車庫証明の提出の仕方、書き方を解説しているサイトは沢山あります。一般的な車庫証明の申請方法についてはそちらをご参照して頂くこととして、カーディーラーブログではちょっと悩ましい車庫証明申請方法や、経験上特殊なケースや車庫証明の考え方について目線を変えて掲載してみます。
一般的な申請の概要
車庫証明提出書類
各書類記入例詳細解説
◆ペルソナ概要◆
所有・使用者 カーディーラー株式会社
本社住所 大阪府高槻市芝生町1丁目
営業所住所 兵庫県南あわじ市広田14
保管場所 兵庫県南あわじ市広田広田12
保管場所土地管理人 カーポート淡路
管理人住所 兵庫県南あわじ市広田広田11
補足:カーディーラー株式会社は大阪に本社がありますが全国に営業所があり今回南あわじ市の営業所にて登録を行います。営業所は店舗のみの営業で車庫は近隣のカーポート淡路の所有地をかりております。尚カーディーラー株式会社は淡路の営業所を登記してはおりません(本社登記簿に記載がありません)
↓
登録後の車検証は次のようになります。
所有者 カーディーラー株式会社 代表取締役 豊田一郎
所有者住所 大阪府高槻市芝生町1丁目
使用者 所有者に同じ
使用者住所 所有者に同じ
使用の本拠の位置 兵庫県南あわじ市広田14
自動車保管場所証明申請書
記載方法について
住民票等の住所と車庫証明表記について
(住民票等の表記)
1. ○○市○○町1丁目1-1 ○○マンション101号
2. ○○市○○町1丁目1-1-101
3. ○○市○○町1丁目1-1
運輸局の登録における取り扱い(見解)
1.住所とは、基本的には住民票基本台帳に記載されているものが住所であり、マンションや団地等で棟番号部屋番号等が記載されているものは、それらを含めたものが住所である。
2.車庫証明書の審査では、申請者住所が住民票等の住所通り記載されているかを確認している。
3.しかし、表記1.の場合では車庫証明に部屋番号が含まれていない場合でも受理している。
4.表記2.の場合は、ハイフン以下すべてが記載されていないと受理していない。
5.表記3.の場合で、車庫証明住所に部屋番号
(例:○○市○○町1丁目1-1-101)が記載されている場合は、確認の上受理している。
6.上記以外で特殊な事例については個別に判断する。
上記運輸省 登録課の見解です!ご参考まで
過去特殊事例(私の記憶の事例です。ご参考まで)
住民票表記の平行番地※1
(例:1丁目1-1ー101 102)
広い土地や区画整理、土地売買によって希に存在します。
この場合の使用の本拠の位置表記はすべて車庫証明に記載が必要です。
番地を枠いっぱいに書いてしまって右に書く余地がなく車庫証明の出し直しという事例が過去にありました。
行政書士に以来せず、直接車庫証明を申請する場合には本人の住み慣れた住所の思い違いがある場合もあります。
必ず住民票を取得した上で正しく車庫証明を出すように心がけましょう!
自認書(借地なので使用しません)
正式名称『保管場所疎明証明書』
土地建物が自己所有である場合に自認書を提出します。参考までに記入方法を記しておきます
保管場所使用承諾証明書
「いつからいつまで、その土地を車庫として利用することを承諾しました」という書類です
保管場所の所在図及び配置図
所在証明
当該車両を利用する営業所等がその住所に存在しますという証明です。
利用できる証明書としては
公共料金の支払い証明書
消印入りの郵便物
申請者の名前(社名や店名)と、使用の本拠となる支店の住所が記載されていなければなりません。
コピーの提出でも可能な警察署もありますが原則は原本の提出です。
尚、管轄によっては上記例ですとカーディーラー株式会社の押印のある所定様式(所在証明)を提出することによって上記書類を割愛することができる警察署もあります。
書式も一定ではありません。
詳しくは提出する管轄の警察署に確認を行ってください。
使用の本拠の位置と保管場所の位置
使用の本拠の位置とは、申請すべき車両を実際に使用している人若しくは法人が住んでいる自宅又は事務所(拠点・営業所・店舗)を言います。
保管場所とは実際に当該車両を置いている場所を言います。
使用の本拠の位置と保管場所は直線距離で2Km以内でなければ車庫証明申請は申請できません。
直線距離で2Kmとは
地図上で2Km圏内にあれば良いということになります。
Aさん、BさんがA町10-1にある駐車場を借りている例です。
離島に住んでいるAさんの車検証は
使用の本拠の位置 〇〇島11-1
保管場所の位置 A町10-1
対岸のA町10-1にある駐車場を借りているBさんの車検証は
使用の本拠の位置 B町10-1
保管場所の位置 A町10-1
となります。
Aさんは離島の為に駐車場が狭く敷地内に駐車場が設置できません。
離島も狭く車を使用する必要もありませんので本土側のA町で車庫を借りました。
渡し舟にみがアクセスできる方法ですが異動できることと距離が2Km以内に
車庫を借りているという要件を満たしているので申請ができます。
Bさんも同じく敷地が狭く駐車場を確保できませんでした。
近所に借りられる土地も無く、仕方なく対岸の駐車場を借りました。
アクセスは遠くの橋を迂回して駐車場まで行くしか方法がありません。
距離は5km程ありますが、直線距離では2km以内に位置していることから
要件を満たし申請することが可能です。
車庫証明提出の必要が無いケースについて
そもそも提出の必要のない地域である場合
一定条件を満たす登録・届出の場合
登録届出時に於いて車庫証明の提出が必要なくなります。
提出の必要のない地域
・軽自動車の届け出であって車庫証明が必要とされる市街地以外の地域
・登録届出車に於いて住居表示が「〇〇村」である場合
市町村合併等に於いて統合されている地域においても統合前の住居表示が「〇〇村」であった場合には同様に車庫証明提出の必要はありません。
一定の条件を満たす登録・届出
登録届出において、車庫証明の提出義務のない申請があります。
どのようなケースにおいて必要がないのか?
例を踏まえて解説していきます。
同居の家族間での変更登録届出
同居の家族間での相続や名義変更においては、使用の本拠の位置の変更がありません。
ですので、車庫証明で申請すべき内容に変更が生じないということで提出の必要がありません。
同様に、個人名から企業名に(又はその逆)であっても住所が同一であるならば同様に車庫証明の申請は必要がありません。
(例 当該車両を 住所11-1 で法人名へ移転登録届出)
保管場所のみの変更
(重要ですので理解しておきましょう!)
図のペルソナケースで解説
◆ペルソナ概要◆
Aさんは駐車場1(住所12-1)を所有しています。
Bさんは駐車場2(住所12-2)を所有していました。
Aさんには息子がおり車を保有しています
Bさんが引っ越しを行うことが決まり
Aさんは息子さんの為にBさんの家と駐車場を買い取りました
Bさん宅と駐車場2は息子さん名義として登記を行い
住民票を移し転居しました。
Aさんは駐車場1を資材置き場とするために
車は息子の駐車場2に停めることになりました。
確認をしておく事項として
車検証には「自動車の保管場所の位置」は記載がありません!
◆転居したAさんの息子さんの場合
車庫証明が必要な人は車検証記載のある「使用の本拠の位置」が変更になった人です
Aさんの息子さんは移転登録届出と共に車庫証明の申請が必要になります。
11-1→11-2 車検証変更登録届出が必要!
Aさんの車検証記載
使用者の住所 11-2
使用の本拠の位置 同上
仮に息子さんが駐車場1をそのまま利用する場合も同様に車庫証明の申請が必要です
車庫が変わっていないにも拘わらずです!
◆逆にAさんの場合はどうでしょう
Aさんが使っている車両の保管場所は12-1から12-2に変わりました。
当然ながら土地の所有者も異なります。息子の借地です。
ですが「使用の本拠の位置」に変更が無いしたがって登録届出も必要がありません。
当然車庫証明提出も運輸局には必要ありません。
警察署には提出義務は発生すると思われますが
<要約>
ディーラー目線で
警察署での車庫証明の考え方は
その車を保管している場所があり、その車を置いている場所(住所)は何処(何番)であるという証明書になります。
登録届出(運輸局)の考え方は
その車を利用している使用者が住んでいる(営業を営んでいる)場所は何処であるという証明になります。車庫証明が承認された=保管場所が確保できているとみなすという見解です。
警察署は「車」が中心であり運輸局は「人(企業)」が中心であってその場所を証明するものと理解しましょう。
事業用車両(緑、黒ナンバー)
事業車両に於いては車庫証明が必要が無いと言う訳ではありませんが、ここでは登録届出時に運輸局に提出する必要がありませんという意味です。
事業車両は運輸局に予め運送事業を始めるにあたり車両台数や、営業所の立地、駐車場の有無など、さまざまな認可基準を満たしていなければ事業申請許可が出ません。従業員の給与や、車両維持費、税金などを支払うのに十分な資金力があること、運行管理者資格を持つ人員を確保していることなども取得要件となっています。
従って登録届出に際には、今回車両を増車(増車申請)として増やすのか、使用している車両を乗り換えるのか(代替申請)、又は抹消登録を行って減らすのか(減車申請)を運輸局輸送課に提出を行った上で許可を得て登録届出申請を行います
従って登録書類事態に車庫証明は必要ありません。確保できているという前提での登録届出です。
<補足>
貸渡(レンタカー)でも事業用は車庫証明提出は必要ありませんが、自家用のレンタカーは予め運輸局輸送課に事業用同様の申請を行いますが都度車庫証明の取得が必要になっています。
共同名義の保管場所
土地(保管場所)の所有者が複数いる場合の車庫証明
申請者本人とその他の権利者がいる場合
車庫証明を提出する土地が、例えば夫婦で共有資産として登記している場合はどのように申請するようになるのでしょうか?
ご主人が登録名義人である場合には
まず、ご主人本人が所有しているという「自認書」を作成します。
そして妻に土地を借りていることになるので、「保管場所使用承諾書」を作成します。
使用者欄はご主人の住所氏名、ご主人の保管場所として承諾しました。としてその欄に妻の住所氏名を署名し捺印します。
借地で所有者が複数いる場合
広い駐車場で土地が並行番地になっている場合等に於いては土地の所有者は複数いる場合が存在します。
この場合には権利者の人数分、「保管場所使用承諾書」に署名捺印を頂く必要があります。
尚、2名程度なら1枚の承諾書に二段に住所氏名を記入、署名捺印しても受理して貰えます。
警察署への提出(申請)にあたって
ディーラー業務として車庫証明を提出するのは、お客様や紹介業者様が提出する場合を除き行政書士事務所に依頼をするようになります。
車庫証明をユーザー側で提出捨て貰う場合に於いては、登録時のトラブルを招くリスクを背負うことになります。
個人のノルマ、店舗のノルマ、会社全体のメーカーに対する責販台数全てにおいて1台が大きく拘わってくることもあり得ます。
少しでもリスクを避けるためにも車庫証明提出に於ける、ユーザーへのアドバイスが重要になってきます。
警察署提出時のアドバイスと収入証紙の準備つにて
小型車(登録車)では提出時に収入証紙を申請用紙(保管場所申請書類側)に貼り付けて申請を行います。出来がった後、警察署で受取時に小型車、軽自動車同様に標章(車庫ステッカー)申請料分の収入証紙を貼り、受取サインをして受け取ります。
(車庫証明は警察署によって出来上がる日数が異なっています)
又、申請料は全国で異なっています。申請料は当サイト内
全国ナンバープレート代金、車庫証明申請料一覧にて確認できます。
収入証紙の入手方法として
収入証紙は警察署提出時に窓口で購入できる警察署が多いのですが、稀に証紙の発行を行っていない警察署も存在します。従いまして、事前に収入証紙を準備して警察署窓口へ向かいましょう。
収入証紙は銀行で扱っています。
業務課としての所感
管轄警察署独自のローカルルール
いろいろ有りすぎます。皆さん如何でしょうか?
依頼される行政書士さんも大変だとは心から思います。署によるバラツキはどうにかならないものかと感じることが多々あります。
「署ごとに対処法を理解しておく」なんて予備知識は業務課においてもなんの利にもなりません。
現在、全国的にワンストップサービスへ進んでいます。警察署に於いてもまだまだ手探り段階であるようにも見受けられます。
簡素化に向けて車庫証明も全国統一規格(書類・申請期間)になってみんなが使いやすい、解り易い申請方法になれば業務課としてもこれ以上の恩恵はないのです。