業務課魂 業界の裏方で支え続ける人たちの為に

業務

自動車ディーラーという販売会社の仕事において業務課はマイナーな仕事であり店頭に於ける最前線で活躍する花形ではない。

しかし乍ら小職は営業/総務/経理/保険/サービスと長年の実務経験から業務課こそディーラーを支える骨格でありディーラーの仕事におけるトップランナーであることに間違いないと感じます。

トップセールスや優秀サービススタッフ、管理職各位からすると企業に利益貢献が薄い部署が何を言っているのかと賛否両論、いや罵声を浴びそうとも思えます。

以降語りますが業務課の「作業領域の広さ」「業界全般の知識」、「作業完遂への責任の重さ」何をとっても他の職種より群を抜いている重責仕事と日々感じて熟してまいりました。

そして、その作業を支えているのはごく少数のスタッフなのが現実です。中規模ディーラーであっても一人で支えていることも珍しくなく、複数で業務は熟していても重要な作業を熟せるのは一人というのが現実ではないでしょうか。

皆様の置かれている環境はいかがでしょうか。

そんな人材の持つスキルを企業としていかに継承していくかという問題点と、皮肉にもその現状を実体験からここに記しておこうと思います。

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業務課を支え続ける資質と能力

たのスタッフからよく聞く意見や偏見は、「忙しいのならどうして分担作業をさせないのか」「責任のある仕事ならその仕事を教えて分担すれば楽になるのに」「自分の仕事が奪われる(異動させられる)ことへの不安があるのか」様々な意見を日々耳にします。当然の意見であると思います。

ここでは資質と能力という観点から本心を語ります。何を言っているのか?と言われそうですがお付き合いください

業務を継承するもの資質と能力は3っつあると考えます。小職の勝手な意見です

(1)飽くなき探求心と情報収集力

業務課の最大の仕事は「車両発注と仕入れ」があります。各メーカー独自の機種コードがあって、注文書作成と同時に連動でオーダーが掛かってしまうのも通常の流れではあります。しかしながらオーダーのメインとしては機種コードにて業務課の責任者が最終オーダーを掛けて(確定させて)いきます。

ここで通常の流れと書いたのは、火災や不慮の生産ライン事故、震災やパンデミック等社会情勢の影響に於ける電子部品の欠品等により正規の生産の流れに沿った納品が出来ないことが最近では特に多くなってきました。

そこで注文書での発注オーダーはサブであり生産順当を含め各メーカー独自の専用オーダーシステムにて車両発注を確定させていきます。改造車や特注生産、海外輸入製品も同じ流れです。

さて、このオーダー業務と登録届出業務を同時に一人で行うといったケースは聞いたことはありません。ですので最低限業務課は二人以上で事務を執ることとなります。

車両発注責任者は発注に特化した業務でもありますので手間という面では登録届出作業(書類の作成)に深く関与するものではありませんが、運輸局関連の取り次ぎ業務(持込検査や届出業務)は兼ねて行っていくことになります。

裏方で支え続ける人」とは登録届出作業従事者(登録課)が主体となってくるお話です。

まず初めに登録届出を完遂させるためには書類が完備されていることは当然の事ですが、書類が完備されているとはお客様との契約即ち注文書の内容と一致しているかが絶対条件となります。

注文書に内容と一致と簡単に書きましたが、業務課に於ける登録届出準備が整うということは注文書が100点である必要が絶対条件になってきます。これが一つの業務スキル「経験と能力」が問われる訳です。

注文書が意味するものには全ての業務作業内容が詰まっています。
・代金を支払う者又は法人(買い主)、所有の形態(割賦/リース/クレジット)
・税金を支払うべき者(所有者)、割賦でディーラーに所有を置く(所有権留保)
・車を使用する者(使用者)とその居住地(使用者の住所)、
・実際に車を使用している住所(使用の本拠の位置)、
・注文書には記載されないが自動車を保管しておく場所(保管場所の位置)借地/自己所有
・車両本体価格(課税標準額/自動車環境性能割) 自動車税種別割 重量税
・自賠責保険加入 月数 自社加入/先方加入 立替払い 電子発行
・一般番号/希望番号/特殊番号 番号変更 県外登録
・自家用/事業用/レンタカー 増車/代替
・特殊用途/改造持込車両 国 特殊法人 身障減免
・下取車の有無 リサイクル料金
・車庫証明申請 自社/先方/必要なし
・上記を加味した登録印紙代金 課税/非課税
・インボイス 電子保存
・OSS

さて、登録届出書類作成において限られた時間において上記全ての内容を網羅し100点の状態でそして一日に何台登録を申請するのでしょうかということ。

現場、営業スタッフにおいて様々な税制の変更、法規対応や登録届出ルールの変更を早い段階で伝えていくこと、100点注文書を作成して頂ける為の飽くなき事前準備は業務従事者としての必須業務になってきますが、ここに担当者の資質が問われてくる訳です。

どれ程の責任感をもって率先して情報収集に努められるか。隔たり無く報連相を隅々まで実行できるか、寸暇を惜しんでも自己が犠牲となっても積極的に取り組んでいける姿勢が備わっているのかが問われる訳です。

分業に於けるリスクと、経験の浅い担当者に任せて大丈夫なのかという疑問と投げかけ

誰かが、どんなミスがあれば、どこまで遡って修正を行っていくのか、サバイバルの始まりです。この日々です

業務課において100点は当たり前の日々の作業であって、ミス責任は最終業務従事者が追います。

ふと立ち止まってよく考えることはあるのです。どのように育成し継承していくのか。リスクを避けながら

ディーラーのトップランナー業務を極めし者

(2)全てを受け入れるということ

登録届出の向こう側

業務課として絶えず考えていること、それは上記のゴール(納車日と時間)は決められていてそれは企業としての信用に拘わる事であるという事を一番念頭に掲げておかなくてはなりません。

業務課は運輸局に直接出向いていって登録届出を行っている訳ではありません。中にはそういう企業もあるかもしれませんが。

ディーラーは販売店協会というものに加盟しており、手数料を支払って運輸局、軽自動車検査協会への提出書類作成の代行依頼を行っています。前日、若しくは前々日までに登録書類を作成完備します。そして登録代行センターの日々集配業務を利用して直接店舗から書類を提出や回収ができる仕組みを使って日常業務を熟しています。勿論集配に書類作成が間合わなければ運輸局へ提出や回収を行います。

日常的に業務課は集配の時間に日々追われる作業を熟しています。ただ(1)で説明した通り営業スタッフへ様々な登録届出に係る資料を配布しています。よって質問の電話が鳴りやみません。これは店長の仕事でもあると思うのですが、店舗で解決できる質問内容は業務課迄直接問い合わせてこなくても済む内容が殆どであったりします。

単純な質問、何度も伝えた案件、少し調べれば解決できる内容、提出書類の確認、登録届出日の確認、注文書や登録書類の不備修正問い合わせ。想像を絶します。

しかし問い合わせを無下に扱えば又同じことの繰り返し(質問攻め)であって、どんなに時間に追われた直面であっても、眞に仏の心でスタッフに対応をしていかなければなりません。

集配業務を円滑に利用し、少なからず業務課の効率を上げていかなければなりませんが、「登録届出の向こう側」が指し示すように、お客様の納車都合や営業スタッフの書類提出の遅れやミス等々、様々な要因で提出期限に間に合わず、時には翌日登録であったり、駆け込み当日届出であったり緊急を要する案感が発生します。

サービス業である以上、業務が「受付できません」とは事実上言えません。登録届出の先にはお客様とのお約束があります。作業優先順位を変えてでも遂行させる業務が発生します。眞に地獄絵図です

業務のミス(登録届出不可)は直接納車に影響を与えます。車検証、ナンバープレートが遅滞なく会社に届くことが絶対条件です。如何なる理由があれども間に合う可能性があるならば全てを受け入れ対応できるスキルが問われます。

全てを受け入れることができる「人としての資質」がここでも問われるのです。業務の神髄極めし者

(3)絶対に非を認めないという強い意思

さて、最後の項に触れます業務課に必要な気質(心意気)についてです。

ここでは賛否両論あると思われますが、業務課を支えし人には共通の「当事者として経験した者でなければ理解できない心の奥深いとことにあるプライド」があります。

長年、激務と緊張感をもって業務を熟していると、人間ですので必ず思いもよらないミスをします。業務課のミスは何度も書きましたが納期や信用に致命傷を与えかねません。

登録日の確認ミス、車台番号の伝えミスにおける車庫証明の不備、希望番号の申請ミス、様々な要因が考えられます。

当然営業スタッフからは罵声が飛びます。最悪メーカーとの積販台数にも傷がつけば会社にも多大な損失を与えます。

もう「ここから謝罪、謝る」しか方法はありません。後の祭り遡ることはできません。

ですが‼ 業務キャリアが長ければ長いほど、業務の重責度や責任感が強い程あやまることができません。

普通に考えれば先ず謝るのが最初であることは言うまでもありません。当然「人としてどうなの?」と思われます

ミスを犯した心理状況はこうなります。伝わらないとは思いますが。

誰にどう罵声を浴びようが、一番腹を立てているのは自分自身です。普段から間違を犯してはならないように自分なりに整理をし、再確認ができる対応を執っているはずです。ですが事実ミスが起きてしまった。
どうしてミスが起きてしまったか?大抵は原因が見つかりません。見つからないから尚自分への怒りが込み上げてきます。自分自身へのプライドの崩壊の始まりです。そして後悔は忘れることはありません。何年たってもです。傷が癒されることはありません。
そしてミスが起きる原因(起因するもの)がどこにあるのか探求し始めます。
そもそも自分だけがミスの原因を造っっていたのか。申請段階でミスが起こらないような配慮はなかったか
書類提出期限は守られていたのか、スタッフからの申請(指示)は正しかったのか。
更には、過密な責任状態に業務課が晒されるような要因は無かったか?今後どのように対応するのか

謝る前の結論 「今回のミスは初回案件?過去事例が心を過りますー?今素直に謝って良いものなのか」

お断りしておきますが、本当に新人が起こすような単純なミスは当然即答で謝ります。当たり前です
ですが、起こるべくして起こる重大なミスは絶えず潜んでいるのです。

スタッフへのお願いも兼ねですが、書類提出は早いに越したことはありません。それだけミスが見つかる確率が上がります。そして自分自身で学習し理解することです。問うことは確かに解決策としては最速です。ですが知識としては残りません。長期的に見れば効率が悪いことになります。スキルもあがりません。

人のミスは必ずあるものです。被害が大きなミスを被ることもあるでしょう。怒りが収まらないことも、しかしその原因は何処にあるのか、責めるのは簡単です。

業務課の戯言、お付き合いありがとうございました