流通確認業務サービス(軽自動車所有権の電子化)概要、来年7月より利用開始

業務

業務に長年携わってきましたが「流通確認」とは聞きなれない言葉です。流通確認とは軽自動車における届出の「所有者の同意の有無」を確認する一連の業務を指します。

上記の流通確認作業に関して
/ 従来通りの「所有権承諾書」や「返納確認書」における紙ベースの確認業務運用に対し改善を図る必要があるのか。
/ 何故、電子化が必要なのか。

導入はまだ1年先の情報ではありますが、所有権発行業者となるディーラーや販売店、ファイナンス会社等では電子化に向けての準備を進めているところです。

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軽自動車の届出不正防止対策の必要性について

「軽自動車の不正届出が小型車登録以上に行われやすいのか」について簡単に説明をしておく必要があります。

表中の普通・小型自動車は法的に債権に含まれるものです。ですので所有権を譲渡するに至っては印鑑証明や実印が必要となります。所有者の意思は法的な公正証書によって確実に確認できる訳です。
一方、軽自動車は届出車として法的にも債券には属しません。よって所有者の意思を確認する対策が必要となってきます。現状の届出事務においては「所有権承諾書」や「返納確認書」といった書面で確認を行う必要があります。
届出業務の簡素化において上記書類の提出が無いもの、届出印や認印がなくても届出窓口ではその届出を拒むことが出来ないことになっています。よって不正が行われやすい現状となっています。

2023年1月より登録車の検査用が電子化され、軽自動車も2024年1月より自動車検査証の電子化によって車検証上に所有者の記載が省略されました。所有権情報の確認はQRコードを読み取ってWEB上で確認を行うか、届出の際に一次的に発行している「自動車検査証記録事項」を提出して頂いて所有者情報の確認をする必要が生じています。

コラム:軽自動車の債権除外

自動車執行の対象となる自動車とは、道路運送車両法13条1項に規定する登録自動車です。

登録、いわゆるナンバーのある自動車が自動車執行の対象となります。
ただし、同条の自動車については、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車が除外されています。
ここで除外されている軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車はそれぞれ次のものです。

  • 軽自動車とは、軽乗用車や軽トラックのほか、排気量125ccを超えて250ccまでのバイクです。
  • 小型特殊自動車とは、農耕用のトラクターや小型のフォークリフト、小型のショベルローダーなどです。
  • 二輪の小型自動車とは、排気量250ccを超えるバイクです。
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現在の「所有権承諾書」の流れ(所有者と使用者間)

所有権発行業務は大きく2種類に分けれます

  • 予め届出印を検査協会に登録し「所有権承諾書」を発行することによって意思を確認とする所有権発行者
  • 小規模取引のディーラーや販売店では「使用承諾書」を発行せず、申請依頼書又はマークシートに認印を押したものをもって意思を確認とする所有権発行者

所有権発行者は使用者から発行依頼を受け、所有者情報の確認(現行車検証情報)と債権者の本人確認及び残債の確認を行っています。転売先等の第三者機関への発行には更に厳重に申請者からの意思の有無の確認事項として「所有権発行依頼書」をもって使用者の本人確認と第三者機関の印鑑をもって発行を行っています。

上記の手続きを経て書面にて軽自動車検査事務所に「所有権承諾書」「申請依頼書」「返納確認書」を発行しています。よって書面で提出された申請において所有者の確認業務「流通確認」において支障をきたすことはありません。
問題と成りえるのは車検証の電子化における所有者の目視確認不可問題と、所有権発行者の書面を持たずに検査事務所に提出される申請に問題があります。窓口で拒めないという問題です。

自動車検査証の電子化の影響

2023年1月より登録車の検査証が電子化され、 軽自動車も2024年1月より自動車検査証が電子 化(電子車検証の交付) されました。
電子車検証は券面表示項目から所有者欄がなくなり、 検査証の目視だけでは所有者が誰なのか分からないいため、所有者承諾書に記名及び押印があったとしても、 所有権が留保された (流通確認を実施 する必要がある) 車両であるか判別できなくなります。

電子検査証のICタグを読み取り、 所有者を確認することは可能ですが、 事務所では提出された全 ての電子検査証のICタグを読み取る必要があり、 作業の負担及び時間が増大することから、従来の 所有者承諾書等の印影確認での流通確認業務を継続することは困難となります。

流通確認の電子化へ

自動車検査証の電子化後においても、軽自動車流通確認の継続を基本として、印鑑登録 事業者の業務負荷を軽減するとともに、 当会窓口の業務円滑化によって流通確認に賛同す る新規事業者を受け入れることにより、 軽自動車業界の安心・安全の向上を目指して、流通確認も電子(システム) 化いたします。

システム化の考え方

  • 所有者が同意する申請の区分を細分・明確化できること。
  • 「所有権留保車両」の正確な車両情報を取得・管理できること。
  • 使用者からの問い合わせに対し、 速やかに対応できること。
  • 人による作業を可能な限り省力化すること。
  • 申請時に所有者の同意をスムーズに確認できること。

流通確認業務サービスの流れ

ディーラーを中心に流れを解説していきます。

通常対応

所有者が通常営業の場合

  • 登録所有者情報を管轄の軽自動車検査事務所に登録
     軽事務所は登録所有者の管理
  • 所有権留保車両の届出
     全国軽自動車協会本部【情報提供機関】(情報提供システム)情報に保管
  • 使用者から所有権に関する発行依頼(受領)
     残債確認(信販会社に連絡、発行承諾等)使用者から発行依頼書、本人確認の執り付け
    直接軽自動車検査協会に提出のあった所有権留保ユーザーに対して、軽協より所有者に連絡を促す
    所有権連絡依頼書」が発行される。
  • 申請内容に基づき流通確認業務システムの承諾フラグを立てる(1~14)即反映
    デフォルトからフラグ変更のあった日から62日間有効 以降デフォルトに戻る
    申請時に所有者の同意をスムーズに確認できること。
  • 所有者→使用者へ所有者変更承諾通知書(PDF)の発行 任意発行
  • 承諾フラグに基づき軽協は届出を受理する
    承諾フラグ1(所有権解除)となっている場合には全ての届出を受理しそれ以外のフラグに対しては「変更指定欄」の条件内容に従い申請を受理する。
    変更指定欄
    申請の条件を記載でき「県内移転に限る」であれば申請が県内の住所変更でない場合、窓口は所有者への連絡を案内。
    (申請を止める)

緊急対応

所有者が定休日等で承諾の連絡が出来ない場合の緊急申請(申請は受理されます

現在でも、申請時の所有者承諾書の添付要請について、 納得いただけず提出者とトラブルとなるこ とがあります。 軽自動車流通確認は法令に定めのない自主的な取り組みであるため、 使用者からの申 請受理の要請があった場合は、法令等に基づき、申請を拒むことができません。 業務サービスでは、 そのような場合、システムを通じて速やかに通知いたします。

  • 黒丸③の所有者に連絡が取れない場合には、上記理由から軽協会は緊急受付を実施ます
    「今回は特別に承りますが、後日、所有者からご連絡が入る場合がありますのでご了承ください」
    と申請者に伝え
  • 軽協会は流通確認業務システムの「承諾情報」認証フラグを申請内容に応じて書き換える
  • 緊急対応によって申請が受理されたことを所有権者に伝える
  • 所有者は所有権発行に異議内容があれば使用者に連絡を行う

軽自動車検査情報提供サービスの利用

留保車両情報の取得に欠かせない「流通確認業務サービスを利用する為にパッケージとして申し込み必須」ものです。
流通確認業務は、正確な情報のもとで実施できなければ適正な対応ができません。不確かな情報に
よって誤った対応をすれば、不正流通を防止することはできません。そのため、システム化において
は、以下の軽自動車検査情報提供サービスを利用して、正確な情報を取得し運用します。

「軽自動車検査情報提供サービス」
<<車両情報の提供と共有>>
承認情報提供機関が、軽自動車検査協会から提供を受けた軽自動車検査情報を元に、検査情報を請求する利用者に対し、情報を提供するサービスです。
このサービスを利用すると、検索により自社が所有権を留保している以下の車両情報の提供を受けることが可能です。
 ① 保有車両情報(統計/初期)
 ② 申請により当日更新された車両情報(ジャーナル、翌運用日に提供)

<<市区町村の軽自動車税課税事務の効率化>>
具体的には、車両番号、車台番号、所有者の氏名や住所、使用の本拠の位置、初度検査年月、燃料の種類、燃費性能などの情報が得られます。
このサービスは、主に市区町村が軽自動車税の課税事務を行う際に利用されます。市区町村は、このサービスを通じて、正確な車両情報を取得し、適正な課税を行うことができるのです。

軽自動車検査情報提供サービスのメリット

  • 正確な情報の提供: 軽自動車検査協会の正確なデータに基づいているため、情報の信頼性が高い。
  • 迅速な情報取得: オンラインで簡単に情報検索ができるため、迅速に情報を取得できる。
  • 事務処理の効率化: 手作業での情報収集の手間を省き、事務処理の効率化に繋がる。
  • 情報の一元化: 関係機関が共通のデータ基盤を利用することで、情報の一元化が図られる。

その他関連情報

情報提供機関

  • 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会(全軽自協): 軽自動車検査情報提供機関として、軽自動車検査協会から提供された検査情報を元に、市区町村等に情報を提供する。

その他

  • J-LIS: 軽自動車検査情報に加え、経年車重課及びグリーン化特例(軽課)の対象区分を判定した結果などを市区町村に提供するシステム。
    J-LIS(Japan Agency for Local Authority Information Systems、地方公共団体情報システム機構)は、日本の地方公共団体が利用する情報システムを提供・管理する機関です。この機関は、地方自治体の行政業務を効率化するために、様々な情報システムやデータベースを開発し、運用しています。J-LISの主な業務は以下の通りです。

    1. 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の運用
    日本全国の住民に関する基本情報(住所、氏名、生年月日、性別など)を一元的に管理するシステムです。これにより、住民票の発行や転入・転出手続きなどが迅速に行われます。
    2. 個人番号(マイナンバー)制度の管理
    日本のマイナンバー制度に関連する情報システムの運用を行い、マイナンバーカードの発行や、個人番号を用いた行政手続きの支援を行っています。
    3. 全国地方公共団体のデジタル化支援
    地方自治体のデジタル化を推進し、オンライン申請や電子証明書の発行、電子署名などのサービスを提供しています。これにより、住民サービスの向上と行政コストの削減が図られています。
    4. データセンターの運営
    地方公共団体が利用する情報システムを安全かつ効率的に運用するためのデータセンターを運営しています。これにより、災害時のデータ保護やシステムの安定運用が確保されます。
    5. 情報セキュリティの強化
    地方自治体が扱う個人情報や重要データを保護するためのセキュリティ対策を実施し、セキュリティリスクの低減に努めています。

    J-LISは、地方公共団体の行政業務の効率化と住民サービスの向上を目指し、各種システムの提供とサポートを行う重要な機関です。
  • 自動車検査登録情報協会: 自動車(軽自動車、二輪車を除く)の登録情報提供サービスを提供。
    自動車検査登録情報協会(JAVIS, Japan Automobile Inspection & Registration Information Association)は、日本国内で自動車の登録や車検に関連する情報を管理・提供する団体です。この協会の役割は、主に以下のような業務を含みます。

    1. 車両登録業務のサポート
     自動車の新規登録、名義変更、抹消登録などの業務をサポートし、関連情報を管理しています。
    2. 車検情報の管理
     車両の車検情報を管理し、適切な車検の実施を促進します。これには、車検証の発行や、車検の有効期間の管 理が含まれます。
    3. 自動車リサイクル情報の提供 
    車両の廃車に伴うリサイクル情報を提供し、適切なリサイクル処理を支援します。
    4. 統計データの提供
    自動車の登録台数や車検実施状況などに関する統計データを提供し、産業界や行政機関の意思決定を支援しています。
    5. オンラインサービス
    車両の登録や車検に関連する手続きをオンラインで行うためのシステムも提供しており、利用者の利便性向上を図っています。

    この協会は、国土交通省やその他の関係機関と連携して、自動車に関する情報の適切な管理と提供を行うことを目的としています。また、車両オーナーに対しても重要な情報を提供し、自動車の適切な維持管理を促進する役割を果たしています。

利用環境

ディーラーとしての所感

■電子化のメリットして

緊急対応として、申請が受理されるのであれば意味がなく、現状通り事前に印鑑証の届出があった大口所有権者は「所有権承諾書」「返納確認書」がなければ届出が受理されない」ほうが不正申請の対策としては良いのではないか

■手間と手数料として

リアルタイムに所有権が反映されるか?という疑問(担当者が不在)とか、WEBを開いて承認フラグを適切に入力をしなければいけない知識と手間、残債が残っていた場合の緊急対応に於けるトラブルと不安が払しょくできない

所有権承諾書(500円?)は一件当たりコストとはなっていて、発行が無くなるメリットがあると考えたが、
申込料/情報提供料+システム利用料(少数所有権留保車両のディーラー等での一律料金)+流通確認料
と考えていくと微妙なところです。

同志の皆様ご意見如何でしょうか? 何でも電子化