マツダが新しいボディーカラー「ネイビーブルーマイカ」を正式発表:新型CX-5の導入に合わせた塗装革新の全貌

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マツダは2026年1月9日、新塗装色「ネイビーブルーマイカ」を開発したと正式に発表しました。この新色は、マツダの現行ラインアップにおいて2018年以降最量販車種となっている新型「CX-5」から順次導入される予定です。東京オートサロン2026にて世界初公開されたこの新色は、単なる新色追加に留まらず、マツダの塗装技術とデザイン哲学の新たな到達点を示しています。

自動車業界において、ボディーカラーは単なる「色」以上の意味を持ちます。それは車の個性を決定づけ、ブランドアイデンティティを体現し、時には技術力の証明となる重要な要素です。マツダが満を持して投入する「ネイビーブルーマイカ」には、同社が長年培ってきた塗装技術の粋が結集されており、自動車塗装の新時代を切り拓く可能性を秘めています。

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マツダが新色「ネイビーブルーマイカ」の開発で追求した技術的テーマ

「ハイレゾリューション化」という革新的アプローチ

マツダが「ネイビーブルーマイカ」の開発において掲げた主要なテーマは**「ハイレゾリューション化(高解像度化)」**です。この概念は、デジタル画像の世界で使われる用語を自動車塗装に応用したもので、より緻密で鮮明な色彩表現を追求する姿勢を表しています。

従来の自動車塗装では、色の深みと鮮やかさはしばしばトレードオフの関係にありました。深い色を出そうとすると彩度が失われ、鮮やかさを追求すると深みが犠牲になる。この矛盾を技術革新によって解決することが、今回の開発における最大の挑戦でした。

高コントラストと緻密な質感の両立を実現する技術

このカラーは、「明るいところは鮮やかなブルー」に、「暗いところは深く美しいネイビー」に見えるという、劇的な明暗差の表現を目指して開発されました。これを実現するために、複数種類のマイカ(雲母片)をバランス良く配合し、それらを塗膜の中で水平に配置するという高度な技術が採用されています。

マイカ(雲母)は、薄片状の鉱物で光を反射する特性を持ちます。自動車塗装において、このマイカ粒子の大きさ、形状、配向が最終的な色彩表現を大きく左右します。「ネイビーブルーマイカ」では、異なるサイズのマイカを戦略的に組み合わせることで、光の反射をコントロールし、見る角度によって表情が劇的に変化する「生きた」色彩を生み出しています。

特筆すべきは、マイカの「水平配置技術」です。通常、塗装工程でマイカは無秩序に分散しますが、マツダは独自の塗装プロセスによってマイカ粒子を塗膜内で水平方向に整列させることに成功しました。この技術により、光の反射方向が制御され、特定の角度からの視認性が飛躍的に向上しています。

環境に左右されない造形美の強調

マイカを水平に整列させることで、光の反射を制御し、緻密でクリアな色味と質感を際立たせることが可能となりました。この技術により、晴天や曇天といった異なる環境下でも、クルマの造形をより鮮明に際立たせる高コントラストな表現が可能になっています。

自動車のエクステリアデザインは、光と影の演出によってその美しさが決まります。しかし、天候や時間帯によって光の条件が変われば、同じ車でも全く異なる印象を与えてしまいます。「ネイビーブルーマイカ」は、この環境依存性を最小限に抑え、どのような条件下でもデザイナーが意図した造形美を表現できるよう設計されています。

特に、曇天時には多くのボディーカラーが平坦で精彩を欠いた印象になりがちですが、この新色は拡散光の中でも高いコントラストを維持します。これは、マイカの配置によって微細な光の反射角度が最適化されているためで、わずかな光でも効率的に反射し、立体感を演出することができるのです。

「ディープクリスタルブルーマイカ」からの進化と「匠塗」の継承

「ネイビーブルーマイカ」は、従来の定番色であった「ディープクリスタルブルーマイカ」を進化させたカラーと位置付けられています。一部の専門家は、マイカを水平配置させるこの手法に、マツダが誇る独自の塗装技術**「匠塗(TAKUMINURI)」のノウハウが継承・応用されている可能性**を指摘しています。

「匠塗」は、マツダが2010年代半ばから展開している革新的な塗装技術で、特に「ソウルレッドクリスタルメタリック」や「マシーングレープレミアムメタリック」といった看板カラーで採用されてきました。この技術の核心は、反射層、吸収層、着色層という多層構造を最適化し、光の透過と反射を精密にコントロールすることにあります。

「ネイビーブルーマイカ」では、この多層構造の思想を青系色に最適化する形で応用していると考えられます。青という色は、可視光スペクトルの中でも波長が短く、塗装で表現する際には特有の難しさがあります。深みを出そうとすると黒に近づきすぎ、鮮やかさを追求すると軽薄な印象になってしまう。この矛盾を解決するために、マツダの技術者たちは何百もの配合パターンを試行錯誤したと推測されます。


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歴代モデルにおける青色系カラーの変遷とブランドへの貢献

企業シンボルとしての「マツダブルー」の系譜

マツダにとって「青」は、企業の歴史と深く結びついた特別な色です。マツダと青系の色のつながりは非常に古く、1970年代には「マツダブルー」が企業のシンボルカラーとして採用されていました。以来、マツダは「ブルー」の名を冠したボディーカラーを150以上も世に送り出してきました。

この数字は、他の自動車メーカーと比較しても際立っています。青系色へのこだわりは、マツダの企業文化に深く根ざしたものであり、「挑戦」「革新」「信頼」といったブランド価値を色彩で表現する試みでもあります。

1970年代から80年代にかけて、マツダは回転式エンジン「ロータリーエンジン」の実用化で世界を驚かせました。この革新的技術のイメージカラーとして選ばれたのが「マツダブルー」でした。青は、空の色であり海の色であり、無限の可能性と広がりを象徴します。マツダはこの色を通じて、技術革新への飽くなき挑戦を表現してきたのです。

CX-5とブルーの歴史的関係:初代から受け継がれるDNA

CX-5という車種自体も青色とは縁が深く、初代CX-5のローンチカラーには「スカイブルーマイカ」が採用されていました。2012年に登場した初代CX-5は、マツダの新世代技術群「SKYACTIV TECHNOLOGY」と新デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を初めて全面採用したモデルとして、マツダの歴史において特別な位置を占めています。

「スカイブルーマイカ」という名称には、「SKYACTIV」という技術ブランド名との呼応関係があり、青空のように晴れやかで開放的な未来を感じさせる色彩でした。この初代のDNAを受け継ぎながら、時代に合わせて進化させたのが今回の「ネイビーブルーマイカ」と言えるでしょう。

今回の「ネイビーブルーマイカ」も、日常のさまざまなシーンに調和し、グローバルの顧客に長く愛される「定番色」となることを目指して開発されています。初代の爽やかな「スカイブルー」から、より成熟した深みのある「ネイビーブルー」へ。この変化は、CX-5というモデルの成長と、それを選ぶユーザー層の進化を象徴しているとも解釈できます。

地域性と文化へのリスペクト:デニムと藍染からのインスピレーション

開発の背景には、マツダの拠点である中国地方と繋がりの深い**「デニム素材」や「藍染」から得たインスピレーション**も反映されているとされています。

広島県を中心とする瀬戸内地域は、江戸時代から藍染の産地として知られ、特に岡山県は「ジャパンデニム」の聖地として世界的に評価されています。デニム生地の深い青色は、使い込むほどに味わいが増し、経年変化を楽しむことができる「育てる色」です。

マツダのデザイナーたちは、この「時間とともに愛着が深まる青」という概念を自動車塗装に応用しようと考えました。もちろん、実際の塗装が経年変化するわけではありませんが、見る角度や光の条件によって表情を変える「ネイビーブルーマイカ」は、デニムのように「発見がある色」として設計されています。所有者が日々の使用の中で、新たな表情を見つけ出す喜びを提供する。そんな思想が込められているのです。

このように、青系色はマツダのブランドアイデンティティを形成する上で、時代を超えて重要な役割を果たしてきました。「ネイビーブルーマイカ」は、この長い歴史の最新章として位置づけられます。


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新型CX-5の導入を機にマツダが目指すデザインとカラーの関係性

「カラーも造形の一部」という一貫した思想

新型CX-5への新色導入は、マツダの「カラーデザイン哲学」を次なるフェーズへと引き上げる象徴的な出来事です。マツダは一貫して**「カラーも造形の一部」**という思想を掲げています。これは、塗装が単なる表面の着色ではなく、クルマの生命感を表現し、デザインを完成させるための不可欠な要素であるという考え方です。

多くの自動車メーカーでは、デザイン部門と塗装開発部門が別々に作業を進めることが一般的です。しかしマツダでは、プロジェクトの初期段階からデザイナーとカラー開発チームが密接に連携し、造形とカラーを一体として開発します。

新型CX-5の場合、エクステリアデザインの段階で既に「ネイビーブルーマイカ」を纏った姿が想定されていました。フロントフェンダーからドアパネル、リアフェンダーへと流れるキャラクターラインは、この新色が光を受けたときに最も美しく浮かび上がるよう設計されています。言い換えれば、造形とカラーが相互に高め合う関係を構築しているのです。

新世代エモーショナル・デイリーコンフォート:日常に感動を織り込む設計思想

新型CX-5の開発コンセプトは**「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」**です。日常での使い勝手にこだわりつつ、移動体験そのものに感動を与え、「走る歓び」を通じて「生きる歓び」を届けることを目指しています。

このコンセプトは、自動車が単なる移動手段ではなく、人生を豊かにするパートナーであるべきだというマツダの信念を表しています。通勤、買い物、子供の送り迎えといった日常的な使用において、ドライバーが「このクルマを選んで良かった」と感じられる瞬間を創出する。その重要な要素の一つが、視覚的な満足感であり、「ネイビーブルーマイカ」はその役割を担っています。

朝、駐車場に向かう時、ガラス越しに愛車の美しいネイビーブルーが目に入る。夕暮れ時、西日を受けて深い青が金色に輝く瞬間を目にする。こうした何気ない日常の中での視覚的な喜びが、所有する満足感を高め、クルマとの情緒的な絆を深めていくのです。

進化した造形と機能の融合:新型CX-5の全貌

新型CX-5は、全長4690mm(従来型比+115mm)、全幅1860mm(+15mm)とひとまわりサイズアップし、よりのびやかなプロポーションを手に入れました。このサイズ拡大は、単に室内空間を広げるためだけではなく、より洗練された造形表現を可能にするための戦略的な決断でもあります。

デザイン面での進化は顕著です。2段式のLEDヘッドライトは、鋭い眼差しと先進性を表現しながら、マツダらしい生命感も失っていません。フロントグリルは立体的な造形となり、「ネイビーブルーマイカ」との組み合わせで、光と影のコントラストがより一層際立つ設計となっています。

リアデザインは、より長くクーペライクになった形状が特徴です。CX-5はSUVでありながら、スポーティさと優雅さを兼ね備えた独特のシルエットを獲得しました。このなだらかに傾斜するルーフラインとリアゲートの造形は、「ネイビーブルーマイカ」が最も美しく映えるよう計算されています。光が当たる面積が大きくなることで、色の変化をより豊かに楽しむことができるのです。

インテリアにおいても革新が進んでいます。15.6インチの巨大タッチディスプレイを採用し、物理ボタンを大幅に廃止した先進的なUIを導入しています。これは、デジタル技術の進化をインテリアデザインに取り込むと同時に、操作の直感性を高める試みです。シンプルで美しいインテリア空間は、エクステリアの「ネイビーブルーマイカ」が醸し出す上質感と呼応し、車全体としての統一感を生み出しています。

パワートレインも大きく進化します。マイルドハイブリッド「M HYBRID」搭載のe-SKYACTIV G 2.5は、滑らかな加速と優れた燃費性能を両立。さらに、2027年には新ハイブリッドシステムと組み合わせた「SKYACTIV-Z」の導入も予定されています。この次世代パワートレインは、マツダが長年追求してきた「走る歓び」を電動化時代においても提供し続けるための技術的回答です。

これらの進化を遂げた車体に、最新の「ネイビーブルーマイカ」を纏わせることで、マツダは「実用性」と「情緒的な美しさ」をかつてないレベルで融合させようとしています。


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おわりに:新時代の「青」が紡ぐマツダの未来

マツダの新しい「青」は、まるで精巧に研磨された宝石が光の角度でその表情を変えるように、日常の景色の中でオーナーに新しい感動を与え続ける存在となるでしょう。

自動車業界が電動化、自動運転化という大きな変革期を迎える中、マツダは「人間中心」の哲学を貫き続けています。「ネイビーブルーマイカ」という一つのボディーカラーに込められた技術と思想は、その姿勢を雄弁に物語っています。

150を超える青系色の歴史を持ちながら、なお新たな青を追求し続ける。その姿勢は、決して現状に満足せず、常に次の美しさ、次の感動を探求するマツダの企業文化そのものです。

新型CX-5と「ネイビーブルーマイカ」の組み合わせは、2026年以降の自動車市場において、一つの重要なベンチマークとなる可能性を秘めています。実用性と美しさ、先進性と人間らしさ、そして技術と情緒。これらの要素を高い次元で融合させたこの新型車は、マツダが目指す「走る歓び」の新たな形を示すものとなるでしょう。

駐車場で、信号待ちで、高速道路で。日常のあらゆる場面で、光を受けて表情を変える「ネイビーブルーマイカ」は、オーナーに小さな発見と喜びを提供し続けます。それは単なる「色」を超えて、マツダが提案する新しいライフスタイルそのものなのです。