ETC2.0と次期セットアップシステム運用についての注意事項等

業務

ETCのセットアップは10年毎にに大きな改正と改革が行われてきました。現行システムの接続環境問題や管理者の事務煩雑化が叫ばれるなか来年度より次期セットアップシステム運用が開始されようとしています。普及が進むETC2.0や新セキュリティシステムのついての説明を踏まえ、日頃事業者でどのようなセットアップ作業や運用が行われているか、一般の方にもご理解頂けるよう解説をしてみました。

スポンサーリンク

セットアップの現状

ETCの目的と歴史

ETC運用の歴史
  • 平成11年9月 財団法人道路システム高速化推進機構設立
  • 平成13年3月 ETCシステム一般運用スタート
  • 平成19年10月 Webシステムによるオンラインセットアップスタート
  • 平成23年3月 ITSスポットサービス本格運用開始
  • 平成26年9月 一般財団法人ITSサービス高速化機構
    (現在のITS-TEA)発足
  • 平成26年10月 ITSスポットサービスがETC2.0へ移行
  • 平成29年11月 「型式指定番号及び類別区分番号」の入力に於ける車両情報の自動表示機能の追加」
    利用者意見として!
    セットアップ時には新型車等について登録が追い付いて居らず、入力に手間取ることもある
  • 平成30年2月 QRコード活用による車両情報の自動表示機能の追加
  • 令和7年度下期にて次期セットアップシステムの運用開始

昭和31年に「日本道路公団」が設立。「道路整備特別措置法」に基づいて全国に高速道路が整備されていきます。輸送量の拡大に伴い高速道路網は経済活動の基盤となりさらに重要性を増していきます。

交通量の増大に比例して料金所に於ける渋滞が全体の35%と顕著になり始めます。

そこで渋滞の緩和を行う為に電子決済(自動化)と管理コストの低減、料金所設備費用の節減と料金所付近の環境改善を目的にETCシステムはスタートしました。
現在では高速道路走行車の実に93%がETC利用者となっています。

セットアップの重要性

ETCとは

車両情報を登録(セットアップ)したETC車載器にクレジット会社との契約情報などを記録したICカード(ETCカード)を車載器に挿入し、有料道路の料金所に設置された路側機と車載器との間で無線通信を行うことにより料金徴収に必要な情報を路側機(路側アンテナ)に接続されたコンピュータシステム及びETCカードの双方に記録し、料金所に於いて料金支払いのために車両を停止することなく通行料金を支払うことが出来る高速道路料金収受システム

利用者の車両がETC料金所(路側機)を通過する時点でETCカードに格納している個人情報及びETC車載器に格納した車両情報を、ETC車載器とETC料金所(路側機)が相互通信することによって利用した高速道路の高速料金を有料走路会社からクレジットカード会社経由で利用者に請求し決済が行われます。

実際の車両情報とセットアップされた車両情報が相違する場合にはETCシステム利用規定違反となります。

よってセットアップ作業はETCシステム運用において最も重要な作業にあたります

セットアップの運用

セットアップ作業自体は本当に簡単なものです。

だからこそ、セットアップ作業の重要性を理解しセットアップ主任者・端末装置等管理責任者だけでなく実際にセットアップを行うオペレーター全員が下記禁止事項や注意事項、ETCの関連するその他の事項についてしっかりと認識した上でセットアップ事業を行っていきましょう。

注意事項について

■登録住所以外へのセットアップ端末の配備禁止

■セットアップカードの持ち出し禁止

■セットアップ申込書の持ち出し禁止

■店舗登録内容の変更(変更から15日以内)

■セットアップ主任者の選任(企業1名)

■端末装置等管理責任者の選任

■セットアップ禁止事項

■申込受付時の注意点

1.お客様の規定類に対する承諾を確認

2.お客様の本人確認

3.お客様本人による自筆署名

「セットアップ申込書」もしくは「委任状」にお客様本人による自筆で署名を必ず頂いてください。委任状が無く、店舗担当者が「セットアップ申込書」お客様氏名欄を代筆することはできません。
委任状が無いにもかかわらず、店舗担当者が代筆した場合には「ETC車載器及びETC2.0車載器セットアップ運用規定違反となりますので注意が必要です。
規定違反は1~6か月間のセットアップ業務停止処分若しくは登録廃止となります。

セットアップ業務の手順

  1. お客様の本人確認
  2. セットアップ申込書への本人自筆署名
  3. 車両情報・車載器管理番号・型式指定何号等の記入
  4. 記入内容の確認
  5. 識別処理発行申請入力
  6. 識別処理情報発行・受信
  7. セットアップカードの書き込み、セットアップ証明書印刷
  8. セットアップ実行
  9. セットアップ正常終了の確認
  10. セットアップ完了通知、セットアップ完了通知受信・セットアップカードの初期化
  11. 申込書と証明書の引き渡し
  12. セットアップカードの保管
  13. 申込書類の保管・管理

セットアップ業務に於ける注意事項

中古車両仕入れ時のETC車載器状態確認

既にETC車載器が設置されている場合には、車載車のセットアップ履歴についてオンラインセットアップシステムの「発行状況照会」機能で確認を行い、再セットアップが必要な場合には再セットアップを実施します。

車台番号等の正確な入力の為に

QRコードリーダ配布店は出来る限りQRコードリーダを活用しましょう。

必要書類を確実にお客様に渡しましょう

セットアップ申込書・ETC車載器セットアップ証明書はお客様がETCマイレージサービス、ETC利用照会サービスの申請を行う際に必要な書類になります。

再セットアップが必要なケースについて

  1. 車両ナンバーが変更になった
  2. 車載器を他の車両に付け替えた
  3. 車両けん引できる構造に改造した

端末・貸与機器等の保管・管理義務

貸与機器の種類
  1. 認証キー(eToken)
  2. セットアップカード(3枚)
  3. 車載器検査用カード
  4. ICカードリーダライタ(R/W)
  5. QRコードリーダ
セットアップ端末に関する注意項目

端末管理責任者の業務

・オペレーターの選出、指導、監督

・端末装置等の保管、管理

セットアップ端末の管理

・盗難による情報漏洩の防止

・無人時の施錠、設置場所は第三者の手が届かない所へ設置
 (店頭に設置する場合はチェーンロックを掛ける

・持ち出し禁止

・OSアカウント及びパスワードの管理

・ウイルス感染による情報漏洩の防止

貸与品の注意点

カードリードライタはマクセル製のものを利用してください
 (一部富士通製のライタが残っている(不具合が多いので破棄)

セットアップの用紙に関する注意事項

「セットアップ申込書控え」(実施状況調書)は鍵の掛かるロッカー等(登録時に申請した保管場所)に保管し5年間保管する

次期セットアップシステム移行時の注意項目

令和5年下半期から令和7年度下半期にかけて行われる次期セットアップシステム移行作業時には認証キー(eToken)の交換だけではなく現在の貸与品(上記5品目)全て返却する必要かあります。

紛失、不足が生じた場合には紛失手数料が必要になります。

事前に紛失等が無いか確認しておきましょう。

特に、3車載器検査用カード(電波が正常に飛ぶ状況にあるかを確認するカード)を使用しない職場も見受けられ紛失が多いと考えられます。探しておきましょう。

eラーニング受講

次期セットアップシステム導入時にもeラーニングの受講が必要か確認は出来ておりませんが、従来のシステムでは認証キーの有効期限切れと同時に新しい認証キーが送られてきますが、40日以内にeラーニングの受講を行いテストに合格する必要があります。

動画を見て1サイクル受講、試験を何度が繰り返して総合得点90点以上で合格となります。

ナメテかかると普通に落ちます!(何度でも追試できますが)

スポンサーリンク

ETC2.0と新セキュリティ規格

ETC2.0のサービス(1.0との違い)

ETC2.0のサービスについて

1,渋滞情報

 広域の渋滞情報を受信してリアルタイムに表示

 サービスエリア等に設置されている情報ボードと同じデーターを閲覧できる

 前方の渋滞状況を確認し、賢いルートを選択活用できます。

2,安全運転情報

 前方の路上落下物や渋滞、悪天候における路面状況など、事前に注意喚起を促し運転中のヒヤリをへらします。

3,災害支援機能

 災害発生と同時に、災害の発生状況と併せて支援情報を配信します

新セキュリティ規格について

ETCのセキュリティ規格の重要性

ETCシステムにおいて認証や暗号化などのセキュリティ処理が重要です。

セキュリティーにおいてキーファクターとなるのは、認証や暗号化を行う際に用いる鍵(かぎ)と情報(暗号化キー)にあります

運用期間が長くなった場合には新しい暗号化キーへの更新作業が必要になってきます。

セキュリティ規格の現状と奨励に向けて

ETC2.0の運用開始と共に新セキュリティ規格での運用が開始されています

現在は新旧のセキュリティ規格が存在しています。

遅くとも2030年迄には現行セキュリティ規格対応車載器ではETCシステムを利用できなくなる予定です。(ゲートの故障原因にも繋がりますのでゲートが上がらない等につながることは考えにくいですが警告が出て注意が促されるとか、クレジットの引き落としが出来ない(通常料金がかかる)等々考えられます。

セットアップ証明書への新規格記載の開始

平成30年12月18日(火)より、セットアップ証明書のお客様控え「セットアップ証明書」の備考欄に(セキュリティ警告文)従来セキュリティ対応車載器の為、使用期間は最長で2030年頃迄となる予定です」との記載が開始されていますので、旧方式(未対応)の車載器は確認できます。

新セキュリティ対応機種の見分け方

19桁の車載器管理番号の頭の文字で確認できます

従来のセキュリティ対応車載器は先頭の文字が”0ゼロから始まっています

新セキュリティ対応車載器は先頭の文字が”から始まっています

次期セットアップシステムへ向けて

ETCのWEBセットアップシステム(WSS運用開始から15年を経過し現代のセキュリティ規格への対応やセットアップシステムの問題や課題も多いことから一般社団法人ITSサービス高速化機構(略称ITS-TEAよしシステムを刷新する計画が進んでいるようです。

現状開発過程での情報ですので今後の移行についてもITS-TEAの情報を基に提供(リライト)をしていきたいと考えております。

リニューアルのポイント

セットアップの現場では、Windowsのバージョンアップに於ける接続問題・PDFデータプリンタへの印刷問題といろいろ悩ませてきたことと思います。

今回Windows問題や通信速度問題が改善され、更にペーパーレスによる事務効率化が図れることによってメリットが大きいシステムとなりそうです。

次期システムのリニューアルポイント
  • 専用端末化(タブレット)による安定稼働と機動性の向上
    現行のWSSでは登録店でPCを用意する必要がありましたが時期WSSでは専用の端末機(タブレット)が貸与され専用端末化(動作環境の統一化)によって、WSSのシステムやWindowsのバージョンアップで発生していた起動障害を抑止でき安定稼働を実現できようになるそうです。
  • ペーパーレス化による個人情報管理の低減(申込書・委任状)
    紙ベースの申込書や委任状を原則廃止し、電子申込書(WEB申請)に移行される
    申込書5年保管を廃止し情報はシステム内に一定期間保管される
    説明内容では、最新ナビゲーションに付加されつつあるコネクトシステムのように個人用WEBログインIDがQRコード化(招待コード)され個人情報はWEBで申請を行うイメージ
    (セットアップ端末機器側は簡単な車両情報のみ、「車台の大きさやナンバー等」が記憶される仕組みなので個人情報は記憶されない
  • 職場の利便性向上につながるタブレット端末の活用と運用
    カメラ・非接続リードライタ等の活用による運用の効率化

開発スケジュールと導入時期

令和5年度下期から順次システム移行を開始

認証キー(eToken)の有効期限が到来するセットアップ事業所から順次移行開始される見通し
上記「端末・貸与機器等の保管・管理義務」の貸与品の返却義務参照

巻末(ETCの情報提供サイト)

ETCマイレージサービス
ETCマイレージサービスに登録したETCカードでの通行料金のお支払い額に応じてポイントが付加されるお得なサービスです。ポイントは還元額(無料通行分)に交換の上、通行料金の支払いにご利用できます。
https://www.smile-etc.jp/

ETC利用照会サービス

ETC利用照会サービスに登録したETCカードでの通行料金の明細が15か月前まで確認できます。

内容紹介、登録は道路会社が運営する「ETC利用照会サービス」下記より
https://www.etc-meisai.jp/

ETC総合ポータルサイト

ETC総合情報ポータルサイト
便利でおトクで、そして快適なドライブ体験をもたらすサービスとして、ETCは生まれ変わりました。渋滞迂回ルート表示、安全運転サポート、災害時の適切な誘導など、高速道路と自動車が情報連携。ETC2.0の多彩な情報サービス紹介のほか、お得な割引・...