月前」から車検を受けられることとしました。

自動車ディーラーに於ける令和7年4月1日以降の車検への影響を考えてみます。

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交付文書の概要(国土交通省公布を抜粋)

背景

現在、車検は、 「有効期間満了日の1か月前から満了日までの間」に受検いただいていますが、 車検需要が年度末に集中しているため、この時期は、 自動車ユーザーが整備や車検の予約が取り づらく、自動車整備士も残業・休日出勤に追われるという問題が生じています。
※ この期間に受検すると、残存する旧車検証の有効期間を失うことなく、 新車検証に更新できます(下図参照)

道路運送車両法施行規則等の改正

今般、道路運送車両法施行規則を改正し、 「有効期間満了日の2か月前から満了日までの間」に 受検しても、 残存する有効期間が失われないこととしました。 また、 自賠責保険の有効期間もこれに 整合させるため自動車損害賠償保障法施行規則を改正しました。 (いずれも令和7年4月1日施行

自動車ユーザーの皆様へのお願い

車検は年度末が大変混雑します。 余裕をもった予約・受検にご協力をお願いいたします。

道路運送車両法施行規則の一部を改訂する省令全文

1,背景

道路運送車両法 (昭和26年法律第185号) 第62条に基づく自動車の継続検査に ついては、道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号。以下「車両法施 行規則」という。)第44条において、 残存する自動車検査証の有効期間を失うこ となく継続検査が受検可能な期間を、 自動車検査証の有効期間が満了する日の一月 前以内(離島に使用の本拠の位置を有する自動車にあっては二月前以内)と定め ているところである。
他方、特定の期間、 特に年度末等に継続検査関連業務が集中することで、当該期 間中における自動車整備工場等の業務に大きな負担がかかり、 その結果、 自動車の 使用者が継続検査を円滑に受検することに支障が生じることが懸念される状況にある。
そのため、今般、 特定の期間に集中する継続検査関連業務の平準化及び自動車の 使用者全体の利便性向上を図るべく、 車両法施行規則及び自動車損害賠償保障法施 行規則(昭和30年運輸省令第66号。以下「自賠法施行規則」という。)について 所要の改正を行う必要がある。

2,概要

(1)継続検査の受検可能期間の拡大 (車両法施行規則第44条関係)
継続検査を受けようとする自動車の使用者に対し、 残存する自動車検査証の有効 期間を失うことなく継続検査が受検可能な期間の起算日を、 自動車検査証の有効期 間が満了する日の「一月前」 (離島に使用の本拠の位置を有する自動車にあっては、 「二月前」)と規定しているところ、これを全国一律に 「二月前」 とする。
(2) 自動車損害賠償保障法施行令(昭和 30 年政令第 286号) 第11条第4号に規定 する 「国土交通省令で定める期間」 の拡大 (自賠法施行規則第7条関係)
保険会社 (組合) に対し、 自動車損害賠償責任保険 (共済) に係る保険期間 (共 済期間)の末日がその申込みの日から起算して、これから検査を受け、記録される こととなる自動車検査証の有効期間に 「一月」 (離島に使用の本拠の位置を有する 自動車について継続検査を受ける場合にあっては、 「二月」)を加えた期間を経過 する日より前の日までの契約の申込みについて、 契約の締結義務を課していると ころ、継続検査を受けるものにあってはこれを全国一律に 「二月」とする。

今後のスケジュール

公布 令和6年6月25日
施行 令和7年4月1日

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令和7年4月以降の車検入庫台数はサービスフロントの顧客管理能力が試される

車検入庫のお客様は、数か月前に送付される「車検満了のご案内はがき」等で車検が近いことを認識されます。

個人差があり、車検が可能な1か月前より更に前から予約される几帳面なユーザーから満了日直前まで予約せず慌てて入庫を無理やりお願いしてくるユーザーまで様々です。

営業スタッフは乗り換えを視野に入れているため「管理ユーザー」に対してはしっかりとしたアプローチが出来ています。代替えなのか乗り換えか、ある程度の車検入庫台数は事前に予測管理できます。

管理ユーザーの他に、
・一見様(いちげんさま)ユーザー:基本的に今後のストックユーザーに成り得る大切なユーザー様、
・サービス管理ユーザー:営業スタッフが付いていない整備入庫歴のあるユーザー様
・紹介業様管理ユーザー:車検入庫は期待できないが、業者によっては管理を任されているユーザー様
・県外から帰省転勤ユーザー:サービス管理移管ユーザーや新規入庫ユーザー様
・併有車ユーザー:顧客とのお付き合いの中で獲得した他銘柄車種等の新規入庫ユーザー様
・ご紹介ユーザー:上記管理顧客から、社内紹介等で入庫されるユーザー様

要するに管理ユーザーからの入庫量が決っていて、その上に予測の出来ない上記のようなユーザー様がいる訳です。最需要期にはこの「突発的な入庫量と作業量が偏ってしまい管理できない」ことが問題になってきます。

一方閑散期には、「1か月前には車検が受けられる」という現行規則に頼って、来月の車検到来月のユーザー様から早期入庫を促し、入庫量を増やすことによって当月の入庫台数や目標利益を達成するようサービスフロントは必死になる訳です。

例えれば、平成8年に入ると直ちに3月車検満了の顧客が車検受け対象になります。決算月3月には5月車検満了のユーザーまで決算売り上げに間に合う訳です。そうなると、8年4月以降の車検ノルマ台数をいかにして達成していくのかという明確な問題が発生します。

確実に3月決算目標を達成し且つ4月5月の車検対象ユーザーを確約温存していかなけらばなりません。
言い方は悪いかもしれませんが、現在までの管理ユーザー囲い込みと信用(繋がり)は出来ていますか
営業スタッフは当たり前の事ですが、サービスフロントの顧客管理能力(力量)が試される4月5月になりそうです。覚悟は出来ていますか?