自動車生産遅れと仕入れ業務のリアリティ

業務

注文したのに待てど暮らせど納品されない新車。いったい何時になれば納車日が確定するの?そんなお客様の声を痛いほど解る業務課仕入れ担当者の悲鳴。まだ先の見えない生産予測の中で販売担当スタッフから毎日の問い合わせ。今宵のリアリティ現場を語りましょう

スポンサーリンク

生産遅れの根源は数年前に始まっていた

「爆発的に売れる商品が出る」営業がどんなに頑張ったところで、結局は良い商品、人気の出る商品が販売されないと何も報われない正に商品価値が生命線です。商品知識、販売話術はハッキリ言って誤差の範囲(小職は営業も兼ねていますので体感的に言っております)

さて爆発的に売れると一気に受注台数が伸び、直ぐにメーカーの生産計画をオーバーします。数年前までは当たり前に来る返してきた嬉しい悲鳴です。売れればそれに見合う生産をすれば良い単純な話です

しかし政府の忌まわしき「働き方改革」が立ちはだかります。粗悪の根源はここにあると考えています。休めない残業が増えるならば人を増やせば良い、企業努力で働く機会を増やしましょうですか?しかし喜んで企業がそんなことするでしょうか?自動車メーカーも生産を圧縮するしか方法が無いです。

人気製品ラインを増やせば良い?、変更コストが掛かりますし他の商品ラインの生産を圧迫します。

そしてずるずると生産遅れに拍車がかかっていきます。仕入れ担当者として肌で感じていました。

スポンサーリンク

二次三次要因が重なります

北海道地震による部品供給減、生産下請け工場相次ぐ大型台風被害、コロナ感染症の蔓延、半導体大手ルネサスの火災影響、そして海外からの半導体供給不足が深刻化。現在に至っています。

生産遅れの原因となるものがこれほど重なってくると、生産は全く読めなくなっていきます。生産調整対策で機種ごとによる生産計画もままならず供給部品が整った製品から生産をする。これが現状です。

ともなれば、ハッキリ言って受注した順番は関係が無くなって、最近注文頂いた商品が生産されたかと思うと半年前の受注分が生産されないそんなことも起こっています。しかしながら納車順番を大幅に「はき違えた」納品を喜んでできる筈もありません。仕方なくしばらく在庫で置くしかない?そうなると納車待ちのプールが溢れるという問題も起きてきます。メーカー側の保管ではなく「店頭で責任もって保管してね」となります。リスクも大きくなります

生産と共に、ディーラーは車両代金をメーカーに早々に支払います。納品できない新車は資金繰りをも悪くします。会社経営者側は「速く納品しなさい」と言います。でも販売現場は素直に喜べません

仕入れから納品の流れが変わってしまっている

上記でも説明しましたが、生産された商品(車台番号が決まった)は直ちに付属品架装される納車整備プールへの搬送されます。船便が一般的。売れていない新車在庫商品も未架装のままプールへ搬送されます。プールはいつも一杯です!

普段ですと売れていない商品同志で販社は交換を行えます。ですが今は余分に新車在庫を持つ余裕がありません。売れている商品最優先、その商品が生産されないのですから。これが納品が遅れる二次要因でもあります。

さらに、登録届出(ナンバープレートを受けて)が終わらないとこの二次架装が出来ないルールになっています。希望番号で登録が長引くと整備が行われないまま長期にプールで保管されることとなります

生産遅れで待ちにまった新車が生産されました。そして希望番号申請します。希望番号取得に数日かかります。ナビやETC2.0等の商品が欠品で整備がさらに遅れます。等々

月初に生産されたお車が月末の納品も怪しい。そんな流れに変わってしまっている現状もあります