注文(受注)から新車が納品されるまで(物流編)業務関係者のここだけの話:主要メーカー全解説の完全保存版

業務

ここでは業務関係者として書きづらい内容まで踏み込んで解説していきます。お客様にも業界目線に立っていただき内部事情と苦労の一端を理解していただきたいという思いがあります。
このページは法制度の変更、登録手続きの変更、架装ルーツの変更と様々な流通の変更要因が頻繁に発生します。
業務従事者(仕入担当者)にとっても語りたいことが山ほど存在します。逐次更新作業を遂行し新しい記事を追記「完全保存版」として業務関係者(プロ)の方からもご参考になる位置づけ記事として信憑性と新鮮さを守りつつ更新作業を続けて参ります。

この記事に続く(データー編)としてラインオフから車両データがどのように流れていくかの詳細記事を準備中です。乞うご期待下さい。

メーカー別:車両生産から納品の流れ(物流)ファクトチェック中です。トヨタ日産完了

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  1. 新車といってもこれだけの種類がある
    1. ① 純粋な完全オーダー生産車
    2. ② メーカーラインオフ車(メーカー在庫車)
    3. ③ ディラー店頭の展示車・売れ残り車両(未登録車)
  2. メーカー別:車両生産から納品の流れ(物流)
    1. トヨタの車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
      3. ④ トヨタ車の納車整備・架装・配車を担う「完成車物流センター(PDI・車両物流拠点)」
    2. 日産の車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 日産自動車 完成車海上物流における「積出港(出港港)」と「入港到着港」
      3. ④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
    3. ホンダの車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
        1. 主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
        2. 主たる「入港到着港」
      3. ④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
        1. 全国主要センター・ヤード(ホンダロジスティクスおよび主要PDI拠点)
        2. 💡 業界の予備知識:「PDI」と「納整」
    4. マツダの車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
        1. 主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
        2. 主たる「入港到着港」
      3. ④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
        1. 全国主要センター・ヤード(マツダロジスティクスおよび直属納整拠点)
    5. スズキの車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
        1. 主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
        2. 主たる「入港到着港」
      3. ④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
        1. 全国主要センター・ヤード(スズキ直営・主要PDI拠点)
        2. 💡 業界の予備知識:「PDI」と「納整」
    6. スバルの車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
        1. 主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
        2. 主たる「入港到着港」
      3. ④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
        1. 全国主要センター・ヤード(スバル物流および各地域直属納整拠点)
    7. 三菱の車両物流システム詳細データ
      1. ①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)
      2. ③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」
        1. 主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
        2. 主たる「入港到着港」
    8. ④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)
      1. 全国主要センター・ヤード(三菱自動車ロジテクノおよび主要納整拠点)
  3. メーカー所有車両かディーラー所有車両かというボーダーライン(裏事情)
  4. 厳格化された新車架装のルールと物流の現実

新車といってもこれだけの種類がある

新車を購入する際、すべてが同じようにゼロから作られているわけではありません。実は、新車には大きく分けて以下の3つのパターンが存在し、それぞれにメリット・デメリット、そして異なる物流ルートがあります。

① 純粋な完全オーダー生産車

メーカーの生産ラインに、お客様の注文書を基にこれから新規で組み込んでもらう車両です。

  • メリット
    純粋に出来立ての車両(ラインオフ予定車)が手に入ります。
  • デメリット
    人気車種などの場合、数ヶ月〜年単位先の生産枠となり、納期がはっきりしない場合があります。長期で納品を待つ覚悟が必要です。

② メーカーラインオフ車(メーカー在庫車)

あらかじめメーカーとディーラーの間で生産枠が決められていた車両(事前販売予測該当車両)で、すでに車台番号(フレームナンバー)が確定している車両です。ラインオフしてメーカーの港などで出荷を待っている状態(出港待ちなど)を指します。

  • メリット
    車台番号が決まっているため納品が早く、直ぐに登録ナンバーの取得が可能です。
  • デメリット
    中には長期保管されている車両も存在し、鳥の糞や雨風による塗装への影響が懸念される場合もあります(見た目では判らないレベルに仕上げられますが、いつ生産されたかを消費者が把握することは困難です)。

💡業界の予備知識:新車の「予備検査」制度

新車には「予備検査(仮車検)」制度があり、その有効期間は9ヶ月と定められています。この期間内に登録(ナンバー取得)を行わない場合、再度運輸支局の車検場に車両を持ち込んで検査を受ける必要があります。

【生産〜9ヶ月以内】

メーカーの「完成検査終了証」が有効。この期間内であれば、車両を車検場に持ち込むことなく書類(電子情報)のみで新規登録が可能。

【9ヶ月経過(期限切れ)以降】(予備検査)

完成検査終了証が無効になるため、車検場へ持ち込んで検査を受け、「自動車予備検査証(有効期間3ヶ月)」を取得する。この3ヶ月の期間内に新規登録手続きを完了させなければならない。

改造持込検査(新規検査及び予備検査)

9ヶ月に関係なく改造車両に該当する車両については、全て運輸局持込検査となり当日登録の新規検査と予め予備検査を通しておいて登録当日に「自動車予備検査証(有効期間3ヶ月)」を添付して新規登録を行う
改造車両にも数多くの車両が存在し、認知度の高い改造車(キャンピングカー・身体障碍者輸送車・冷蔵冷凍車・教習車・警察車・救急車・消防車等々)があります。車検証の型式指定・類別区分番号のない車両です
特例として、登録前架装が必要な車両(レンタカー「カーシェア専用車」では事前に:車両の所在位置や車両の基本状況を遠隔確認できる装置・専用ナビ・EIC・ドライブレコーダー:キーセットBOXを予め取り付ける必要があります。このような車両も例え軽度の架装追加であっても持込検車を受ける必要があります。

③ ディラー店頭の展示車・売れ残り車両(未登録車)

ディーラーのショールームやモータープールで展示・保管されている未登録の車両です。メーカーの看板を掲げている地域の代理店(サブディーラー)の展示車も含みます。

  • メリット
    とにかく納品が最速です。軽自動車などであれば、数日で納品が可能な場合もあります。事故や故障による緊急の買い替え対応に最適で、即決・即納を条件にした値引き交渉もしやすいお得な車両です。
  • デメリット
    不特定多数のお客様に触れられることによる微細な汚れや傷のリスクを考慮する必要があります。また、当然ながら現車限りとなるため、グレードやカラー、メーカーオプションを選択することはできません。
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メーカー別:車両生産から納品の流れ(物流)

メーカー別調査解説項目①~④

① 各生産ライン工場(所在地)機種により数か所の工場で生産が行われていると思われます。
② 生産ライン工場:主たる生産機種名
③ 出港港名称~入港到着港名
④ 納車・整備の行われる全国各地のセンター名称(所在地と管轄する都道府県)

トヨタの車両物流システム詳細データ

このデータは、トヨタ系物流を一手に見据える「トヨタ輸送」の配置、および「トヨフジ海運」の内航船ルートに基づいた極めて精度の高い業務データです。ブログの「物流編」のバックボーンとしてご活用ください。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

トヨタは愛知県の本拠地(本社周辺)だけでなく、子会社・グループ会社への委託も含め、日本全国の拠点で車種のキャラクター(コンパクト・ミニバン・高級車・SUVなど)に応じた分業生産を行っています。

工場名(運営母体)所在地主たる生産機種(完成車)
元町(もとまち)工場
(トヨタ自動車)
愛知県豊田市元町1番地クラウンセダン、MIRAI、センチュリー、GRヤリス、GRカローラ、レクサスLC
高岡(たかおか)工場
(トヨタ自動車)
愛知県豊田市本田町三光1番地RAV4、ハリアー、bZ4X
堤(つつみ)工場
(トヨタ自動車)
愛知県豊田市堤町馬の頭1番地プリウス、クラウン(スポーツ/エステート/クロスオーバー)、カローラ、カローラ ツーリング、カローラ スポーツ
田原(たはら)工場
(トヨタ自動車)
愛知県田原市緑が浜3号1番地ランドクルーザー250、レクサス(LS、IS、LM、GX)、センチュリー(SUV)
岩手工場
(トヨタ自動車東日本)
岩手県胆沢郡金ケ崎町西根森山1番地アクア、ヤリス、ヤリス クロス、カローラ クロス、レクサスLBX
宮城大衡工場
(トヨタ自動車東日本)
宮城県黒川郡大衡村中央平1番地シエンタ、ヤリス クロス、JPN TAXI
宮田(みやた)工場
(トヨタ自動車九州)
福岡県宮若市上有木1番地レクサス(ES、UX、NX、RX)
いなべ工場
(トヨタ車体)
三重県いなべ市員弁町市之原10番地アルファード、ヴェルファイア、ハイエース
富士松工場
(トヨタ車体)
愛知県刈谷市一里山町金山100番地ノア、ヴォクシー、ランドクルーザー70
吉原工場
(トヨタ車体)
愛知県豊田市吉原町上藤池25番地ランドクルーザー300、レクサスLX
羽村工場
トヨタ自動車株式会社 羽村工場(旧・日野自動車羽村工場)
東京都羽村市緑ヶ丘3丁目1番地1ランドクルーザー250、ダイナ(商用車)
本社・京都工場
(ダイハツ工業 ※OEM)
大阪府池田市/京都府大山崎町ルーミー、ライズ(ガソリン車)、プロボックス、ピクシスシリーズ

③ 完成車物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

生産された車両が全国各地のディーラーへと運ばれる際、日本の物流の主役となるのがトヨフジ海運等が運航する専用の「自動車運搬船(内航船)」です。陸送(キャリアカー)だけでは賄えない長距離を海路で繋いでいます。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場

  • 名古屋港(飛島ふ頭・金城ふ頭・弥富ふ頭など)
    元町、高岡、堤、富士松、吉原、いなべ工場など中京圏で生産された車両が集約される、日本最大級の完成車輸出港。
  • 三河港(田原地区完成車埠頭)
    田原工場に隣接し、ランドクルーザー250、レクサスLS・GX・LM・IS、センチュリーSUVなどを直接積み出すトヨタの重要輸出港。
  • 仙台塩釜港(仙台港区)
    トヨタ自動車東日本(岩手工場・宮城大衡工場)のアクア、ヤリス、ヤリスクロス、シエンタ、カローラクロス、レクサスLBXなどを国内外へ出荷。
  • 苅田港(北九州港)
    トヨタ自動車九州 宮田工場で生産されたレクサスES・UX・NX・RXなどを世界各国へ輸出する九州最大級の完成車積出港。
  • 横浜港・川崎港
    羽村工場(一部輸出)
  • 大阪港・神戸港
    ダイハツ工業 本社・京都工場(OEM車)

トヨタ車の主な「入港到着港(陸揚げ港)」一覧

北海道ブロック:苫小牧港
  愛知・東北・九州で生産されたトヨタ車の大部分が入港し、北海道各地へ配送される最大の完成車物流拠点。
東北ブロック:仙台塩釜港(仙台港区)
  愛知・九州方面からの完成車が入港するほか、東北地方の広域配送拠点として機能。宮城・岩手生産車は近距離圏では陸送が中心となる。
関東ブロック:千葉港・横浜港(大黒ふ頭)・川崎港
  愛知・九州方面からの完成車が主に入港。トヨタ自動車東日本(岩手・宮城)で生産された車両は、首都圏向けに陸送されるケースも多い。
北陸ブロック:伏木富山港・新潟港
  主に愛知方面から輸送された完成車を受け入れ、北陸各県へ配送。
関西ブロック:大阪港・堺泉北港
 東北・九州方面からの完成車が入港する重要拠点。愛知生産車は陸送中心だが、一部ではRORO船(自動車船)も利用される。
中国・四国ブロック:宇品港(広島)・水島港(岡山)・坂出港(香川)
  中国・四国エリア向けの完成車配送を担う主要港。
九州ブロック:新門司港・苅田港
  愛知・東北方面から輸送された完成車の陸揚げ拠点であり、九州域内物流の重要ハブ。

港を経由しない「陸送中心エリア」

東海(中部)エリア
愛知県内の元町・高岡・堤・田原・富士松・吉原などの工場から、販売店へキャリアカーで直接配送されるケースが中心。近距離圏では港を経由しない物流が主流となっている。

東北→関東ルート
トヨタ自動車東日本(岩手・宮城)で生産されたアクア、ヤリス、シエンタ、カローラクロス、レクサスLBXなどは、首都圏向けに大規模なキャリアカー輸送網が構築されており、陸送比率が高い。

④ トヨタ車の納車整備・架装・配車を担う「完成車物流センター(PDI・車両物流拠点)」

完成車工場から出荷された車両や、全国の港に到着した車両は、そのまま販売店へ配送されるわけではありません。

多くの車両は、各地域の**完成車物流センター(PDI:Pre-Delivery Inspection=納車前点検施設)**や車両物流ヤードに一時搬入されます。これらの施設は、主にトヨタグループの物流会社(トヨタ輸送株式会社やトヨタ協工株式会社など)が運営・管理しています。

ここでは、販売店からの登録情報に基づき、ナビゲーションシステムやETC、ドライブレコーダー、フロアマット、エアロパーツ、ボディコーティングなどの**ディーラーオプション(二次架装)**の装着を実施するとともに、納車前点検(PDI)や最終品質確認、配車計画の作成が行われます。

その後、各都道府県のディーラー配送センターや販売店へキャリアカーで輸送され、ユーザーへの納車を迎えます。

全国の主な完成車物流センター(PDI・配車・物流拠点)

北海道地区

苫小牧港周辺の完成車物流センター(北海道苫小牧市)

北海道最大の完成車物流拠点。愛知・東北・九州方面から輸送された車両を受け入れ、納車前準備を経て北海道各地の販売店へ配送します。


東北地区

仙台塩釜港(仙台港区)周辺の完成車物流センター(宮城県仙台市)

東北地方の物流拠点として機能し、愛知・九州方面から到着した車両の受け入れ・分配を担当します。また、トヨタ自動車東日本の生産車両についても、地域や輸送先に応じて物流ネットワークの一翼を担っています。


関東・甲信越地区

横浜港(大黒ふ頭)周辺の完成車物流センター(神奈川県横浜市)

神奈川・東京都・南関東エリア向け車両の物流拠点。港湾物流と陸上輸送を組み合わせ、販売店への配送を行います。

千葉港周辺の完成車物流センター(千葉県千葉市)

千葉県・茨城県を中心としたエリア向けの車両保管・配車・配送を担当します。


中京・東海・北陸地区

名古屋港・飛島地区・東海地区の完成車物流センター(愛知県)

トヨタグループ最大規模の完成車物流ネットワーク。元町・高岡・堤・田原・富士松・吉原・いなべ工場などから集まる車両の保管、PDI、架装、全国への配車を担う中核拠点です。

北陸地区(伏木富山港・新潟港周辺)の完成車物流拠点

北陸地方向け車両の一時保管や地域配送を担当し、富山・石川・福井・新潟方面への物流を支えています。


関西地区

大阪港・堺泉北港周辺の完成車物流センター(大阪府)

関西エリア最大級の物流拠点。大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山方面へ向けた完成車の保管・配車・配送を行います。

また、内陸部の物流ヤードと連携し、効率的な地域配送ネットワークを構築しています。


中国・四国地区

水島港・宇品港周辺の完成車物流センター(岡山県・広島県)

中国地方向け車両の主要物流拠点。山陰地方を含む中国5県への配送を担います。

坂出港周辺の完成車物流ヤード(香川県)

四国4県(香川・徳島・愛媛・高知)向け車両の一時保管・分配・配送を担当する物流拠点です。


九州・沖縄地区

新門司港・苅田港周辺の完成車物流センター(福岡県)

九州各県への完成車配送を担う主要物流拠点。愛知・東北方面から輸送された車両の受け入れに加え、トヨタ自動車九州で生産された車両の物流ネットワークとも連携しています。

南九州地区の地域物流拠点(宮崎県・鹿児島県)

宮崎・鹿児島エリア向け車両の地域配送を担い、九州南部の販売店への最終配送を支えています。


日産の車両物流システム詳細データ

日産の完成車物流を語る上で欠かせないのが、元子会社であり現在は独立した東証上場企業として日産物流の核を担う「株式会社ゼロ(旧:日産陸送)」の存在と、ルノー・日産・三菱アライアンスによる三菱自動車との共同混載輸送・PDI相互委託の動きです。これらの背景を踏まえた、極めて専門性の高い詳細データを構成しました。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

日産は、EV(電気自動車)や高級車、ミニバンを生産する自社工場に加え、ミニバン・商用車・SUVを担う「日産車体」グループ、および軽自動車を共同開発・委託生産する「三菱自動車(NMKV)」との連携が特徴です。

⚠️ 業界最新情報(トピックス)

日産は2026年現在、構造改革の一環として**「2026年度末までに日産車体湘南工場での完成車生産委託を終了(ADやバネット等)」および「2027年度末までに追浜工場での完成車生産を終了し、ノート等の生産を日産自動車九州へ集約」**することを発表しています。本データは現行(2026年時点)の最新稼働状況に基づきます。

工場名(運営母体)所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
栃木工場
(日産自動車)
栃木県河内郡上三川町アリア(EV)、フェアレディZ、スカイライン、インフィニティ輸出モデル
追浜(おっぱま)工場
(日産自動車)
神奈川県横須賀市夏島町ノート、ノート オーラ、キックス(※生産移管準備中)
日産自動車九州福岡県京都郡苅田町セレナ、エクストレイル、ローグ(輸出向け)
湘南工場
(日産車体)
神奈川県平塚市天沼NV200バネットなど商用車
九州工場
(日産車体九州)
福岡県京都郡苅田町エルグランド、キャラバン、パトロール/アルマーダ(輸出向け)
水島製作所
(三菱自動車 ※NMKV委託)
岡山県倉敷市水島サクラ(EV)、デイズ、ルークス(軽自動車全般)

③ 日産自動車 完成車海上物流における「積出港(出港港)」と「入港到着港」

日産自動車は、東日本(神奈川県・栃木県)と西日本(福岡県)に主要完成車工場を配置しており、それぞれの生産拠点を結ぶ効率的な海上物流ネットワークを構築しています。

完成車の国内輸送では、キャリアカーによる陸上輸送に加え、RORO船(自動車専用運搬船)を活用した内航海運が重要な役割を担っています。これにより、長距離輸送の効率化やCO₂排出量の削減、ドライバー不足への対応が図られています。

主な「積出港(出港港)」と主な管轄工場

追浜港(神奈川県横須賀市)
 追浜工場に隣接する日産自動車の代表的な積出港です。
追浜工場で生産されたノート、ノート オーラなどの完成車を中心に、日産車体湘南工場で生産された商用車なども物流計画に応じて取り扱い、全国各地や海外へ出荷しています。
日立港(茨城港日立港区)
 栃木工場からキャリアカーで輸送された完成車の積出拠点です。
アリア(EV)、フェアレディZ、スカイライン、インフィニティブランド向け輸出車など、高付加価値車両の国内輸送・輸出において重要な役割を担っています。
苅田港(北九州港)
 日産自動車九州および日産車体九州で生産された完成車の主要積出港です。
セレナ、エクストレイル、キャラバン、パトロール/アルマーダ(輸出向け)などを国内各地および海外市場へ出荷する、西日本を代表する完成車物流拠点となっています。
水島港(岡山県倉敷市)
 三菱自動車水島製作所で生産される日産向けOEM軽自動車(サクラ、デイズ、ルークスなど)の国内物流を支える重要な積出港です。

主な「入港到着港(陸揚げ港)」

東西の積出港から出航したRORO船は、全国の主要港へ入港し、完成車物流センターやPDI(納車前点検)施設を経由して各販売店へ配送されます。

北海道ブロック:苫小牧港
 愛知・東日本・九州方面から輸送された完成車の主要な陸揚げ港であり、北海道各地への配送拠点となっています。
東北ブロック仙台塩釜港(仙台港区)
 九州・神奈川方面から輸送された完成車の受け入れを行うほか、東北地方への配送拠点として機能しています。
栃木工場で生産された車両は、輸送距離や仕向地に応じて陸送が選択されるケースも多くあります。
関東ブロック千葉港・横浜港・川崎港
 九州方面から輸送された完成車の主要な受け入れ港です。
一方で、栃木工場や追浜工場で生産された車両は、首都圏や関東地方向けにキャリアカーによる陸送が中心となっています。
関西ブロック大阪港・堺泉北港・神戸港
 九州方面から輸送された完成車の主要な物流拠点です。
東日本工場で生産された車両については、陸送を中心としながら、一部ではRORO船を活用した輸送も行われています。
中国・四国ブロック水島港(岡山県)・広島港周辺
 中国地方向け完成車の物流拠点として利用されています。
四国向け車両についても、水島地区や関西地区の物流拠点を経由し、キャリアカーによる最終配送が行われるケースが多く見られます。
九州ブロック苅田港・博多港
 東日本方面から輸送された完成車の受け入れを担うとともに、九州域内の販売店への配送拠点として機能しています。
九州工場で生産された車両については、近距離圏ではキャリアカーによる陸送が中心となります。


🚛 港を経由しない「陸送中心エリア」

首都圏・関東・甲信越・東海の一部
栃木工場や追浜工場から出荷されるアリア、ノート、ノート オーラ、フェアレディZなどは、首都圏や関東地方、甲信越、東海の一部エリアへ向けて、主にキャリアカーによる陸送で配送されます。

九州北部
日産自動車九州および日産車体九州で生産された完成車は、福岡県や佐賀県など近距離エリアでは、港を経由せずキャリアカーによる直接配送が中心となっています。

④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港や工場からキャリアカーで運ばれた車両は、各地域を代表する大手ディーラーグループの直営PDI(納車整備センター)や、日産から一次物流を一括受託している「株式会社ゼロ(旧:日産陸送)」のCS(カスタマーサービス)センターに搬入されます。

ここで、例の「登録確定データ」がシステムで突合されるのを待ち、オーテック等の特装パーツ、ナビ、フロアマットの二次架装が行われます。

全国の主な完成車物流センター(PDI・配車・物流拠点)

北海道地区

苫小牧港周辺の完成車物流センター(北海道苫小牧市)

北海道最大級の完成車物流拠点です。
東日本・西日本から輸送された完成車を受け入れ、納車前準備を経て北海道各地の販売会社へ配送します。


東北地区

仙台塩釜港(仙台港区)周辺の完成車物流センター(宮城県仙台市)

東北地方の物流ハブとして機能し、港湾物流と陸送を組み合わせながら宮城県を中心に東北各県への配送を担います。


北関東地区

栃木工場周辺の完成車検査・出荷ヤード(栃木県河内郡上三川町)

栃木工場で生産された完成車の最終品質確認や出荷準備を行う物流拠点です。
仕向地に応じてキャリアカーまたはRORO船向け輸送ルートへ振り分けられます。


首都圏地区

追浜港周辺の完成車物流センター(神奈川県横須賀市)

追浜工場に隣接する物流拠点で、完成車の保管・配車・全国輸送の中継機能を担っています。


千葉港周辺の完成車物流センター(千葉県千葉市)

千葉県・茨城県を中心とした販売会社向け完成車の保管・配車・配送を担当します。


首都圏内陸部のPDI・物流拠点(東京都・埼玉県・神奈川県)

首都圏向け車両の納車前点検(PDI)、ディーラーオプション装着、登録準備などを実施し、各販売会社への最終配送を支えています。


東海・中京地区

名古屋港周辺の完成車物流センター(愛知県)

東海・中京エリア向け車両の保管・配車・配送を担う物流拠点です。
愛知県・岐阜県・三重県・静岡県西部などへの地域配送を支えています。


関西地区

大阪港・堺泉北港・神戸港周辺の完成車物流センター

関西エリア最大級の完成車物流ネットワークです。
大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県などへの配送を担当しています。


中国地区

水島港周辺の完成車物流センター(岡山県倉敷市)

岡山県を中心に、中国地方向け車両の保管・分配・配送を担当します。
日産向けOEM軽自動車の物流ネットワークとも連携しています。


広島港周辺の物流拠点(広島県広島市)

広島県・山口県方面への地域配送を担う物流拠点です。


四国地区

四国地区完成車物流ヤード(香川県・徳島県など)

四国各県向け車両の一時保管や地域配送を担当する物流拠点です。
水島地区や関西地区の物流センターと連携し、効率的な配送ネットワークを構築しています。


九州地区

新門司港・苅田港周辺の完成車物流センター(福岡県)

九州最大級の完成車物流拠点です。
東日本から輸送された完成車の受け入れに加え、日産自動車九州・日産車体九州で生産された車両の保管、納車前準備、九州各県への配送を担当しています。


南九州地区

鹿児島港・谷山港周辺の地域物流拠点(鹿児島県)

鹿児島県および宮崎県南部向け車両の地域配送を担う物流拠点として機能しています。
日産におけるCSセンターとは、「カスタマーサービスセンター(Customer Service Center)」の略称です。

日産の完成車物流(陸送・海上輸送)を一手に担っている最大手の物流企業「株式会社ゼロ(旧:日産陸送)」が、全国の主要港やハブ拠点に配置している巨大な車両基地(モータープール)の総称がこの「CSセンター」です。

ホンダの車両物流システム詳細データ

ホンダの物流を語る上で外せないのが、鈴鹿と埼玉という二大マザー工場を中心とした「内陸および海上の一元化された効率性」と、グループの物流中核を担う「ホンダロジスティクス」による一貫体制です。さらに、近年実施された四輪生産体制の再編(狭山工場の四輪完成車生産終了と寄居工場への集約など)を踏まえた、2026年現在の最新かつ極めて専門性の高い実務データを取りまとめました。ブログの「物流編」のコアデータとしてそのままご活用ください。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

ホンダの国内四輪生産は、軽自動車・コンパクトの聖地である「鈴鹿」と、中大型・先進モビリティを担う「埼玉(寄居)」の2大拠点に集約されており、非常にシンプルな構造ながら高効率な分業体制を敷いています。

工場名(製作所)所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
埼玉製作所 寄居(よりい)工場埼玉県大里郡寄居町FREED(フリード)、STEP WGN(ステップワゴン)、VEZEL(ヴェゼル)、CIVIC(シビック/TYPE R)、ZR-V、アコード、ホンダe:Nシリーズ(EV)
鈴鹿製作所三重県鈴鹿市平野町N-BOXシリーズ、N-ONE、N-WGN、N-VAN(およびN-VAN e:)、FIT(フィット)
八千代工業 四日市製作所
(受託生産拠点)
三重県四日市市商用特装車、福祉車両、特装軽自動車等(※一部受託生産)

③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

ホンダの工場は内陸(寄居)と臨海近く(鈴鹿)に位置するため、陸送と海運の組み合わせが非常にシステマチックです。物流子会社のホンダロジスティクスが手配する専用の内航自動車運搬船が日本全国を網羅しています。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
  • 千葉港(千葉中央港区):埼玉製作所(寄居工場)からフクヤマグローバルロジスティクスやホンダロジ等のキャリアカーで陸送された、フリードやステップワゴン、ヴェゼル等の東日本生産車を積み出すメインハブ港。
  • 四日市港(または名古屋港):鈴鹿製作所に隣接する重要港。日本一の販売台数を誇るN-BOXをはじめとする「Nシリーズ」やフィットを全国へ海上輸送するための西日本最大の積出拠点。
主たる「入港到着港」

東西の積出港から出航した運搬船は、各地域の販売網に最も近い以下の主要港に入港し、地場のPDI(納車整備センター)へと直結します。

入港(陸揚げ)する港

  • 北海道ブロック苫小牧港(埼玉・鈴鹿からの全数入港)
  • 東北ブロック仙台港(鈴鹿からの入港/※埼玉生産車は陸送)
  • 北陸ブロック伏木富山港、新潟港(鈴鹿・埼玉からの入港)
  • 関西ブロック堺泉北港、大阪港(埼玉からの入港/※鈴鹿生産車は陸送が主)
  • 中国・九州ブロック水島港(岡山)、新門司港(福岡)(埼玉・鈴鹿からの入港)

⚠️陸送単独エリア(入港なし)

  • 関東・甲信越・東海(中京)全域:埼玉製作所(寄居)から出るフリードやステップワゴン等は、関東・山梨・長野などへ直接陸送。また、鈴鹿製作所から出るN-BOXやフィット等は、東海3県・静岡・滋賀などへすべて直接陸送されるため、これらのエリアでの「入港」はありません。
  • 四国エリア:四国本土の港(高松・徳島等)への直接入港はなく、関西(堺泉北)や中国(水島)に陸揚げされた車両が瀬戸大橋を渡って陸送されます。

④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港や工場からキャリアカーで運ばれた車両は、ホンダの純正アクセサリー(Honda Access)の組み付けや新車点検を専門に行う「ホンダロジスティクス」の各センター(総合流通センター・PDIセンター)、あるいは各地域の広域ディーラー(Honda Cars)が運営する直営PDIヤードに搬入されます。

ここで「登録(ナンバー)確定データ」がシステム上で突合されて初めて、ナビゲーションやドライブレコーダー、無限(MUGEN)パーツ、フロアマットといった二次架装が一斉にスタートします。

全国主要センター・ヤード(ホンダロジスティクスおよび主要PDI拠点)
センター・営業所名所在地主な管轄・対象都道府県
ホンダロジ 苫小牧物流センター北海道苫小牧市弁天北海道全域
ホンダロジ 岩手PDIセンター岩手県北上市流通センター岩手県・青森県・秋田県
ホンダロジ 東北総合流通センター宮城県多賀城市明月(仙台港エリア)宮城県・山形県・福島県
ホンダロジ 新潟PDIセンター新潟県新潟市東区新潟県・山形県一部
ホンダロジ 栃木物流センター栃木県芳賀郡芳賀町栃木県・群馬県・茨城県(北関東エリア)
ホンダロジ 埼玉総合流通センター埼玉県比企郡川島町 / 狭山市埼玉県・東京都・千葉県(寄居工場至近の巨大ハブ)
ホンダロジ 神奈川PDIセンター神奈川県厚木市 / 横浜市鶴見区神奈川県・山梨県
ホンダロジ 伏木富山PDIヤード富山県高岡市 / 石川県内富山県・石川県・福井県(北陸3県)
ホンダロジ 鈴鹿総合流通センター三重県鈴鹿市国府町三重県・愛知県・岐阜県・静岡県(鈴鹿工場直結)
ホンダロジ 関西総合流通センター兵庫県加東市(または堺泉北エリア)大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県
ホンダロジ 岡山PDIヤード岡山県倉敷市 / 岡山市岡山県・鳥取県・島根県
ホンダロジ 広島PDIセンター広島県廿日市市 / 広島市広島県・山口県
四国ホンダ系地場PDI(高松・坂出・徳島)香川県坂出市 / 徳島県内ヤード香川県・徳島県・愛媛県・高知県(四国4県エリア)
ホンダロジ 九州総合流通センター福岡県京都郡苅田町福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県(新門司港連動)
ホンダロジ 鹿児島PDIセンター鹿児島県姶良市 / 鹿児島市鹿児島県・宮崎県
ホンダロジ 沖縄PDIセンター沖縄県うるま市(中城湾港エリア)沖縄県全域
💡 業界の予備知識:「PDI」と「納整」

一般的に「PDIセンター(Pre-Delivery Inspection=引き渡し前検査の略)」と呼ばれる巨大なプールですが、我々自動車業界の人間は親しみを込めて**「納整(のうせい)センター」**と呼んでいます。 メーカーから出荷された「すっぴん」の状態の新車に、ディーラーオプションを取り付け、点検を行い、ピカピカの「売り物」に仕上げる、まさに新車の最終化粧場です。

現場の人間からすると「納整センターの担当に電話して枠を確保する」といった使い方のほうが日常茶飯事ですので、ブログ内でも「一般的にはPDIと言いますが、現場では納整センターと呼びます」

マツダの車両物流システム詳細データ

マツダの物流を語る上で絶対に外せない最大の経営特徴は、広島と山口(防府)という「瀬戸内臨海部に完成車工場が完全に集結している」という点、そして物流中核を担う「マツダロジスティクス(旧:マツダ運輸広島)」による徹底された臨海一貫体制です。工場に専用の大型専用岸壁(バース)が直結しており、生まれた新車がそのまま船に載せられて全国(および世界)へ旅立つという、他社にはない極めてスマートで合理的な海上物流網を持っています。

026年現在の最新かつ、実務に直結する専門的な詳細データを取りまとめました。ブログの「物流編」のコアデータとしてそのままご活用ください。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

マツダの国内完成車生産は、広島の本社周辺と、山口県の防府工場の2大拠点に完全に集約されています。どちらも臨海巨大工場であり、船へのダイレクト積載が可能な構造になっています。

工場名(地区)所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
本社工場(宇品東・宇品西地区)広島県広島市南区宇品海岸CX-5、CX-30、CX-80、CX-60、マツダロードスター、ロードスターRF、MAZDA2
防府(ほうふ)工場(西浦地区)山口県防府市大字西浦MAZDA3(セダン/ファストバック)、MAZDA6(※輸出向け・国内受注状況による)、CX-50(海外向け主力)、CX-5一部

③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

マツダは「臨海工場」の強みを極限まで活かしているため、陸送の距離が極めて短く、最初から海上輸送(内航自動車運搬船)を前提とした美しい物流ダイアグラムを組んでいます。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
  • 宇品港(マツダ専用埠頭・広島県):本社(宇品)工場に隣接。CXシリーズやロードスターなど、広島生産車を直接船積みするメイン港。
  • 防府港(中関港・西浦専用バース・山口県):防府工場に隣接。MAZDA3などをはじめ、主に防府でラインオフされた車両をダイレクトに積み出す重要港。
主たる「入港到着港」

広島・防府の専用岸壁を出港したマツダロジスティクス(および協力海運)の自動車運搬船は、日本全国の主要経済圏にある以下の港に直接、あるいは中継を挟んで入港します。

  • 北海道ブロック:苫小牧港、小樽港
  • 東北ブロック:仙台港、八戸港
  • 関東・甲信越ブロック:千葉港(千葉中央)、横浜港(大黒ふ頭)、新潟港
  • 東海・北陸ブロック:名古屋港、衣浦港、伏木富山港
  • 関西・中国ブロック四国ブロック
    広島生産車(CX-60、ロードスター、CX-5など)(広島県広島市・マツダ本社工場専用埠頭)
    流通ルート: 工場直結の宇品港から直接キャリアカー(陸送)に載せられ、港湾地区からそのまま「しまなみ海道」または「瀬戸大橋」を渡って四国各県のディーラーへと直納されます。
    つまり、海を渡るために船(内航船)は一切使いません。「宇品港(の敷地)から直接陸路で四国へ向かう」のが結論です。
  • 山口生産車(MAZDA3など)および 海外生産輸入車(CX-70、CX-90等の一部大型、あるいはOEM車)
    流通ルート: 防府生産車は防府港から直接陸送で四国へ向かうルートが主ですが、他拠点からの流通分や一部の中継車両については、関西の巨大ハブである「堺泉北港」などのマツダロジスティクス拠点を経由し、そこから陸送、あるいは神戸・大阪からのフェリー等を利用して四国へアプローチするケースがあります
  • 九州・沖縄ブロック:新門司港、鹿児島港、那覇港

④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港に到着した車両、あるいは近隣エリアへ陸送された車両は、マツダロジスティクスが全国に配置している「新車整備センター(通称:納整センター)」や、各地域の広域直営ディーラー(関東マツダ、関西マツダ、九州マツダなど)の専用ヤードに一括搬入されます。

マツダは「ショップオプション」によるナビゲーション(マツダコネクトのSDカードや周辺機器)、シグネチャーウイングイルミネーション、エアロパーツなどのドレスアップ架装が多いため、ここの納整センターの職人技が仕上がりを大きく左右します。もちろん、例の「登録確定データ」がシステム上で突合されるまでは、フロアマット1枚すら敷くことができない鉄のルールは同様です。

全国主要センター・ヤード(マツダロジスティクスおよび直属納整拠点)
センター・納整名所在地主な管轄・対象都道府県
マツダロジ 苫小牧新車整備センター北海道苫小牧市弁天北海道全域
マツダロジ 東北新車整備センター宮城県多賀城市(仙台港エリア)宮城県・岩手県・青森県・秋田県・山形県・福島県
マツダロジ 新潟新車整備ヤード新潟県新潟市東区新潟県・北陸一部
マツダロジ 茨城新車整備センター茨城県ひたちなか市茨城県・栃木県・群馬県(北関東エリア)
マツダロジ 千葉新車整備センター千葉県千葉市中央区中央港千葉県・埼玉県・東京都(首都圏東部ハブ)
マツダロジ 座間新車整備センター神奈川県座間市広野台神奈川県・東京都(日産座間跡地物流網と連携・首都圏南部)
マツダロジ 富山新車整備センター富山県高岡市富山県・石川県・福井県(北陸エリア)
マツダロジ 名古屋新車整備センター愛知県東海市新宝町愛知県・岐阜県・三重県・静岡県
マツダロジ 堺泉北新車整備センター大阪府堺市西区築港新町大阪府・和歌山県・奈良県・滋賀県
マツダロジ 神戸新車整備センター兵庫県神戸市東灘区(六甲アイランド)兵庫県・京都府
マツダロジ 広島新車整備センター(本社直結)広島県広島市南区向洋大原町広島県・岡山県・鳥取県・島根県・山口県(中国地方中核)
四国マツダ系地場納整ヤード(高松港等)香川県高松市 / 徳島県内香川県・徳島県・愛媛県・高知県(四国4県エリア)
マツダロジ 福岡新車整備センター(新門司)福岡県北九州市門司区新門司福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・熊本県(九州ハブ)
マツダロジ 鹿児島新車整備ヤード鹿児島県鹿児島市谷山港鹿児島県・宮崎県
沖縄マツダ 浦添新車整備ヤード沖縄県浦添市 / うるま市沖縄県全域

マツダの物流事情をストーリーに組み込む際、読者に最も響く「ここだけの話」は、「陸送(キャリアカー)をほとんど使わない、日本一美しい臨海海上物流の仕組み」です。

「マツダの物流は、他メーカーと比べても群を抜いて『スマートで合理的』です。なぜなら、愛知や関東、東北など全国に工場が分散している他社と違い、マツダはすべての車が広島と山口の『瀬戸内海の目の前』で生まれるからです。

工場のすぐ裏手が専用の埠頭になっており、ラインオフされたばかりの『CX-60』や『ロードスター』が、キャリアカーで長い距離を走ることなく、そのまま巨大な自動車運搬船へと吸い込まれていきます。排気ガスを極力出さず、陸上の渋滞にも巻き込まれない、非常に環境に優しい海上輸送の優等生と言えます。

スズキの車両物流システム詳細データ

スズキの物流を語る上で欠かせないのが、本拠地である静岡県内にほぼすべての完成車工場を集約しているという「究極の地産(集約)体制」と、そこから日本全国へ張り巡らされた海上・陸上輸送のネットワークです。さらに、近年特に人気の高いジムニー(納期長期化の象徴)やハスラー、スペーシアといった主力車種がどのような物流ルートを辿るのか、2026年現在の最新かつ極めて専門性の高い実務データを取りまとめました。ブログの「物流編」のコアデータとしてそのままご活用ください。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

スズキの国内四輪完成車生産は、一部の商用・OEM委託を除き、そのほとんどが静岡県内の3つの主要工場に集中しています。この集中型生産が、スズキの圧倒的なコストパフォーマンスと効率的な物流の源泉となっています。

工場名所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
湖西(こさい)工場静岡県湖西市白須賀スペーシアシリーズ(カスタム/ギア)、ハスラー、ワゴンRシリーズ、アルト、ラパン、ジムニー、ジムニーシエラ
磐田(いわた)工場静岡県磐田市岩井エブリイワゴン、エブリイ(商用バン)、キャリイ(軽トラック)
※日産・マツダ・三菱への商用車OEM供給元
相良(さがら)工場静岡県牧之原市白井スイフト、ソリオ、クロスビー、イグニス(小型登録車を中心に生産)

③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

静岡県内に完成車工場が集中しているため、スズキの海上物流は非常にシンプルかつ、特定の港に膨大な台数が集結するのが特徴です。物流子会社の「スズキ輸送梱包」や協力海運会社(マリンリンク等)が運航する内航自動車運搬船が、全国の拠点を結んでいます。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
  • 御前崎港(おまえざきこう・静岡県):スズキの海上物流における絶対的なメインハブ港。湖西・磐田・相良の各工場から陸送されたハスラー、スペーシア、ジムニー、ソリオなどの膨大な車両が、この御前崎港から日本全国(北海道から沖縄まで)へ向けて日々出港していきます。
主たる「入港到着港」

御前崎港から出航した運搬船は、日本全国の各経済圏にある以下の主要港に入港し、そこから各地の直営PDI(集配センター)へと直接引き継がれます。

入港(陸揚げ)する港

  • 北海道ブロック苫小牧港、小樽港(御前崎港からの入港)
  • 東北ブロック仙台港、秋田港(御前崎港からの入港)
  • 関東ブロック千葉港(御前崎港からの入港/※一部は静岡から陸送)
  • 北陸ブロック伏木富山港、七尾港(御前崎港からの入港)
  • 関西ブロック堺泉北港、大阪港(御前崎港からの入港/※一部は陸送)
  • 中四国ブロック玉島港(岡山)(御前崎港からの入港 ➔ ここから四国へ陸送)
  • 九州ブロック新門司港、鹿児島港(御前崎港からの入港)

⚠️陸送単独エリア(入港なし)

  • 東海・甲信越・南関東の一部:地元である静岡県内はもちろん、愛知・岐阜・三重、そして山梨や神奈川の一部など、静岡からキャリアカーが日帰り往復できる圏内は船を一切使いません(御前崎港は「出港専用」となります)。
  • 四国ブロック:前述の通り、四国(徳島・香川・愛媛・高知)の港への直接入港は0(ゼロ)。すべて岡山の「玉島港」に入港し、そこから陸送です。


例えば四国にお住まいのお客様がスズキのハスラーやスペーシアを注文したとします。『静岡の工場から船に乗って、四国の港に届くんだろう』と思ったら、それは大間違い。スズキの内航船が向かうのは、四国ではなく、対岸の岡山県にある『玉島港』一箇所だけ。中四国の車両はすべてここに集められ、巨大な納整センターで一括してナビやオプションが組み付けられます。つまり、四国を走るスズキの新車は、すべて『瀬戸大橋をキャリアカーで渡ってやってくる』のです。メーカーは船をあちこちの港に寄せるよりも、一箇所の巨大港にドカンと下ろして、そこから陸路でバラした方が遥かに効率が良い。この『港の集約と、そこからの陸送リレー』の割り切りこそが、日本の自動車物流の本当のリアルなのです。」

④ 納車整備(PDI)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港や工場からキャリアカーで運ばれた車両は、各都道府県を統括する直営の「スズキ自販(ディーラー)」が運営する大型の新車整備センター(PDIセンター/納車整備工場)や、スズキ輸送梱包の物流ヤードに搬入されます。

ここで、例の「登録確定データ(軽自動車検査協会または陸運局のシステム)」が突合され、おなじみの純正ナビ、全方位モニター、ドライブレコーダー、そしてフロアマットやドアバイザーといったディーラーオプション(二次架装)が施工されます。

全国主要センター・ヤード(スズキ直営・主要PDI拠点)
センター・営業所名所在地主な管轄・対象都道府県
スズキ輸送梱包 苫小牧センター北海道苫小牧市勇払北海道全域(スズキ自販北海道等と連携)
スズキ自販岩手 矢巾PDIセンター岩手県紫波郡矢巾町岩手県・青森県・秋田県
スズキ輸送梱包 仙台港センター宮城県仙台市宮城野区港宮城県・山形県・福島県
スズキ自販新潟 新潟PDIセンター新潟県新潟市東区新潟県内全域
スズキ 茨城PDIセンター茨城県東茨城郡茨城町茨城県・栃木県・群馬県(北関東エリア)
スズキ輸送梱包 千葉PDIセンター千葉県千葉市中央区中央港千葉県・埼玉県・東京都(首都圏東部ハブ)
スズキ 神奈川新車整備センター神奈川県愛甲郡愛川町神奈川県・東京都(首都圏南部エリア)
スズキ輸送梱包 富山PDIヤード富山県高岡市(または新湊エリア)富山県・石川県・福井県(北陸エリア)
スズキ輸送梱包 静岡・御前崎ヤード静岡県牧之原市 / 御御崎市静岡県・愛知県・岐阜県・三重県(地場配車)
スズキ 堺泉北PDIセンター大阪府堺市西区築港新町大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県
スズキ自販岡山 岡山PDIセンター岡山県倉敷市玉島乙島(水島エリア)岡山県・鳥取県・島根県
スズキ自販広島 広島PDIセンター広島県広島市西区 / 廿日市市広島県・山口県
四国スズキ系地場PDI(高松港・徳島ヤード等)香川県高松市 / 徳島県内ヤード香川県・徳島県・愛媛県・高知県(四国4県エリア)
スズキ輸送梱包 新門司PDIセンター福岡県北九州市門司区新門司福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・熊本県
スズキ自販鹿児島 鹿児島PDIヤード鹿児島県鹿児島市谷山港鹿児島県・宮崎県
スズキ自販沖縄 浦添PDIヤード沖縄県浦添市 / うるま市沖縄県全域
💡 業界の予備知識:「PDI」と「納整」

一般的に「PDIセンター(Pre-Delivery Inspection=引き渡し前検査の略)」と呼ばれる巨大なプールですが、我々自動車業界の人間は親しみを込めて**「納整(のうせい)センター」**と呼んでいます。 メーカーから出荷された「すっぴん」の状態の新車に、ディーラーオプションを取り付け、点検を行い、ピカピカの「売り物」に仕上げる、まさに新車の最終化粧場です。

現場の人間からすると「納整センターの担当に電話して枠を確保する」といった使い方のほうが日常茶飯事ですので、ブログ内でも「一般的にはPDIと言いますが、現場では納整センターと呼びます」

スバルの車両物流システム詳細データ

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

スバルの国内四輪完成車生産は、すべて群馬県太田市周辺の「群馬製作所」エリアに完全に集約されています。軽自動車の自社生産撤退(現在はダイハツからのOEM供給)以降、登録車(普通車)の生産効率を極限まで高めた体制を敷いています。

工場名(地区)所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
群馬製作所 本工場群馬県太田市スバル町レヴォーグ、レイバック、インプレッサ、クロストレック、WRX S4、BRZ(トヨタ・GR86含む)
群馬製作所 矢島(やじま)工場群馬県太田市庄屋町フォレスター、アウトバック、インプレッサ、クロストレック

③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

スバルは工場が「完全な内陸(群馬)」に位置するため、ラインオフされた車両はまず、キャリアカーや専用の陸送網によって臨海部の積出港へと大移動します。ここからスバル物流(および協力海運)が手配する自動車運搬船に載せられ、全国へ海上輸送されます。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
  • 千葉港(千葉中央港区・スバル専用埠頭):群馬製作所(本工場・矢島工場)から陸送されたほぼすべての国内向け車両が集結する、スバル海上物流の絶対的な「東の横綱」です。フォレスターやレヴォーグなどがここから全国の港へ旅立ちます。
  • 衣浦(きぬうら)港(愛知県碧南市・半田市):中京圏や西日本、あるいは輸出の補完的ハブとして利用されるケースがある重要港。
主たる「入港到着港」

千葉港から出航した運搬船は、各地域の販売網に最も近い以下の主要港に入港し、そこから地場のスバル専用納整センター(PDI)へ直結します。

  • 北海道ブロック:苫小牧港
  • 東北ブロック:仙台港、秋田港
  • 関東・甲信越ブロック:千葉港(地場)、新潟港
  • 東海・北陸ブロック:名古屋港、伏木富山港
  • 関西・中国ブロック:堺泉北港、水島港、宇品港(広島)
  • 四国ブロック:高松港、徳島港
  • 九州・沖縄ブロック:新門司港、鹿児島港、那覇港

④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港に到着した車両、あるいは近隣エリアへ陸送された車両は、スバル物流が全国に配置している「納整センター(新車納車整備センター/PDI)」や、各地域の直営ディーラー(SUBARU販売会社)が運営する専用の整備工場に一括搬入されます。

スバルはアイサイトの全車初期診断をはじめ、独自のディーラーオプション(STIパーツやベースキット、フロントグリルなど)の架装が多いため、ここの納整センターの作業精度が非常に重要視されます。もちろん、例の「登録確定データ」がシステム上で突合されるまでは、フロアマット1枚すら敷くことができない鉄のルールは同様です。

全国主要センター・ヤード(スバル物流および各地域直属納整拠点)
センター・納整名所在地主な管轄・対象都道府県
スバル物流 苫小牧納整センター北海道苫小牧市勇払北海道全域(北海道スバル等と連携)
スバル物流 東北納整センター宮城県多賀城市(仙台港エリア)宮城県・岩手県・青森県・秋田県・山形県・福島県
スバル物流 新潟納整ヤード新潟県新潟市東区新潟県内全域
スバル物流 群馬・関東納整センター群馬県太田市 / 邑楽郡大泉町群馬県・栃木県・茨城県(工場地場・北関東エリア)
スバル物流 千葉納整センター千葉県千葉市中央区中央港千葉県・埼玉県・東京都(千葉港直結・首都圏東部)
スバル物流 神奈川・座間納整ヤード神奈川県座間市広野台神奈川県・山梨県(首都圏南部エリア)
スバル物流 富山納整ヤード富山県高岡市富山県・石川県・福井県(北陸エリア)
スバル物流 名古屋納整センター愛知県東海市新宝町愛知県・配送ハブ(岐阜・三重・静岡)
スバル物流 大阪・堺納整センター大阪府堺市西区築港新町大阪府・和歌山県・奈良県・滋賀県
スバル物流 兵庫・神戸納整ヤード兵庫県神戸市東灘区(六甲アイランド)兵庫県・京都府
スバル物流 広島納整センター広島県広島市西区 / 廿日市市広島県・岡山県・鳥取県・島根県・山口県
四国スバル系地場納整ヤード(高松港等)香川県高松市 / 徳島県内香川県・徳島県・愛媛県・高知県(四国4県エリア)
スバル物流 福岡納整センター(新門司)福岡県北九州市門司区新門司福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・熊本県(九州ハブ)
スバル物流 鹿児島納整ヤード鹿児島県鹿児島市谷山港鹿児島県・宮崎県
沖縄スバル 那覇・浦添納整ヤード沖縄県浦添市 / うるま市沖縄県全域

スバルの物流事情をストーリーに組み込む際、読者に最も響く「ここだけの話」は、「海のない内陸の群馬から、キャリアカーの長列で千葉港へ向かう『大移動』」のドラマです。

「スバルの物流は、ある意味で日本一『泥臭く、パワフル』です。なぜなら、マツダのように目の前が海という臨海工場ではなく、すべてのスバル車は海のない『群馬県の内陸(太田市)』で生まれるからです。

工場を出たばかりの『フォレスター』や『レヴォーグ』は、まずはキャリアカーの長列に載せられて、関東の一般道や高速道路を走り、ひたすら千葉港を目指して南下します。この内陸から港へのファーストステップ(陸送)が、スバルの物流の大きな特徴です。千葉港のスバル専用埠頭に集結して初めて、巨大な運搬船へと吸い込まれ、北は苫小牧、西は新門司へと日本全国へ大航海に出るのです。

スバリストと呼ばれるこだわり派のお客様が多いスバル車は、納整センターでのSTIパーツの組み付けや、アイサイトの超精密な初期電子診断など、最後の仕上げに一切の妥協が許されません。

三菱の車両物流システム詳細データ

業界関係者の皆様、そして全国の販売店・協力工場の現場で、デリカやアウトランダーといったタフな本格派SUVの配車・登録業務に携わっている実務担当者の皆様、お疲れ様です。今回は、独自の四輪制御技術(S-AWC)と電動化(PHEV)で力強い支持を集める【三菱自動車(MITSUBISHI)】の「完成車生産・海上物流・各地配車(納整)拠点」の詳細データを徹底調査しました。

三菱の物流を語る上で極めて特徴的なのが、中大型車を担う愛知県の「岡崎」と、軽自動車の聖地である岡山の「水島」という東西の2大拠点体制、そしてアライアンスを組む日産自動車との「水島における軽自動車の共同生産・物流シナジー」です。さらに、パジェロ製造の閉鎖以降の最新の生産集約状況や、グループの物流中核である「三菱自動車ロジテクノ」が統括する全国の納整(PDI)ネットワークなど、2026年現在の最新かつ専門性の高い実務データを取りまとめました。ブログの「物流編」のコアデータとしてそのままご活用ください。

①・② 国内生産ライン工場一覧と主たる生産機種(完成車工場)

三菱の国内四輪完成車生産は、愛知県の岡崎工場と、岡山県の水島製作所の2拠点に集約されています(かつてデリカ等を生産していた岐阜県のパジェロ製造は2021年に閉鎖され、現在は岡崎等に移管されています)。

工場名(製作所)所在地(都道府県)主たる生産機種(完成車)
岡崎製作所愛知県岡崎市橋目町アウトランダーPHEV、エクリプスクロス(PHEV/ガソリン)、デリカD:5
水島製作所岡山県倉敷市水島海岸通デリカミニ、eKクロスシリーズ(eKクロス EV含む)、eKワゴン、ミニキャブEV、ミニキャブトラック/バン
※日産・サクラやデイズシリーズ等の共同開発軽自動車もここで生産
パジェロ製造(※閉鎖済)岐阜県加茂郡坂祝町2021年に対象車種の移管を完了し、現在は四輪完成車ラインとしての稼働はありません。

③ 完成車海上物流における「出港港(積出港)」と「入港到着港」

愛知(内陸近接)と岡山(完全臨海)という立地から、三菱の海上物流は「名古屋港」と「水島港」という東西の巨大ハブ港を起点に、内航自動車運搬船(三菱自動車ロジテクノ等の手配)を用いて全国へデリバリーされます。

主たる「出港港(積出港)」と主な管轄工場
  • 名古屋港(名港フラグシップエリア):岡崎製作所で生産されたアウトランダーPHEVやデリカD:5などの登録車を、陸送を経て積み出すメインポート。
  • 水島港(岡山県倉敷市):水島製作所に隣接する巨大臨海ハブ。大ヒット中のデリカミニや軽商用EV(ミニキャブEV)、日産向けの軽EV(サクラ)などが、毎日ものすごい台数で直接船積みされます。
主たる「入港到着港」

東西の積出港を出発した運搬船は、日本全国の主要経済圏にある以下の港に入港し、地場の三菱自動車ロジテクノ直営の納整センター(PDI)へ直接引き継がれます。

  • 北海道ブロック:苫小牧港
  • 東北ブロック:仙台港、八戸港、小名浜港
  • 関東・甲信越ブロック:千葉港(千葉中央)、横浜港、新潟港
  • 東海・北陸ブロック:名古屋港(地場)、伏木富山港
  • 関西・中国ブロック:堺泉北港、水島港(地場)、宇品港(広島)
  • 四国ブロック:高松港、坂出港、徳島港
  • 九州・沖縄ブロック:新門司港、鹿児島港、那覇港

④ 納車整備(納整)・架装・配車を行う全国主要センター名称(所在地)

港に陸揚げされた、あるいは工場から近隣エリアへ陸送された車両は、三菱の物流・用品架装の中核会社である「三菱自動車ロジテクノ株式会社(MAT)」の各テクニカルセンター(通称:納整センター/PDI)に一括搬入されます。

三菱車は、デリカのダイナミックシールドイルミネーションや、各種マッドフラップ、キャリアベース、RALLIART(ラリーアート)パーツといった「ヘビーなディーラーオプション」の装着率が非常に高いため、納整センターの架装・用品取付ラインの負担が他社より大きいのが特徴です。ここでも「登録確定データ」がシステムで突合されるまで作業が完全ロックされる鉄のルールは健在です。

全国主要センター・ヤード(三菱自動車ロジテクノおよび主要納整拠点)

センター・納整名所在地主な管轄・対象都道府県
ロジテクノ 北海道テクニカルセンター北海道苫小牧市勇払北海道全域
ロジテクノ 宮城テクニカルセンター宮城県多賀城市(仙台港エリア)宮城県・岩手県・青森県・秋田県・山形県・福島県
ロジテクノ 新潟テクニカルヤード新潟県新潟市東区新潟県内全域
ロジテクノ 茨城テクニカルセンター茨城県ひたちなか市茨城県・栃木県・群馬県(北関東エリア)
ロジテクノ 千葉テクニカルセンター千葉県千葉市中央区中央港千葉県・埼玉県・東京都(千葉港直結・首都圏東部)
ロジテクノ 神奈川テクニカルセンター神奈川県川崎市川崎区 / 横浜市神奈川県・東京都(首都圏南部・静岡一部)
ロジテクノ 富山テクニカルヤード富山県高岡市富山県・石川県・福井県(北陸エリア)
ロジテクノ 岡崎テクニカルセンター愛知県岡崎市橋目町(岡崎工場内)愛知県・岐阜県・三重県・静岡県(工場地場)
ロジテクノ 大阪テクニカルセンター大阪府堺市西区築港新町(堺泉北)大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県
ロジテクノ 水島テクニカルセンター岡山県倉敷市水島(水島製作所内)岡山県・鳥取県・島根県・広島県・山口県(中国ブロック)
四国三菱系地場納整ヤード(高松港・坂出等)香川県坂出市 / 徳島県内香川県・徳島県・愛媛県・高知県(四国4県エリア)
ロジテクノ 九州テクニカルセンター福岡県北九州市門司区新門司福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・熊本県(九州ハブ)
ロジテクノ 鹿児島テクニカルヤード鹿児島県鹿児島市谷山港鹿児島県・宮崎県
沖縄三菱 那覇・浦添新車整備ヤード沖縄県うるま市 / 浦添市沖縄県全域

三菱の物流事情をストーリーに組み込む際、読者に最も刺さる「ここだけの話」は、「水島工場という軽自動車の巨大ハブでの日産との強烈な物流シナジー」「架装パーツの多さゆえの現場のせめぎ合い」です。

「三菱の物流、特に軽自動車に関しては、実は『日産との大いなる共同戦線』の上で成り立っています。大ヒット中の『デリカミニ』や軽EVの『ミニキャブEV』が生まれる岡山の水島製作所は、日産の『サクラ』や『デイズ』も一緒に作っている巨大な軽の聖地です。

ここから水島港を経て全国へ向かう自動車運搬船の中は、三菱のデリカミニと日産のサクラが仲良くギッシリと並んで海を渡っていくという、アライアンスならではの非常に効率的で面白い光景が見られます。

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メーカー所有車両かディーラー所有車両かというボーダーライン(裏事情)

車両の物流を理解する上で、その車両が「メーカーの持ち物」なのか「ディーラーの持ち物」なのかという所有権のボーダーラインを知ることは非常に重要です。

原則として、ディーラーがメーカーにあらかじめ入れていたオーダー車両の場合、フレームナンバー(車台番号)が確定した時点でディーラーの責任(買い取り)に移行していきます。そして、定められた期日に車両代金がメーカーに支払われます。

しかし、ここには業界ならではの柔軟な(悪く言えば泥臭い)融通の利かせ方が存在します。車両を店頭展示車としてお店に陸送で引き取った時点で、限りなく高い確率でディーラー所有車両となりますが、まだ100%固定されたわけではありません。本当の意味で「100%そのディーラーの車両」として確定するのは、車台番号にお客様の名前が紐づき、かつ登録(ナンバー取得)が確定したときです。

なぜなら、ディーラーの現場では以下のような「どうしても納品を急ぐアクシデント」が日々発生するからです。

  • お店のミスで仕様のオーダーミス(発注間違い)が発覚し、大至急で代替車を用意しなければならない。
  • 納期を約束していたのに、何らかの理由で間に合わなくなり、お客様への信頼を失う危機に瀕している。

このような場合、たとえ他県や他法人のディーラーが持つ店頭展示車であっても、ディーラー間の交渉(業販や融通)によって仕入れることが可能なのです。つまり、「未登録の在庫車両は、全国の同一メーカー系ディーラー全体が共有している流動的な資産である」とも言い換えられます。

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厳格化された新車架装のルールと物流の現実

注文が確定した車両は、メーカーの工場から船便やキャリアカー(陸送)を乗り継ぎ、各地の拠点にある「新車点検センター(PDI)」や「集配プール」へと運ばれます。実は、近年の新車物流において、最も大きな変化があり、かつ現場を悩ませているのが「オプション架装(取り付け)のルール変更」です。

かつては、在庫車としてプールにある車両については、登録(ナンバー取得)が完了する前であっても、先んじてナビやフロアマット、ドアバイザーなどの架装を実施することができました。

しかし現在、主要なメーカーや物流拠点ではルールが非常に厳格化されています。理由は諸説ありますが、コンプライアンスや登録前の車両への厳格な資産管理(あるいは契約成立時期の法的な解釈の適正化)に起因していると考えられます。今では「登録(ナンバープレート/登録番号)が確定したというデータがシステム上で確認できない限り、フロアマット1枚、ドアバイザー1個すら新車に取り付けることができない」という厳しいルールが敷かれています。

このルールにより、物流現場には以下のようなジレンマが生じています。

[車両がプールに到着] ➔ [書類を揃えて登録申請] ➔ [登録完了データが架装場に反映] ➔ [初めて架装スタート]

お客様から「大安の日に納車してほしい」「希望番号を取りたい」といったご要望をいただいた場合、登録日が後ろにずれるため、自動的に架装の着手も遅れることになります。結果として、いくら車両が近くのプールに届いていても、そこから店頭へ届くまでの日数(納期)が余計にかかってしまうという、裏側の泥臭い調整が日々行われているのです。

今回は「物流編」として、新車の種類や所有権の裏事情、そして架装ルールの厳格化に伴う現場の物流の動きをお届けしました。

次回は、さらにこの流れを深掘りし、システム上でどのように注文データと「車台ナンバー(フレームナンバー)」が結びつき、追跡されていくのかを紐解く「データ編(車台ナンバーの流れ)」をお送りします。普段目にする注文書が、メーカーの巨大な生産システムとどう連動しているのか、より生々しい舞台裏を解説いたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

メーカー別:車両生産から納品の流れ(物流)