臨時運行許可と回送運行許可

業務

町で「赤の車線の入ったナンバープレート」や「赤い枠のナンバープレート」を見かます。双方とも業界では臨番(りんばん)と略称で読んでいるものですが、その用途は異なっており申請方法や期間も違います。このページではその詳細について理解の範囲でお伝えいたします。

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臨時運行許可(一時的一般者用)

許可制度の概要

未登録の自動車や車検の切れた自動車(251cc以上の自動二輪含む)を新規登録や新規検査又は車検切れの自動車を陸運支局へ回送するなど、公道を臨時に走らせるために事前に運行の期間・目的・経路等について定めた上で公道での運行を許可する制度です。

申請の対象となるものについて

該当する申請理由
  • 陸運支局等へ検査・登録(新規登録、新規検査、車検切れ継続検査、予備検査等)にいく場合
  • 販売を業とする者が販売等の目的で回送をする場合
  • ナンバープレート盗難等の変更登録
  • 整備工場へ車両整備・修理(検査・登録を受けることを前提にしていること)にいく場合

注意事項 同一車両が継続して反復使用されることは特別な理由が無い限りありえないとされています。一回限りの使用が認められています。

申請の対象とならないもの

不正な使用方法等
  • 移動するためだけの利用(廃車など)
  • 車検の切れている車両の試乗目的
  • 車検制度適用外の車両(250cc以下のオートバイ等)
  • 登録をせず展示をする目的での異動 

貸出しの期間について

運行目的と経路によって最長5日間(土・日・祝日を含む)

期間内であっても一度限りの使用になります

申請手続きについて

申請の受付は臨番使用日の当日になります。市町村役場が始まる8時30分以前の使用申請の場合には前日(稼働日)が認められています。申請書には運行期間・目的・運行経路等の記載をしますので、事前に車検場の予約等、計画を立ててからの申請をしましょう。また、仮ナンバーの使用は一回限りで、許可を受けた車両・機関・経路以外には利用できませんのでご注意ください

出発地点がその市町村の管轄地域であること 他地域(車検場)等で検査が受からなかった等では出発地が異なるため継続使用はできません。

申請に必要な書類について

臨時運行許可申請書類
  • 自動車臨時運行許可申請書
    住民課窓口においてあるそうです。ダウンロードできるかは管轄地区の役場HPを参照してみましょう。
  • 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責)原本に限る
    仮ナンバー使用期間をカバーしているもの
    保険期間は5日で加入できます。損害保険会社の5日保険契約加入の条件として商品自動車となっております。個人で使用する場合に5日での加入は難しいと記載されているサイトも沢山あります。小職が大手主要3社で確認しましたところ個人使用でも商品自動車として加入を認めて頂けるようです。よって1か月加入する必要は無いそうです。1か月と5日の加入料の差額も¥350程度ですので変わりありませんが。
    参考 商品 四・三  1か月 \5,650- 5日 \5,300-
  • 申請する当該自動車が特定できるもの(車検証等)
    抹消登録証明証・登録事項証明・排ガス証明・完成検査終了証・予備検査終了証等々車台番号の記載がある証明証が有効です。
  • 申請料 750円
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回送運行許可(自動車輸送業・販売業ディーラー等)

許可制度の概要

臨時運行許可に準ずる

使用の対象となるもの

職種により使用できる対象範囲が異なる

制作(架装)を業とするもの

  • 制作工場とテストコースとの間の回送
  • 制作工場と車体架装工場との間の回送
  • 制作工場と自動車置き場までの回送

輸送を業とするもの

  • 回送を委託された自動車の委託者のする場所間での回送

分解整備を業とする者

  • 車検の為に自ら分解整備しようとする自動車の引き取りのための回送
  • 車検の為に自ら分解整備した自動車の引き渡しのための回送
  • 自ら分解整備した自動車の車検の為、車検場までの回送

販売を業とするもの

  • 当社の自動車の仕入れ先から営業所までの回送及び自動車を納品するための回送
  • 当社の自動車の自動車置き場、車体架装工場、改造作業工場及び整備工場との間の回送
  • 当社の自動車の展示又は顧客への提示のための営業所又は顧客所在地との間の回送
  • 当社の自動車の仕入れ又は販売に伴って必要となる車検、整備又は封印の為の回送
  • 当社の自動車の販売に伴って発生した下取車の適正な処理の回送

使用の対象とならないもの

上記の目的に該当しない用途での使用
<ディーラーの日常で注意喚起している事例>

車検の切れたクルマの引き取り作業での不正利用

 社内における研修によって周知徹底はかるべき内容ですが、知識不足や悪意のある不正利用により利用されるケースが起こりえるので、管理責任者の了解のもと貸し出すことが望ましいと言えます

〇新車未登録車におけるガソリン補給の為、ガソリンスタンドまでの不正利用など

新車が納品された段階で燃料切れしていることも珍しくありません。ラインオフ時点でいかほどの燃料が入れられているのかは知りませんが(メーカーの担当者ご投稿お待ちしております!)殆ど入っておりません。二次仮想に出す際に非常に気を遣います。ディーラーでは普段から携行カンにガソリンストックをしていて数リットル補給を行っているのが現状です。

貸出し期間について

申請方法によって5年間申請と1年毎に申請と2種類選択できますが、5年申請の場合においても毎年陸運局に於ける更新手続きが必要になるため、メリットとしては自賠責保険が5年長期割引で安価で加入できることでしょうか

申請手続きについて

新規許可及び更新期間満了時の申請(5年)

新規申請・満了の2か月程前に下記申請書類を運輸支必要があります

新規・満了継続における申請書類
  • 回送運行許可申請書(第1号様式)
  • 商業登記簿謄本又は個人の場合は住民票(3か月以内のもの)
  • 運転者等の対する法令関係研修の実施状況(第2号様式)
  • 運転者等に対する法令関係研修の実施計画(第3号様式)
  • 社内取扱い内規を記載した書面
  • 管理責任者等の営業所への配置計画(第4号様式)
  • 販売を業とすることの書面
     メーカーの販売証明書、関係団体の会員であることの証明等
  • 最近3か月の自動車の販売実績(3か月15台以上)第9号様式

継続における申請手続き(1年)

継続申請における必要書類
  • 1回送運行実績等報告書(第23号様式の2)
  • 1回送運行許可証(旧)
  • 1管理簿(有効期限5年の申請者)
  • 1プレート(有効期限5年の申請者)
  • 2回送運行許可申請書(第1号様式)
  • 2登記簿謄本又は住民票(3か月以内のもの)
  • 2事業の業とすることの書面(販売証明書、会員証)
  • 2申告書
  • 3許可証の交付・番号標の貸与申請書(第21号様式)
  • 3許可証の交付・番号表の貸与表(第22号様式)
  • 3実績等計画書(許可証の交付枚数が1枚の業者は不要)第23号様式
  • 3収入印紙 24,600円
  • 3自賠責保険 商品 四・三 1年 \10,250-
  • 4旧回送運行許可証 返却
  • 4回送運行番号標(プレート)現物確認
  • 4回送運行許可証(新)及び番号標管理簿(第25号様式)

提出様式は運輸支局窓口で配布されています。各県振興会HPよりダウンロード可能です

必要書類の冒頭に1~4の番号を記載しております。これは満期日より3か月前より申請がスタートされ4回に分けて提出する書類が異なり、順を追って申請が進んでいきます。だいたい月1回のペースで進んでいきます。

業務課目線の所感

毎年訪れる一大イベントです。業務作業としても厄介なものに提出書類最後尾に記載されている番号標管理簿があります。管理簿は臨時運行許可同様に一時的に使用された内容、経路・時間・利用者・目的等々を列記した帳簿になりますが、回送運行許可番号も各営業所が管理し、その数だけ管理簿が存在します。

回送運行許可証も扱いの多いディーラーでは数十枚以上の管理に上ります。各営業所では臨時に管理簿が置かれていて荒っぽく殴り書きで記載されていきます。

更新時に陸運支局へ提出される書面では月毎に記載が纏められ、月ごとの使用回数を記載する必要があるため多くはExcelのシートに清書転記させる必要があります。

使用間違いが起こらぬよう、出来る限り業務担当者が一人で記載内容を確認吟味しシートに仕上げをしていくのですが標板1枚あたり13シート×枚数ですから大変な量になってきます。

短期間で準備作業をするため、結構神経を使う作業です。それを業務中の激務の合間に進めていくわけですから大変です。家に持ち帰って・・・考えるだけで溜息 これが現状だと思います