所有権を申請すると委任状と譲渡証に印鑑証明が添付されますが、運輸局管轄内の移転先が確定している条件では委任状に承認番号が記載され印鑑証明が添付されていない場合があります。
これは事前に運輸局に印鑑証明の内容を届出することによって承認番号を取得し、委任状に記載することによって管轄運輸局内で添付を省略することが出来ます。当然管轄外(他県等)では無効です。
印鑑証明等事前承認申請について
運輸局の定める期間内において、予め印鑑証明事前申請を提出することで所有権発行時の手間とコストを削減することができます。
申請は印鑑証明だけでなく登記簿謄本・登記簿抄本・閉鎖謄本などの申請も可能になります。
申請できる法人は、所有権発行件数がある程度纏まった件数があり、事前申請が認められる企業に於いて認められている制度です。
実際に自動車ディーラーに於いても月々の小型車登録台数が少ない企業は申請ができません。大手のディーラーがこの制度を利用しています。
申請方法(承認願出)
管轄する陸運支局にへ印鑑証明に下記書類を添え提出する
提出書類
委任状サンプルの赤枠朱印部分は曖昧で雑なのでご参考まで。失礼
承認期間は3年間です
上記申請事項に変更が生じた場合には直ちに変更届を提出する必要があります。
申請基準
基準は管轄支局により異なってくると思います。ここでは事例ですので各支局HPを確認しましょう。
ディーラー業務からの運用所感
申請をしておくと3年間利用でき、印鑑証明や謄本の省略は助かります。申請は満期の数か月前に協会を通じて通知がありますが、時期がきたな。早いなーと感じるくらいで、申請時に申請印鑑の見直しや変更事項の整理ができます。
古参ディーラーになると会社も合併や商号変更は必ず起こりえます。使用者も長年自動車を愛用して頂けるので所有者名が変更されていたり本社の住所が変わっていたり、所有権を発行する業務においては注意すべき内容でもあるし間違いが無きよう徹底すべき事項でもあります。
所有権発行に当たっては、その書類が「どのように利用されるか」が最重要です。深い経験と知識が必要です。
まず、管轄内で利用される案件なのか?オークションなど県外移転(管轄外)される発行なのか?
クレジット等が残っていて使用者の住所等変更を理由とする発行なのか、番号変更なのか?それは多岐に渡ります。ケースバイケース発行の仕方(発行書類)は異なります。業務課の醍醐味!花形!です
オークション所有権発行の印鑑証明等添付書類などは2か月以上期限が残っているものなど条件があります。証明書類のストック数の管理も大変です。持ちすぎると経理から叱られます(弊社だけ?)
管轄内外の発行割合からすると大半は管轄内発行なので事前承認は本当に事務簡素化に役立っています。
さて、一般の方向け?運輸局目線移転登録について
合併などで全く別の所有者法人名義に変わる(譲渡される)登録を移転と言います。個人であっても婚姻によって変わる姓は本人なので所有者の名前は変わるが、これは変更であって移転ではありません。あくまで別人に所有が変わる登録を移転と言います。
<事例>A社の動き
① 登録時所有者内容 株式会社〇〇自動車
② B社に吸収合併 株式会社 〇〇カー
③ 商号変更 株式会社 〇〇カーリース へ
④ そしてC社に自動車を売却
車検証は登録時点のままでの所有権発行
何年前かは記憶にありませんが以前の委任事項の流れでいくと
④の登録は 移転→変更→移転 で4回マークシート処理をしていたと記憶しています。
3回分の印紙、代書料が必要だったということ
この変更部分が簡素化され変更は移転に一括して処理できるようになり
④の登録は 移転→移転 の2回できるようになっているかと?記憶違いだと申し訳ありません。小職もいささか高齢者なもので
要するに大事なところは移転は省略できませんよ!というところです。
合併を繰り返すと移転が何回も発生し、証明書類や印紙代、代書の手間が発生します。
こういったところは電子化で何とか出来ないものでしょうか。譲渡情報は資産の譲渡なので割愛できないことは理解できます。
基礎的なお話でしたがお付き合いありがとうございます。それではまた