自動車の納品まで

営業

ディーラー目線での詳細解説になっています。メーカーやディーラーの手法によっては多少異なった納品の流れになるかとは思われますが数社の業務を参考にしています。一般の方には納品時期の目安にして頂けたらという願いから作成しています。

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来場アンケート見積から注文書

先ずはお客様と初ご対面、面識もなくお互い情報の無い商談のスタート。真っ先にお店が行わなけらばならない作業はお客様情報の収集です。

お客様の要望をいかに聞き出し、要望に沿った機種提案ができるか、アンケートに記入して頂けるまで引き留めて情報を得ることが最終的に店舗運用の肝になります。(顧客管理は又別問題として)

「アンケート」を書いて頂けるか、個人情報をお伝えいただけるか否かで商機は全く異なってきます。

「アンケート」を基に、商談内容に沿った「お見積書」を先ずは完成させます。

このアンケートとお見積書のセットを「ホット管理」として営業スタッフは長期的に大量に管理をしていきます。全てを把握、覚えて置くことなど不可能ですから。数年ストックもあり得ます

さて、目出度く「車両購入のご契約」が結ばれることとなりました。

「お見積書」には見積管理ナンバーが記載されていて、この見積管理ナンバーを基に注文書データーに読み込んで注文書作成をします。

この段階で、ディーラーからメーカーに「受注契約情報」が転送されます。

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メーカーオプションとディーラーオプション

お車の受注契約において重要な要素はメーカーのラインで装着される部品と、出荷後に装着される部品です。

メーカー装着部品とは(衝突安全装置、全方位のカメラ、純正ナビゲーション_コネクト等)が挙げられます。これらは機種記号(類別区分番号)として運輸省登録され自動車税環境性能割(旧取得税)の対象になるものです。

そしてこれらは注文書作成段階に於いて後に変更のできない内容にもなってきます。

一方、出荷後の装着部品(後付けナビ、ドラレコ、ETC等)はこの後の二次架装現場への支持段階まで一応変更のできる内容にはなってきます。お勧めはできませんが

車両の発注のタイミング

営業スタッフとのご契約によって注文書が作成され「受注契約情報」がメーカーに送られます。この段階ではメーカーに対し正式にお車の生産を指示したわけではありません。

購入車両も様々です。

  1. 店頭展示車
  2. ディラー在庫車(色々な所で保管しています)
  3. 他店が保有している在庫車
  4. 他店が生産予約をしている車両
  5. メーカーが保有している(生産済み)車両
  6. メーカー生産予定の車両
  7. 各店がメーカーに生産予約をしている車両(注文書で止まっている段階)

注文しても中々お車が来ない、数か月も先?最近では珍しいことではありません。

6,7の状況で注文書は頂いたけど、金額も内容も確定していない状況ですね

車両オーダーと車両引当

各メーカーによってオーダーと車両引当業務についてはタイミングが多少異なってきますがその意味が解って頂けたら幸いです。

発注タイミング 1~5の車両については生産が確定しているので注文書がスタッフから挙がってきた段階でメーカーに発注を掛けていきます。

メーカー発注は営業スタッフが注文書作成に使用しているシステムとは異なったオーダー業務独自の仕様となっているメーカーが大半です。

車両業務責任者が注文書の機種記号を基に、メーカーに生産予約を入れていきます。これがオーダーです。

在庫車については既に車両が特定(車台番号が確定している車両)されていていますので、その車両と注文書データーを繋ぎます。これを車両引当といいます。

メーカーにオーダーを入れている車両も6の段階で車両引当ができます。車両引当が出来ると営業スタッフの注文書データーに機種(車台番号)が確定しディーラーオプション等の架装支持へと準備を進めていきます。

オプション架装支持

メーカー生産車両の架装

メーカー生産車両は生産後に海運等によりオプション架装が行われるプールへと転送されていきます。

架装を業務委託している架装業者へ転送するディーラーもあり様々です。

車両引当が終わった車両は部品の欠品等が起こらないように早い段階で付属品(オプション内容)を作業内容指示を加えてデーター転送を行います。

欠品等の発生で納期が大幅に遅れる場合には商品を変えるとか、販社(店頭)まで車を転送した後に自社工場にて部品手配をし架装を行うなど細かな調整が行われています。

営業スタッフにはユーザーが知りえないご苦労が沢山あります。

在庫車両の架装

在庫車両の架装の場合、もう一度上記架装場所に車両を転送するという場合があります。しかし遠距離であったり転送費用が掛かる等得策ではありませんが繁忙期や架装内容によっては行われます。

在庫車両は自社工場の再生作業(商品に仕上げる作業)で行うこととなります。社内部品課から作業指示によって部品発注を掛け作業を指示していきます。

当然工数(作業時間)の発生する作業も多々発生します。作業内容によっては外注(下請け架装業者に出す)という選択になります。

ナビゲーションやバックカメラ等のオーディオ類は製品のバージョン変更等移り変わりが激しく専門性が必要となることから、専門分野に長けた業者さんに依頼するのが本筋になってきています。

数十点に及ぶオプション設定のユーザーもあり納車までの微調整は大変です。

登録届出、店頭納期どちらが先か

登録届出タイミング

納車日程を悩ませるもの、登録届出後の新車架装が大前提となっています。

登録届出を済ませデーターが架装業者に伝わらないと架装が行われないルールが存在します。どこのメーカーも大抵は同じです。

知っておこう!車両契約成立の時期

契約成立時期について
  • 現金取引の場合
    ①登録日
    ②改造・架装・修理に着手した日
    ③自動車の引き渡しが行われた日
      ①~③のいずれか早い日です
    ④OSS代行申請の場合は登録情報機関(AIRAC)に最終譲受人を通知した日
    ⑤OSS本人申請の場合はお客様に登録番号を通知した日
  • クレジット契約の場合
    提携信販会社から販売会社に「承諾」の通知を頂いた日
     *信販会社によっては多少異なります、詳しくはご確認を
    <コラム OSSとは
     自動車保有関係手続のワンストップサービスで、自動車を保有する為に必要な多くの手続き(検査・登録・保管場所証明、自動車諸税の納付など)を、オンラインにより一括して行うことができるものです。

 上記が関係しているものと理解しています。間違っていたらご教授下さい

早期に納車を希望されている等、様々なお急ぎ案件が発生します。

早期に納車することを前提に考えるた場合オプション架装内容によって選択が異なってきます。架装内容が自社工場で済むような場合は登録届出を待たず車両を店頭納期最優先で支持を出していきます。

架装内容が複雑な場合、外注架装では出来ない架装内容がある等では登録届出優先で行います。登録届出優先で後架装の選択(通常はこちらです)の場合では、お客様の登録日希望(大安)であったり希望番号を選択されている等で納期が遅れることとなります。

納車前の納車日の打ち合わせもディーラー側の諸事情や運輸局の諸事情を踏まえ神経をつかう細かな相談が必要になってきます。

登録届出手続き

登録届出準備が整った段階で登録書類を完備させていきます。登録日から逆算して登録課がスムーズに登録届出準備ができるタイミングで書類を完備していきます。

登録届出の準備
  • 所有権の有無
    現金取引か否か
  • 車庫証明の準備
    自己所有地か借地か
  • 店頭納車かお届けか
    レッカー等の確保
  • 希望番号の申請
  • 下取りの有無
    下取車の所有権
  • 自賠責保険加入要件
    先方加入か 加入保険会社の確認

業務課への連絡が主なお仕事になります。

納車準備、保証書の作成

納車書類作成関連

納車の書類も契約条件によって多岐に渡ります。

納車に於ける書類等
  • 車両保障証
  • ナビ・ドラレコ・ETC等保証書
  • 保証延長契約
  • 保守メンテナンス
  • 新車加入保険契約
  • コーティングメンテ保証書
  • ロードサービス契約

記載すべき書類は沢山あります。お客様に納品時書いて頂く書類も多くなります。改善できないものでしょうか

車両の確認、仕上げ

納車車両の準備
  • 洗車
  • 車検満了ステッカー
  • ダイヤルステッカー
  • 車庫証明ステッカー
  • プレート枠と取付け
  • ナビ等周辺機器動作確認

納品

目出度く納車までやってきました。あとは気持ちよく乗って頂くために納車説明をどこまで細かくお伝えするかです。納車時間も余り長時間に設定もできません。

上記の書類説明や記載して頂くもの、書類上での説明が終わった段階で「おなか一杯」状態になっているお客様も珍しくありませんので、さらに自動車の取扱い説明では、多分に理解されていない内容も多々あると思われます。

高齢者は特に、長時間必死にお伝えしてもと感じるところもあります。お仕事とは言えです